2008年04月09日(水)
繊研新聞掲載「10年着られる大人服」 [繊研新聞掲載記事]
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2008年04月05日(土)
MEN'S EX 5月号 菊池武夫と赤峰幸生が選んだ 古今東西お洒落な男 BEST5 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
本誌の連載ページ「Be Buffalo Forever!」のお2人に、歴史上のお洒落な人物をそれぞれ5人づつあげていただき、それぞれの5人について、たっぷり語っていただきました。
■(写真右)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・アメリカンアパレルのジャージ素材ストール
・ヘルムート ラングのミリタリージャケット
・デンツのペッカリーグローブ
・聖林公司のカーゴパンツ
・オールデンのコードバンタンカーブーツ
■(写真左)赤峰幸生氏
・トゥータルの’50年代製アスコットタイ
・Y.アカミネのフレスコ織りシャツ
・アカミネロイヤルラインのシアサッカーパンツ
・デッドストックのフランス製ホーズ
・ニュー&リングウッドのスリッポン
MEN'S EX大賞 【第1位】
菊池さんが選んだ古今東西お洒落な男第1位は・・・
アーネスト・ヘミングウェイ
ライフスタイルを反映したスタイルに定評あり
1899年、米イリノイ州生まれ。小説家。代表作は「武器よさらば」、「老人と海」など。’54年、ノーベル文学賞受賞。私生活では、趣味のアウトドアやハンティングなどのライフスタイルを反映した、アバークロンビー&フィッチのサファリジャケットなどを愛用していました。’61年、銃で自殺。
赤峰さんが選んだ古今東西お洒落な男第1位は・・・
ウィンザー公
当時の常識を覆した稀代のウェルドレッサー
1894年〜1972年。’36年、英国王室の王位を継承し、エドワード8世となるも、女性との恋を優先して1年経たずに退位を決意。ウィンザー公となります。稀代の洒落者として知られ、今では当たり前の、グレナカートチェックスーツにスエードのブローグシューズを合わせたのも、彼が最初です。
■お2人が心底お洒落だと思った歴史上の5人の人物とは?
M.E. 今回のテーマは、「お2人が選んだ古今東西お洒落な男BEST5」です。事前にアンケートを記入していただいたわけですが、それによると、タケ先生の1位はヘミングウェイです。
菊池 ヘミングウェイの作品は子供のときから読んでいて、長編はもちろんそうなんですけど、短編も素晴らしくて、凄く共感できるんです。彼の作家として生きてきた証が、彼の風貌、服の着こなしに強く表れているんですよね。海外の戦場に出掛けたり、ハンティングや釣りを趣味にしていたりと、何かとアクティブなイメージがあります。実際、彼のファッションとしてパッと思い浮かぶのはサファリの姿です。
赤峰 今日の着こなしはまんまヘミングウェイといった感じですね(笑)。
菊池 かなりアレンジはしていますけど、彼をテーマに今っぽく着るんだったらこんな感じかなと。
赤峰 確かにヘミングウェイといったら、今日のタケ先生の格好みたいなサファリのイメージがありますよね。
菊池 そうですね。サファリの格好をイメージしながら、軍服でアレンジしてみました。アフリカの砂漠の砂嵐を防ぐ意味を込めて、いつものルイ・ヴィトンのスカーフを中に巻いて、その上にスカーフを中に巻いて、その上にスカーフを二重に巻いているのがポイントです。
M.E. 赤峰さんの1位はウィンザー公です。
赤峰 ウィンザー公っていうとスーツスタイルばかりがクローズアップされていますけど、僕の中ではひょうきんな人だったんだなというイメージがありまして。普通の人はやらないような合わせをするんですよね。(持参した写真の切り抜きを見せて)モノクロなのでわからないですけど、色のトーンを合わせながらパターン・オン・パターンとかにしていると思うんです。国を代表してのオフィシャルな場と普段着とでは、だいぶ差があったんだろうなって。堅い中にもおふざけがあるところが結構好きですね。
菊池 これはウィンザー公がやっているから成立しているっていうのもあるし、英国っていうよりアメリカに移ったあとの着こなしかなって感じですよね。それにしても、ギンガムチェックを選ぶあたりはサスガですね。
赤峰 “すべての道はロンドンに通じる”じゃないですけど、アメリカ的な表現やイタリア的な表現もあるけれども、もともとは英国だしロンドンだし、いってみればバッキンガム宮殿だし、ウィンザー公のスタイルに行き着くんですよね。
菊池 今流行しているアメリカンスタイルだって、もとをたどればほとんど英国のものですからね。
MEN'S EX大賞 第2位
ジョン・F・ケネディ
品のよいスーツスタイルが好感度大
1961年、43歳の若さでアメリカ大統領に就任。ハーバード大学出身ながら、彼が好んで着用したボタンダウンシャツを、東部のエリート色が強いという理由で、公の場では着用しなかったという逸話も。2つボタンのブリティッシュスタイルのスーツを好んで着用していました。'63年、ダラスにて暗殺。
MEN'S EX大賞 第3位
白洲次郎
サヴィル・ロウのスーツを凛と着こなした日本人
1902〜'85年。英ケンブリッジ大学留学中からブガッティやベントレーを乗り回し、戦後GHQ支配下の日本で吉田茂首相の側近として活躍。185cmの長身がサヴィルロウのヘンリー・プールで仕立てたスーツを着こなしたその姿はあまりにエレガントです。
MEN'S EX大賞 第4位
ジャン・コクトー
パリの老舗メゾンの服を愛した芸術家
1889年パリ生まれ。画家、詩人、作家、劇作家、映画監督など、さまざまな顔をもつ前衛芸術家。アルニスやランバンの服を好み、ベルルッティのビスポークシューズなどを愛用していたことでも知られています。全身を白の細身の服でまとめた写真のスタイルもまた、彼の内面が滲み出ています。1963年没。
MEN'S EX大賞 第5位
ジャン・リュック・ゴダール
フレンチテイストのジャケットをニヒルに着こなすのが彼のスタイル
