2007年06月06日(水)
MEN'S EX 7月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.14 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
コットンパンツを上品に穿く方法
コットンパンツといえば、休日には欠かせない定番アイテム。ただ、上品に穿きこなすのが難しいという悩みもよく聞きます。そんなわけで今回は、コットンパンツの上品な穿き方と着こなしをテーマに、大いに語り合ってもらいました。
■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのシルクチーフ
・リガッディのコットンツイル地シャツ
・リヴェラーノ&リヴェラーノでビスポークしたリネンヘリンボーンのジャケット
・リヴェラーノ&リヴェラーノのコットンツイル地パンツ
・ストール・マテラッシのスエードスリッポン
■(写真左)菊池武夫氏
・プラダのサングラス
・眼鏡研究社のメガネ
・フェイヴァーブルックのドクロ柄シルクストール
・40カラッツ&525の2006年秋冬のシャツ
・ジル・ロジェのハウンドトゥースチェックのコットンパンツ
・レ ユッカスのスエードシューズ
お2人曰く「ほら、『安かったから捨ててもいいよ』って言う人がいるけど、あれは凄くイヤだよね。そういう考え方でいると、今に自分が捨てられてしまう」。
洋服に対する深い愛情が窺えるとともに、人生訓としても有用なお話でした。
■「カジュアル=なんでもあり」ではスタイルにならない
赤峰 今回は正直いって迷いましたね。ひと言でコットンパンツといっても、やっぱりイメージするスタイルによって着こなし方がだいぶ違ってきますから。
菊池 ドレスでも、カジュアルでも、コットンパンツというのはとにかく幅がありますよね。
赤峰 (注1)アンソニー・パーキンスあたりが穿いているような、ポリエステル混のいわゆるアメリカ的なコットンパンツもあれば、一方でイタリア的とでもいうのか、クリースをしっかり入れた、ドレスパンツとしての穿き方もある。さらにフランス的なイメージだと、時代によっても異なりますが、今日の菊池先生のスタイルのように、クリースを入れずにソフトな感じで穿くスタイルもあります。どれをイメージするかで穿き方が全く違ってくるから、結構迷いました。
菊池 凄くよくわかるなぁ。なかでも僕の場合、コットンパンツといえばやっぱりアメリカの印象が一番強くてヨーロッパのイメージはあんまりないですね。もちろん夏になればヨーロッパでも当たり前のように穿いていますけど、ハッキリとしたイメージがあんまりないんです。ただ、キレイに穿くという点では、間違いなくヨーロッパでしょう。
赤峰 だと思います。そもそもコットンパンツ自体が、PX(アメリカ軍隊内の売店)から流れてきたモノだったりしたので、まさしくチョコレートやバナナと一緒にコットンパンツがやって来たというイメージがありますね。
菊池 僕はその時代をダイレクトで知っていますよ(笑)。チノパンに軍モノの革のブルゾンを合わせた、要するに空軍のスタイルみたいな感じでね。
赤峰 あの時代のモノで、例えばヘインズのTシャツのように、今でもまだ売られているロングセラーのアイテムがありますが、やっぱりそういったモノは、アメリカの文化に根ざした、いうなればアメリカの良心的な中産階級の日常着という感じがあって、(注2)フレッド・マクマレイが「パパ大好き」の中で穿いているようなコットンパンツとか、僕自身は妙に憧れましたよ。
菊池 僕は、'50年代に写したと思われる、(注3)ジョン・F・ケネディが海辺で家族と遊んでいる写真が凄く印象に残っています。モノクロだから色は正確にわからないのですが、恐らくベージュのコットンパンツだと思います。洗いざらしを穿いて、上は白のポロシャツを着ている姿がよかった。でも、僕の自身としてはカッチリするよりも着崩すほうが好きだから、カーゴパンツのようなラフな感じに惹かれます。まぁ、そればっかりでは面白くないかなと思って、今回は少しドレッシーに振ってみたわけですが(笑)。
赤峰 実にカッコイイですよ。サスガです。だけど、先生の場合、どんなに着崩したとしても、上品さが損なわれることはないですよね。その理由はやっぱりサイジング。ワタリの幅とか、着丈とか、服には必ずバランスというものがあって、そこをキチッとわかっていらっしゃるからです。休日だからなんでもありではないんです。穿き方によってはクリースを入れることもそうですし、それこそジーンズであっても気を使う人はシワを気にして膝を折らないですよね。
菊池 そうそう。膝の裏のシワって凄く気になるんですよ。
赤峰 それがスリムなジーンズだったらなおさら。後ろ姿の見え方にも気を使わないと本当の意味でカッコいいとはいえません。
菊池 けれど、今の人ってほとんど気にしてないですよね。
赤峰 「カジュアル=なんでもあり」だと思ってしまうからでしょう。それだとスタイルにならないんですけどね。
菊池 上品に着ることや、カッコよく着ることというのは、アイテム云々の問題ではなくて、そうした意識のあり方だけでも随分と違ってくるのに。
赤峰 まったくそのとおりですよ。
■オシャレって面倒くさいし、難しいものなんですよ(笑)
M.E. 今回お2人ともスエードの靴を合わせられていますが、何か意図されることがあったのでしょうか。
赤峰 スエードって秋冬のイメージがありますが、僕はこの時期のほうが気分的に履きたくなるんですよ。
菊池 同感です。個人的に凄く印象に残っているのは、(注4)クルト・ユルゲンスという俳優が出演していた「眼には眼を」という映画。彼は医者の役で、ある出来事をきっかけにひとりの男から逆恨みされ、結果的に砂漠に誘い出されるかたちとなって、スーツ姿のままウロウロと歩き回るんですけど、その足元が確かスエードの靴でした。そのとき、「あっ、真夏にスエードの靴ってカッコイイな」って。
赤峰 バックスキンの、特にこの色ってわりに明るい空のブルーとか、そういった色調子と相性がいいですよね。で、僕の場合は、靴も含めた全体のバランスを考えて色のグラデーションを意識しましたね。
菊池 全体のハーモニーがキレイに出ていますよ。
赤峰 ありがとうございます。コントラストというと聞こえはいいんだけど、要するに色の組み合わせが合っていない人は結構多い。無彩色、プラスどの色を軸色で合わせるのか。それによって、靴やベルト、シャツやジャケットなんかも合わせていって、色のバランスを取るとキレイに見えますよね。
M.E. あと、裾の処理についてもお伺いしたいのですが、お2人ともダブルにされていますよね。やっぱりコットンパンツを上品に穿きこなそうと思ったら、裾をたたくのはNGですか。
赤峰 アメリカっぽく着たいんだったら、たたくのもありだと思います。
菊池 僕はミリタリー風に穿くときはたたいてますね。ただ、普通にシングルで仕上げることはあんまりないかな。シングルはどうしてもドレスアップした感じがあるので、そういった意図でコットンパンツを穿くんだったら、ありでしょうけど。
赤峰 ただ、レングスはウールのスラックスよりは短いかなという程度がちょうどいい。それより長くすると何か汚い感じがしますよね。
菊池 本当にそう。要するに、先程もいいましたけど、すべては意識の問題なんですよ。出掛ける前には必ず霧を吹いてシワを伸ばすとか、そういった心掛けやこだわりがあれば、自ずと上品な穿きこなしができるはず。
赤峰 ごもっともです。膝の裏にシワが入った状態で出掛けるというのは、僕には考えられません。
菊池 一緒です。実際に動いたことでシワが出たりすることは一向に構わないんですが、その状態のままで出掛けることは絶対にあり得ません。
赤峰 膝のあたりがずいぶんと伸びてしまったジーンズでも、いざ穿くときは、その部分をアイロンで追い込んでキレイにプレスを掛けないと気が済まないですよね。
菊池 とにかくコットンだからといって、あんまり粗雑に扱わないことです。お洒落というのは凄く繊細だと思うんです。ドレスアップをしたときも、コットンパンツを穿くときも、お洒落をするという意識において違いはないわけで、だからこそ気を使わなければなりません。クリースを付けるのか付けないのか、裾をたたくのかダブルにするのか。その一つひとつに意味があるとすれば、結果として合わせ方も変わってきますよね。そういう意味で、お洒落って面倒くさいし、難しいものなんですよ(笑)。
赤峰 さらにいうなら、保管の仕方もそうです。クリースの向きにも気を配ったうえで、ウールのパンツと同じようにキチッと保管するべきです。それと、値段が安いからといって何本も買ってしまっては結局のところ安物買いの銭失いになってしまって元も子もありません。そうならないためにも、ちゃんとしたモノを手に入れて、しっかりと大切に穿いていくことが大切。そうした態度が、ひいては上品な着こなしにつながってくるわけですから。
(注1) 「アンソニー・パーキンス」
1932年米国生まれ。'56年に「友情ある説得」で本格的にスクリーンデビューを果たし、'60年には傑作「サイコ」のノーマン・ベイツ役で一躍有名に。'92年エイズで死去。
(注2) 「フレッド・マクマレイ」
1908年米国生まれ。「アパートの鍵貸します」でジャック・レモン演じる主人公の上役を演じたあの人。主な代表作に「深夜の告白」「ケイン号の叛乱」などがある。'91年死去。
(注3) 「ジョン・F・ケネディ」
1917年米国生まれ。'60年、大統領選挙に立候補し、勝利。43歳という史上最年少の若さで第35代大統領に就任した。'63年、遊説中にダラスで暗殺。その死の真相はいまだ謎。
(注4) 「クルト・ユルゲンス」
1915年ドイツ生まれ。'55年に「悪の決算」でヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞。「史上最大の作戦」のブルメントリット少将など、ナチの上官役を多く演じた。'82年死去。
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菊池さん的着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
メガネをダブルでコーディネート
タケ先生といえば、メガネ姿はお馴染みですが、今回はさらにサングラスをアクセサリー代わりにコーディネートしてスポーティな気分を演出。早速取り入れてみたいワザです。
まるでひとり展示会状態です
タケ先生の両手首には計11個ものアクセサリーが!「M・A・R・S」や「グッチ」などに混じって、見本市「ブレッド&バター」の会場でつけたままになっているリボンも!
