2007年08月06日(月)
MEN'S EX 9月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.16 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
羽織りものを素敵に着こなす方法
時が経つのは早いもので、まだまだ暑い日が続くなぁなんて思っていると、いつの間にやら涼しさを感じる季節になっています。そんな季節にあると便利なのが、羽織りもの。ただ、実際にカッコよく着ようとすると、どう合わせていいのか、案外難しかったりもします。今回は、羽織りものの素敵な着こなし方を、たっぷりとお話しいただきました。
■(写真右)赤峰幸生氏
・'50年代のシェットランドウールのジップアップカーディガン
・ラコステのクラブラインの長袖ポロ
・ブルーシステムの5ポケットパンツ
・リヴェラーノ&リヴェラーノのUチップシューズ
■(写真左)菊池武夫氏
・ボルサリーノのキャスケット
・ヴィンテージのシルクスカーフ
・メンズメルローズのジップアップカーディガン
・ベルヴェストのパンツ(3ピーススーツのパンツ)
・アディダスの「スーパースター」リザード型押し
今回の対談の舞台となったのは、六本木ヒルズにあるイタリアンレストラン「イル・ムリーノ ニューヨーク」。広々としたラウンジで繰り広げられたおふたりの話は、服の話から人生論まで実に多彩。大いに盛り上がりました。
■ビシッとクリースの入ったパンツは合わせたくない
M.E. 秋口に向けて、ちょっとした羽織りものがあると便利だと思うのですが、単にニットやカーディガンを羽織るだけでは着こなしがシンプルになりすぎてしまってカッコよく見えない、という読者からの悩みの声も聞きます。そこで今回お2人には、どうしたら羽織りものをカッコよく着られるのか、といったテーマを中心にお話しいただければと思います。
赤峰 羽織りものというテーマで、菊池先生も僕もジップアップニットをチョイスしたわけですが、このジップアップニットというのは非常に使い勝手のいいアイテムなんです。いわゆるシーズンアイテムじゃないから、寒いと思えば軽く羽織ればいいし、暑いと思えば脱げばいい。これからの季節にはとても重宝しますね。しかもボタンではなく、ジップアップというのもポイント。イージーに着られるので、現代のようにコンビニエントな着方が重要視される時代にピッタリです。
菊池 襟がついているのもいいんですよね。例えばトレンチコートなんかはしっかりと襟を立たせて着たりしますが、男性の心理として首のところが守られていると安心感がある。何よりエレガントに見えますし。
赤峰 わかります。首を無防備にさらしていると、どことなく落ち着かない感覚ってありますよね。
M.E. 実際、お2人の着こなしを拝見しても、襟がしっかりと立てられていて、特にタケ先生は上までビシッと閉めています。
菊池 僕の場合、タイトに着る習慣があるので、上のほうまでキチンと留めたい。でも、全部ちゃんと留めるのはイヤなんです。どこかで崩れていないと。だから今回もダブルジップのものを選んで下を開けています。こうしないと落ち着かない(笑)。
赤峰 今は、鎌が高くてフィット感があり、それによって上の分量と下の分量との差をハッキリ出す着こなしが気分ですしね。僕は今日たまたまボリューム感のあるものを着ていますが、これはヴィンテージなので、どうしてもこういうシルエットになってしまう。それこそ'50年前の(注1)シェットランドで編まれたものですから。もちろんこれはこれで味わいがあるのですが、仮に現代的に作り直してみても面白いと思うんですよね。
菊池 あぁ、いいですね。着丈を短くして、ややタイトに仕上げてね。
赤峰 そうです。簡単にいうと、ベルスタッフのブルゾンみたいなシルエットでしょうか。袖はちょっと前振りで長めの丈にして、襟はグッと立たせる。腰周りも絞ってスリムにしたらカッコいいと思います。
M.E. それから、おふたりともカジュアルなパンツを合わせているのが面白いと思いました。
菊池 僕のは、以前「(注2)マフィアの着こなし」(2007年2月号)をやったときに着ていたスリーピースのパンツ。わざとクリースを消してちょっとカジュアルにしています。そもそも僕は根が結構マジメでして、どこかキチンとしだすと全部しないといけないと思ってしまうんです。そうなりたくないからどうしても崩したくなっちゃう。
赤峰 確かにバランスを考えるとそうですよね。僕もジップアップニットに関しては、ビシッとクリースの入ったパンツで穿きたいとは思わない。ジップアップニット自体、お洒落なアイテムになりがちなので、ヘンに小洒落て見えてしまうのがイヤ。もっとラフにしたいですよね。だからイタリアでよく見るんですが、クリースの入ったパンツにカシミアのジップアップニットというスタイルは、クラシックではあるけど、妙にお行儀がよすぎて僕はあまり好きじゃないですね。
菊池 じゃあ、その格好にタイドアップなんてしたら許せないんじゃないですか?