1930年パリ生まれ。ヌーヴェルヴァーグの旗手であり、世界でも最も有名なフランスの映画監督。代表作は「勝手にしやがれ」、「気狂いピエロ」ほか多数。お2人の対談内に出てきたように、まさに写真のようなジャケットファッションが彼のスタイルです。
M.E. なるほど。タケ先生の2位はケネディ。
菊池 僕はケネディのスーツの着こなしが好きなんです。襟幅とかシェイプの仕方とかがアメリカっぽくないし、かといってヨーロッパかというと・・・・・・。僕にはキルトの上に着ているジャケットのような、スーツの着こなしに映るんです。彼の場合、アメリカそのまんまじゃないんですよね。当時は3つボタンが全盛だったんだと思うんですけど、彼は2つボタンのスーツを着ていた印象が強いですし。
赤峰 そうですね。ケネディは僕も好きで、イギリスのモデルの誇張感をなくしてレギュラーな感じにしたスーツを着ている感じですよね。アメリカのナチュラルショルダーとかナンバーTモデルのボックス型というよりは、適度にウエストがシェイプされたブリティッシュレギュラーモデルみたいなね、そういう感じがするんです。ロバート・ケネディもみんな同じような感じでしたよね。
菊池 ええ、ケネディって、アイッリッシュ系の大統領じゃないですか。アイリッシュなイメージはありますよね。
M.E. では次、赤峰さんの2位、コクトーです。
赤峰 ブリティッシュとかフレンチとかそういう括りではなくて、アーティストとして極めたひとつのスタイルみたいなものがありますよね。上襟が大きいバルカラーのジャケットみたいなのを、白シャツに常にブラックタイで合わせるという独自のスタイルがある。パンツが凄く細くて、それにイギリスのだと思うんですけど丈が短めのブーツをビシッと合わせているのが彼のスタイルです。
菊池 彼は顔が細いし、洋服のシェイプの仕方とか見ていると、ちょっと女性的な感覚もあるんですけど、カフスの出し方とかもう絶妙ですよ。
赤峰 あれはもう絶妙です。アーティストな着こなしのクラシックとでもいうのかな。
菊池 昔だからセオリーはあったんでしょうけど、アーティストとしてそれを崩そう、崩そうとしているのが、彼の着こなしに表れているんです。最初コクトーのところにネイビーブレザーの姿が印象的なアンディ・ウォーホルを入れようとしたんですけど、やっぱり好きなのはコクトーなんですよね。コクトーはエレガントですから。ウォーホルの着こなしはアーティストらしくはあっても、エレガントではないんですよね。
M.E. 次は第3位の白洲次郎さんです。
菊池 お会いしたことはないのでわからないのですが、町田の武相荘に行ったときにいろいろ洋服を見せてもらって、彼がサヴィル・ロウのヘンリー・プールで仕立てたスーツを着させてもらったことがあるんです。それが体にピタッと合ったのが印象的でした。それと彼は性格が変わっていますよね。反骨精神が旺盛だし頑固だし。そういうのにも惹かれますし、それと顔が美しい。日本のウォーレン・ビューティみたいなね。Tシャツ姿で写っている有名な写真があるでしょう。彼の生き方とかが滲み出ていて、カッコいいなって思います。Tシャツ1枚でもサマになるんです。
赤峰 この人は1本筋が通ったものをもっていますよね。夏目漱石とか吉田茂とか白洲次郎とか、イギリスの流儀を学んで日本人のプライドで生き抜いた人っていうのかな。ひとことでいうと毅然としていますよね。あらゆるシーンに対して毅然とした態度で臨むから、あるときは喧嘩っ早いだろうし、男気にあふれているだろうし、でもジェントルマンだっていう。
M.E. よくわかります。次、赤峰さんの3位、ジャンニ・アニエッリです。
赤峰 アニエッリね。これはなんていうか、ひと言でいうと伊達っていう。伊達を極めたイタリア人なんですよね。今でいうクラシコイタリアとかいうのではなく、英国のひとつのスタイルをイタリア人として伊達に着るっていうのはこういうことなんだというのが感じられます。シャツのカフスの上から腕時計をしたり、タイを上着の外に出したり、自分の伊達を極めた人という意味ですごい人だなっていうのがありますよね。
菊池 確かにジャンニ・アニエッリは数々のオリジナルの着こなしのスタイルをもっていましたよね。ジャン・コクトーみたいなアーティストとは違うんだけど、並では嫌だっていうのがあって、オリジナルのスタイルを築いていましたよね。
赤峰 でもそれが何故できるかっていうと、基本ができているからなんです。基本ができているから崩せるっていう。
MEN'S EX大賞 第2位
ジャン・コクトー
これぞ、コクトーのスタイル!
タケ先生の4位に対し、赤峰さんはコクトーを2位でセレクト。「フランス的粋の本質を学べた人。特にジャケットインしたニットの着こなしとブラックタイの合わせがカッコいい」と赤峰さん。写真も無造作に挿したチーフが、実にエレガントな雰囲気を醸し出しています。
MEN'S EX大賞 第3位
ジャンニ・アニエッリ
さまざまな自分流を生んだ男
1921年〜2003年。前フィアットグループ会長。サルトのスーツにブルックス ブラザーズのボタンダウンシャツを、襟ボタンをわざと外して合わせたり、スーツにドライビングシューズを合わせたり、数々のオリジナルな着こなしを披露。今でも伊ではカリスマ的人気。
MEN'S EX大賞 第4位
ハンフリー・ボガート
トレンチコートの着こなしでは右に出る者なし
1988年〜1957年。映画俳優。代表作は「マルタの鷹」、「カサブランカ」など。トレンチコートの襟を立ててベルトを前でギュッと縛ったボギースタイルは、今もトレンチの着こなしのよき手本。赤峰さんも若かりし頃、その着こなしを随分と真似したそうです。
MEN'S EX大賞 第5位
清水幾太郎
赤峰さんに影響を与えた学者の叔父
1907年〜'88年。社会学者、評論家。スーツやネイビーのブレザーを日本橋の丸善で誂え、服も同店で買い求めていたそう。多数の著書も高い評価を得ています。赤峰さんの叔父にあたります。写真はローマで撮影したもの。
M.E. タケ先生の4位は先ほど出てきたコクトーなので、次は赤峰さんの4位、ボギーことハンフリー・ボガートです。
赤峰 ボギーはね、非常にヤクザなところがいい。特に「カサブランカ」は若い頃に観て、最後の「君の瞳に乾杯!」っていうセリフに最高にしびれましたね。
菊池 使いました?