パンツはあえてクリースを入れません
もともと入っていたクリースをあえて取り、さらにダブル仕上げすることで、パリの紳士にも通じるこなれた印象になっています。絶妙な着崩しはサスガのひと言です。
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赤峰さん的着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
色の重ね方はサスガのひと言です
「無彩色、プラスどの色を軸色に合わせるかによって色のバランスを考えるといい」と赤峰さん。なるほど、白と茶の色合わせは実に見事なハーモニーを奏でています。
ドレスソックスを合わせるのが赤峰流
素足で合わせるのもいいけれど、やはり上品かつ正統な着こなしを追求するには、ドレスソックスはマストかと。チラリと覗く白のソックスに、赤峰さん一流の美学が表れています。
フレンチフロントのシャツでドレッシーに
スポーティに着崩しているように見えますが、あえてフレンチフロントのシャツを合わせるなど、気分はあくまでドレスの延長。赤峰さんならではの着崩し術といえるでしょう。
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2007年05月07日(月)
MEN'S EX 6月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.13 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
トレンドのライトグレイの取り入れ方
今回のBe Buffalo Forever!は、ハロッズのクリエイティブ・ディレクターとしてご活躍の坂田真彦さんをゲストにお迎えして、3者対談を行いました。テーマは、今季の流行色であるライトグレイの取り入れ方。日本人には難しいとされてきたこの色も、3人にかかれば、「なるほど」と頷くことしきりです。三者三様の解釈も伺え、多彩な話題で実に有意義なトークでした。
■(写真右)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・ロンドンで購入したシルクのスカーフ
・40カラッツ&525の2006年秋冬のシャツ
・40カラッツ&525の今季もののカーゴパンツ
・アディダスのスニーカー
■(写真中央)坂田真彦氏
・ハロッズのモヘア混ウールのビスポーク
・ハロッズのタブカラー&ダブルカフスのビスポークシャツ
・ハロッズのタイ
・イタリアのリッチオーネが'70年代に仕立てたウエストコート
・ジェフリー・ウエストのチャッカブーツ
■(写真左)赤峰幸生氏
・シャルベでビスポークしたポプリンのシャツ
・ニッキーのタイ
・Y.アカミネの今季もののコットンジャケット
・アカミネ ロイヤルラインのヴィンテージ フランネルのパンツ
・アラン・マカフィーの'60年代製白のヌバックシューズ
撮影の合間の雑談では、10年前のN.Y.の古着屋話を手始めに、「今のファッションシーンは、N.Y.がアツい」という話題で盛り上がっていました。
■ビジネスで着られるかどうかだけで服を選ぶのではない
菊池 グレイという色はもともと好きで、特にライトグレイやミディアムグレイといわれている色がいいですね。黒や白って確かになんにでも合うんですけど、そのどちらでもない気分のときにこのあたりの色がハマってくるんですよ。だから2年前くらい前でしょうか、ライトグレイやミディアムグレイを中心にいろいろと服を作ってみたんですけど、売れなかったですねぇ(笑)。スーツもありましたけど、全然売れなかった。
赤峰 日本の場合、グレイの人気は高いんですけど、やっぱりチャコールグレイなんですよね。日本は目立たないことが美徳とされる社会ですからね。ビジネスウェアとしてのスーツを考えたとき、ライトグレイやミディアムグレイでは目立ってしまうみたいで、敬遠されるようです。
坂田 もったいないですよね。ビジネスで着られるかどうかだけで服を選ぶのではなくて、遊びで着るスーツというのもあるわけですから。
赤峰 そうなんですよ。服を着る愉しみを狭めていますよね。そもそもグレイって肌の色を問わない、凄く合わせやすい色。色白の人でもライトグレイやミディアムグレイを合わせてみるとキレイで品がいいですよ。
菊池 合いますね。日焼けしたらしたで、今度は全体的に締まって見えてバランスはいいですし。
坂田 僕は、ライトからミディアムにかけてのグレイって男っぽくて都会的な色だなと思うんですよ。しかも、今日着ているスーツもそうなんですが、モヘアみたいに光沢感があると余計そういった雰囲気が出ますよね。ビジネスの現場ではあまり目立たないほうがいいのかもしれませんが、それでもギリギリのところで自分を主張する姿勢はもっていたいですね。
菊池 そういう意味では、坂田くんの格好は似合ってる。白のベストを入れたモノトーンな感じがシック。
赤峰 モヘアの光沢感が今の時代感と合ってますよ。洒脱というのかな、クラシックなところをビシッと押さえつつ、ちゃんと遊びが入っている。
坂田 ありがとうございます。お2人からそんなことを仰っていただけると、恐縮しちゃいますね(笑)。
M.E. では、坂田さんから見てお2人の格好はいかがですか?
坂田 本当にカッコいいと思いますよ。勉強になります。例えば赤峰先生がお召しになっているオフホワイトのパンツ。グレイと組み合わせると凄くエレガントですよね。
赤峰 いわゆるエレガントスポーティなんですよね。ジャケットがライトグレイじゃないですか。これがダークになるとドレッシーな感じが出てくるけど、ここまで明るいとスポーティさ、軽快さが出る。
菊池 1930年代のテニスルックのスタイルという雰囲気ですね。
赤峰 さすが菊池先生。まさしくそれをイメージしました。テニスクラブのメンバーがするジャケットスタイルですね。
坂田 タケ先生はシャツが印象的です。それはシルクですよね?