赤峰 あぁ、それは一番嫌いです。タイドアップしてジップアップニットを羽織って、その上にジャケットを着るスタイル。これもイタリアに行くとよく見るんですけど、もうノーサンキューです(笑)
■その国の文化や街の匂いといったものに興味がある
菊池 僕は上まで留めているけど、やはり羽織りものである以上、サラッと開けて着るのもいいと思います。ただ、それにはある程度首が太くないとサマにならないような気がします。でないと、ちょっと印象が弱々しくなっちゃうと思うんです。
赤峰 先生は首周りに対する意識が高いですよね。誤解を怖れずいうなら、そこさえ決まってしまえば、あとはもうなんとかなるぞっていうノリが先生にはあるような気がします。そしてそれこそが菊池武夫的着こなしのキモだと僕は見ています。違っていたらごめんなさい(笑)。
菊池 いえいえ、図星ですよ、本当に。逆に赤峰さんの場合、どちらにも対応できる感じがありますよね。そのときの気分でいろいろとできちゃう感じが。
赤峰 そうですね。イギリスに行けばイギリスっぽい気分で着るし、イタリアへ行けばイタリアっぽく着る。その時どきに応じて切り替えていく、そんな感じはあります。だから読者の人たちには、きれいめに着ようとするときに、クリースの入ったパンツを持ってくればいいという発想ではなく、そこからもう一歩、今までとは違う意識で着てみてはいかがでしょうか、といいたいですね。
菊池 うん。クリースが入っていると、パッと見洒落てるんだけど、当たり前すぎるというか、なんだかあまり深みがない。つまらないですよね。
M.E. また、羽織りものには、ジップアップニット以外にカーディガンもありますけど、カーディガンを上手に着るのは意外に難しいのではないかなと思うのですが。
赤峰 そうかもしれませんね。カーディガンというと、ウーステッドの梳毛のものが一般化していますけど、ローゲージのカーディガンもありますし、ボタンにしたってローボタンもあればハイボタンもある。たくさんのバリエーションが用意されていますからね。ただ、若い人たちの中には、カーディガンをジジくさい、という人もいる。そのジジくささが逆にカッコいいんだけどなぁ。
菊池 そうですよ。今の時代はそういう発想だと思います。僕自身、基本とか、無難とか、そういったものから極力ハズれるようにやってきましたから。もちろん、この場合はこう着る、という基本があるのは頭ではよくわかっているんですよ。でも、それをそのまま鵜呑みにするんじゃなくて、必ず自分なりのスタイルを作り上げたいと思うんですよね。
赤峰 いやぁ、よくわかります。若い時分から(注3)英国的伝統をキチンと見て、それから(注4)フレンチのとっぽさを見て、(注5)アメリカのイージーさも見て。そうした蓄積を通して、現在の先生のスタイルというのは出来上がってきているわけですよ。だから若い人にいいたいのは、単に見かけを真似するのではなく、自分なりの歩みで自分なりのスタイルを見つけてほしいってこと。
菊池 うん。少なくともそういった意識はもっていてほしいですね。
赤峰 となると、大事なのは内面の充実でしょうか。外見をどんなに飾っても、やはり内面が磨かれていないとそれなりにしか見えてこない。ある意味で洋服以上に気を使わないといけない部分だと思うんです。
菊池 そう思います。よくいわれていることだけど、それは真実ですよ。服だけじゃなくて、アートとか音楽とか料理とか、いろいろなものに対して幅広く興味をもつことで、服の着こなしも間違いなく変わってくる。佇まいに滲み出てくるんです。
赤峰 服はやはり文化のひとつですからね。先生も僕も、その国の文化に興味があるわけですよ。もちろんどんな着こなしが流行っているかということもチェックしますけど、それ以上にその国の文化や街の匂いといったものに興味があるんです。
(注1) 「シェットランド」
スコットランドの北にあるシェットランド諸島が原産地のウール。シェットランドシープのウールは軽くて柔らかく、1頭でさらに何色もの色をもっているのが特徴。その原毛を紡いで島内で編んだものがシェットランドニットです。
(注2) 「マフィアの着こなし」
2007年2月号の連載のテーマは「マフィアの着こなし」。このとき菊池さんは、ヴェルベストの3ピーススーツを着てご登場。スーツのときはビシッとクリースが入っていたものの、今回は同じパンツでクリースをとってご登場。
