AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年12月06日(土)

MEN'S EX 1月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.03 [MEN'S EX 掲載記事]

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「男が着るべきコート」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第3回は、男が着るべきコート、についてのお話です。

 
 
 

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Q 先生ならではのコートを教えてください
リバーシブルのステンカラーコートです
「よく着るのは、アルスター、チェスターフィールド、それからリバーシブルのステンカラーです。ステンカラーは私の場合、ほとんどリバーシブルに限定されます。ハリスツイードの綿のポプリン、ヴィンテージのバーバリーでチェックとギャバジン、綿ギャバジンとローデンクロスとのリバーシブルなどです。リバーシブルなステンカラーコートを着るときはドレッシーな格好に合わせます。日本ではあまりみられないですけど、英国では定番なんです。裏が見えたりして洒落ていますよね。私はこのリバーシブルのステンカラーが好きなんです」

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Q コートの基本素材を教えてください。
カシミア、キャメル、ウールです
「カシミアやキャメルなどの獣毛系、それとやはりウールです。ウールは毛掻き方の違いでメルトン、ベロア、モッサ仕上げの大きく3つにわけられます。メルトンは毛を縮ませて密度を濃くしたもの、ベロアは毛足が立っていて毛の流れがないもの、モッサはローデンコートのような、毛足が長くて一方通行で流れているものを指します。毛掻き方にまでこだわると、素材選びも楽しくなります。」

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Q 先生流のコートのこなしを教えてください
男らしく存在感のある着こなしが基本です
「コートは最も分量の大きいアイテムだから、存在感が大切なんです。最近のコートはジャケットと同じようにどんどん肩が入ってしまっていますが、そういうのって、私個人的にはコートを着ている感じがあまりしなく、あまり好きではありません。肩幅が出ていて存在感のあるコートがカッコいいと思います。また、温暖化もあって軽量化が進んでいますけど、差し引いても500g/m以上のウェイトはほしいですね。ペラペラしていると、オーバーコートには見えないですからね。」ちなみに右側の写真は、マフィアの真似をした赤峰先生。
 
 

■コートの基本モデル アルスターの魅力とは?
M.E.  今回は、コートのアカミネイズムを伝授していただきたく思います。よろしくお願い致します。
赤峰  了解しました。まずコートの起源からお話ししますと、ひとつは英国の陸軍から生まれたピークトラベルのダブルブレストで、エポーレット付きのコートがあげられます。いわゆるブリティッシュウォーマーと言われているものです。もうひとつは、皆さんご存知のチェスターフィールドコートです。これは貴族の人たちがイブニングの上に着ていたコートが始まりです。大きなところでは、この2つが入り混じったところから、今日のコートというアイテムが存在しています。
M.E.  勉強になります。
赤峰  これらを総称してオーバーコートと呼んでいます。その代表的なモデルが、ダブルブレステッドでピークトラペルの6つボタン、現在のオーバーコートの原型であるアルスターコートです。今は簡略化されて袖のカフがないものもありますが、本来は袖にカフが付いているものが基本です。また、バックベルトが付いたものもありますけど、私が今日着ているのはベルトなしのタイプになります。
M.E.  そういえば、赤峰先生はバックベルトを好みませんよね。
赤峰  ええ。オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって、コートの美しさ、色気が表現されるものと考えているからです。バックベルトが付いていると、全体的に後ろが重たく見えるので、ベルトなしのシンプルで自然な形が好きなんです。が、これはあくまで個人の好みの問題です。
M.E.  なるほど。

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コートの色気は、肩幅のある存在感、フレアしたバックスタイルにあります

(←)モアブルックのベロアフィニッシュ生地でス ミズーラしたリヴェラーノ&リヴェラーノのアルスターコート、シャルベのシャツ、アカミネロイヤルラインのコーデュロイパンツ、ストール マンテラッシの靴(以上赤峰さん私物) カシミアニット/バランタイン11万250円(アオイ)