菊池 そう。
坂田 ウエイト感を含め、ライトグレイってドレープした柔らかい感じが凄く合うんだってことがわかりました。レディスではよく見るんですけど、メンズでも取り入れられるんですね。自分の頭の中にはなかったので、とても新鮮でした。
菊池 確かにこういうのってメンズにはない。シルクならではのドレープの感じはキレイだよね。
■グレイは、組み合わせ次第で実におもしろい表情に
赤峰 グレイといえば“タテ目”の時代のベンツのマットなグレイ。あれは凄くキレイでした。
菊池 はいはい、わかります。メタリックじゃないヤツですよね。確かにカッコよかった。
赤峰 ボディはグレイなんだけど、中のシートは赤だったりして、あの色のコンビネーションの美しさというのは今でも記憶に強烈に残ってます。先ほど気付きましたが、菊池先生も靴下を赤で合わせていらっしゃいますよね。グレイと赤の組み合わせはやっぱりカッコいいですよ。
坂田 わかります。僕も'50年代の、グレイとサーモンピンクからレッドの色合わせが好きなんですよ。グレイのブルゾンにアーガイルのプリントがしてあったり。
赤峰 あとは、グレイと茶、そして日本人はあまりやらないけど、グレイと黄色もいい。
菊池 あぁ、黄色はキレイですよ。ちょっとトーンを変えた、クリーミーなベーシュみたいなものとも合います。
赤峰 そう考えると、グレイというのは組み合わせ次第で実に面白い表情を見せてくれますね。
菊池 僕は若い頃ジャズがもの凄く好きだったんですが、'50年代、'60年代のジャズマンはよくグレイの光った感じのスーツを着てましたよ。モヘアの光沢というよりも、安っぽい化繊の妖しい光沢ですね。でもなんていうのかな、そういった感じが逆にシャープに見えて、えらくカッコよかった。
赤峰 いわゆるシャンタンみたいな生地でしょう。
菊池 そうです。ちょっと趣味が悪い感じの。
坂田 そういう崩れたところに色気だったり、魅力だったりを感じることってありますよね。
赤峰 桜の花は、青空よりも曇り空で見たほうがキレイっていうじゃないですか。まさしくそんな感じですよね。
菊池 で、またピンクのシャツを合わせたりするんですけど、黒人だから妙に似合うんですよ。
菊池 黒人といえば、(注1)サミー・デイビスJr.、などは、テカテカ光ったグレイのスーツなんかがよく似合ってましたよね。それとシャンタンのスーツだと、(注2)ケーリー・グラントあたりが着ていた、深めの2つボタンのスーツなんかは洒落てましたよ。
坂田 「007」のときの(注3)ショーン・コネリーも、サヴィル・ロウ仕立てのグレイスーツをスキがなく着てました。
菊池 あぁ、あれもよかったですね。
坂田 そういった意味では、グレイというのはかなり振り幅がありますよね。エレガントにまとめることもできるし、ちょっとギリギリのところを攻めてもそれはそれでカッコいい。
菊池 同じグレイにしてもトーンだったり、素材だったりでいろいろと幅が出てくるから、そこを愉しみながら着てもらえるとおもしろいんですけどね。ひとつの趣味や志向に固執しすぎると、そこから少しでもハズれた時点で、もうダメだ、って感じになっちゃうでしょ。日本人はエレガンスということをわりに知っている人種だと思うんだけど、それでもやっぱり取り入れ方が下手ですよね。
赤峰 日本人だと、白州次郎がグレイのダブルブレストを着ていましたよね。あれはエレガントでした。
菊池 何よりあの人は顔がいいし、背も180cmぐらいありましたからね。
赤峰 今季はライトグレイが流行ですが、こうやって改めてグレイという色を考えてみると、僕自身凄く好きな色なんだなと実感します。ワードローブの実に8割ぐらいはグレイですからね。
坂田 色のトーンだったり、素材のバリエーションだったり、楽しみ方が豊富ですからね。
赤峰 そう。カシミアもいいし、(注4)トニックもいいし、シルクもいい。
坂田 それ以外にも高密度のナイロンとか、ポリエステルもいいですよね。
菊池 レザーもね。マットなグレイのレザーもこれまたカッコいいですよ。
赤峰 年齢はあまり関係ないんでしょうけど、それでもやはり髪の毛に白いものが目立つようになってきたら、グレイ、それもライトやミディアムあたりのグレイを着てほしいという思いはありますね。
菊池 白髪が入ったような年齢の人がグレイを着ていると、妙にエレガンスを感じさせるんですよね。
(注1) 「サミー・デイビスJr.」
1925年にニューヨーク生まれ。3歳で初舞台を踏み、その後フランク・シナトラに才能を見出され、20世紀のアメリカを代表するエンターテイナーのひとりに。'90年死去。
(注2) 「ケーリー・グラント」
1904年英国生まれ。「めぐり逢い」('57年)、「北北西に進路を取れ」('59年)、「シャレード」('63年)など、映画史に残る名作に出演した二枚目スター。'86年死去。
(注3) 「ショーン・コネリー」
1930年スコットランド生まれ。「007」シリーズの初代ジェームズ・ボンド役で有名に。その後も多数の映画に出演。'99年にはナイトの爵位も得た。昨年、俳優引退。
(注4) 「トニック」
ドーメル社が開発したモヘア混紡の生地。3本の撚糸で織り上げていることによる張りの強さと、モヘアならではの贅沢な光沢感がが特徴。独特の風合いにファンは多い。
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菊池さんの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
トーン違いで合わせます
トーン・オン・トーンでグレイをコーディネイトしたタケ先生。頭からボトムにかけて色調を明るく変えてゆく着こなしはさすが。このセンス、是非とも見習いたいものです。
グレイに赤が利いています
全身をグレイでコーディネイトした中で、合わせたスニーカーに赤があしらわれていることもあり、ポイントに赤の靴下を合わせたそうです。チラリと見えたとき、しびれました。
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赤峰さんの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
ダブルのボタンはひとつ掛け
着こなしでニュアンスをつけるのが上手な赤峰さんらしく、ダブル6つボタンのスーツは、あえて下1つ掛け。絶妙なシェイプ感が出て、腰周りのシワもいい味になるそうです。
パンツはベルトレスです
今回のコーディネイトは、'30年代のイギリスのテニスルックをイメージ。というわけで、パンツもベルトレスでクラシックな雰囲気を伝えています。細部のこだわりはサスガ。
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坂田真彦 Masahiko Sakata [MEN'S EX 掲載記事]
1970年和歌山県生まれ。デザインスタジオ「アーカイブ アンド スタイル」を主宰。ハロッズでクリエイティブ・ディレクターを務めるほか、昨年末、青山にヴィンテージセレクトショップ「アーカイブ アンド スタイル」を開店。
坂田さんの着こなしテク
時計とサングラスで光沢感をプラス
スーツのモヘアの光沢と、サングラスのフレームの光沢、そしてゴールドの時計の光沢。品が悪くならないギリギリのところで存在感を出す。それが坂田さん流のコーディネイト。
白いベストでエレガントさを演出
曰く「都会的なイメージがある」グレイのスーツは、モノトーンで組み合わせるのが気分だそうです。今回はそこに白のベストを加えて、よりエレガントさを演出しています。
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2007年04月06日(金)
来る5月25日(土)、26日(日)プレタスーツオーダー会を開催します [MEN'S EX 掲載記事]
メンズEx 5月号(4月6日付け発売)にてご紹介させて頂いています「Akamine Royal Line 読者限定オーダー会」をAKAMINE BLOGご高覧の皆様にもお届けさせていただきます!