(MEN'S EX 2007年2月号記事→)
(注3) 「英国的伝統」
英国は流儀の国で、服を着ること、紅茶を飲むという行為一つにも、そこには流儀があります。この流儀こそが、英国の伝統と格式を守ってきたという意味。
(注4) 「フレンチのとっぽさ」
パリでのナンパや話の場はカフェにあり、カフェには男と女がツッパってカッコよく見せようとする文化、自分を主張するためのパフォーマンスがあるという意味。
(注5) 「アメリカのイージーさ」
スラングで簡略化した言葉がいい例ですが、アメリカはなんでも簡略化してしまう文化があります。英国とは反対の、崩した、イージーな空気が根底に流れているという意味。
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赤峰さん的ジップニットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
さりげなく色を合わせています
襟に入った黒のラインとインナーに着た黒のポロ。さりげなく色を合わせるとは、さすが赤峰さん、ニクイです。また、襟は無造作に立たせると、カッコよく決まるそうです。
黒とエクリュでまとめました
2色以上は原則使わないのが赤峰流。今回もエクリュと黒で上品にまとめています。ちなみにこのカーディガン、50年前のシェットランドで編まれたものだそうです。
5ポケットでもドレスシューズを
カジュアルなイメージのある5ポケットパンツですが、足元にあえてドレスシューズを合わせています。大人のエレガンスをキチッとキープしているあたりは、見習いたいところ。
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菊池さん的ジップニットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
首周りが実にオシャレです
タケ先生のトレードマークといえばスカーフ。今回は'60年代のアンティークを合わせてみたとのこと。また、首から掛けた2本のメガネも実に洒落たアクセントになっています
ダブルジップで表情をつけます
どこか遊び心のある着こなしがタケ先生のスタイルです。カーディガンもダブルジップをチョイスし、下を開けて着こなしに動きを出しています。中に合わせたTシャツがチラリ。
クリースを消したスーツのパンツ
第9回「マフィア」の回で、タケ先生が着用していたベルヴェストのサキソニーフラノの3ピーススーツ。このパンツ、実はそれ。今回はクリースを消してラフに穿いています
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2007年07月24日(火)
OCEANS 9月号 連載#18 [OCEANS掲載記事]
King of Elegance
マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」
ネイビーの“粋”
南仏リゾートのマインドで着こなした夏のネイビー
マリアーノ ルビナッチのネイビーシャツは、プルオーバータイプで素材はリネン。ボタンは白蝶貝。パンツはアカミネ ロイヤルラインのシアサッカー。ネイビーキャンバスのエスパドリーユはアンクルに巻く紐が付いていて、アウトソールはレザー。パリのエルメス本店にて購入。基本的に色は2色まででまとめるという、マエストロ赤峰流の原則を実践。プルオーバーのシャツの場合は、上にジャケットなどを羽織らずにシャツ1枚で着る。(日本橋三越本店取扱い)
色の好き嫌いは、それこそ十人十色。しかし、ネイビーが嫌いと言う人はいないのではないだろうか。広範囲にわたる好感度、それこそがネイビーの魅力だ。さらに誰にでも似合う。ネイビーほど、ユーティリティな色は他に見当たらない。
私の場合、ネイビーとの付き合いは幼少期に遡る。子供のときにはネイビーしか着ていなかったほど。セーターにしても、ショートパンツにしても。おそらく、母親が好んでいたのだろう。そうした影響もあって、ネイビーを着ることが自然な感覚として染み付いた。また、(注1)叔父の影響も多大だ。当時、私の叔父は日本橋丸善で仕立てたネイビーのブレザーをよく着ていて、その姿の格好よさに憧れた。キチンと服を着ることが板についていて、それがとても自然で、上品に感じられた。無造作のエレガンスとでも言うべきか。これ見よがしの格好悪さ、逆にこれ見よがしではない格好よさ。私はそうした感覚を母から着せられたネイビーの服、叔父が着ていたネイビーの服から感覚的に学んだのだ。
