AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年06月24日(日)

OCEANS 8月号 連載#17 [OCEANS掲載記事]

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King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」



英国素材の“粋”

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ドーメルのトニックで仕立てたネイビースーツの着こなし

赤峰氏が着用しているネイビースーツは、1950年代、トニックが発表されたころのアーカイブを用いて、自身のプライベートブランド、アカミネ ロイヤルラインにて仕立てた一着。「ヘビーウェイトで、仕立て映えして、シワになりにくい。そして、清涼感が素材から伝わってくる。英国素材のよさが凝縮されている」。ブロードの白シャツとシルクの千鳥格子のチーフは、ともにシャルベ。ブラウンのスリッポンはジョン ロブ。ネイビー無地のタイを合わせて、色使いは控えめに。ドーメルのトニック製、王道のネイビースーツを粋に着こなす。

 
 

 
 すべての服は素材から始まる。(注1)Y.アカミネも、素材からデザインのイメージが膨らむ。そのため、クオリティの優れた素材を求めて世界中を巡る。その中で、最高級素材のひとつに数えられるのが(注2)ドーメルだ。今回はドーメルの代表であるドメニク・ドーメル氏の来日に際し、英国素材の粋について語らった。
 

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素材について語り合うドーメル氏と赤峰氏
対談は赤峰氏のオフィスにて。「赤峰氏はいつも着こなしがエレガント。決して、華美ではなく、控えめな色使い。スタイルが明確で、オリジナルの雰囲気が醸し出されています。服は素材に始まるという考え方に、共感しています」とドーメル氏。「ドーメル氏の着こなしこそ、まさに英国素材の粋を語るよう。会社のトップに立つ人物が、自らの着こなしで素材のクオリティを証明している。服を作る立場にとっては、それが信頼できる証でもある」と赤峰氏。お互いをリスペクトする関係だ。

 

赤峰  ドメニクと初めて出会ったのは、フィレンツェのリベラーノ&リベラーノです。たしか、(注3)アントニオの紹介でしたね。彼も重用していますが、私がドーメルをギャランティするのは何より服地メーカーとしてブレない軸があるからです。つまり、永きにわたる歴史を、揺るぎなく受け継いでいるのです。
ドーメル  私たちは繊維商として商いを始めました。現在ではファッションブランドとしても認知されていますが、服作りはあくまでも素材ありき。クオリティを何よりも優先します。よりよい原毛を探し、糸にし、生地にする。完璧な自社でのコントロールのもと、研究と開発を繰り返す。多くのテーラーやデザイナーが求めるのは、ドーメルという名が付いた生地のクオリティ。また、英国の服地のよさを広く伝えていくことも、ドーメルの使命です。
赤峰  素材作りは一朝一夕にできるものではない。培ってきた歴史があってこそ。だから、英国製の服地が選ばれ、ドーメルに信頼を寄せる。私自身もそのひとり。そして、ドーメルにはドーメルだけの個性がある。その代表例が(注4)トニックです。
ドーメル  モヘア混ウールのトニックは1956年に発表されました。私の祖父が「エレガントな男性には、みっともないシワがあってはならない」と、開発に着手。モヘアは滑りやすい繊維で、新しい技術を用い、完成までに3年の月日を要しました。それが、今日ではドーメルの代名詞的な素材となりました。
赤峰  私自身もトニックのスーツを愛用しています。仕立て映えがし、なによりシワになりにくい。
ドーメル  私も愛用しています(笑)。私たちはトニックのように、過去に開発された素材を大切に受け継いでいます。一方、ライフスタイルや気候の変化に合わせて、新しい素材も必要となっています。近年、日本ではライトウェイトの素材が求められるようになってきました。しかし、どんな素材であろうとも、伝統的な作り方、クオリティを最優先する姿勢は決して変わることがないでしょう。
赤峰  素材は仕立てられてから真価を発揮しますが、その善し悪しは着続けてこそ判断ができる。5年後、10年後、より魅力ある風合いとなるから、英国素材は粋なのです。
 
 
(注1) 「Y.アカミネ」
赤峰氏のプライベートブランド。目利きである氏が選び抜いた上質な素材だけが用いられ、クラシックをベースにデザインされている。展開は全国の有名百貨店や有名セレクトショップにて。


(注2) 「ドーメル」
1842年に創業。フランス人、ジュールズ・ドーメルが英国素材を輸入したことから興り、今なお創業者一族での経営が続く。現在では服地メーカーとしてのみならず、トータルファッションブランドとして発展を続けている。


(注3) 「アントニオ」
赤峰氏が信頼するフィレンツェのテーラー、リベラーノ&リベラーノの当主。


(注4) 「トニック」
3プライ(3本の糸からなる撚糸)のモヘアを横糸に、3プライのウールを縦糸にして織る混紡素材。現在では反物の状態になっている素材の端に、生地ブランドの名前が書かれていることは珍しくないが、その“耳文字”を世界で先駆けたのもドーメル。

 
 

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英国素材の伝統を継承するドーメル

4代目当主のドメニク・ドーメル氏。「トニックという名前の由来は、ユニークなんです。ようやく完成したという日に、祖父はジントニックで乾杯したそうなのです。そこで、トニックと名付けた!知ってる人は案外、少ない。でも、本当の話です」。日本でのクールビズについてコメントを求めた。「地球環境を守ることは大切です。けれど、男性の最高の装いはスーツにタイ。涼しさを得られる素材の開発に取り組み、エレガンスと機能性を両立させていきたい」。

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対談当日の両名のVゾーンはともにエレガントな王道

(写真上)赤峰氏はブラウンのスーツを着用。Vゾーンは襟先がラウンドしているブラウンのストライプシャツに、ブラウンの小紋タイ。ブラウンのグラデーションでの粋な着こなし。
(写真下)ドーメル氏はジェットという素材を用いたネイビージャケットを着用。「スーツはグレーが多く、ジャケットはネイビー。もちろん、素材はドーメルです」。スポーティなイメージのチェックのシャツにグレーのクレストタイで、ネイビージャケットのVゾーンを構成していた。

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

Y.アカミネのシアサッカーのジャケット

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避暑地のホテルで過ごすときのイメージで着こなしたい、夏にふさわしい清涼感のシアサッカージャケット。赤峰氏は白のリネンシャツもしくはネイビーのポロシャツをインナーとし、生成りのリネンパンツに、ブラウンのスムースレザーか、ベージュスエードのスリッポンを合わせて着こなす。ダブルブレストが堅苦しく見えすぎないように、ボタンを外して着るのが赤峰流のこなし方だ。

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出張達人の「上質最低限」拝見! [OCEANS掲載記事]

あの人の気になる持ち物、大公開!