赤峰 かなり使わせてもらいましたよ。使いすぎたかなっていう(笑)。でもね、男の中にあるヤクザ的要素と、そういうニヒルというかシリアスな部分をもちたい自分を、ボギーと重ね合わせてしまうっていうのはあります。
菊池 僕はね、ハンフリー・ボガートって大好きなんです。メンズビギの会社を立ち上げたとき、店にボガートの写真を絵のようにして飾っていたくらいですから。やっぱり男として憧れるものがあります。声も渋いし、仕草もカッコいい。
赤峰 日本でいうと高倉健みたいなイメージかな。
菊池 そうそう、だぶりますね。禁欲的っていうか、ストイックな感じですよね。
M.E. 着こなしでいうとトレンチですか?
赤峰 まぁトレンチでしょうね。あとは帽子の被り方ね、あれはボギーならではです。スーツスタイルはイメージとしてあまり出てこないですね。
菊池 「マルタの鷹」でしたっけ。モノクロだからわからないですけど、ダークスーツを着ていましたよね。
赤峰 たぶんブラックスーツですね。
M.E. では次、タケ先生の5位、ジャン・リュック・ゴダールです。
菊池 ゴダールね。ゴダールも不良っぽい。
赤峰 フランス映画の中で、従来の価値観を壊した人ですよね。
菊池 ほかにもたくさんいますけど、やっぱりゴダールなんです。世界的な価値観を変えましたよね。それと映像がもの凄く美しい。なんであの顔からあんな美しい映像を撮れるのか不思議でしょうがない。自分があまり細い顔をしていないんで、赤峰さんは細い顔をしているじゃないですか。細い顔の人ってなんか好きなんですよね。
赤峰 見えるような見えないような、あの透け具合が独特のサングラス。レイバンのようなサングラスじゃなくて。
菊池 セルのサングラスを掛けていますよね。ちょっと禿げ上がった額に黒メガネをかけて無造作にジャケットを着て立っているのを見たことがありますけど、やっぱり凄く雰囲気がありました。
赤峰 まさにフレンチな感じですよね。ラペルが細くて肩幅が広いジャケットを着ているイメージがありますけど、ゴダールって華奢だから襟が抜け気味で、ちょっと羽織っている感じがするんだけど、それが逆に決まるんですよね。
菊池 変な言い方をすると、貧相になるギリギリの格好なんですよね。それが逆にアーティストっぽいっていうか、カッコいいんです。
M.E. 赤峰さんの最後は清水幾太郎さん。
赤峰 僕の叔父の学者なんです。彼はネイビーのブレザーをよく丸善で仕立てていたんですけど、いつもタイをビシッと締めていて、どんなに暑くても絶対に上着を脱がずに凛としていたイメージがありまして。当時丸善で売っていたバーバリーのトレンチコートを譲ってもらったことがあって、それがこの世界に入るきっかけにもなったし、私事で申し訳ないんですけど、子供の頃から彼にはそういった意味で凄く影響を受けてきたので、入れさせてもらいました。
M.E. ありがとうございました!
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MEN'S EX5月号記事「俺の人生で得した買いモノBEST3」 [MEN'S EX 掲載記事]
MEN'S EX大賞 【第1位】
スマイソン ロンドンのレターセット
受賞理由 : かれこれ20年以上使い続けています
「私自身、万年筆で字を書くことが好きなので、大事な人へ手紙を送る際は、必ずこのレターセットを使っています。ボンドブルーの色合いも気に入っていますし、とにかく書きやすいのが魅力。PC時代の今だからこそ、直筆の手紙は相手にも誠意が伝わりますしね」
(→)自分だけの“モノ”が作れます。
好きな色を選んで、文字やロゴを入れるオーダーも可能。
http://www.smythson.com/
MEN'S EX大賞 第2位
ローデンクロスのニットジャケット
受賞理由 : カジュアルなのにエレガント
「7年ぐらい前に海外で購入したのですが、厚手でシワになりにくく、伸縮性もありながら非常に温かい。寒い時季は、毎日のように着ていますね。シャツの上にブレザー的な感覚で羽織ってもいいし、いろいろ使い回しの利く1着だと思います」
MEN'S EX大賞 第3位
ペルックスのオリジナル ブリーフケース
受賞理由 : 出張時には必ず持っていきます
「デザインに特徴がある訳ではないのですが、アコーディオンの仕切りで荷物も入れやすく、使い勝手は◎。10年ぐらい使っていますが、壊れたことがなく、無造作に下に置いても平気で、それが逆に格好よかったり。そんな頑丈な作りも気に入っています」
◆赤峰さんの“思い出遺産”
フローシャイムのインペリアルシューズ
30年経っても履き続けられます
「30年前に購入した靴ですが、ソールは2、3回替えた程度。それでいて、いまだに履き続けられるという、作りのよさは相当なもの。いかにもアメリカらしい存在感をもちつつ、シャープさも備えた、かけがえのない1足です」
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MEN'S EX5月号記事「イタリアを象徴する本格靴ブランド ストール・マンテラッシがみんなに愛される理由」 [MEN'S EX 掲載記事]
ファッション界の大御所もマンテラッシをご愛用!
