2014年05月26日(月)
Akamine Royal Lineお客様紹介 [INCONTRO NEWS]
風薫る五月、新緑をバックにポーズが決まっているのはAkamine Royal Lineのお客様でもあり、赤峰が月に2回「男の流儀」でお世話になっている朝日新聞社の中島記者です。
男の靴雑誌「ラスト」のissue 06で中島さまがAkamine Royal Lineのリネンジャケットでキリリと登場されています。(ジャケット生地はSpence Bryson社のもの)
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2014年05月24日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 "素晴らしい日本の織物" 2014年5月24日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
「10年は着られる服」を求めて、地道な仕込みの旅が続いています。
遠州(静岡県西部)は伝統ある綿織物の産地。「クレアシオン」という機屋の先代社長とは45年前に知り合いました。見事なギンガムチェックのシャツ地を作り、「ミスター・ギンガム」と呼ばれた彼は、輸出にも積極的で、パリの名店「シャルベ」やロンドンの老舗にも卸していました。
「田中織物」は、英国の有名ブランドにトレンチコートの素材となる厚手の綿ギャバジンを供給していました。「72番」と呼ばれる特別な織物は、原綿の良さに確かな織りの技術が加わって生み出されます。ほかの綿素材でも、しとっとした風合いが、凡庸なものとは一線を画する質の高さを誇ります。
こうしたメーカーを訪ねて、「横糸をガンガン打ち込んで、一級の綿のスラックスは作れないか」と相談しています。私が14年間愛用しているものを見せ、ピシッとしたクリース(折り目)が今なお取れないことを話すと、「これは相当気合を入れないとできないわ」などと盛り上がります。
日本の織物は世界を見渡しても超一流のモノ作りを続けています。名だたる欧米ブランドがこぞって日本に素材を探しに来ていることを、一般の方はあまりご存じないのではないでしょうか。
さかのぼれば紡績業は日本の基幹産業として、近代化を支えてきました。トヨタやスズキといった世界に冠たる自動車メーカーの原点は、織機にあるのです。優れた織物に、消費者が目を向ける文化を育てていかなければなりません。日本人のファッションは、西洋崇拝が根強い。しかし、素晴らしい素材は足元にもあるのです。
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朝日新聞社に無断で転載することを禁止します
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2014年05月10日(土)
朝日新聞be on Saturday 『赤峰幸生の男の流儀』 "綿の神に会う" 2014年5月10日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
素材作りの現場に入って、もっと理解を深めたい。1月、大阪府阪南市にある「大正紡績」を訪ねました。特に綿の原糸作りで名高い会社です。
応対してくださったのは、「綿の神様」と呼ばれる近藤健一さん。近藤さんは中国や南米ペルーなど、世界五大陸に綿の畑を作ってきました。特に、農薬を使わず、害虫に狙われやすいオーガニックコットンの栽培指導に定評があります。
近年、機能性を追った合繊ブームの一方で、自然素材が再評価されています。下着をはじめ、人の肌に近いところで用いられる綿は、なるべくナチュラルなものがいい。農薬は綿の自然な成長の妨げにもなり、時には組織を壊してしまいます。農薬をかけないで、人の手間をかけるのが、オーガニックコットンです。
こうして作られた綿糸で、「五大陸」ブランドのシャツを作りたいと思っています。糸を知り、そうした「知」も含めて深く織り込んでいく。デザインを追う「ファッション」ではありません。ファッションには「もっと先に走らなくては」という焦燥感がつきまといますが、そうではなく、立ち止まって考えて、不要なものには「要らない」と判断する。原子力発電と同じです。
農薬を使うより、手間がかかるのですから、お値段は高くなるかもしれません。でも、多くの人が長く大切に使える。周囲からは「よいものをお召しですね」と褒められ、着る人の品格が高まっていくようなもの作りの一翼を担いたい。
お土産に綿花の種を頂きました。アトリエの前にある畑に植え、綿花の成長過程を知り、うまく綿を紡ぐことができたら、ハンカチでも作りたいと思っています。
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2014年04月26日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 "「茶」の奥深さ" 2014年4月26日(土)掲載"
日差しが冬から春、夏のものへと明度を上げていくと、明るい色のスーツの出番です。
私はパリッとしたリネンの、薄いベージュのスーツが大好き。中には必ず白いシャツを着ます。そしてネクタイは、若葉を思わせる緑色か、ベージュとの重なりでマッチする赤茶系。シャキッと決めて楽しみます。
装いの基本となる「男の三原色」については、繰り返しお伝えしてきました。
グレーは雲、ネイビーは空や海。そして、大地を思わせるブラウンこそが、色を楽しむことにおいて、最後に残る色だと考えています。
茶色のトーンを考える時、私はよく紅茶の例えをします。ストレートティーの茶色に、どのぐらいミルクを入れるかで、ベージュの色が変化していきますよね。この感覚を知っておくと、全身を茶系のトーンでまとめる時に役立ちます。
茶系のコーディネートは靴に至るまで、同系色になることが多いですから、いかに色をかぶせ、ほかの部分から拾っていくか、その奥深さはたいへんに面白い。「男は最後は茶」と勝手に唱えて楽しんでいます。
茶にはもう1系統あり、それは緑に砂を混ぜていく感覚の茶色です。若葉から枯れ葉への変化だと思って頂ければわかりやすい。
常に周囲の自然に目を向けてください。ベランダのプランターで育てる花や野菜でも、生きている色が見えてきます。秋になれば、枯れた野山のベージュ色に、熟した柿を思わせるオレンジを効かせた装いなんてすてきです。
和食が無形文化遺産となり、その美学は世界から大きな注目を集めています。服でも日本人の繊細さを生かして、「和魂洋装」が粋ですね。
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2014年04月12日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「擦り切れたバブアー」 2014年4月12日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
「オイルドジャケット」という品物をご存じでしょうか。水をはじく合成繊維が登場する前に、コットンクロスにベタベタとオイルを塗りつけ、防水性能を上げて作られました。19世紀末に創業した英バブアー社のものが有名です。
もともとは貴族が狩猟を楽しむ際に羽織る「暇つぶしスタイル」。ですから、ロンドンのビンテージショップで年代物のバブアーを見つけると、獲物を入れた背中の大きなポケットには、動物の血が黒ずんで残っていたりします。
私がバブアーを買ったのは、23年前。商用で訪れたイタリア・ミラノのスポーツショップで気に入りました。紺色も緑色もありましたが、大好きな茶色を選択。私にハンティングの趣味はありませんので、ホテルの風呂場でお湯を使ってオイルを落としてしまいました。当時の新品は、オイルのにおいがとてもきつかったのです。
以来、毎朝の犬との散歩や、休日の散策に大活躍しています。草地で敷物代わりに尻の下に置いてしまうこともあり、あちこちが擦り切れていますが、それもまた味わい。スーツスタイルに羽織っても決まり、街の中でも十分に使えます。
このバブアーが最近、若者の間で再び人気になっているといいます。マッキントッシュのゴム引きコートも同様に、今となってはもっと軽くて便利なレインコートが登場しているのに、なぜ注目されるのでしょうか。
私は、スマホも電子レンジも押すだけで済む便利な世の中だからこそ、昔ながらの「ローテク」加減が受けているのだと思います。武骨で懐かしい感覚を呼び起こすものが、新しい。大きくデザインを変えずに作り続け、普遍性を獲得したバブアー社にも拍手です。
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