本誌(OCEANS)連載でもおなじみのマエストロ赤峰こと、赤峰幸生氏。
仕事で世界中を飛び回る機会の多い赤峰氏はまさに出張の達人。
本邦初公開!な達人の上質最低限をご覧ください。

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「生活をそのまま持っていく」それが赤峰流の出張スタイル

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 少なくとも年間に6回は海外出張に行くという赤峰氏。氏のスーツケースを開け、荷物の量を見れば、その達人ぶりは明らかだ。
 「これは自分にとって、最低限のもの。僕は、自分の周りにある生活すべてを旅先に持ち込みたい」
 日本の味が恋しくなったときのために日本食ももちろん用意する。では、出張に欠かせないスーツは、何を基準に選ばれているのか。
 「グレー・ネイビー・ブラウン。これが僕の“着こなし三原色”。で、各色を軸にしてコーディネートしていく。靴もシャツもネクタイも“三原色”に従って自由に組み合わせることができれば、旅先でも納得のいくスーツの着こなしが可能です」
 旅先に氏が持っていくスーツを見れば、なるほど、納得の量。
 「僕は旅先でもその日の気分に合わせてネクタイを選びたいのです」
 旅というと、人はいかに必要最低限の荷物で済ませるかを考えがちだ。しかし、氏はそんな「限定された生活」を嫌う。氏にとってそれがたとえ旅先であっても、自宅にいるときと何ら変わらない同じ環境、つまり「生活」が必要なのである。「生活すべてを旅先に持ち込む」。それが、達人の上質最低限への考え方だ。
 
 

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(←)旅の疲れを効果的に取るには気持ちのいい“入浴と睡眠”
左の袋は、氏愛用の漢方入浴剤「救養草」。その名のとおり、海外で疲れたとき、この漢方入浴剤でパワーチャージ。真っ黒のお湯&薬草の匂いの効果は想像以上。仕上げは上質コットンのパジャマでの快眠。
 

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旅だから・・・・というのは、とにかくないのです!(→)
活字も文庫本で読まず、多少かさばってしまったとしても、必ずハードカバーのもので楽しむ。これも赤峰氏流の粋といえる。行動に限りがある旅先であろうと、氏は自身のダンディズムを貫く。

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(←)海外にいても日本の味は不可欠!
「ごはんですよ!」はトーストに、「和がらし」と「ウスターソース」はミラノで名物“コットレット・アッラ・ミラネーゼ(ミラノ風カツレツ)”に塗っていただくとのこと。そんな赤峰氏に一口ねだるミラネーゼが必ず現れるそうだ。

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美しい風景はスケッチブックに描く(→)
旅先で出会う胸を打つような美しい風景は、スケッチブックの上で、その輪郭をなぞりながら、同時に記憶に留めていくとのこと。ゆっくりと刻まれていく記憶は、簡単に消え去ることはないとは氏の弁。画材とスケッチブックは旅の必需品。ちなみに、「コノリー」のレザージャケットを着て出かけるそう。額に入った絵は過去の旅で氏が描いた作品。

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(←)ビジネスマンとしてのたしなみのひとつ
仕事柄、旅先で手紙やメモを残さねばならないシチュエーションは日常茶飯事。氏はそれをホテルのレターパッドで済ますのは野暮だと言う。自身の名前が入ったオリジナルのレターパッドを使うのが赤峰流。

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外国語堪能な氏が使う会話のきっかけ作りがコレ!(→)
「これはナンパ用!」と笑いながら紹介してくれたのが、こちらのアリのおもちゃ。言葉の通じない異国でコミュニケーションを取るとき、こんなグッズがときには役に立つとのこと。とはいえ、氏はもちろん外国語が堪能だ。

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(←)粋な男性ならばカジュアルも完璧に!
旅先では、シワになりにくいコーデュロイパンツが大活躍。特に長い時間着用する機内用の服として、氏の定番にまでなっているそう。コーディネイトは、ポロシャツやスエードのブルゾンを合わせ、足元はコンバース!

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いつもと同じようにネクタイはその日の気分で選ぶ(→)
ネクタイは滞在日数の倍の本数を持っていくのが赤峰流。本数に限りがあると、その日の気分に従えない。つまり、コーディネイト優先ではなく、ネクタイはあくまでも「その日の気分」を優先したいからだとか。これぞ、こだわり。上のアイウェアもご覧のとおり。

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(←)スーツは基本の3着と今もっとも「気分」な1着
赤峰流スーツ選びのルールに従って厳選されたのが次の4着。まず右上の、モヘア生地で仕立てられたグレーのスーツ。これはシャリ感のある薄手の生地で3シーズン対応可。そして左上、モヘアのトニックで仕立てられたミッドナイトブルーのスーツ。氏は濃紺より、やや明るめのネイビーを好む。ネイビーは氏のグレーに続くフェイバリットカラー。そして右下は、茶の夏用シャークスキンで仕立てられた一着。そして夏の旅には、氏が今もっとも「気分」だというシアサッカーのスーツだ。

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ベルトは茶と黒のみで
スーツ用とカジュアル用に!(→)

ベルトはスーツ用とカジュアル用に、それぞれ茶と黒を2本づつ計4本持っていく。つまり基本色のみ。この用意があれば、どんな場合でも対応できるとのこと。

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(←)ドレスアップが必要なときも準備があれば憂いない!
出張時にドレスアップが必要なときのために、ボウタイやシルクのスカーフも持参。タキシードを持参していなくても、チャコールグレーのスーツにダブルカフスの白シャツがあれば、ボウタイひとつでセミフォーマルに装える。

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革靴だってスーツに合わせてこれだけ用意!(→)
「ジョン ロブ」のコゲ茶のワンピースは茶のスーツに、同じく「ジョン ロブ」の明るい茶のウィングチップは紺のスーツに、「クレバリー」の黒のストレートチップはグレーのスーツに合わせるそう。あとは、カジュアルなスタイルに合わせて、「エルメス」のエスパドリーユや「コンバース」のスニーカーを。
 