日本のファッション界の大御所たちには、ストール・マンテラッシの愛用者がたくさんいらっしゃいます。というわけで、古くからマンテラッシの靴を履いており、マンテラッシには一家言ある大御所に、その魅力を語っていただきました。
「古きよきイタリアのカジュアルエレガンスの薫りがするんです」
日本でマンテラッシといえば、まずこのおかた、赤峰幸生さんです。
「出会ったのは20年くらい前かな。僕の中でマンテラッシはカジュアル靴のイメージがあって、特に好きなのは、カモッショと呼ばれるヌバックタイプのスリッポン。もうずっと上級なスニーカー感覚で愛用していて、何足も履きつぶしては、買い替えています。20代の頃に観た映画の中で50代とか60代のお洒落な人たちが履いていて、古くからイタリアの文化に根ざしてきた靴なんです。どこか英国的な要素がありながらも、ラテンの文化からしか生まれてこない軽さもいい。カジュアルでもドレスのマインドがあるし、5ポケットのパンツにも合う懐の深さがある。そして何よりも、古きよきイタリアのカジュアルエレガンスの薫りが残っているところが好きなんです」
革の編み紐がアクセントのグレイスエードのスリッポン
「今も昔も、マンテラッシといえば、夏に素足で履ける軽快な作りの靴が好き」と赤峰さん。サドルについた革の編み紐がアクセントになったスエードスリッポン。9万8700円
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2008年03月29日(土)
エスクァイア日本版「LAST(vol.11)」5月号臨時増刊(男の靴雑誌) [LAST掲載記事]
シネマに学ぶ、紳士の装い
参考書のようなドレスマニュアルを参照しても、実は装いが巧くなるわけではない。
服に付帯する「生活」や「習慣」を知ってこそ、服は自分のものになる。
その範を映画に求めるべく、3人の達人たちに集まっていただいた。
[Yukio Akamine]
東京・目黒生まれ。1974年に(株)トラッド(WAY-OUT)設立に参画。'82年には(株)グレンオーヴァー設立に参画。'90年に(株)インコントロ設立。自身のブランド「Akamine Royal Line」の他、大手アパレルブランドのコンセプトや海外服地の企画を手がけ、クラシックスタイル構築一筋に活動。
[Yuhei Yamamoto]
東京・渋谷のテーラーケイド主宰。アメリカンスタイルを核として、オーセンティックなメンズウェアを追及している。そのスタイルは新宿伊勢丹「ザ・スタイルゲイト」でも展開している。映画、ジャズに精通し、関連資料のアーカイヴも充実。また近年はロードバイク(自転車)に情熱を注いでいる。
[Akira Sorimachi]
1966年東京生まれ。'90年代よりイラストレーターとして活動。現在は雑誌や広告のイラストの他、インスタレーション等幅広く活躍している。昔日のアメリカやヨーロッパの雑誌が載せていたような雰囲気の絵で知られるが、ご本人もまた、クラシックスタイルを愛するウェルドレッサーである。
山本祐平 僕らの世代は、若いころから早く成熟して、いいリアルクロージングを着たいと思っていました。若づくりなんて必要ない、早く大人の男になりたいと。街で遊ぶときも飲みに行くときも、僕らは背広を着ました、オーダーの服で。そういうのが高いからいいだろうではなくて、ヒップに着たかったわけです。その靴がお洒落だねではなくて、コートの衿の立て方とかがわかってるな、やるね、ヒップじゃないかとか、そういうこと。
赤峰幸生 それは日本人である我々が、外国人、その国の文化の中で生まれ育った人たちの日常の立ち居振る舞いを興味深く見ていたということでしょう。我々は箸文化で、箸を使うことが日常なんだけど、彼らはナイフとフォーク。ナイフとフォークさばき、それが結婚式のときに初めて持つんじゃなくて、日常で使っているから上手い。それと同じように服を“さばいて”着ていると。そのさばき感が、今風な言葉で言うとリアルなんだと。さらに反復の中でそれが歳と共に自分の身に付く。タバコの吸い方、酒の飲み方、食べ方、脚の組み方、歩き方・・・・・すべての動作や目線が自分の中で板に付いてくる。最初はぎこちないんだけど、ぎこちないなりに繰り返していくうちに、次第に高い服やブランドの服を着ていなくても、なんとなく味があるよねという感じになる。ある程度のクオリティであれば、フルオーダーの服だからいいとか、既製服だから悪いとか、そんな論理はないのです。なんの変哲もないけれどいい、というのはその人のさばき方がうまいということなんですね。
−−−−そうした服さばきで感心した映画や俳優は?
赤峰 若いころはジョージ・ペパードやケイリー・グラントが好きで好きでしょうがなかった。それからヨーロッパの俳優に移行していって、19歳、20歳くらいに一番はまってたのはマルチェロ・マストロヤンニ。自分でもナンパ師風の、白の綿ギャバのスーツをつくった。
山本 僕はロマンティストなんです。男のロマンっていうものをソリマチ君は絵で表現するわけだけど、僕はテーラーという天職を見つけた。そこでシーンをつくるわけです、お客様の。その人が仕事をしているシーンや旅に出ているシーン、それに合わせて僕は服をオーガナイズしていきたい。そして、そこには映画の残像がやはり残っていて、それをお客様と共有するのがすごく好き。たかが服、されど服。着るものは単なるお洒落とかじゃなくて、映画が教えてくれたのはロマンティックな部分だとね。例えば女性がドレスアップしたときは、ダークスーツでケイリー・グラントみたいに、フッと後ろに立って椅子を引いてあげるとか。そういう常識だったりマナーだったり、ナルシスティックかもしれないけど、そうしたことが大事。
赤峰 マナーを学ぶのに、映画は素晴らしい教本。例えば向こうの連中は、脚を組んで食事している奴ってまずいない。または綺麗なナプキンの使い方、パスタを食べるときにナプキンをピッとはねながら、こう・・・・・自分のリズムなんだよね。そういうのがかっこいい。
山本 英国人はトラウザーズのポケットに手を突っ込まない。でもアメリカ映画ではコートを持つときにタバコを吸いながらポケットに手を突っ込んで、ティファニーに入っていく。そういうものは映画を無意識に真似している。タバコの吸い方一つにしても、コートの着方、ジャケットの着方でも・・・・・僕が言いたいのはコスプレとか猿真似じゃなくて、所作というものが実は映画の中にたくさんあって、皆影響を受けているということ。僕らはそういうものを見るプロだから、それを言い切らなきゃいけないと思う。コートの衿を何げに立てるとか、ボタンの締め方にしても。
−−−−特定のシーンでこれは真似しようと思われたものは?