赤峰さんが考えるリアルクローズのスーツです
サイズは44〜52、ボディはドロップ6と7のサイズサンプルを用意しています。オーダー価格は、スーツ15万8000円〜。裾上げと本切羽は無料です。写真のスーツは3シーズン着用できるハリソンズの肉厚トロピカルウールを使用。スーツ16万950円(オーダー価格)、シャツ(参考商品)、タイ1万500円。以上(問)インコントロ tel.03-3447-1891
アカミネ ロイヤルライン
AKAMINE ROYAL LINE
読者限定オーダースーツ
昨年の秋、赤峰幸生さんとパリの生地展「プルミエール・ヴィジョン」に行ったときのこと。赤峰さんは日本からヴィンテージの生地見本を持参したり、メーカー各社にアーカイブの資料を持参してもらって、それぞれが得意とする生地を復刻してもらっていました。感心すると同時に「かなりオーダー入れてるなぁ」と不思議に思っていたのですが、今回のコレクションを見て納得。赤峰さんの集大成といえる、リアルクローズを表現した「アカミネ ロイヤルライン」を立ち上げたのです。どれもこれも、打ち込みのしっかりしたヘビーウエイトの生地を使用していて、赤峰さんテイスト全開。今回特別に、秋冬からの展開に先がけて、読者限定のオーダー会を2日間設けてもらいました。当日は、ヴィンテージの復刻生地を中心に、デッドストックの着分も用意。さらに、オーダされたかた全員に、「アカミネ ロイヤルライン」のタイをプレゼントしてくれるそうです。ご応募を。
<応募方法>
まずは、ハガキでMEN'S EX編集部までご応募ください
5月25日(金)13時〜18時、26日(土)13時〜17時に開催される読者限定25名のオーダー会に参加ご希望のかたは、ハガキに住所、氏名、年齢、職業、日中連絡が取れる電話番号、希望の日時を明記の上、〒102-8187 東京都千代田区九段北4-2-29 世界文化社 MEN'S EX編集部「赤峰さんオーダー会係」までご応募ください。5月2日(水)当日の消印有効です。※5月3日(木)以降の消印分については、直接インコントロオフィス宛(〒108-0071 東京都港区白金台5-5-7ガーデンコート白金台301)にご郵便下さい。応募者多数の場合は抽選とし、当選者のみにご連絡いたします。ご応募いただいた個人情報は抽選・当選のご連絡のために使用させていただきます。この目的以外で許可なく第三者への個人情報の提供はいたしません。お送りいただいたハガキは、抽選にもれたかたのものは速やかに廃棄し、当選したかたのものはご連絡後、弊社が責任をもって適切な方法で廃棄いたします。
■特典1 5月25日(金)、26日(土)の2日間、読者限定プレタスーツオーダー会を開催!
5月25日(金)13時〜18時、26日(土)13時〜17時の2日間、赤峰さんのオフィス「インコントロ」(tel:03-3447-1891 住所:港区白金台5-5-7ガーデンコート白金台301)にて、読者限定25名のオーダー会を開催します。
地図は[ 印刷用地図 ]をご参照ください。
■特典2 赤峰さんが別注したヴィンテージの復刻生地を用意しました!
ヘビーウエイトの英国生地が目白押し!
生地展「ミラノ・ウニカ」や「プルミエール・ヴィジョン」で、トレンドを気にせず、男服の本質である色柄でヴィンテージの生地を復刻した赤峰さんこだわりのオリジナル生地。さらに、ホンモノのヴィンテージ生地も用意。
■特典3 オーダーされたかた全員にアカミネ ロイヤルラインのタイをプレゼント!
柄から起こしたオリジナル生地もアリ!
スーツ・ジャケット・コートをオーダーされたかたには、1着につきアカミネ ロイヤルラインのタイ(1万500円)を1本プレゼントいたします。赤峰さんが生地から別注したこだわりの逸品で、なかには柄から起こしたものも!
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MEN'S EX 5月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.12 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
スプリングコートの着こなし方
身も心も軽やかになる春ですが、日によってはまだまだ肌寒いこともしばしば。そんな時期に重宝するのが、スプリングコートです。そもそもコート好きを自任するおふたりは、はたしてこのアイテムをどう着こなすのか?ダンディズムや季節感をテーマに、対談はまたしても痛快に進んでいきました。
■(写真右)赤峰幸生氏
・ベルソールの折り畳みサングラス(マックィーンモデル)
・プリンチペのボタンダウンシャツ
・アカミネロイヤルラインのタイ
・リヴェラーノ&リヴェラーノのオーダースーツ
・アカミネロイヤルラインのポプリン地のオリジナルコート
・ジョージ・クレバリーのストレートチップ
■(写真左)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・ルイ・ヴィトンのシルクシフォンのストール
・40カラッツ&525のリネンコート
・スウェイン・アドニー・ブリッグのステッキ
・リーバイス505のホワイトジーンズ
・アディダスのスニーカー(アリ・クラシック)
今回の撮影の舞台となったのは、銀座銀杏並木通りに面したレストラン「セラン」。春間近とはいえ、日が暮れてくるとまだまだ肌寒いようで、お二人ともコートを「ビシビシに締めて」会話に興じていました。それにしても、絵になります(笑)。
■コートほど男を感じるものはない
菊池 そもそも僕はね、コートが凄く好きなんですよ。重厚なものもあれば、ペラペラのシャツみたいなものもあって、丈ひとつとってもその長さはいろいろでしょ。だから、着る愉しみがあるんですよね。時期にしたって、一般的には冬の衣料と思われがちだけど、今回のスプリングコートのように、春先に颯爽と羽織って歩くタイプだってあるし、実際に僕は梅雨の時期まで着ることがありますからね。雨の中を傘をささずにコートを着て、濡れながら歩くんですよ。
赤峰 ご多分に漏れず僕もコートは好きで、それこそトレンチに始まって、いろいろなバリエーションを持っていますよ。特にこの時期は、プレーンなタイプのコートをダラッと着ている感じがピッタリですよね。やっぱりコートほど男を感じるものって僕はないなと思っていて、まさに菊池先生のおっしゃるように、多少の雨など気にしないでコートを濡らしながら大股で歩いている姿というのは、一番カッコイイなと思いますね。
菊池 パリでよく見かけた光景なんですけど、雨の日に傘をささずにコートを着て、雨が入らないようにパイプを下向きにくわえながら歩いてるおじさんがいるんですよ。シビれましたね。コートだって別にパリッとしたものを着ているわけじゃないんですけど、こういう何気ない仕種がサマになるんですから、やっぱり文化が違うなって思いますよ。
赤峰 そうですよね。(注1)アルベルト・ソルディがスプリングコートを羽織っている姿には、なんだか大人の魅力といったものがありましたよ。フレッド・アステア、ケーリー・グラント、(注2)スティーブ・マックィーンなんかもそうです。昔のアクアスキュータムのアクアファイブや、ロンドンフォグのテロッとした風合いのコートとかを何気なく着ているのを見ると、とにかく男が感じられます。
菊池 着古して、身体によく馴染んだ感じがカッコイイんですよね。刑事コロンボなんかはまさにそう。あの汚く着た雰囲気はすごく好きです。
赤峰 ヨレちゃうともう古いと思うんじゃなくて、ヨレてやっとコートらしくなってきたって感覚ですよね。だから新品を着るのは少し恥ずかしい。
菊池 そういう意味で、赤峰さんもよくコートが似合いますよね。
赤峰 ありがとうございます(笑)。僕が思うに、コートというのは95丈、100丈、110丈、だいたいこの3つがレングスの基本だと思うんですよ。あとはウエストを絞っているか、ストレートかといった具合。スプリングコートの場合、いくらサラッと着るとはいっても、やはりそこそこ台襟が高くて、襟に存在感がないといけません。チビ襟というのはちょっとね。ラインも、僕が着ているようにウエストがシェイプされているのだったり、あるいはAラインのコートなんてのもカッコいいと思います。
菊池 あぁ、いいですね。僕は結構Aラインが気分かな。なんといってもシルエットがキレイですよ。
赤峰 Aラインだと、振り返ったときの蹴回しが大きいからフレアがついて、そこに男のエレガンスが感じられるんですよ。雨のときは前をビシビシに締めるんだけど、ラインは優雅っていうのがなんともいえずいいですよね。映画「暗殺の森」(ベルナルド・ベルトルッチ監督、1970年)の中で、(注3)ジャン=ルイ・トランティニャンが着ていたのもそういった風情があって、すごくカッコよかったですね。それと、(注4)ジャック・タチ。丈が短くて少しAラインのコートに、これまたえらく短いパンツを合わせ、足元にはアーガイルの靴下が覗いている。それはそれでフレンチの粋がありました。
■季節感を意識することって凄く重要ですよね
赤峰 ことヨーロッパにおいてスプリングコートというのは、イヤーラウンドの中のベースのコートという感じがありますよね。
菊池 そうですね。向こうはライナーの取り外しって常識みたいだから、冬はスプリングコートの裏にウールとかキルトのライナーをつけて、春になるとハズしてしまう。そんな着回しをしていますよ。