■赤峰氏の「旅行カバン」

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「サムソナイト」のトランクは空港で預け、「リモワ」のミニトランクは機内用。「ペルックス」の書類カバンは座席の下へ。軽くて薄い「オロビアンコ」のリュックは、予備バックとして準備。この4つが出張時のレギュラー選手。

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2007年06月06日(水)

MEN'S EX 7月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.14 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
コットンパンツを上品に穿く方法

コットンパンツといえば、休日には欠かせない定番アイテム。ただ、上品に穿きこなすのが難しいという悩みもよく聞きます。そんなわけで今回は、コットンパンツの上品な穿き方と着こなしをテーマに、大いに語り合ってもらいました。

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■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのシルクチーフ
・リガッディのコットンツイル地シャツ
・リヴェラーノ&リヴェラーノでビスポークしたリネンヘリンボーンのジャケット
・リヴェラーノ&リヴェラーノのコットンツイル地パンツ
・ストール・マテラッシのスエードスリッポン





■(写真左)菊池武夫氏
・プラダのサングラス
・眼鏡研究社のメガネ
・フェイヴァーブルックのドクロ柄シルクストール
・40カラッツ&525の2006年秋冬のシャツ
・ジル・ロジェのハウンドトゥースチェックのコットンパンツ
・レ ユッカスのスエードシューズ

 
 

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お2人曰く「ほら、『安かったから捨ててもいいよ』って言う人がいるけど、あれは凄くイヤだよね。そういう考え方でいると、今に自分が捨てられてしまう」。
洋服に対する深い愛情が窺えるとともに、人生訓としても有用なお話でした。
 

■「カジュアル=なんでもあり」ではスタイルにならない
赤峰  今回は正直いって迷いましたね。ひと言でコットンパンツといっても、やっぱりイメージするスタイルによって着こなし方がだいぶ違ってきますから。
菊池  ドレスでも、カジュアルでも、コットンパンツというのはとにかく幅がありますよね。
赤峰  (注1)アンソニー・パーキンスあたりが穿いているような、ポリエステル混のいわゆるアメリカ的なコットンパンツもあれば、一方でイタリア的とでもいうのか、クリースをしっかり入れた、ドレスパンツとしての穿き方もある。さらにフランス的なイメージだと、時代によっても異なりますが、今日の菊池先生のスタイルのように、クリースを入れずにソフトな感じで穿くスタイルもあります。どれをイメージするかで穿き方が全く違ってくるから、結構迷いました。
菊池  凄くよくわかるなぁ。なかでも僕の場合、コットンパンツといえばやっぱりアメリカの印象が一番強くてヨーロッパのイメージはあんまりないですね。もちろん夏になればヨーロッパでも当たり前のように穿いていますけど、ハッキリとしたイメージがあんまりないんです。ただ、キレイに穿くという点では、間違いなくヨーロッパでしょう。
赤峰  だと思います。そもそもコットンパンツ自体が、PX(アメリカ軍隊内の売店)から流れてきたモノだったりしたので、まさしくチョコレートやバナナと一緒にコットンパンツがやって来たというイメージがありますね。
菊池  僕はその時代をダイレクトで知っていますよ(笑)。チノパンに軍モノの革のブルゾンを合わせた、要するに空軍のスタイルみたいな感じでね。
赤峰  あの時代のモノで、例えばヘインズのTシャツのように、今でもまだ売られているロングセラーのアイテムがありますが、やっぱりそういったモノは、アメリカの文化に根ざした、いうなればアメリカの良心的な中産階級の日常着という感じがあって、(注2)フレッド・マクマレイが「パパ大好き」の中で穿いているようなコットンパンツとか、僕自身は妙に憧れましたよ。
菊池  僕は、'50年代に写したと思われる、(注3)ジョン・F・ケネディが海辺で家族と遊んでいる写真が凄く印象に残っています。モノクロだから色は正確にわからないのですが、恐らくベージュのコットンパンツだと思います。洗いざらしを穿いて、上は白のポロシャツを着ている姿がよかった。でも、僕の自身としてはカッチリするよりも着崩すほうが好きだから、カーゴパンツのようなラフな感じに惹かれます。まぁ、そればっかりでは面白くないかなと思って、今回は少しドレッシーに振ってみたわけですが(笑)。
赤峰  実にカッコイイですよ。サスガです。だけど、先生の場合、どんなに着崩したとしても、上品さが損なわれることはないですよね。その理由はやっぱりサイジング。ワタリの幅とか、着丈とか、服には必ずバランスというものがあって、そこをキチッとわかっていらっしゃるからです。休日だからなんでもありではないんです。穿き方によってはクリースを入れることもそうですし、それこそジーンズであっても気を使う人はシワを気にして膝を折らないですよね。
菊池  そうそう。膝の裏のシワって凄く気になるんですよ。
赤峰  それがスリムなジーンズだったらなおさら。後ろ姿の見え方にも気を使わないと本当の意味でカッコいいとはいえません。
菊池  けれど、今の人ってほとんど気にしてないですよね。
赤峰  「カジュアル=なんでもあり」だと思ってしまうからでしょう。それだとスタイルにならないんですけどね。
菊池  上品に着ることや、カッコよく着ることというのは、アイテム云々の問題ではなくて、そうした意識のあり方だけでも随分と違ってくるのに。
赤峰  まったくそのとおりですよ。