赤峰 いまだにやっちゃってるのが僕のカードのサイン。これは「太陽がいっぱい」で、アラン・ドロンがタバコをくわえながら何度もフィリップのサインを練習する、あのサインが僕のサインのスタイルになっています。あとは「鬼火」で、モーリス・ロネがベッドの上にネクタイを並べて、指で弾くようにして選ぶんだけど、あれはいまだに自分がネクタイを選ぶときにやりますね。
山本 「太陽がいっぱい」は、色とりどりの素材なんだよね。リネンやコットン、シルクとかプリントが出てきたり、スクールジャケットも、白のモカシンの靴も、コットンパンツも、シャンブレーのシャツも、素材のオンパレードなんだ。そしてリゾート地の、太陽の光と服の色とのコントラスト、そういうものは後の僕らが服を作るときに、何度も見直すことになる。
赤峰 確かに。その場所・土地という要素はすごく大きい。
山本 英国も含めてヨーロッパ的なスタイルには、石畳の街という要素がある。例えば「ナポリ湾」の、クラーク・ゲーブルがナポリに到着したシーン。その洗練された感じで、ナポリの弁護士役のヴィットリオ・デ・シーカが泥臭く見えちゃう。どっちがエレガントかは差がつけにくいんだけど、田舎の顔役とニューヨークから来た弁護士、それがあの場面でわかるわけ。デ・シーカの服を見ると、すごいソフトな手で縫ったようなふくらみが付いた丸っこい服。着こなしも白の手袋をしたりとか、ホンブルグハットをかぶったり、英国的なものが影響したナポリのクラシコイタリアスタイルです。かたやゲーブルはTVフォールドでハンカチを入れて、ボタンダウンのシャツを着ていたりと最先端のアイビー。そのうえ水道の水が飲めなくてウィスキーで歯を磨くとか、都会人の奇妙な部分、そういうことも含めて文化の違いがある。どっちがいいとか悪いとかではなくてね。だいたい、あのゲーブルだとパリの街も似合わないだろうし。
映画は街を、装いを描いて、人生を伝える。
−−−−フランス映画で、気になった装いはどんなものですか。
山本 僕はフレンチ・フィルム・ノワールだね。モノクロームの世界のダークスーツとトレンチコート、バルマカーンコート。ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチュラ。でも映画的に一番チャーミングなのは「男と女」かな。ジャン=ルイ・トランティニャンのカジュアルが大好き。トランティニャンのなんてことのないフランネルのパンツとチャッカブーツにカシミアのセーターとか、そういうのがいい。アヌーク・エーメもいいね。ランチコートの着方なんかは男のスティーヴ・マックイーンより、アヌーク・エーメを見て影響を受けた。
−−−−赤峰さんは、フランス映画だと印象的な作品はありますか。
赤峰 「華氏451」、オスカー・ウェルナーの、フランス的ニットの着方とはこうなんだみたいなところ。ジャンヌ・モローとのシーンで、ドロッとリブのあまい、あの感じは忘れられない。
山本 ニットと言えばウディ・アレンとかの、コーデュロイの膝の抜けたパンツにネルのシャツ着て、シェットランドのセーターにツイードのジャケットという合わせもある。
赤峰 ナチュラルショルダーの、ポール・スチュアートやサウスウィックあたりのジャケット。夏でもツイードっぽいジャケット着て、デロッとした感じで、という。あの時代のウディ・アレンと自分の中でダブるのはアンディ・ウォーホルだね。ウォーホルとウディ・アレンって全く違う世界のふたりなんだけど、マンハッタンっていう街が産み落とした一連の人物という。マンハッタンなくしてあの人たちはあり得ないと感じるね。
山本さんも僕も若いときに感動したものというのは理屈じゃないから、いくつになっても匂いを記憶しているのと同じように覚えていて。現在でも何かに相対したときにそれが蘇る。若いときの感動を嗅覚のそれのように記憶装置の中に入れておくことは大事だと思うね。
山本 映画の中の台詞だとか、映画の中の父親像・男性像というのが、(自分にとっては)黙示録。例えば「ゴッドファーザー」に出てくる台詞から、男ってこうやって生きなきゃダメだなといったことを知る。そういうことって親や上司からより、映画の中の男のイメージから色々と教わることがあるんじゃないかな。例えば男と女の揉め事には口を出すな、なんて言葉とか。服ももちろん、生き様とか人生観に至るまでね。
「ナポリ湾」
クラーク・ゲーブル、ソフィア・ローレン主演の、ナポリを舞台にしたラブコメディ。死んだ兄の財産整理にナポリを訪れたニューヨークの弁護士が、兄の子を養育する地元の女性を見初める。(パラマウント・ジャパン)
「ティファニーで朝食を」
トルーマン・カポーティの小説をベースとした作品。主演はもちろんオードリー・ヘップバーン。コールガールと作家の恋を「上品に」演じた。ヘンリー・マンシーニの音楽も美しい。(パラマウント・ジャパン)
「アニー・ホール」
ウディ・アレンとダイアン・キートンによる、'77年公開の恋愛映画。コミカルで切ない都会の男女の関係が描かれる。作品賞ほかアカデミー各賞を受賞。(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)
「男と女」
クロード・ルルーシュ監督、アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン主演。フランシス・レイによる主題歌はあまりにも有名。冒頭からスタイリッシュな映像美が際立つ。(ワーナー・ホーム・ビデオ)
「太陽がいっぱい」
ルネ・クレマン監督、アラン・ドロン主演の青春映画。地中海沿岸の美しい風景のもと、人間の本性とそれゆえの愚かさが描かれる。ニーノ・ロータの音楽が映像美に華を添える。(ジェネオン・エンタテイメント)
「甘い生活」
フェデリコ・フェリーニ監督の代表作のひとつ。マルチェロ・マストロヤンニ演じるローマのゴシップ記者の、華やかで退廃的な日常を描いている。そのラストシーンはいまなお謎めいている。(アイ・ヴィ・シー)
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2008年03月24日(月)
OCEANS 5月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]
マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さんの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で、迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!