赤峰 最近でこそよく見かけるようになりましたが、もともとヨーロッパに中綿のコートとか、ダウンのコートってあまり存在しなかった。寒ければウールのオーバーコートを着るし、暖かければスプリングの一重のコートを着る。そういう使い分けをしていましたよね。
菊池 現在は地球温暖化などいろいろな問題がありますが、特に都市部にはシーズンがありません。食事でも生活でも、なんでも旬ってあるじゃないですか。そういった季節感を意識することって凄く重要ですよね。これは洋服も同じで、季節をきちんと意識して着ることってとても大切なことだと思います。昔はこの日を過ぎたらこれを着るってことがちゃんと決まってましたもんね。
赤峰 本当にそのとおりです。イギリスの昔のスプリングコートなんかは、アームホールのカマのところにループが両方ついていて、雨でずぶ濡れになったら、ハンガーの両肩に引っ掛けて乾かすようになっているんですね。現代と違って、自然とか、季節にきちんと向き合っていたことが、ここからもよくわかります。
M.E.今回はお二人ともオリジナルを着てご登場いただきましたが、それぞれのポイントなどを聞かせていただけますでしょうか。
菊池 僕はどうしても本筋からハズして物事を考えるタイプだから、あえてリネン素材のコートにしました。シワになりやすいけど、それがまたいい表情になるかなと思って。キレイにしているとなんだか落ち着かないんですよ(笑)。着こなしはビシッとしていても、どこかダラダラした感じが欲しいですね、僕の場合。
赤峰 早くも雰囲気が出てきていますよね。肩もずいぶんとナローでカッコイイです。
菊池 ありがとうございます。僕自身、それが凄く好きでね。スーツの上にコートを着たとき、肩がぐーんと平らになるのがイヤなんですよ。
赤峰 ジャン・ギャバンのトレンチ姿も肩がちょっとドロップ気味になっていてえらくシブい。
菊池 そう、あれがいいんですよ。
赤峰 確かに麻のコートは本流ではなく、やはりクラスなもの。いわゆる機能というよりは、これを着ることによる遊び心の表現ですよね。その点、僕のは逆で、ミリタリーの生地を使ったものです。ブリティッシュミラレーンという、バーブァーなども使っている生地屋の、リアルポプリンと呼ばれる高密度の生地を使い、防水性も高い作り。モデルとしては、'60年代後半から'70年代にかけて、モッズの時代に出てくるようなショートカットのスタイルです。ハ刺しも全部入れて、完全にテーラードな作りをしています。ただ、まだ新品なのでこれからもっといじめ抜いてピリを出したいですね。
菊池 これを着古したら凄くいい味わいになると思いますよ。僕だったらこのコートには、ザクッとしたコットンの、ローゲージの首が抜けているようなセーターを着て、緩めのパンツをはいて、といった感じで合わせてみたいですね。意外と構築的なイメージなので、バランスを崩して着ると面白いんじゃないかなって。
赤峰 なるほど、さすがは菊池先生。では、僕が先生のコートを着るとしたら、そうですね、確か色違いでネイビーもあったと思いますが、そっちを着て、中にコバルトブルーか、ロイヤルブルーのラコステの長袖のポロシャツを合わせ、ネイビーとのグラデーションを見せつつ、リーバイスのホワイトコーデュロイのトラウザースにスニーカーというのはいかがでしょう。春の気分にしっくりくるのでは。
菊池 いや〜、いいですねぇ。赤峰先生、お見事です!
(注1) 「アルベルト・ソルディ」(右)
1920年イタリア生まれ。映画俳優として生涯で約150本の映画に出演し、'95年にはその功績が讃えられ、ベネツィア映画祭において特別功労賞を受賞。'03年没。
(注2) 「スティーブ・マックィーン」
1930年アメリカ生まれ。'56年に「傷だらけの栄光」で映画デビュー。一躍人気スターの仲間入りを果たし、以後アクション映画を中心に数々の作品に出演する。'80年没。
(注3) 「ジャン=ルイ・トランティニャン」
1930年フランス生まれ。'55年に「空と海の間に」で映画デビュー。'66年の「男と女」で一躍有名になり、今やフランス映画界を代表する名優としてその名を知られる。
(注4) 「ジャック・タチ」
1903年フランス生まれ。映画監督兼俳優。'53年、「僕の伯父さんの休暇」を発表。主人公ユロ氏の風変わりなキャラクターとともに世界中で大ヒットを記録。'82年没。
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菊池さん的コートの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
ウイングカラーをこんな風に着ます
フォーマルなウィングカラーシャツの胸元を開け、スカーフとともに合わせる上級ワザ。こうした遊び心は菊池先生ならではといえるでしょう。是非見習いたいものです。
白のベストが気分だそうです
コートの下には、白のベストを合わせています。ウイングカラーシャツにしてもそうですが、カジュアルなものにフォーマルなものをミックスするのが、菊池さんの気分とのこと。
競馬観戦用のステッキで休憩
実はこれ、競馬観戦用のステッキです。通常の使用のほかに、ちょっと疲れたな、というときにはこうして椅子代わりになるので重宝します。ただし、コンクリートの上では×。
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赤峰さん的コートの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
BDの襟ボタンはハズすのが赤峰流
ビビッドなピンクのシャツを選ぶあたりもサスガですが、故ジャンニ・アニエッリよろしく、BDシャツの襟ボタンをわざとはずしてタイドアップしているあたりはサスガです。
ウエストのシェイプがなんとも絶妙です
アカミネロイヤルラインのオリジナルコート。腰にかけて緩やかにシェイプされたシルエットは、'60年代後半から'70年代にかけて、モッズのテイストを汲んだもの。95cm丈です。
ダブルブレストの前を留めて風格を
ダブルブレステッドのフロントを留めて着こなすのも赤峰さん流。オーソドックスなアイテムを選びつつこなしでニュアンスをつけるのは、赤峰さんが最も得意とするところです。
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私はコレを大定番とします!あの人が選んだ定番リストが見たい [MEN'S EX 掲載記事]
星の数ほどある名ブランドの名作の中で、あなたにとっての大定番品とは?
ここに目利きが選んだ定番品リストを、モノの背景やエピソードを交えながら一挙に大公開します!
【インコントロ代表/赤峰幸生 定番リスト】
■ジョン スメドレー ハイゲージウールニット
10枚以上はもっています
「ちょっとしたときの羽織りものとして年間を通して使える堅牢なカーディガン。ネイビー、茶、グレイなどが基本でしょう」
■モンブラン マイスターシュテュック
とても丈夫でクッション性も抜群です
「筆圧の強い自分の文字に耐えられる唯一のペンです。既に25年以上は愛用していて、これからも変わらず使い続けます」
■ドレイクス タイ
色がベーシックなので気にいっています
「ベーシックな色が豊富なところがいい。ドット柄や千鳥、レジメンタルなど時代を超えて使っていける数少ないタイです」
■シャルベ チーフ
なんとも微妙な色合いが見事です。
「1950年〜'60年代の水玉やプリントものなど、基本の柄がいまだに存在していて、その色合いがまたとても気に入っています。」
■ハミルトン ベンチュラ
外に見せない状態で手首にリストさせる
「ヴィンテージモデルを中心に、もう30年以上愛用しています。時計は基本的に小ぶりのモノがエレガントで好みです」
■ペルソール 折り畳みメガネ
ヨーロッパにおけるサングラスの原点
「ヨーロッパのサングラスの原点です。なかでも、'60年代のモデルはコーディネイトがしやすいので、数タイプ所有しています」
■シャルベ シャツ
質の高いレギュラーなシャツです
「15年前にオーダーしたのがはじまり。シャルベのシャツはフィット感が抜群。台襟は高くもなく低くもなく、とても絶妙です」
■エドウィン・ウッドハウス スーツ生地
10年着られる、くたびれない生地
「春夏秋冬問わず、基本的にスーツ生地は保形性に優れた、ヘビーウエイトなものが好みなので、ここの生地よく使います」
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2007年03月06日(火)
MEN'S EX 4月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.11 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
お気に入りのドレスシューズ
今回のテーマは読者の皆様に昔から根強い人気がある「靴」。ファッション界の両巨匠が語ってくれた思い出の靴は、菊池さんが「英国靴のチャーチ」、赤峰さんが「往年のアメリカ靴」という展開になりました。ちなみに、今気になっている靴はお2人ともエスパドリーユとか。その話の内容やいかに?