■オシャレって面倒くさいし、難しいものなんですよ(笑)
M.E.  今回お2人ともスエードの靴を合わせられていますが、何か意図されることがあったのでしょうか。
赤峰  スエードって秋冬のイメージがありますが、僕はこの時期のほうが気分的に履きたくなるんですよ。
菊池  同感です。個人的に凄く印象に残っているのは、(注4)クルト・ユルゲンスという俳優が出演していた「眼には眼を」という映画。彼は医者の役で、ある出来事をきっかけにひとりの男から逆恨みされ、結果的に砂漠に誘い出されるかたちとなって、スーツ姿のままウロウロと歩き回るんですけど、その足元が確かスエードの靴でした。そのとき、「あっ、真夏にスエードの靴ってカッコイイな」って。
赤峰  バックスキンの、特にこの色ってわりに明るい空のブルーとか、そういった色調子と相性がいいですよね。で、僕の場合は、靴も含めた全体のバランスを考えて色のグラデーションを意識しましたね。
菊池  全体のハーモニーがキレイに出ていますよ。
赤峰  ありがとうございます。コントラストというと聞こえはいいんだけど、要するに色の組み合わせが合っていない人は結構多い。無彩色、プラスどの色を軸色で合わせるのか。それによって、靴やベルト、シャツやジャケットなんかも合わせていって、色のバランスを取るとキレイに見えますよね。
M.E.  あと、裾の処理についてもお伺いしたいのですが、お2人ともダブルにされていますよね。やっぱりコットンパンツを上品に穿きこなそうと思ったら、裾をたたくのはNGですか。
赤峰  アメリカっぽく着たいんだったら、たたくのもありだと思います。
菊池  僕はミリタリー風に穿くときはたたいてますね。ただ、普通にシングルで仕上げることはあんまりないかな。シングルはどうしてもドレスアップした感じがあるので、そういった意図でコットンパンツを穿くんだったら、ありでしょうけど。
赤峰  ただ、レングスはウールのスラックスよりは短いかなという程度がちょうどいい。それより長くすると何か汚い感じがしますよね。
菊池  本当にそう。要するに、先程もいいましたけど、すべては意識の問題なんですよ。出掛ける前には必ず霧を吹いてシワを伸ばすとか、そういった心掛けやこだわりがあれば、自ずと上品な穿きこなしができるはず。
赤峰  ごもっともです。膝の裏にシワが入った状態で出掛けるというのは、僕には考えられません。
菊池  一緒です。実際に動いたことでシワが出たりすることは一向に構わないんですが、その状態のままで出掛けることは絶対にあり得ません。
赤峰  膝のあたりがずいぶんと伸びてしまったジーンズでも、いざ穿くときは、その部分をアイロンで追い込んでキレイにプレスを掛けないと気が済まないですよね。
菊池  とにかくコットンだからといって、あんまり粗雑に扱わないことです。お洒落というのは凄く繊細だと思うんです。ドレスアップをしたときも、コットンパンツを穿くときも、お洒落をするという意識において違いはないわけで、だからこそ気を使わなければなりません。クリースを付けるのか付けないのか、裾をたたくのかダブルにするのか。その一つひとつに意味があるとすれば、結果として合わせ方も変わってきますよね。そういう意味で、お洒落って面倒くさいし、難しいものなんですよ(笑)。
赤峰  さらにいうなら、保管の仕方もそうです。クリースの向きにも気を配ったうえで、ウールのパンツと同じようにキチッと保管するべきです。それと、値段が安いからといって何本も買ってしまっては結局のところ安物買いの銭失いになってしまって元も子もありません。そうならないためにも、ちゃんとしたモノを手に入れて、しっかりと大切に穿いていくことが大切。そうした態度が、ひいては上品な着こなしにつながってくるわけですから。
 
 

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(注1) 「アンソニー・パーキンス」
1932年米国生まれ。'56年に「友情ある説得」で本格的にスクリーンデビューを果たし、'60年には傑作「サイコ」のノーマン・ベイツ役で一躍有名に。'92年エイズで死去。

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(注2) 「フレッド・マクマレイ」
1908年米国生まれ。「アパートの鍵貸します」でジャック・レモン演じる主人公の上役を演じたあの人。主な代表作に「深夜の告白」「ケイン号の叛乱」などがある。'91年死去。

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(注3) 「ジョン・F・ケネディ」
1917年米国生まれ。'60年、大統領選挙に立候補し、勝利。43歳という史上最年少の若さで第35代大統領に就任した。'63年、遊説中にダラスで暗殺。その死の真相はいまだ謎。

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(注4) 「クルト・ユルゲンス」
1915年ドイツ生まれ。'55年に「悪の決算」でヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞。「史上最大の作戦」のブルメントリット少将など、ナチの上官役を多く演じた。'82年死去。

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菊池さん的着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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メガネをダブルでコーディネート

タケ先生といえば、メガネ姿はお馴染みですが、今回はさらにサングラスをアクセサリー代わりにコーディネートしてスポーティな気分を演出。早速取り入れてみたいワザです。

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まるでひとり展示会状態です

タケ先生の両手首には計11個ものアクセサリーが!「M・A・R・S」や「グッチ」などに混じって、見本市「ブレッド&バター」の会場でつけたままになっているリボンも!

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パンツはあえてクリースを入れません

もともと入っていたクリースをあえて取り、さらにダブル仕上げすることで、パリの紳士にも通じるこなれた印象になっています。絶妙な着崩しはサスガのひと言です。

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赤峰さん的着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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色の重ね方はサスガのひと言です

「無彩色、プラスどの色を軸色に合わせるかによって色のバランスを考えるといい」と赤峰さん。なるほど、白と茶の色合わせは実に見事なハーモニーを奏でています。

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ドレスソックスを合わせるのが赤峰流

素足で合わせるのもいいけれど、やはり上品かつ正統な着こなしを追求するには、ドレスソックスはマストかと。チラリと覗く白のソックスに、赤峰さん一流の美学が表れています。

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フレンチフロントのシャツでドレッシーに

スポーティに着崩しているように見えますが、あえてフレンチフロントのシャツを合わせるなど、気分はあくまでドレスの延長。赤峰さんならではの着崩し術といえるでしょう。

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2007年05月24日(木)

OCEANS 7月号 連載#16 [OCEANS掲載記事]

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King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」



白パンツの“粋”
 

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白でまとめた夏のドレスアップは素材感を変えてこなすのがコツ!
パンツはサラリとしたコットン混紡のフランネル。ハイウエストで尾錠付き。こちらは赤峰氏のプライベートブランド、Y.アカミネ ロイヤルラインのもの。サファリジャケットはY.アカミネの2007年S/Sコレクションで展開されている一着。一枚仕立てで、ヘビーウェイトのアイリッシュリネンを使用しています。靴は「McAFEE SHOES」という、現存していないと思われるメーカーで、ロンドンのヴィンテージショップにて手に入れたホワイトバックスのウィングチップ。タイはクラススポーツ的着こなしにふさわしい、クレスト入りのレジメンタル。写真では見えませんが、ソックスにも白を合わせています。
 
 
 