今月のお悩みキーワード
“上司の大義”
[今月のお悩み]
入社10年目を迎え、同期の中で一番早く課長職に就きました。管理される側から管理する側に回ることになり、上司として、よきリーダーになろうと決意しています。そこで人生経験が豊富で、会社の代表取締役社長でもあるマエストロにアドバイスをいただきたいのです。「デキる上司」の条件とは何でしょうか?部下から認められる上司となり、これからも出世街道を歩みたいと思っています。(33歳・東京都在住・証券会社勤務H・Tさん)
Q.今月、お悩みを寄せてくれた方は出世意欲が強いようです。やっぱり、男は出世してナンボ!リーダーってモテますしねっ!
てめぇ、このやろう!何を勘違いしてやがる。出世が男の本懐であるとでも言いてぇのか。ふざけるな!何のための出世だ。課長になったから偉いのか。部長はもっと偉くて、社長になるのが目的か。それともやっぱり金なのか?リーダーになりたい動機が自己顕示欲と収入を上げることならば、そんなリーダーはクソくらえだ。こんな輩が上司である部下が不憫でならない。リーダーを目指すのであれば、まずは大義を持つべきだ。そして、自分がその大義を成すためにリーダーとなる必要性があるのであれば、大いに出世を目指せばよろしい。
Q.なるほど、リーダーになる目的は不純なものではいけないのですね。でも、そんな人っているんでしょうか?
お前の目には、不純なことしか見えてねぇのか!まったく、夢も希望もないやつだ。私はかつて、模範となる上司がいた。彼は部下に対して、自己啓発できる人であった。これはリーダーに必要な条件とも言える。そんな彼と、昔こんなことがあった。
ある日、上司に「POP」の意味を問われたとき、私は即座には答えられなかった。そうしたら上司は辞書で調べろと言う。そして、辞書を持つ私にこう言った。「それは中学程度の英語と書いていないかい?君は中学を出ているんだよね?」と。私は猛烈に悔しかった。しかし、その言葉に嫌味などは微塵も感じなかった。むしろ、勉強が足りないとの叱咤が激励に聞こえた。また、あるときは朝日新聞の「天声人語」を毎日読むことを義務付けられ、新聞には大見出し、中見出し、小見出しがあり、それから本文があることを教わった。そして、私が上司に意見するとよくこう言われたものだ。「君の話は何を言いたいのかまったくわからない。私に何か話すときには“大見出し”から話しなさい」とね。その言葉から、相手に何かを伝えるときは、話の内容を最も簡潔にまとめている“大見出し”的な役割の内容を、まず一番に話すことが必要であることを教わった。そして、私はそれ以降、今でも「天声人語」を読み続けている。これらは、例にすぎないが、私はそのときの上司から教わったことを今でも思い出し、反芻することがしばしばあり、実践できるように努めている。
(→)服飾界のドンとして知られるマエストロ、実は大の“カラオケ好き”。この夜、数ある十八番の中からマエストロが、選んだ第一曲は「酒と泪(なみだ)と男と女」。プライベートなカラオケであっても、その鋭い眼光は健在でした。歌って踊った2時間半・・・・・。さすがのマエストロも、この日ばかりはお酒に飲まれてしまったのかもしれません。
Q.リーダーは部下を自己啓発させる。それ以外に、部下と接するうえで大切なことは何でしょうか?
何だと?てめぇ、いいこと聞くじゃねぇか。リーダーになりたい目的は何だろうか。それを考えれば、自ずと答えは見えてくる。極論すれば、リーダーの目的とは会社の理念であり、もっと言えば会社が市場に存在する理由だ。そもそも、会社の使命とは顧客を満足させることにある。リーダーはそのうえで、部下が何を担うのかをしっかり説明する必要がある。つまり部下ひとりひとりの会社での仕事が、世の中にどのような影響を与えているのか。世の中にどのように役立っているのか。それを、伝えることが重要なのだ。また、その言葉にあなたのありったけの情熱や意欲を乗せて伝えることもリーダーとしての大義なのだ。そうすれば、部下の理解度も格段に違うはず。本来の仕事の意味を理解させることなくして、部下に成長はなく、会社に未来はない。仕事をしていくうえで、会社に「マニュアル」というものが存在するのならば、大切なのはその「マニュアル」遵守よりも、むしろそれがどうして存在しているのかを部下に説明できることなのだ。リーダーには、それを説明する力がなくてはならない。上司の出世のため、金もうけのために働くやつなどいないだろう。そんな上司と部下しかしない会社はろくでもない。そうは思わないか?
Q.実際にご自身の会社と、この業界で人の上に立つマエストロが肌で感じたリーダーの資質を教えてっ!
お前が今回の話を本当に理解しているのか、私は不安で仕方がない。会社を設立して代表取締役をしてはいるが、私は人の上に立ちたいから、リーダーをしているわけではない。理由はたったひとつ。それは、己の大義を具現化していくための手段でしかないのだ。リーダーとして、仕事をするうえで、これまで積み重ねたさまざまな体験は大いに役立っている。
私が独立したのは28歳のときだ。そうしてからボールペン1本でも、紙1枚でも経費がかかっていることを骨身に感じ、無駄にはできないと肌身で知った。そして、営業から経理から企画から、会社でいうとありとあらゆる部署が担う仕事を自分の責任で行った。しかし、自分の目的がしっかりあったからこそ、何でも主体的にできた。だから、その当時自分がしている仕事が何のためのものであるかも当然わかり、結果よりよい仕事をすることができたものだ。自分の経験からものを言うとき、ある部署の仕事しか経験していないと、非常に偏った視野になる。最近では、終身雇用という意識は薄れ、転職を繰り返し、独立をする者も増えている。それがだめだとは思わない。しかし、とりあえず大学を出て、会社に入り、そして転職し、最後に独立する。そんな“とりあえず”な輩が多いのではないか。あなたは自分の目的、つまり大義を成すための職人になるべきだ。料理人に例えるなら「自信」「意欲」「能力」という名の包丁を持たねばならない。でなければ、何でもとりあえずの“渡り職人”になってしまう。そんな輩がリーダーでは、部下は困るだけ。会社の規模は関係ない。必要なのは、そこに強いリーダーの意志が存在するかどうかなのだ。
Q.では、簡単によいリーダーになるためにマエストロ流の秘訣を教えてくださいっ!