■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのシャツ
・アカミネロイヤルラインのタイ
・アイリッシュリネンカンパニーのチーフ
・アカミネロイヤルラインの綿ギャバスーツ
・ストール マンテラッシのスリッポン
■(写真左)菊池武夫氏
・グレースのジャージ素材キャスケット
・フェルラのシルクを渡して作ってもらったベルヴェストのジャケット
・フェイヴァーブルックのドクロ柄シルクストール
・Gスターのジーンズ
・ジョンストン&マーフィーのウイングチップ
20代の頃、菊池さんはずっと英国靴の良心と謳われたチャーチを、赤峰さんは往年のアメリカ靴を、それぞれ履いていたそうで、その頃の話で盛り上がっていました。
■菊池さんはチャーチ、赤峰さんはアメリカ靴
菊池 お洒落を本当に意識しはじめたのは18歳くらいで、それまでも意識していましたけど、変な格好していましたから。下駄履いたりとかね。18歳になってからきちんとしはじめたんですけど、当時はチャッカブーツが好きでした。細いパンツにチャッカブーツを合わせてっていう感じ。ただ、革靴は子供の頃からずっと履いていました。今と違って、スニーカーなんか逆にない時代でしたから。赤峰さんが意識し出したのはいつ頃ですか?
赤峰 やっぱり高校生、17歳くらいですかね。僕もハイカットのチャッカブーツが好きでした。「ウエスト・サイド物語」という映画があって、(注1)ジョージ・チャキリスとか、ああいう連中がブーツっぽい靴を履いていたのに影響を受けまして。意識しはじめたのは、多分その頃からですね。菊池さんは思い入れの強い靴ってありますか?
菊池 僕の場合は、なんといってもチャーチです。
赤峰 ほーっ、何歳のときですか?
菊池 20代半ばから30代後半まで。かなり長い間、ずっとチャーチばかりを履いていました。
赤峰 相当早いですよね。
菊池 早かったと思います。一時期、室内履きまでチャーチで揃えて、家の中でも履いていました。いわゆるビロードのスリッパです。
赤峰 どこが好きだったんですか?
菊池 ゴツいところです(笑)。形はベーシックじゃないですか。で、革底なのにゴツい。コバがしっかり張っていますよね。その張った感じが男らしくて好きだったんです。それ以来、僕の靴はゴツいやつばかりになってしまって。ただ、'70年代にベーシックなものを全部やめてしまった時期があるんですよ。ベルボトムパンツはいて、手作りの一枚革で作った変なモカシンみたいなのとか、オランダのサボの変形みたいなのとか、そういうのばかりを履いていて。そのときは、チャーチはほとんど履きませんでした。
赤峰 僕は渋谷が本拠地だったじゃないですか。昔の恋文横丁に「サカエヤ」っていう、いわゆる米軍の流れもののお店があって、アメリカの靴が売っていまして。あそこにあった靴には憧れましたね。その後、初めてニューヨークに行ったとき、ブルックスブラザーズでコードバンのローファーを目にして。今から40年近く前ですけど、やっぱり感動しました。とにかく高かったですけど・・・・・。
菊池 実際に買われたんですか?
赤峰 もちろん、買いました。ただ、手入れが悪かったものだから、コードバンがダメになってしまいまして。
菊池 もったいないですね。やっぱり赤峰さんの根底にあるのはアメリカの靴なんですか?
赤峰 そうですね。最初に出会ったのがアメリカの靴でしたから。(注2)バスのスポートカシンっていう5アイレットの型押しシューズとか(注3)ウォークオーバーとか。フローシャイム、ボストニアンとか、あの辺です。
菊池 ありましたよね。どれも懐かしい名前ばかりです(笑)。
赤峰 あの頃はアメリカの靴に憧れていて、'60年代から'70年代にかけてのアメリカの靴はだいたいひと通り履きました。イタリアのようなキザな靴は履きたくない、みたいなのがありましたからね。あとはフランスのジェイエムウエストンの対抗馬だったジャン バディなんかも好きでした。不思議と、紐靴よりはスリッポンが多かったかな。菊池さんが浮気をせずにずっとチャーチだったのとは対照的です。
菊池 そうですね。どっちかというと、普通のちゃんとした靴はチャーチで済ませてしまったというか。フローシャイムとかも履きましたけど、あまり記憶に残ってないんですよね。
赤峰 昔のチャーチはいいですもんね。最近の靴って、特にイタリアの靴とかって、表現が大げさすぎるものが目につくんですよね。
菊池 やっぱり今の靴ってデフォルメされすぎているから、ときどき恥ずかしい。若い人にはいいですけどね。実態とそぐわないようなカタチをしている靴もけっこうありますから。
赤峰 無理やりロングノーズにしてるというか。同じロングノーズの靴でも、故意にそうするんじゃなくて、バランスのよさがもたらす結果として、ノーズが長く見えるのがいい。
菊池 そうなんですよね。今日履いているジョンストン&マーフィーみたいな木型の靴を探しているんですけど、全然ないんですよね。
赤峰 そういう昔の大切な靴って、菊池さんはリペアとかされるんですか?
菊池 僕はしないんです。本当はしたいんですけど、どうしても放ったらかしになっちゃいます。
赤峰 服でもそうなんですけど、僕も手入れのいいほうではないんです。よく靴の好きな人で靴オタクみたいな人がいるじゃないですか。やたら凝りすぎている人。そういうのは苦手です。菊池さんは、靴はこうあるべき、みたいなのってありますか?例えば常にピカピカでないといけないとか・・・・・。
菊池 靴はきれいであるというより、本当に好きだったら履きますからね。だから、履いたままの感じ。ただ、やっぱりリペアして履くくらいのマメさは、あったほうがいいと思います。僕はやってないですけど(笑)。
赤峰 僕の中では、買いたての靴って嫌なんです。
菊池 あっ、それ僕も嫌です。
赤峰 ヨーロッパの車と同じで、汚れてこないと自分の靴にならない感じがして。真新しい状態を維持するような気分って嫌なんです。どちらかというと、自分の足で革をいじめてやるみたいな。いじめ込んでいかないと、自分の足の形に沿ってこない感じがしますしね。
菊池 手入れもしないんですか?
赤峰 たまにはします。でもしょっちゅうやるとか、そういうのはないです。今日は写真撮るから、あれでも一応磨いてきたんですけど、全然磨いている感じになってないですね(笑)。
菊池 僕も普段はほとんどしないんですけど、今日は一生懸命磨いて、シューツリーとか入れたことなかったんだけど入れて(笑)。
赤峰 一緒ですね(笑)。
■今年はエスパドリーユが凄く気になっている
菊池 映画から影響を受けた靴ってありますか?
赤峰 「第三の男」です。あれはチャーチだったと思うんだけど、ドレッシーってのはこういうものなんだ、みたいなのが、「第三の男」にはある。あと、向こうの連中って、机の上にボーンと靴を乗っけるじゃないですか。
菊池 よくやりますよね。パカーンと乗っけてね。
赤峰 裏がピカッて光っているのが靴の文化だな、みたいな。真似て土踏まずのところを顔が映るくらいにピカピカに磨いた記憶がありますよ(笑)。
菊池 映画でコンビの靴あるでしょう、1930年代のやつ。その頃の映画の服が好きで、自分でもコンビの靴にスパッツをつけたりしましたね。手元にないので最近は履いてないですけど。
赤峰 コンビの靴だと、昔のテレビ版アンタッチャブルのフランク・ニティか、「(注4)華麗なるギャツビー」あたり。
菊池 ギャツビーは、いろいろ楽しめますよね。
赤峰 そうそう。あと、若い頃のイブ・モンタンがエスパドリーユを履いていて、それがカッコよくて、やっぱり憧れました。リビエラのスタイルはエスパドリーユ、みたいな。
菊池 僕ね、実は今、エスパドリーユが凄く気になっているんです。
赤峰 究極のリゾートであり、原点って感じで、あのキャンバスのいろんな色というのが、また何かいいじゃないですか。絶対色が落ちちゃうんだけど。特にエスパドリーユのジュートに黒を合わせるのとかいいなぁ。
菊池 それ、カッコいい!