ベストを有効活用すれば、よりスポーティにこなせます
Vネックのベストは1950年代のもので、ロンドンのヴィンテージショップにて手に入れたもの。白いシャツを袖まくりでラフにこなし、パンツの素材は右と同じくコットンとの混紡フランネル。テニスやゴルフなど、クラススポーツ的な粋な着こなし例です。

 

 日本では「人は見かけによらぬもの」という言いまわしがあるが、良識のある人は、概ね見かけも魅力的である。趣味のよいものを身に着け、優雅な物腰の人物は、話をしてみると共通項が多く、有意義な時間をともに過ごせる。そういう意味で、身なりとはすなわち自己表現となる。今回は白のパンツを題材としたが、白のパンツをどのように着こなしているか、それは、私とはどのような人物であるかを伝えるひとつの手段となる。
 さて、まずは白の捉え方について。ピュアな白は正装に向いている。一方、日本では生成り、またエクリュとかパンナとも呼ばれるベージュがかった白は、エレガントでありつつ、スポーティな雰囲気。テニスやゴルフ、競馬観戦など、クラススポーツの場面でしばしば用いられる白だ。
 かつて、英国人はインドやアフリカを訪れる際、ベージュにほど近い麻のスーツを好んで着ていた。それは清涼感を求め、かつドレスアップするというマインドを反映したものだ。俗に今では(注1)コロニアルスタイルと呼ばれる。フォーマルまではいかないが、昼間にふさわしいドレスアップした着こなしだ。ホワイトタキシードのドレスダウンしたポジション、とも言い換えられる。
 私が着用しているのは、そうしたコロニアルな白の(注2)フランネル製のパンツだ。ピュアな白で素材がコットンもしくは麻ならば、通常マリンなイメージが強く感じられる。しかし、このパンツは対極。海よりは森。もっと突き詰めれば、未開の地に赴くような雰囲気を備えている。だから、自ずとサファリジャケットがマッチする。白いパンツといえども、捉え方の奥行きは実に深い。かつて(注3)フレッドアステアは白パンツを好んで着ていた。彼のセンスのよさは広く知られるが、白パンツのこなし方も一流であった。
 白パンツを着こなすコツであるが、全身を白一色でまとめる場合には、素材感をグラデーションにすることだ。今回は、ジャケットがヘビーウェイトの(注4)アイリッシュリネン、シャツがロイヤルオックス、パンツがコットンとフランネルの混紡、靴が(注5)バックスキン。このようにして、同じ白で統一しつつ、素材感を変えて合わせる。すると、メリハリが生まれて、スマートにまとまるのである。コロニアルな白ゆえ、健康的な日焼け肌で着こなすことも、粋に見える秘訣となる。
 
 
(注1) 「コロニアルスタイル」
コロニアルスタイルとは“植民地の”という意味。サファリジャケットやショートパンツ、麻のスーツなどがアイテムの中心。通常は白からベージュ、黄土色などのグラデーションカラーで着こなす。


(注2) 「フランネル」
紡毛糸を軽く縮絨して毛羽立たせた毛織物の総称。フラノとも呼ばれる。冬用生地との捉え方が一般化しているが、薄手のものであれば、夏にもふさわしい。


(注3) 「フレッド・アステア」
20世紀を代表するダンサーであり、不世出のミュージカル俳優。粋な着こなしで多くのファンを魅了した。下の写真集も参照。


(注4) 「アイリッシュリネン」
アイルランドにて亜麻の繊維で織られた生地のこと。特有のざっくりとした質感を持ち、現在では生産量が少なく、希少性が高い。リネンの最高峰とも謳われる。


(注5) 「バックスキン」
雄の鹿革を毛羽立たせて仕上げている素材のこと。特に白はホワイトバックスと呼ばれ、19世紀後半頃、オックスフォード大学の学生がスポーツ観戦用に好んで履いた靴がその始まりといわれる。


 
 

赤峰氏所蔵の本より抜粋した、白パンツの粋な着こなし例。

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1_「LE STYLE FRED ASTAIRE」より。
白いパンツの粋な着こなしでは右に出る者がいない、と赤峰氏も語るフレッド・アステア。
ブラウンチェックのジャケットに白のフランネルパンツを合わせて、足元はホワイトバックス。
右側の写真ではテニスラケットを抱えています。

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2_「Slim Aarons:A Place in the Sun」より。
英国の紳士たちが、全身、白の着こなしで、ボウリングに興じている様子。
白をクラススポーツで着こなす参考例です。

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3_「L'ALLURE DES HOMMES」より。
クラシカルなテニスでの着こなし。やはり、全身を白でまとめています。

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4_「Jean Cocteau」より。
フランスの芸術家は着こなしも粋、そのもの。
白いパンツにはニットをレイヤードして、黒いタイを合わせています。

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

Y.アカミネのネイビーストライプジャケットジャケット

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赤峰氏のプライベートブランド、Y.アカミネの2007年春夏コレクションより選んだ一着。デザインはチェンジポケット付きの英国調。仕立て映えするイタリア製のシルクと麻の混紡素材を使用。ざっくりとした風合いと光沢感を兼ね備え、ネイビーに白のコードストライプが配されたジャケットには、マリンリゾートでのドレスアップにふさわしい雰囲気が醸し出されています。白の麻シャツもしくは白のポロシャツをインナーに、下にはミディアムグレーのパンツを合わせるのが、赤峰氏が実践する粋な着こなし方。

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2007年05月07日(月)

Y.AKAMINE 2007 S/S Sample Sale [INCONTRO NEWS]

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6/1 (Friday):10:00〜18:00
6/2 (Saturday):11:00〜17:00



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参考小売価格より 40〜60%OFF

Y.Akamineは厳選された伊国製Subalpino,Carlo Barbera等を素材として使用し、日本の工場で製造をしております。

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参考小売価格より 40〜60%OFF

他にも多数2007年春夏物のリネンやコットン素材のジャケットをご用意いたしましたので、ぜひこの機会にご家族、ご友人の方々もお誘いの上お気軽にお立ち寄り下さい。

※セール会場までの地図はこちらをご参照下さい。
※御来場の際は、ガーデンコート白金台301の[呼]を押してお入り下さい。

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MEN'S EX 6月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.13 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
トレンドのライトグレイの取り入れ方