このやろう!秘訣だと?しかも簡単にだと?そんなものがあったら、ぜひ私も教えてもらいたいものだね!リーダーの条件は一日にして満たされず、だ。だが、私なりに思うことは教えよう。まず、己の尊敬するリーダーを見つけよ。私は今までの経験を生かしてきた。リーダーは仕事上だけの話ではない。わたしにとって(注1)ロベルト・ロッセリーニや(注2)フェデリコ・フェリーニらイタリア映画の名監督もリーダーである。若いころには映画から多大な影響を受け、本からも多くのことを学んだ。リー・アイコーカやヒュー・ヘフナーらのことが書かれている「(注3)5人の猛烈なアメリカ人もそのひとつだ。そして日本の偉大なリーダーである松下幸之助の著書は今の若者にぜひとも読んでいただきたい。「(注4)人生心得帖」にはまさに人生の航海術が書かれている。また、「(注5)大切なこと」にはこんなくだりがある。「なすべきことをなすという勇気と、人の声に私心はなく、耳を傾けるという謙虚さがあったならば、知恵はこんこんとわき出てくるのである」。この言葉の意味を考えてほしい。私の人生の指針をのひとつである。リーダーとは異なる仕事上の上司だけに留まらない。素晴らしい生き方をしている人生の先達すべてがリーダーだ。己をよき方向に導いてくれる者がリーダーなのだ。
しかしながら、人間は年をとると、昔とった杵柄で話をしたがるものである。経験を語ることはいいが、昔の事例を話すにもかかわらず、今の問題が解決されないのであれば何の意味もない。また、人間は肩書きがつくと偉ぶるものである。人の上に立つというが、上も下もない!上司はまとめ役であり指導的立場ということだ。部下から学ぶこともたくさんあるはずだ。人間、謙虚さを失ってはいけない。世の中には、このような傲慢で偏屈な上司が多いのではないだろうか。
また、己の大義を推し進めるためには体力、健康に留意せねばならない。ここ一番に、ここ一番な自分になれない人間は、リーダー失格なのである。
また、引用になるが、松下幸之助が「大切なこと」で書き示した次のことを今一度肝に銘じたい。「道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる」。そうすれば、自ずと道は開けるだろう。
(注1) 「ロベルト・ロッセリーニ」
イタリア・ローマ生まれの映画監督。代表作は「無防備都市」など。
(注2) 「フェデリコ・フェリーニ」
イタリア・リミニ生まれの映画監督、脚本家。色の魔術師と謳われた。代表作は「甘い生活」など。
(注3) 「5人の猛烈なアメリカ人」
竹村健一著、講談社。猛烈に働くアメリカ人の仕事ぶりを紹介し、日本に“モーレツ”ブームを巻き起こした。
(注4) 「人生心得帖」
松下幸之助著、PHP研究所。心得帖シリーズとして発行され、ほかに「商売心得帖」、「経営心得帖」などがある。
(注5) 「大切なこと」
松下幸之助著、PHP研究所。ベストセラー「道をひらく」の中から若い人向けに書かれた、生きていくうえで大切なことを抜粋した43編からなるメッセージブック。
−近ごろのマエストロ−
「恒例だがミラノで開催される生地展に訪れた。私の服はあくまで“生地ありき”である。2008年秋冬のアカミネロイヤルラインのテーマは“ベター ザン ブリティッシュ”。1920〜1940年代のヴィンテージ生地を日本の機屋で復刻して、英国よりも英国的な服を提案する。ミラノの次に向かったのはロンドン。とあるヴィンテージショップに立ち寄ったら、ポール・スミスとトム・ブラウンを見かけた。彼らにとっても過去の素晴らしい服は、よきお手本となるのであろう」
■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合は官製ハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B年齢 C職業 D電話番号 Eメールアドレス F「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。
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2008年03月06日(木)
MEN'S EX 4月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.22 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
旅
タケ先生がヨーロッパ各国&NYの出張から帰ってきたかと思ったら、今度は赤峰さんが今年2回目の海外出張でミラノ&ロンドンに。そんなこんなでスケジュールの調整がどうしてもつかず、今回はそれぞれを単独取材。理由が理由なので、テーマを“旅”にしました。海外を忙しく飛び回るお二人ですが、その旅に欠かせないものとは?