私の服の基本色はネイビーであるわけだが、着こなしにおいて大切なことは季節感となる。冬であればフランネルのスーツ、ダッフルコート、ニットなどでネイビーを着る。夏であれば、やはり、コットンのポロシャツ、そしてリネンのシャツなどが中心となる。今回、着用しているのは(注2)マリアーノ ルビナッチのリネンシャツ。胸ポケット付きのプルオーバータイプだ。着こなしのコツをあえて言葉とするならば、袖まくりにある。ロングスリーブでは暑いから、袖をまくる。ただそれだけのことなのであるが、見た目にも開放感を与える。何センチ間隔でまくるとか、そういったマニュアルのようなものはない。あくまでも無造作に、たくし上げる。それでいい。ポロシャツの襟を立てるかどうかも、同じこと。首裏に受ける日差しを避けるために、襟を上げる。ただそれだけのことである。今回は、足元の(注3)エスパドリーユでもネイビーを選んだ。適度に素足が露出され、キャンバスの質感が清涼感を与えられる。(注4)ウィンザー公、(注5)イヴ・モンタン、彼らのエスパドリーユのこなし方が理想であり、よき参考例となる。ボトムスはブルーのシアサッカーで、シャツと靴とをつなげた。全体のイメージはニースやサントロペ。南仏の避暑地で過ごすときのリゾートマインドでの着こなしである。リゾートへ赴く際、どうしてか普段は着ていない派手な色をここぞとばかりに着る人が日本人に多く見受けられる。否定はしないが、清涼感を意識しながら、ネイビーを活用してはいかがだろうか。
(注1) 「叔父」
社会学者であった清水幾太郎氏。東京大学卒、著書多数。学習院大学にて教授職も務めた。
(注2) 「マリアーノ ルビナッチ」
ナポリの名店、ロンドンハウスのオーナー、マリアーノ・ルビナッチ氏によるブランド。
(注3) 「エスパドリーユ」
スペインのバスク地方発祥の靴。底にエスパルトという繊維を編み込んでいたことから名付けられた。アッパーはキャンパスが一般に用いられる。特にフランスでリゾート用の靴として定着し、愛用されている。
(注4) 「ウィンザー公」
1910年にプリンス・オブ・ウェールズとなり、後にエドワード8世に。退位後、ウィンザー公の称号を与えられた。稀代の洒落者として名高く、ファッションに多大な影響を与えた。
(注5) 「イブ・モンタン」
'50〜'60年代にフランスで活躍したシャンソン歌手・俳優。「枯葉」や「セ・シ・ボン」などの名唱で“世界の恋人”と謳われた。マリリン・モンローと浮き名を流したことは」有名。
赤峰氏が影響を受けたネイビーの粋な着こなし
1_紺ブレを着ている叔父の清水氏。ローマにて。
2_「Montand」より。シャツの袖をまくり上げ、エスパドリーユを洒脱に履いているイブ・モンタン。
3_「FRENCH RIVIERA」より。エスパドリーユをスーツに合わせているウィンザー公。
夏のネイビーの着こなしは“本場”南仏のリゾートで映える
仕事柄、海外へ出向くことが多い赤峰氏。南仏のリゾート地ではバカンスを過ごし、ネイビーの着こなしを“本場”にて楽しむことも多々。実際に見て、肌で感じ、自らの感性でアレンジする。それがマエストロ流。上の写真は南仏の代表的なリゾート地であるサントロペ。
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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]
ポロ競技のユニフォームの白ポロシャツ
スイスのサンモリッツで行われるポロ競技用の公式ユニフォーム。このポロシャツはイタリアのファブリックメーカー、グアベロ社のチームのもの。白地にネイビーのレタードが、上品かつ爽やか。マエストロ赤峰はこのポロシャツにシアサッカーのパンツや5ポケットパンツなどを合わせて、スポーティな着こなしを楽しむ。
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2007年07月12日(木)
MONSIEUR(ムッシュー)5-6月号に掲載されました [MONSIEUR掲載記事]