■それぞれの国で人気のコートを知っておく
赤峰  また、カシミアなどのチェスターフィールドがフォーマルのときに着るコートという位置づけなのに対し、アルスターコートは日常的に着るコートという位置づけで、ドレスのシーンだけに着るものと限定されません。今日の私のようなカジュアルなスタイルでも楽しめます。こなしも、ビタッとボタンを全部留めて着る場合もありますし、半分だけ襟を立てることもあれば、フルに立てることもあります。ダブルブレストの襟に、いかに自分らしさを出せるかが大切なんです。それともうひとつ。冬の寒い日には、グローブは不可欠です。バランス的に、素手だと手先が寒く見えてしまうからです。
M.E.  なるほど。ところで、それぞれの国を代表する形ってあるんですか?
赤峰  アメリカはステンカラーのイメージが強いですよね。「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパートが着ていたモデルで、白黒の千鳥のスーツに白シャツ、ブラックタイ、それはオフ白のステンカラーコート、みたいな感じです。それの影響を受けて日本でもステンカラーは人気があります。一方、ヨーロッパ全体にいえることは、ダブル、シングルにかかわらず、テーラード襟のコートが中心だということ。胸元をきっちり開ける文化なんです。イタリア人はアルスター、イギリス人はどんなときでもボロボロのチェスターフィールド、といったところでしょうか。あと、アメリカ人の真冬だと、キャメル100%とかキャメル混のポロコートかな。ポロコートはイギリス生まれですけど、アメリカで育ったみたいなところがあって、イギリスではあまり見かけません。アメリカ人の影響を受けてイタリアでは結構見かけますが、フランスでは見ないですよね。
M.E.  各コートにそれぞれ国のイメージがあるというのは、自分のスタイルを築くうえで勉強になります。
赤峰  あと、最近はジャケット同様にコートも肩幅が狭まっていますが、オーバーコートは肩幅が出ていて存在感があってこそカッコいいものだと思います。あとは、ウェイト。私が今日着ているのは700g/mですが、最低でも500g/mはほしいところです。コートは風格が大切。ある程度どっしりしていないと、オーバーコートには見えないですからね。
 
 

◆赤峰先生のお気に入りコート◆

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肉厚キャメルのバルマカーンタイプ
600g/mの肉厚なキャメル100%の生地を贅沢に使った、バルマカーンタイプのコート。時代やシーンを選ばずに着られる、1着です。42万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

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リヴェラーノで仕立てたウールカシミアのアルスター
リヴェラーノ&リヴェラーノで8年前に仕立てたという、カシミアウールのアルスターコート。ウェイトは750g/m。シルエットもどっしりした、赤峰先生を象徴する1着です。(赤峰先生私物)

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キャバリーツイルのロングアルスター
ヘビーウェイトのキャバリーツイル製で、肩幅広めのロングアルスター。「ロング丈なので、後ろのフレアなラインがきれいに出ます」と赤峰先生。23万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

◆進化した今どきのオススメコート◆

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トレンチの名門が手掛けたシングルトレンチ風コート
伊の名門ヘルノの、中綿入りコート。ウール85%、コットン15%。「肩は入っているけれど、これはカッコいい。非常にきれいなラインをしています」と赤峰先生。11万250円(ビームスF)

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伊の正統スタイルのアルスターコート
英国生地を使用したアルスターコート。「今のバランスで表現したクラシックなアルスターの基本。仕立ても素晴らしいし、よくできていますよね」。15万5400円/サルトリア パルマ(ビームスF)

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感覚で羽織れる軽快カシミアコート
ナポリの新星の、カシミア100%による4つボタンの変形チェスター。「オーバーというよりサラリと羽織る、ジャケット感覚のコートですね」。36万5400円/スティレラティーノ(ビームスF)

今月のおさらい

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 オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって色気が表現されるもの
 男のコートスタイルの肝は襟にあり。襟で自分らしさをどう表現するかが大切
 何よりも存在感が大切なコートは、肩幅の広いものを着てこそ男である
 生地のウェイトは500g/m以上、それ以下だとコートの存在感が生まれない

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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