赤峰 エスパドリーユのローファーとか作ってみたいんですよね。
菊池 是非やりたいですねぇ。
(注1) 「ジョージ・チャキリス」
1934年アメリカ・オハイオ生まれの俳優。高校生の頃からダンサーを志し、'61年の映画「ウエストサイド物語」でベルナルド役に抜擢。
(注2) 「バス」
1876年に創業したアメリカのシューズブランド。ブランドを代表する名作ローファー「ウィージュン」は、'70年代後半に日本でも大ブレイク。
(→)'70年代製バスの「ウィージュン」のデッドストック。
(注3) 「ウォーク オーバー」
'90年代までアメトラファン御用達だったアメリカのシューズブランド。レンガ色ソールをしたダーティバックやホワイトバックスが有名でした。
(→)ウォークオーバーの大定番だったダーティバックス。
(注4) 「華麗なるギャツビー」
スコット・フィッツジェラルドの小説を、1974年に映画化。ラルフ・ローレンが衣装を担当。写真は主演のロバート・レッドフォード。
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菊池さんのお気に入り3足 [MEN'S EX 掲載記事]
30年前に購入したジョン・マは色が◎
30年くらい前に購入したジョンストン&マーフィーの靴。スエードの色が気に入っていて、3年前に眠っているのを見つけてからは、ストライプスーツに合わせて履いています。
場を選ばず愛用のジョン ロブの1足
10年ほど前に購入したジョン ロブの「ノルウェー」というモデル。アッパーはドレッシー、ソールはカジュアルゆえ、スーツにもジーンズにも合わせてご愛用。凄く歩きやすいとか。
色気を感じさせるレ・ユッカス
日本人デザイナーの村瀬由香さんがデザインしたレ・ユッカスの7アイレットプレーントゥ。40カラッツを始めたときに、ビブラムソールで別注。作っているのは、ボナフェ。
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赤峰さんのお気に入り3足 [MEN'S EX 掲載記事]
赤峰さんの定番マンテラッシ
ストール マンテラッシの定番モデル、スエードスリッポン。赤峰さん曰く「主に夏に履いていて、履き潰しては繰り返し買っています。かれこれ6〜7足目かな」とのこと。
ロンドン ロブのビスポークです
20年くらい前に、ロンドンのジョン ロブでビスポークしたセミブローグ。通称ロンドン ロブと呼ばれるこちらは、パリのロブとは異なり、至って真面目な顔つきをしています。
フローシャイムのインペリアル
これまた懐かしい靴が登場。30年ほど前に購入したという、フローシャイムの最高級ライン、インペリアルのウィングチップ。往年のアメリカ靴の面影がたっぷり感じられます。
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2007年02月06日(火)
MEN'S EX 3月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.10 [MEN'S EX 掲載記事]
菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。
「今月のテーマ」
2人の気分の紺ジャケット
本連載6回目('06年11月号)で「『Be Buffalo Forever!』の名を冠したジャケットを作ろう」企画が持ち上がったのをご記憶でしょうか?
4ヶ月の時を経て、この度遂に完成の運びと相成ったわけですが、いやはやお2人のこだわりが詰まった1着は、実に見事な出来映えでした。当然、今回の対談テーマはそれ。
お2人は今日も舌好調です!
■Be Buffalo Forever!の別注ジャケット■
■(写真右)赤峰幸生氏
・リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたシャツ
・1940年代の英国製ヴィンテージスカーフ
・ジョン・スメドレーのニット
・リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたウールパンツ
・エドワード グリーンのシューズ
■(写真左)菊池武夫氏
・CA4LAの帽子
・40カラッツ&525のコットンプリントシャツ
・アンセ・ムーレのスカーフ
・ロダのカシミアチーフ
・Gスターのブルージーンズ
・カチンのアリゲーターシューズ
菊池武夫×赤峰幸生×M.E. 夢のコラボジャケット完成!
40カラッツ&525にて限定20着!8万9250円
モーリス・ロネをイメージした、トリプルネームジャケットです
今回のジャケットのテーマは「死刑台のエレベーター」のモーリス・ロネ。ドロップしつつも美しいショルダーライン、浅めのベントや短めの着丈など、当時のパリの雰囲気を見事に再現した1着です。玉縁ポケットで、袖口のボタンは3つ。2月6日(火)より、タケ先生のお店「40カラッツ&525」にて、限定20着のみ展開されます。8万9250円(ビー バッファロー フォーエバー!/40カラッツ&525 tel03-3408-8562)
生地はエンブレム社のコットンリネンを使用
アイルランドはエンブレム社のコットンリネン(コットン55%、リネン45%)。ヘビーウェイトすぎずでも打ち込みはしっかりしていて、着るほどに味が出ます。
夢のコラボジャケットのスペシャルタグです
今回のトリプルネームタグ。上の帽子マークがタケ先生の「40カラッツ&525」、中央が赤峰さんの「Y.AKAMINE」、下に「Be Baffalo Forever!」の名前が入ります。
■長いプロセスを経てようやく完成しました■
お2人のこだわりが満載です
◇上・上中 最初にテーマを決め、打ち合わせを重ねてディテールや生地などを決めていきました。
◇下中 菊池さんオススメのパリの生地屋に、赤峰さんと生地を探しに行きました。
◇下 パリの生地展、プルミエールヴィジョンにて。今回使用したエンブレム社のジム・コンウェイ社長と赤峰さんの2ショット。
■いいバランスで出来上がったと思います
M.E. 昨年の11月号で、「連載のタイトル『Be Baffalo Forever!』をブランド名にしたジャケットを作りましょう」という企画が持ち上がり、その後お2人の力を結集して着々と作業を進めていただいたジャケットがこの度遂に完成しました。いろいろとこだわりが詰まった1着になったかと思いますが、まずは実際に袖を通した感想を伺いたいと思います。
菊池 本当にいいバランスに仕上がったと思いますよ。そもそもこのジャケットを作るにあたって、みんなで打ち合わせを何度か繰り返し、最終的にフランス映画の「死刑台のエレベーター」をテーマにしようと決めて進めていったのですが、そのあたりの雰囲気はしっかりと表れていますね。例えば着丈は短いんだけど、今風にピチピチしているんじゃなくて、どことなくゆったりした感じがあるところとかね。あとはポケットの位置をやや低くして、ベントを浅くしたのもポイントです。全体のバランスは非常によくまとまっていると思います。
赤峰 菊池先生のおっしゃるとおりですね。テーラード感を保つことのできるギリギリのレングスが絶妙です。しかも、ゆったりとした感じに見えるんだけど、肩にキチッとハマっているから非常に吸い付きもよくて、肩甲骨のあたりの線がちゃんとキレイに出ています。最近のジャケットは、これくらいの着丈になるともうちょっと肩が中に入ったりしているんですけど、これはフレンチの流れを汲んでいるからドロップショルダー気味に仕上がっていますよね。
菊池 それってまさしく今の僕の気分なんです。ゆとりがあるっていうのかな。今の男のエレガンスって、なんでもかんでもイタリアに向かっちゃってますけど、そうした流れに対するひとつのカウンターとして今回のジャケットはあると思います。
赤峰 着丈がちょっと短くて、ベントは浅め。肩のラインはややドロップ気味だけど、意外に硬直的で存在感があって、なおかつ腰にかけては少し絞り感もある。まさしく'60年代のフレンチアイビーの現代版アレンジといったところですよね。
菊池 ドロップサイズも6から7の間ぐらいじゃないですか。今の細身のものってだいたい8ぐらいでしょ。だからシルエットもだいぶ違いますよ。カジュアルにジャケットが出来上がっているっていうのかな。ストンと落ちたシルエットは一見するとダサく映るかもしれませんが、そういった雰囲気ってしばらくなかったから今になって凄くカッコよく見えるんですよね。