1920年創刊の世界で一番旧いフランスの男性誌。Men's ExでもMONSIEUR通信として編集長:フランソワ=ジャン・ダーンさんのコラムが紹介されていますが、現在はまだ日本では残念ながら流通していません。...にも関わらず、海老蔵のパリ公演では前売りチケットが約一年前に完売(!)したり、何かと日本に対する注目が高い中、5-6月号の日本特集にて、「LES BRUMMEL DES TOKYO」という見出しで、弊社の代表:赤峰がインタビューを受け掲載して頂きました。
「LES BRUMMEL DES TOKYO」→「東京のブランメル」*注釈:ジョージ・ブランメル(1778〜1840)19世紀初頭にダンディズムの思想が形成され、新しい紳士服の趣向が誕生した。ダンディズムの創始者とされるジョージ・ブランメル(1778〜1840)は、平民の生まれながら、生来のエレガンスの素質やその優雅な風姿がイギリス皇太子のちのジョージ4世に認められ、19世紀初頭の社交界の流行を支配するようにまでなった。ダンディズムの趣向はブランメルが1810年代末に失墜したのちも強い影響力をもって19世紀前半の男性服の流行を支配したが、それは目に見える衣服の形よりむしろ衣服に対する精神的な姿が重要視されるものだった。
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2007年07月10日(火)
マルチェロ・マストロヤンニ ラテンラヴァーを知る10の断章 [書籍]
没後10年を迎えたイタリアが生んだ希代の俳優、マルチェロ・マストロヤンニ。2006年カンヌ国際映画際にて、彼のドキュメンタリー<マルチェロ・マストロヤンニ甘い追憶>が上映され、大喝采を浴びました。日本では6月30日より渋谷のBunkamuraで上映されています。
そのマストロヤンニにフォーカスした10のキーワードの中の「ファッション」パートで、弊社代表 赤峰 が、信濃屋白井様、テーラーケイド山本様とご一緒に鼎談をさせていただき、一部掲載していただきました。
こちらで全ページを分かりやすく紹介することはできませんが、全国一般書店にて発売となっていますので、ご興味のある方は是非ご一読を!
◆発行所:株式会社 エスクァイアマガジンジャパン
◆本の題名:マルチェロ・マストロヤンニ(ラテンラヴァーを知る10の断章)
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2007年07月06日(金)
MEN'S EX 8月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.15 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
サマージャケットを涼しく着る方法
暑いからといって、ついついラクな格好をしがちな夏のファッション。
が、果たしてそれで本当にいいのか?
そんなワケで今回は、お2人にサマージャケットを着る意義と、それを涼しく着る方法を伝授していただきました。
■(写真右)菊池武夫氏
・アンティークの帽子
・フェイヴァーブルックのドクロ柄のスカーフ
・40カラッツ&525のコットンリネンシャツ
・40カラッツ&525のシルクリネンウールのジャケット
・レデストのホワイトジーンズ
・レ ユッカスのスエードシューズ
■(写真左)赤峰幸生氏
・リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたリネンシャツ
・ドリアーニのフレスコタイ
・アカミネ ロイヤルラインのシアサッカージャケット
・リヴェラーノ&リヴェラーノのコットンツイルのパンツ
・エルメスのエスパドリーユ
それにしても、絵になるお2人です。対談にも出てきた畝のあるジャケットの素材が、お2人の着こなしをとっても涼しそうに見せています。
■ヨーロッパではサマージャケットは必須アイテム
菊池 サマージャケットって、カタチよりも、まず素材が一番大切ですよね。
赤峰 そうですね。サマージャケットといえば、やっぱり綿、麻、綿麻素材に限ります。なかでも(注1)シアサッカーとかコードレーンっていうのは、必要不可欠な素材ですよね。イタリア的には“CON GIACCA”というか、ジャケットは羽織るのがスタイルの基本みたいなところがあって、シャツ1枚でもシャツなりのよさがありますけど、人前に出るとなると、季節は関係なくジャケットを羽織って初めてスタイルが完成するというのがありますよね。そういった意味で、サマージャケットは必要不可欠なアイテムなんです。