今回のBe Buffalo Forever!は、ハロッズのクリエイティブ・ディレクターとしてご活躍の坂田真彦さんをゲストにお迎えして、3者対談を行いました。テーマは、今季の流行色であるライトグレイの取り入れ方。日本人には難しいとされてきたこの色も、3人にかかれば、「なるほど」と頷くことしきりです。三者三様の解釈も伺え、多彩な話題で実に有意義なトークでした。

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■(写真右)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・ロンドンで購入したシルクのスカーフ
・40カラッツ&525の2006年秋冬のシャツ
・40カラッツ&525の今季もののカーゴパンツ
・アディダスのスニーカー
 




■(写真中央)坂田真彦氏
・ハロッズのモヘア混ウールのビスポーク
・ハロッズのタブカラー&ダブルカフスのビスポークシャツ
・ハロッズのタイ
・イタリアのリッチオーネが'70年代に仕立てたウエストコート
・ジェフリー・ウエストのチャッカブーツ
  
■(写真左)赤峰幸生氏
・シャルベでビスポークしたポプリンのシャツ
・ニッキーのタイ
・Y.アカミネの今季もののコットンジャケット
・アカミネ ロイヤルラインのヴィンテージ フランネルのパンツ
・アラン・マカフィーの'60年代製白のヌバックシューズ

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撮影の合間の雑談では、10年前のN.Y.の古着屋話を手始めに、「今のファッションシーンは、N.Y.がアツい」という話題で盛り上がっていました。

■ビジネスで着られるかどうかだけで服を選ぶのではない
菊池  グレイという色はもともと好きで、特にライトグレイやミディアムグレイといわれている色がいいですね。黒や白って確かになんにでも合うんですけど、そのどちらでもない気分のときにこのあたりの色がハマってくるんですよ。だから2年前くらい前でしょうか、ライトグレイやミディアムグレイを中心にいろいろと服を作ってみたんですけど、売れなかったですねぇ(笑)。スーツもありましたけど、全然売れなかった。
赤峰  日本の場合、グレイの人気は高いんですけど、やっぱりチャコールグレイなんですよね。日本は目立たないことが美徳とされる社会ですからね。ビジネスウェアとしてのスーツを考えたとき、ライトグレイやミディアムグレイでは目立ってしまうみたいで、敬遠されるようです。
坂田  もったいないですよね。ビジネスで着られるかどうかだけで服を選ぶのではなくて、遊びで着るスーツというのもあるわけですから。
赤峰  そうなんですよ。服を着る愉しみを狭めていますよね。そもそもグレイって肌の色を問わない、凄く合わせやすい色。色白の人でもライトグレイやミディアムグレイを合わせてみるとキレイで品がいいですよ。
菊池  合いますね。日焼けしたらしたで、今度は全体的に締まって見えてバランスはいいですし。
坂田  僕は、ライトからミディアムにかけてのグレイって男っぽくて都会的な色だなと思うんですよ。しかも、今日着ているスーツもそうなんですが、モヘアみたいに光沢感があると余計そういった雰囲気が出ますよね。ビジネスの現場ではあまり目立たないほうがいいのかもしれませんが、それでもギリギリのところで自分を主張する姿勢はもっていたいですね。
菊池  そういう意味では、坂田くんの格好は似合ってる。白のベストを入れたモノトーンな感じがシック。
赤峰  モヘアの光沢感が今の時代感と合ってますよ。洒脱というのかな、クラシックなところをビシッと押さえつつ、ちゃんと遊びが入っている。
坂田  ありがとうございます。お2人からそんなことを仰っていただけると、恐縮しちゃいますね(笑)。
M.E.  では、坂田さんから見てお2人の格好はいかがですか?
坂田  本当にカッコいいと思いますよ。勉強になります。例えば赤峰先生がお召しになっているオフホワイトのパンツ。グレイと組み合わせると凄くエレガントですよね。
赤峰  いわゆるエレガントスポーティなんですよね。ジャケットがライトグレイじゃないですか。これがダークになるとドレッシーな感じが出てくるけど、ここまで明るいとスポーティさ、軽快さが出る。
菊池  1930年代のテニスルックのスタイルという雰囲気ですね。
赤峰  さすが菊池先生。まさしくそれをイメージしました。テニスクラブのメンバーがするジャケットスタイルですね。
坂田  タケ先生はシャツが印象的です。それはシルクですよね?
菊池  そう。
坂田  ウエイト感を含め、ライトグレイってドレープした柔らかい感じが凄く合うんだってことがわかりました。レディスではよく見るんですけど、メンズでも取り入れられるんですね。自分の頭の中にはなかったので、とても新鮮でした。
菊池  確かにこういうのってメンズにはない。シルクならではのドレープの感じはキレイだよね。