■(写真右)菊池武夫氏
恐るべし、タケ先生。ヨーロッパへの2〜3週間の出張でも、こんな小さなカバンで出掛けます。この日は、ニューヨークハットの帽子、40カラッツ&525のカシミア混ジャケット、クラブキングのTシャツ、Gスターのジーンズ、ダグ マークソンのシューズ、アンティークのスカーフ、クリケットのチーフ、ノッシュのウエストポーチという合わせ。機内に乗るときもこのまんまです。
■(写真左)赤峰幸生氏
機内に乗るときの格好を再現していただきました。シャツはジュンヤ ワタナベ マンとセントジェームスのダブルネーム、それにリーバイスのコーデュロイパンツ、コンバースのオールスターというコーディネイト。セントジェームスのシャツといい、オールスターの紐の通し方といい、ちょっとしたところでヒネリを演出するのが赤峰さん流です。カバンはリモワ。
■歳を重ねるごとに荷物が小さくなりました
菊池 2〜3週間の海外出張が多いんですけど、最近は驚くほど荷物が少ないんです。
M.E. タケ先生、これ小さすぎです。国内の2〜3泊用ですよね(笑)。
菊池 何が少ないって、洋服が少ないからでしょうね。「えっ、これだけで来たんですか?」ってよく驚かれます。洋服は基本的にカジュアルパンツ1本と、靴は履いている1足だけ。パーティとかがない限りはほとんどこんな感じです。ただ、下着だけは2週間あったら10日ぶんくらいはもっていくかな。僕は昔から自分で洗濯するんです。
M.E. 旅の必需品を教えてください。
菊池 バリカン、室内履き、霧吹きです。2〜3日ごとに頭を刈っているのでバリカンは必需品ですし、室内履きもホテルによってはないので必ず持っていきます。昔はアイロンを持っていってたんですけど、今は着る服もカジュアルになったし、大変なので、1日着たら、霧吹きをしてひと晩置いておくんです。すると、大抵はもとどおりになっていますね。この3つがない旅は考えられません。>
M.E. 今日してらっしゃるウエストポーチも、海外でいつもしてらっしゃるような気がするのですが・・・・・。
菊池 よく気がつきましたね(笑)。実は海外で財布をすられたことが3回もあって、それもあって、海外ではウエストポーチをするようにしたんです。必ず真ん前にしてね。これだったらさすがに盗られないでしょう(笑)。
M.E. 確かに。もうひとつ気になったのは、今日の小物はどれも形がかわいいということ。
菊池 必要なものでも形がかわいくないと、買う気がしなくてね。この霧吹きひとつにしても、フォルムがすごく美しいですよね。
M.E. カバンの中身を拝見しているだけでも楽しいです。
(→)必要最低限のものしか入れません
45歳くらいまでは大きなトランクを3つくらい持っていっていたそうですが、歳を重ねるごとに荷物は小さくなっていきました。今では2週間の出張でも、国内の2〜3泊用のカバンで間に合わせてしまいます。下着以外の服は、必要最低限。
・(上左)エールフランスのアメニティケースをオードトワレ入れとして使用
・(下左)大のお気に入りのプラダのデニム製ポーチ
プラダのデニム製ポーチは、グルーミングバッグとして活躍。「ポケットが多数ついていて非常に使い勝手がよかったので、同じデザインのでこれが2つめになります」とタケ先生。
・(上真中)小物はデザインにこだわっています
何気なくカバンに詰め込まれている小物の数々は、どれもタケ先生のお眼鏡に適ったもの。ホチキス、鉛筆削り、ボウタイ2本、メガネケース。「必要なものがあってもデザインがいまいちだったら買いません」という徹底ぶりです。
■旅行や出張も“生活の移動”、服を選べる余裕がほしい
M.E. 先生は旅の荷物が多いので有名です。
赤峰 海外出張はだいたいいつも10日〜2週間なんですけど、今日持ってきているリモワと、サブのリモワ、それとビジネスバッグを持っていきます。1月のピッティに行ったときは、行きの時点で40kgでした。
M.E. 大半はワードローブですか?
赤峰 そうですね。スーツ3着、ジャケット、スラックス、ジーンズ、シャツと下着を日数分、タイ20〜25本、チーフ10枚、靴3〜4足とジョギングシューズ。あと、パジャマも2枚持っていきます。
M.E. さ、さすが。随分と多いですね。
赤峰 出張や旅行も僕にとっては“生活の移動”なんです。使わないかもしれないけれど、朝起きて、その日の気分で服を選ぶ余裕は常に持っていたい。ホテルも値段の高い安いではなくて、クローゼットの大きさが重要なんです。クローゼットの小さなホテルには泊まりません。
M.E. 絶対に欠かせないものって何ですか?
赤峰 イタリア出張が多いので、イタリア仕様のアイロンはいつも持っていきます。シャツはもちろん、チーフやパンツに至るまで自分でアイロンをかけるんです。あと、毎回必ず持っていくのは画材。絵の具と筆をもって1リットルのペットボトルに水を入れて、オフの時間に水彩画を描くんです。あとはお気に入りのCDとCDプレイヤー。中島みゆきも聴けば、美空ひばりだって聴きます。
M.E. イタリアで美空ひばり、素敵ですね。
赤峰 あと欠かせないのがスエードのブルゾン。機内でもカーディガン代わりに着っぱなしです。それと夏場はモヘアのスーツ。クリースが取れにくくて、出張には絶対に欠かせない存在です。一日着ても、風呂場にひと晩つるしておけばもとに戻りますから
(→)行きの時点で40kgを超えることも!
赤峰さんのお荷物で特筆すべきは持っていくワードローブの多さです。少しでも減らしたい荷物ですが、赤峰さんはそんなこと気にしません。行きの時点で40kgを超えることもしばしばというから驚きです。
・(上)タイは基本的に20〜25本。茶とネイビーが基本
・(下左)靴は最低3足。黒と茶のドレスシューズ、スエードのカジュアル靴が基本
・(下右)スーツは基本3着。半分に折って、肩には下着などを入れて型崩れを防ぎます
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菊池さんの三種の神器 [MEN'S EX 掲載記事]
モダンなデザインの霧吹きです
アイロン代わりのアイテムとして、出張時に欠かせないのが、こちらの霧吹きだそう。それにしても、タケ先生らしいセレクトの、とっても素敵なデザインです。
絶対に欠かせない16年愛用のバリカン
右は、2〜3日に1回頭を刈るタケ先生にとって欠かせない、お気に入りのバリカン。左は、ハサミやピンセットなどのケア用道具が入った革ケース。入れ物にもこだわります。
20年愛用のルームシューズ
今から20年以上前に購入したというトリッカーズのルームシューズ。以来、海外に行くときには、いつも持参している愛着たっぷりのアイテムです。いい感じに味が出ています。
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赤峰さんの三種の神器 [MEN'S EX 掲載記事]
イタリア用のアイロンは毎回持参
イタリアで購入したアイロンは、イタリアへ行く際、必ず持参。赤峰さんがホテルに着いて最初にチェックするのは、クローゼットの大きさと電源の位置だそうです。
CD&CDプレイヤーは欠かせません。
ホテルの部屋では、耳馴れた曲を聴きながらレポートを書いたりすることもしばしば。ヴィヴァルディ、アンドレア ボチェッリ、ジプシーキングス、バロックなどがお気に入り。
これまでに海外で50枚以上描きました
絵の具と筆、スケッチブックは毎回持参。ペットボトルに水を入れて街を歩き、お気に入りのの場所で絵を描きます。今年1月、伊のトリエステに寄って、湾を描いたもの。
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