菊池 英国でアフタヌーンティーを楽しもうと思っていいホテルに入ろうとしても、ジャケットを着てないと絶対入れてくれないじゃないですか。昔はたぶん、帝国ホテルとかでもそういう決まりがあったんでしょうけど、最近はそういうのもなくなってしまいましたよね。ジャケットを着るというのは、自分を正すという意味もある程度はあるので、着る着ないは別として、いつでも持っているっていうのが必要だと思います。
赤峰 そうですね。それはシャツジャケット的な気軽に羽織れるものでもいいし、もちろん、きちんとしたテーラードでもいいし、要はジャケットという1つの羽織れるアイテムを持っていることが重要なんです。これは英国に限ったことではなくて、イタリアでもカメリエーレがタキシードを着ているようなリストランテでは「ジャケットお持ちですか?」って必ず言われますから。
菊池 確かに。あとイギリスの場合、ジャケットがない人には、貸しジャケットがありますよね。それも凄くダブダブのやつ。あれ、わざとダブダブなのを用意しているんです。
赤峰 そうそう。
菊池 もの凄い派手なブルーのやつだったりね。こいつはジャケットを持たずに来たんだぞっていう見せしめみたいなものですよね。ほかの国だと、そういうのはあまりないですけど。
赤峰 どこに出るのでもジャケットを着ていれば、恥ずかしい思いをすることはないですよね。
M.E. 確かにジャケットを着ているときっちり見えるんでしょうけど、日本の気候を考えると、少なくとも物理的にはどうしても暑くなってしまいます。涼しそうに見せるにはどうすればよいのでしょうか?
菊池 やっぱり素材の雰囲気で涼しく見せるということでしょうか。最初に赤峰さんが言った、綿、麻、綿麻。綿はコードレーンだったり、シアサッカーだったり。
赤峰 縦縞っていうのもキーワードになります。サッカーの縞だったり、コードレーンの縞だったり。浴衣もそうですけど、縞ものの柄っていうのは夏場に最適なんです。
菊池 ブルーの色も清涼感を演出してくれますよね。薄い茶色とかエンジとかもありますけど、やっぱり夏はブルーかなと。
赤峰 素材でもより詳しくいうと、クリスプといって、いわゆる強撚でシャリ感が出るヤツがいいですよね。小千谷縮とか越後上布とか浴衣の柄もまるっきり同じで、素材に畝があると生地が肌に全部ひっつかないですから、その分清涼感が保てるんです。素肌に対する密着度が違うんですよね。空気が入るスペースが素材の中にあることが大切なんです。
M.E. より涼しく見せられるストライプ柄ってあるのでしょうか?
赤峰 ストライプの柄に関しては、あまり関係ないと思います。ただ、カラダが大きめの人はストライプのピッチが広くてもバランスが保てるでしょうし、細い人がピッチの広いものを着たらストライプが勝ちすぎちゃってジャケットに負けてしまうっていうのはありますよね。
M.E. 中に合わせるアイテムも重要ですよね。
菊池 シャツでいうと、(注2)ローン、ボイル、リネンのシャツなんかが夏の定番素材です。このへんの素材って、夏に着るには本当にいいですよね。ただ、クオリティの高いものを選ばないと意味がないですけど。
赤峰 コットンのオックスフォードとかだと、ちょっとぽってりしちゃって、夏場のジャケットには合いにくいかなっていう気はします。
M.E. 涼しい格好をしたいときってラフなほう、ラフなほうへと行きがちですけど、菊池さんはいつも必ずスカーフを巻かれていますし、赤峰さんもタイドアップしています。物理的には暑くなりますけど、お2人ともむしろ涼しげな感じが漂っていますよね。
菊池 完全にダラーンとしちゃうと自分も気分的に暑いし、相手から見ても暑くなってしまいますからね。
赤峰 最高なのは「ベニスに死す」の(注3)ダーク・ボガードじゃないけど麻のスーツをビシッと着てタイドアップしたスタイルか、アメリカ的にいうと「卒業」のときの(注4)ダスティン・ホフマンのサッカーのジャケットにニットタイをするみたいに、締まっているほうがカッコいいですよね。1ついえるのは、色が白い分だけ先生はスカーフで、僕はタイでという風に、やや濃いめのものでアクセントをつけないと、ボケボケになってしまうんですよね。メガネでもなんでもいいんですけど、締めるものを入れないと、顔のボケ感が出てしまうんです。