■グレイは、組み合わせ次第で実におもしろい表情に
赤峰  グレイといえば“タテ目”の時代のベンツのマットなグレイ。あれは凄くキレイでした。
菊池  はいはい、わかります。メタリックじゃないヤツですよね。確かにカッコよかった。
赤峰  ボディはグレイなんだけど、中のシートは赤だったりして、あの色のコンビネーションの美しさというのは今でも記憶に強烈に残ってます。先ほど気付きましたが、菊池先生も靴下を赤で合わせていらっしゃいますよね。グレイと赤の組み合わせはやっぱりカッコいいですよ。
坂田  わかります。僕も'50年代の、グレイとサーモンピンクからレッドの色合わせが好きなんですよ。グレイのブルゾンにアーガイルのプリントがしてあったり。
赤峰  あとは、グレイと茶、そして日本人はあまりやらないけど、グレイと黄色もいい。
菊池  あぁ、黄色はキレイですよ。ちょっとトーンを変えた、クリーミーなベーシュみたいなものとも合います。
赤峰  そう考えると、グレイというのは組み合わせ次第で実に面白い表情を見せてくれますね。
菊池  僕は若い頃ジャズがもの凄く好きだったんですが、'50年代、'60年代のジャズマンはよくグレイの光った感じのスーツを着てましたよ。モヘアの光沢というよりも、安っぽい化繊の妖しい光沢ですね。でもなんていうのかな、そういった感じが逆にシャープに見えて、えらくカッコよかった。
赤峰  いわゆるシャンタンみたいな生地でしょう。
菊池  そうです。ちょっと趣味が悪い感じの。
坂田  そういう崩れたところに色気だったり、魅力だったりを感じることってありますよね。
赤峰  桜の花は、青空よりも曇り空で見たほうがキレイっていうじゃないですか。まさしくそんな感じですよね。
菊池  で、またピンクのシャツを合わせたりするんですけど、黒人だから妙に似合うんですよ。
菊池  黒人といえば、(注1)サミー・デイビスJr.、などは、テカテカ光ったグレイのスーツなんかがよく似合ってましたよね。それとシャンタンのスーツだと、(注2)ケーリー・グラントあたりが着ていた、深めの2つボタンのスーツなんかは洒落てましたよ。
坂田  「007」のときの(注3)ショーン・コネリーも、サヴィル・ロウ仕立てのグレイスーツをスキがなく着てました。
菊池  あぁ、あれもよかったですね。
坂田  そういった意味では、グレイというのはかなり振り幅がありますよね。エレガントにまとめることもできるし、ちょっとギリギリのところを攻めてもそれはそれでカッコいい。
菊池  同じグレイにしてもトーンだったり、素材だったりでいろいろと幅が出てくるから、そこを愉しみながら着てもらえるとおもしろいんですけどね。ひとつの趣味や志向に固執しすぎると、そこから少しでもハズれた時点で、もうダメだ、って感じになっちゃうでしょ。日本人はエレガンスということをわりに知っている人種だと思うんだけど、それでもやっぱり取り入れ方が下手ですよね。
赤峰  日本人だと、白州次郎がグレイのダブルブレストを着ていましたよね。あれはエレガントでした。
菊池  何よりあの人は顔がいいし、背も180cmぐらいありましたからね。
赤峰  今季はライトグレイが流行ですが、こうやって改めてグレイという色を考えてみると、僕自身凄く好きな色なんだなと実感します。ワードローブの実に8割ぐらいはグレイですからね。
坂田  色のトーンだったり、素材のバリエーションだったり、楽しみ方が豊富ですからね。
赤峰  そう。カシミアもいいし、(注4)トニックもいいし、シルクもいい。
坂田  それ以外にも高密度のナイロンとか、ポリエステルもいいですよね。
菊池  レザーもね。マットなグレイのレザーもこれまたカッコいいですよ。
赤峰  年齢はあまり関係ないんでしょうけど、それでもやはり髪の毛に白いものが目立つようになってきたら、グレイ、それもライトやミディアムあたりのグレイを着てほしいという思いはありますね。
菊池  白髪が入ったような年齢の人がグレイを着ていると、妙にエレガンスを感じさせるんですよね。

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(注1) 「サミー・デイビスJr.」
1925年にニューヨーク生まれ。3歳で初舞台を踏み、その後フランク・シナトラに才能を見出され、20世紀のアメリカを代表するエンターテイナーのひとりに。'90年死去。

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(注2) 「ケーリー・グラント」
1904年英国生まれ。「めぐり逢い」('57年)、「北北西に進路を取れ」('59年)、「シャレード」('63年)など、映画史に残る名作に出演した二枚目スター。'86年死去。

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(注3) 「ショーン・コネリー」
1930年スコットランド生まれ。「007」シリーズの初代ジェームズ・ボンド役で有名に。その後も多数の映画に出演。'99年にはナイトの爵位も得た。昨年、俳優引退。

(注4) 「トニック」
ドーメル社が開発したモヘア混紡の生地。3本の撚糸で織り上げていることによる張りの強さと、モヘアならではの贅沢な光沢感がが特徴。独特の風合いにファンは多い。

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菊池さんの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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トーン違いで合わせます

トーン・オン・トーンでグレイをコーディネイトしたタケ先生。頭からボトムにかけて色調を明るく変えてゆく着こなしはさすが。このセンス、是非とも見習いたいものです。

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グレイに赤が利いています

全身をグレイでコーディネイトした中で、合わせたスニーカーに赤があしらわれていることもあり、ポイントに赤の靴下を合わせたそうです。チラリと見えたとき、しびれました。

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赤峰さんの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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ダブルのボタンはひとつ掛け

着こなしでニュアンスをつけるのが上手な赤峰さんらしく、ダブル6つボタンのスーツは、あえて下1つ掛け。絶妙なシェイプ感が出て、腰周りのシワもいい味になるそうです。

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パンツはベルトレスです

今回のコーディネイトは、'30年代のイギリスのテニスルックをイメージ。というわけで、パンツもベルトレスでクラシックな雰囲気を伝えています。細部のこだわりはサスガ。

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坂田真彦 Masahiko Sakata [MEN'S EX 掲載記事]

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1970年和歌山県生まれ。デザインスタジオ「アーカイブ アンド スタイル」を主宰。ハロッズでクリエイティブ・ディレクターを務めるほか、昨年末、青山にヴィンテージセレクトショップ「アーカイブ アンド スタイル」を開店。

坂田さんの着こなしテク

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時計とサングラスで光沢感をプラス

スーツのモヘアの光沢と、サングラスのフレームの光沢、そしてゴールドの時計の光沢。品が悪くならないギリギリのところで存在感を出す。それが坂田さん流のコーディネイト。

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白いベストでエレガントさを演出

曰く「都会的なイメージがある」グレイのスーツは、モノトーンで組み合わせるのが気分だそうです。今回はそこに白のベストを加えて、よりエレガントさを演出しています。

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2007年04月24日(火)

OCEANS 6月号 連載#15 [OCEANS掲載記事]

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King of Elegance

マエストロ赤峰の
「粋がわかれば、すべてがわかる」



茶革の“粋”

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骨太な茶革のブリーフがスーツ姿に深みを与えてくれる
赤峰氏が着ているのは、グレーのキッドモヘア素材のダブルブレストスーツ。そして、氏が携えているのは、25年ほど前にミラノにて購入したヴァレクストラのブリーフケースだ。素材はチンギアーレ。丈夫であるがゆえに、長く使い続けることができ、茶革が見事な味わいに変化している。氏曰く「ヴァレクレストラはブランドでありながらこれ見よがしにならない、粋なブランド。職人を大事にしているからこそ、優れた革製品が作られている。機能性のためのデザインは飽きることがなく、初めは硬かったチンギアーレも使い込むうちに柔らかくなってきた。イタリアでも、イギリスでも、このブリーフケースを携えていると、どこのものか?と尋ねられることが多い。それは革が魅力的に映ることにほかならない。ヴァレクレストラだと答えると、皆、納得する」。
 