赤峰 クラシコイタリアだとか、肩パッドのないアンコンジャケットといった流れがあって、その後はタイトフィットが隆盛を極めている状況が続く中で、改めてこのジャケットを手に取ると、適度なゆとりが感じられて不思議と新鮮さを覚えるっていうのはあります。まさにモーリス・ロネ(『死刑台のエレベーター』の主演俳優)のイメージで、フレンチシックに着こなしたい1着ですよね。
■カーディガンのようにさらっと羽織る
M.E. 生地にもこだわりました。赤峰さんとは一緒にパリの生地展や生地屋巡りもしましたよね。
赤峰 アイルランドのダブリンにある「エンブレム社」ってところの、コットンリネンを使用しています。ラルフ ローレンやジョルジオ アルマーニにもデリバリーしている生地屋ですよ。ここの社長は昔から知っていましてね。かれこれ30年前でしょうか。彼が日本に初めて売り込みに来たときに最初に買ったのが僕でして、彼とはそれ以来の付き合いなんです。アイリッシュリネンの中には糊で固めたようにハードなものもありますけど、ここの生地は割りとソフトなフィニッシュになっているのが特徴です。
菊池 アイリッシュリネンだからか、やっぱり少し光沢がありますよね。コットンリネンだと普通はそんな感じはしないんだけど、これはいい具合にツヤが入ってる。そしてなんといってもカジュアルに見えますよ。ウールだとこうはならなかったでしょう。
赤峰 普段着感があるのは断然こっちでしょうね。で、そのほかの利点としてはリネン100%だとシワが出やすいけど、コットンが入ることによってそれが目立たなくなりますよね。
菊池 そうです。だからこれはシワが目立ちにくいうえに、麻のタッチも残ってますから、そういう面でよかったんじゃないかと思います。
赤峰 バリエーション的にはいろいろな合わせ方ができると思うんですよね。オーソドックスに考えれば、僕のようにグレイパンツに合わせるというのもあるし、一方で菊池先生のようにデニムとのコンビネーションで合わせる手もある。着こなしの選択技は相当多いと思います。
菊池 いや、本当にレンジは広いですよ。色もネイビーで合わせやすいですし。実をいうと、最初の頃はわりと明るめの色を探していたんですけど、'50年代の雰囲気にするのであれば、落ち着きがあっていろいろと着こなしやすい色ということでこれにしました。
赤峰 まさにオールマイティー。カーディガンを着ているような気分で、さらっと羽織ってみるといいのではないでしょうか。
今回も愉快な対談となりました
今回は「40カラッツ&525」のバーカウンターで対談。その際、カメラマンからの「カメラを意識せずに会話してください」というオーダーに対し、菊池先生の第一声は「赤峰さんは何座ですか?」。これには一同大爆笑でした(笑)。
■当時のパリの気分を思い出して作った
菊池 今回はフレンチテイストに仕上げましたけど、やっぱりフランスの服ってイギリス的な要素だったり、イタリア的な要素だったりをバランスよく取り入れた中庸の上手さってのがあると思います。さっきもいいましたが、なんとなく今の僕の気分としてはあんまり尖った感じじゃなく、だけどコーディネーションが成立しているっていうのがいいんですよね。
赤峰 わかります。いってしまえば、究極の普通ってやつですよね。シンプルであればあるほど、そのもの本来の美しさが現れてくる。そういった部分を、今回我々はゆったり感だったり、リラックス感というイメージで捉えてみたわけですよ。
菊池 そうそう。だらんと着た感覚を表現しました。で、そういうアンニュイでスローな感じがあるところとなると、やっぱりフランス、それもパリだと思うんですよ。
赤峰 デカダンな雰囲気がありますね。小難しい哲学の話を延々と夜通しやり合って、それでも解決しないからまた翌日もやっちゃうのはパリならではですよ。だからこそ文化とかアートといったものが根付くんでしょう。
菊池 このジャケットを作るにあたって「死刑台のエレベーター」をイメージしたっていいましたけど、あれって音楽はマイルス・デイビスですよね。もちろん彼はアメリカ人ですし、ジャズ自体もアメリカのニューオーリンズから生まれているんですが、それでも「死刑台のエレベーター」の音なんてすごくアンニュイでフランス的。
赤峰 たとえ同じ曲でもパリで聴くと途端にアートっぽくなるっていうのはありますよね。そうさせてしまう力がパリにはあるんでしょうね。
菊池 ただ、ことファッションに関していうなら、最近のパリにはそういった魔力みたいなものはほとんどないですよね。フランスの影響を受けているファッションってほとんど出てきてないと思いますよ。
赤峰 確かにありませんね。振り返ってみると、僕なんかも若い時分にパリに行き始めたときは、カルチェラタンとかに行ってはクリエイティブな匂いを嗅ぎ回っていた思い出はありますよ。そういった意味で今回のジャケットは、当時のパリの気分を思い出して作ったともいえます。
菊池 ですね。かなり満足のいく形で出来上がったと思います。
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赤峰さん的紺ジャケットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
この色合わせが気分です
フレンチタッチなジャケットには濃いめのオレンジを合わせるのが赤峰さんの気分。で、スカーフを。
胸の膨らみがエレガント
胸の膨らみをもたせた豊かな曲面を描くドレープが、スタイリングを効果的に演出してくれます。
こんな着こなし方もあります
スカーフを出して、シャツの襟も無造作にロールさせる。赤峰さんの得意とする着こなしテクです。
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菊池さん的紺ジャケットの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]
バッジをアクセントに!
レイ・ペトリさん(スタイリスト集団「Buffalo」を率いた人)のレプリカバッジをアクセントに。
中には派手プリントのシャツ
カジュアルにこなしたい菊池さんは、曰く「プリントシャツでいかれた感じに」コーディネート。
こだわりのディテール
ポケット位置が低く、ベントは浅め。菊池さんのこだわりがしっかり表現されたジャケットです。
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Be Baffalo Forever! クリスマスパーティーは大盛況のうちに終わりました [MEN'S EX 掲載記事]
三代さんをゲストに迎えた本連載での対談をきっかけに、みんなで盛り上げようという目的で、クリスマスパーティを12月13日、表参道のモントークにて開催しました。
パーティに来てくださったかたがたをパチリ!
パーティの主役4名です
左から、バセット ウォーカーの三代彰郎さん、赤峰さん、タケ先生、M.E.編集長の松尾。パーティの主役4名です。300名は優に超えるゲストのかたがたが遊びに来てくださり、イベントは大盛況。とっても楽しいひとときを過ごせました。
(←)日本の本格靴シーンを牽引するお2人です
靴特集の度にお世話になっているギルド・オブ・クラフツの山口千尋さん(右)と、ユニオンワークスの中川一康さん(左)。山口さんはドーメル、中川さんはバタクのビスポークスーツ。
(→)40カラッツ&525のMD山口貴光さんです
パーティの企画を練ってくれた40カラッツ&525の山口貴光さん(右)には、マフィアをテーマにご登場いただきました。左は、アクセサリーデザイナーのロジャーさん。
(←)ファッション界の重鎮 吉田十紀人さんも!
トキトのデザイナー、吉田十紀人さん。トキトのカシミアジャケットに、エルメスのカシミアマフラーを合わせた、フレンチエレガンスを感じさせる大人の上質スタイル。
(→)注目のカッター、有田一成さんも!
自身のお店「テーラー&カッター」をオープンし、今最も注目されているカッター、有田一成さん。スーツはもちろん、自分のところで仕立てたもの。有田さんを見れば一目瞭然ですが、ムードたっぷりなスーツを得意としています
(←)M.E.のメインモデル、マルセルも!
本誌のメインモデルのマルセルと、モデルでマルセルの彼女のリサさん。美男美女カップルで遊びにきてくれました。マルセルも日本語で「今日は楽しいネー!」。
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