菊池 首の周りに巻くと当然体温が上がりますから暑くなりますけど、お洒落のためには我慢しちゃうんですよね。ジャケットを着るってことも結局は同じです。その辺は一線を画して、ビシッとしていたほうがいいかなって思いまして。実際、着ている本人は思ったよりも暑さを感じないですし、相手にも暑さを感じさせないと思うんです。
赤峰 我々日本人って「暑いですね、寒いですね」と、お互いに季節を語り合うことで挨拶するっていうのが日常じゃないですか。着ていても常に気持ちは涼しげでいるっていうのが大切だと思うんです。「暑いよなぁ」って自分で思っていると、どんなにカッコよく決めていても周囲からはカッコよく見えないんですよね。気の持ちようっていう言葉がありますけど、自分の立ち姿として、それって凄く大事なことだと思うんです。
菊池 役者で本番が始まると汗がピタッと引っ込む人っていますよね。それと同じで、意外と精神的な部分に左右されるところって確かに大きいですよ。
赤峰 暑いからといってシャツ1枚、Tシャツ1枚でいても、結局のところ出るところを憚るじゃないですか。
菊池 自分の問題よりも、全体の中での調和が大切なんですよね。
赤峰 昔的にいうと、失礼があってはいけない、人前に出るっていうのはそういうことなんですよね。「夏は氷屋、冬は炭屋」といって、冬は炭屋をやっている店が夏は氷屋になるという言葉がありますけど、それにたとえて、僕の中では「夏はシアサッカー、冬はハリスツイード」みたいなところがあるんです。サマージャケットは必須のアイテムじゃないかなと思います。最初の1着は紺ブレを持っている人が多いと思うんですけど、2着目のアイテムとして、シアサッカーかコードレーンのジャケットは持っていてほしいですよね。コードレーンやシアサッカーって、日焼けした肌との相性が凄くよくて、皮膚の色とのコントラストにより効果が出ますから。
菊池 あとはリネンですね。僕は麻が大好きなんですけど、今着ているような感じで、柄などで視覚的に涼しさを感じさせるっていうのも大事かなって思います。夏にあえて黒いものを着るのもカッコいいですけど、やっぱり暑いですから。ヨーロッパだと、圧倒的に麻、サッカーが多いですからね。麻の色はやっぱり生成りの無地のものが一番です。
赤峰 コードレーンはその次くらいですかね。コードレーンを好むのってアメリカ人が多いんです。
菊池 まさにそのとおり!
(注1) 「シアサッカーとかコードレーン」
ともにサマージャケットの代名詞的服地。シアサッカーは縮れのある縞柄、コードレーンは細い畝のある織地の一種で、ともにコットン、ポリエステル混、レーヨン混などが一般的。また、色はどちらも白地にブルーが定番。
(注2) 「ローン、ボイル」
ともに夏のシャツ地を代表する生地。ローンはハンカチなどに使用される細番手の糸を粗めに織った平織りコットン地。ボイルは強撚の糸を綿密度を低くして織った、サラリとした肌触りが特徴の薄手の平織りコットン地。
(注3) 「ダーク・ボガード」
1921年ロンドン生まれ。劇場の大道具係から俳優に転向した異色の経歴の持ち主。代表作に、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に落ちた勇者ども」('69年)、「ベニスに死す」('71年)などがあります。'99年死去。
(注4) 「ダスティン・ホフマン」
1937年ロサンゼルス生まれ。舞台での活躍がマイク・ニコルズ監督に認められ、映画「卒業」('67年)で主役に抜擢。「クレイマー、クレイマー」('79年)、「レインマン」('88年)で、アカデミー主演男優賞を受賞した名俳優。
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菊池さん的ジャケットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
スカーフは365日必須のアイテムです
真夏といえども、菊池さんはスカーフを欠かしません。「凛とした表情をしていれば、決して暑そうには見えないし、自分も不思議と暑さをあまり感じないんです」と菊池さん。
シャツの裾は出して着るのが菊池さん流
引き締めるところは引き締めて、緩くいくところは緩くいくのが菊池さん流。「シャツは基本、いつも裾を出して着ているんです」。それでもエレガントなのは、サスガです。
チェーンの先には懐中時計!