 今の世の中は、時間に追われている。利便性ばかりが求められ、何事も即物的である気がしてならない。それはファッションについても然り。しかし、そうしたマーケティング主導で作られたモノには魅力を感じられるものが少ない。イタリアでは「(注1)ファット ア マーノ」という言葉が重んじられる。職人の手作りによるモノは完成までに長き時間を要し、そして時間をかけた分だけ魅力を備えていく。私はブランドの名前にはこだわらないし、ブランド名があからさまなのは好まない。しかし、職人を育て、大事にし続けているブランドを選ぶのは、ゆったりとした時間の中で良質なモノを作り上げ、必然的にクオリティが高いからだ。特に革製品は、それがことさらである。
 (注2)ヴァレクストラのブリーフケースはそうした理由で選び、ミラノの店で購入して以来、25年ほど使い続けている。デザインありきではなく目的に適ったシンプルで飽きのこないもので、素材の(注3)チンギアーレはとても丈夫。使い始めは硬いが、使うたびに柔らかくなり、しっくりと手になじむ。それが心地よい。やや明るめの茶を選ぶのは、黒よりも味が出やすく、茶の色合いが濃くなるにつれ、艶が増して美しい風合いとなるから。キズですら、味となり魅力のひとつとなる。(注4)スマイソンのパスポートケース、ティファニーのアンティーク時計、(注5)チェレリーニのコインケースも使うほどに味わい深くなる茶革がいい。まだ幾分、味が足りないが、今よりも来年、そして5年後、10年後の色合いが楽しみだ。
 長く愛用して味の出た茶革の小物を身につけていると、揺ぎない芯が自分に一本通っているようにすら思える。そして、きっとそれは男らしい趣味のよさでもあるのだ。多少、値が張ったとしても結果的に得をするということを思えば、その価値以上の価値を見出すことができるはず。
 最後に着こなしについて触れよう。革小物は色を揃えるのが基本だ。特に鞄と靴。財布や名刺入れ、時計のベルトも揃っていた方がスマートに見える。黒であれば黒で統一すること。それは難しくない。茶であればもちろん茶で統一を。その際、濃淡までも合わせようとする向きもあるが、私は気にしない。揃いすぎているのも不自然で、使っている年月に応じて色合いが変わるのだから。
 
 
(注1) 「ファット ア マーノ」
「fatto a mano」はイタリア語で手作りという意。職人が丁寧に一針一針縫い上げた革製品は、丈夫で傷んでも直しが利き、長く愛用できる。


(注2) 「ヴァレクストラ」
1937年、ミラノにて創業した老舗。クオリティを重視した革製品に定評がある。日本では銀座に路面店があり、多数のアイテムを揃える。


(注3) 「チンギアーレ」
イタリア語でイノシシ革の意。古くから高級素材として用いられ、鞄や財布のほか、グローブにも使われる。丈夫で、キズつきにくいことが特性。


(注4) 「スマイソン」
創業は1887年。英国王室御用達の老舗で、ステーショナリーを中心として扱う。ロンドンではニューボンドストリートにショップを構える。赤峰氏はパスポートケースのほか、特注したネーム入りの便箋も愛用。


(注5) 「チェレリーニ」
1956年にフィレンツェにて創業以来、クオリティ重視の姿勢を貫き、熟練の職人が丹念に革製品を作り上げ、各界の名士を顧客に抱える。


 
 

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経年変化が魅力となる茶革の鞄を愛用する、英国紳士の粋
赤峰氏所蔵の本「BRITISH POLITICAL」より。写真の人物はチャーチル時代の内閣で活躍した政治家、HUGH DALTON。デスクの上に置かれているブリーフケースにご注目を。何年も使い込んだのであろう、深い味わいに変化している茶革が見て取れる。まるで、これまで歩んできた自分の歴史が刻み込まれているかのようだ。特に英国紳士にはモノを長く使い続ける精神が根付く。氏はそうした姿勢をとても粋と感じる。
 

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金具を修理し、寿命を延ばす。
そして、永く愛用し続ける!

少々乱暴に扱っても革はへこたれないが、25年も使っていたら、金具の部分が壊れてしまったそう。赤峰氏は靴の修理で知られるユニオンワークスに依頼し、壊れた金具を取り替えた。「壊れたら修理して使う。使い捨てはしない。この鞄はまだまだ現役だ。今後、この革はもっといい色に変化していくだろう。」

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今後の革の味わいの変化が
楽しみなパスポートケース

ロンドンにあるスマイソンで5年ほど前に購入したピッグレザーのパスポートケース。こちらは海外出張のときに使用。同じものを長く使っていたが、ミラノからフィレンツェに向かう列車の中で盗難にあってしまったとのこと。お金よりも、味の出ていたパスポートケースを失ったことが残念と語る。

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腕時計よりも魅力を感じるのは
味が出ている茶革のベルト

ステンレスベルトの腕時計は好まない赤峰氏。このティファニーの腕時計は10年ほど前に、ニューヨークのアンティークショップで見つけて購入。革に汗が染み込んで、部分的に色が濃くなる。それは使い続けていれば自然なこと。そういう変化を楽しむことに、革の醍醐味があるのだ。
 

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海外出張時に便利な
仕分けのできるコインケース

フィレンツェのチェリーニで購入。グリーン、レッド、ベーシュ、ネイビー、それぞれのジッパーごとに4室に分かれているので、ユーロ、ポンド、ドル、円の小銭を仕分けられるのが重宝する。普段、赤峰氏は財布を使わないそう。札やカードは特大のクリップで挟んで使用している。
 

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今月の赤峰ワードローブ [OCEANS掲載記事]

Y.アカミネのコードストライプのサマージャケット

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赤峰氏のプライベートブランド、Y.アカミネの2007年春夏コレクションにラインナップされているジャケット。かつてロンドンで購入したジャケットを今日的に復刻したもの。素材はイタリアのファブリックメーカー、フェルラ社によるもので麻×シルクの混紡。ネイビーのコードストライプが特徴的。デザインは2ボタン、センターベント、ポケットはチェンジポケット付きのスラントで英国調。白シャツにグレーパンツでリゾート風のこなしがおすすめ。ジャケットは日本橋三越本店、他にて展開

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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