2012年04月14日(土)
朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘転換点に立つ男の装い’』2012年4月14日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]
皆さん、初めまして。ファッションについてのこのコラムを今週から担当する赤峰幸生です。私が男性編で、女性編の押田比呂美さんと隔週で登場します。
私は東京・自由が丘で1974年にアパレル会社を作り、欧米の洋服を輸入し始めました。国内のセレクトショップや百貨店で、売り場の展開や商品の構成についてのコンサルティングもしてきました。メーカーに、どういった服作りをしていくべきかの助言もしています。
長い経験から今、私が考えているのは「日本の男の装いは転換点にある」ということです。
戦後の日本は、ファッションの分野でも米国に強い影響を受けてきました。「ビジネススーツ」というのは米国の言葉です。日本でも特に職場では男は暗い色調の服を着て、できるだけ目立たないことがよしとされてきました。ただ、スーツを「作業服」として位置付ける、この考え方が、男性の没個性につながったのではないかと感じています。
今、時代は大きく変わろうとしています。経済性を追うことは、我が国には限界が見えてきました。これからの日本人には個性や知性、創造力をより発揮することが求められます。その源になるのは「感動する力」ではないでしょうか。「こんな美しい服を着てみたい」「自分らしい装いをして、気持ちよく過ごしたい」という情動が、人に感動を与える仕事にも通じると私は思います。
日本には古来、「粋」という独自の概念がありました。私たち日本の男はもともと、粋の精神を追求するしゃれものだったのです。服こそは文化の粋です。眠れる個性を目覚めさせる「流儀」を、これから一緒に考えていきましょう。
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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。
Posted by インコントロ STAFF at 10時56分 コメント ( 0 )