菊池さんの小物使いの上手さには、いつも学ぶことが多々あるのですが、ジャケットにつけたチェーンの先には懐中時計が。ちなみにブランドは、リージェント・ルイス。
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赤峰さん的ジャケットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
涼感ある素材同士を組み合わせています
ジャケットはシアサッカー、シャツはリネン、タイはフレスコ織りと、夏の代表素材を絶妙にミックスしています。タイの色でスタイリングの表情を引き締めているのがポイントです。
カフの絶妙なロールは見習う価値アリ!
シャツのカフをさりげなくロールして、アンティークの腕時計をチラリと覗かせています。「アニエッリのようにカフの上から時計をするのは、みんなやっているから」と赤峰さん。
エスパドリーユが非常にエレガント!
足首を紐で結ぶようになっていて、脚を組んだとき、かなりの注目を集めるエルメスのエスパドリーユは、パリで購入。素足で合わせて、とても涼しげかつエレガントな印象です。
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業界のお洒落番長が選んだ休日お洒落になれるアイテムはコレ! [MEN'S EX 掲載記事]
人気連載「Be Buffalo Forever!」の菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界のお洒落番長であるお2人が、最近購入したモノの中でのお気に入りアイテムとは?
■菊池武夫さん
・買ったモノ 「40カラッツ&525のレザージャケット」
・購入動機 「16年の時を経て製品化されたお気に入りのデザインだったから」
'91年にタケオ キクチのショーで登場し、製品化されなかったデザインのレザージャケットを、40カラッツ&525で復刻。当時から気に入っていたデザインなので、もちろん購入。軽くてしなやかなシープスキンでコーディネートも万能ゆえ、ここのところ大活躍中です。
非常に満足しているので散財にならないんですけど、いいんですかね(笑)。であれば40カラッツ&525で今季出したレザーブルゾンをよく着ています。'91年に西麻布のアトリエでタケオ キクチのショーをやったときと同じデザインで、当時のパタンナーにデザイン画を見ながら思い出してもらって今回初めて製品化したんです。薄くて大変しなやかなところと、ライトグレイの色が気に入っています。あまりきれいに着るのは好きではないので、買ったあとにわざと洗濯機で洗ったんです。だいぶ雰囲気が変わったでしょう?
菊池さんの今の気分であるライトグレイのシープスキンを使用したレザーJK。「襟のラインがきれいで、全部留めて着てもカッコいいし、使い勝手のよさも抜群なんです」と菊池さん。26万2500円(40カラッツ&525/40カラッツ&525青山店 TEL.03-3408-8562)
■赤峰幸生さん
・買ったモノ 「エトロのポロシャツ」
・購入動機 「『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンをイメージさせる服だったから」
ひたすら映画からインスピレーションを受け続けてきた赤峰さんらしく、「映画『太陽がいっぱい』でアラン・ドロンが見せたスタイルは、私の夏の定番スタイルになっていますが、これはまさにそれを象徴するシャツだと感じてひと目惚れして購入しました」。
映画『太陽がいっぱい』でアラン・ドロンがプリントのシャツを着て出てくるシーンがあって、夏になって日焼けして浅黒くなったら、『太陽がいっぱい』風に着たいなという気分が、このエトロのプリントポロを買った理由です。今日はシアサッカーのパンツを合わせていますけど、バミューダショーツに素足でモカシンのスリッポンを履いてっていうのが、僕的な夏のリゾート地でのイメージなんです。もちろん、イタリアに出張で行って、土日にフラリと街を散歩するときなんかも、こういう格好で街を歩いています。
「赤は赤でも濃いめの赤が、僕的に好きな色だったのと、自分の夏のテーマである『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンのイメージにぴったりだったから」と赤峰さん。ペイズリー柄をプリントしたコットンポロシャツ3万9900円(エトロ/三喜商事 tel.03-3238-1385)
Posted by インコントロ STAFF at 00時00分 Permalink コメント ( 0 )
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