AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2014年03月29日(土)

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「色に遊ぶ春」 2014年3月29日(土)掲載"

若い読者の中には、「ピーコック革命」をご存じでない方もいるかもしれません。
「男性もピーコック(オスのクジャク)のように、もっと色彩豊かな装いを楽しもう」という動きで、1967年に米国のディヒター博士が提唱し、総合化学繊維メーカー、デュポンが推進しました。

デュポンによるポリエステルとウールの合繊素材は、洗濯が簡単で発色に優れていました。

今で言う量販店が広がって、大量消費時代が本格化する時期であり、カラーシャツが爆発的に売れました。
これを機にメンズファッションのカジュアル化も進みました。

米国が豊かでさまざまなムーブメントが起きた60年代から70年代のスタイルをどうかみ砕くかは、常にメンズファッションのテーマになります。

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イラスト・YAB

今も洋菓子のマカロンが人気を呼んでいるように、「色が欲しい」という気分が世の中に広がっているようです。

グレーやネイビーといった落ち着いた色調のビジネススーツに、シャツやネクタイでちょっと色みを足してみる。

暗い冬から「春が来た」とばかりに、ビタミンカラーでフレッシュな感覚を取り入れるのは、装いの粋な楽しみ方です。でもやたらに色を増やすのではなく、無彩色(白やグレー)のほかは2色までに絞った方が賢明でしょう。緑色なら、森林のような深い緑は、常に男性にしっくりフィットします。

でもこの春は、あえてピーコック革命を想起させるケミカルなグリーンで、ポップなイメージを作り出すのも面白い。
 

日本に暮らす人々は、繊細な色彩感覚をもっています。春になると、和菓子にまで若草色を取り入れて、季節感を表現する。

身に着ける物も同じです。色に遊ぶ春を楽しみましょう。

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朝日新聞社に無断で転載することを禁止します
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2014年02月18日(火)

チェックの着こなし方 [朝日新聞掲載記事]

クラシックな英国スタイルが注目され、チェックや千鳥格子といった伝統的な柄が見直されています。ジャケットの服地にも柄物が増えてきました。

 そのこと自体は結構なのですが、着こなす上では難しさがつきまとうことは押さえておきたいと思います。

 まず色がやたらに多く、目立つチェックは普段使いには向いていません。「また同じジャケットを着ている」と見られてしまうからです。選ぶなら、遠目には無地に見えるような、控えめなものから入った方が活躍が期待できます。

 そして、柄と柄の組み合わせはすべきでありません。上着がチェックならワイシャツは無地が基本で、ネクタイも控えめなものがマッチします。

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イラスト・YAB

 ストライプのスーツにストライプのワイシャツを合わせている男性をよく見かけますが、成功例はまれ。ストライプがしゃれているからといって、その掛け合わせでおしゃれの度合いが増すわけではありません。引き算が大切です。もしトライするのなら、ワイシャツのストライプは無地に見えるような、ごく細かな柄を選ぶべきでしょう。

 そして上着のチェック柄に含まれている色だけで、全身の色を統一することも大切です。グレー地に青色のチェックなら、使ってよいのは青と靴の色だけです。ポケットチーフも色をそろえ、派手なものは避けるべきでしょう。

 ウインドーペーンという窓枠のような格子柄も増えていますが、格子の大きさと体つきのバランスはよく吟味した方が良いでしょう。

 ここまでチェックのこなし方を解説してきましたが、「無地に勝る柄なし」という言葉もあります。流行に飛びつかないスタイルもまた粋ですね。

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2014年02月01日(土)

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「スロー」が生む価値 2014年2月1日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

クラシックを訪ねて三千里。去年、ロンドンから2時間ほど急行列車に揺られ、サマセットにある毛織物の名門「フォックスブラザーズ社」を訪ねました。辺りは広大な牧草地で、羊や牛が点在する風景の中に、紡績工場がありました。

 1772年創業のフォックス社は、チャーチル元首相やチャールズ皇太子など、今も昔も英国紳士に一流の服地を提供してきました。特に表面を起毛させた仕上げのフランネルで、世界にその名を知られています。

 数年前に経営を引き継いだダグラス・コルドーは、「スローこそが我が社の強みだ」と言います。45年前から使う旧式の織機は、ゆっくりと糸を打ち込んでいきます。そして、手持ちは柔らかいものの、しっかりとした芯が感じられる仕上がりの織物を生み出します。これはスピードが速いことを重視する最新式の機械では、実現が難しい味わいなのです。

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イラスト・YAB

 もちろん、元経営コンサルタントであるダグラスは、顧客の要望に応じて、より軽さを感じる現代的な織物も作っています。生地の重さを変え、2500もの織り柄をもつ柔軟性やバランスこそが、今や従業員28人となった名門が生き残っていくすべなのでしょう。

 工場のすぐ近くにあるショールームには、たいへん古い同社のバンチ(生地見本帳)も収められていました。歴史に敬意を払いながら前進する老舗の姿を垣間見ることができます。

 スーツの裏地には服地メーカーのタグが縫い付けられていることがありますから、ぜひご注目を。フォックスなら、まずは基本のブレザーが最高です。投げ捨てられるファッションとは違う、次世代に受け継いでいける上着の良さを味わうことができます。

Posted by インコントロ STAFF at 11時09分 Permalink  コメント ( 0 )

2014年01月20日(月)

Akamine Royal Lineオーダー会 "Irish Linen Colletion" [Special Pattern Order会]

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いつもAKAMINE BLOGをご訪問いただき誠に有難うございます。

来る2月3日(月)から10日(月)の7日間(9日の日曜日を除く)、インコントロでは2014年春夏スペシャルオーダー会を開催致します。

今回はIrish Linenを各種ご用意致しましたので、どうぞお気軽にご来場くださいますようお願い申し上げます。

なお、ご来場の際には電話もしくはメールで事前にご連絡頂きますようお願い致します。

電話: 044-871-5330
メール: info@incontro.jp 

◆日 時◆
2月3日(月)、4日(火)、5月(水)、6日(木)、7日(金)、8日(土)、10日(月) 10:00-19:00
◆場 所◆
 株式会社インコントロ
 神奈川県川崎市高津区末長2-36-16

Posted by インコントロ STAFF at 14時46分 Permalink  コメント ( 0 )

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 同じような物を買う 2014年1月18日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

年が明けて、初買いやバーゲンセールを楽しまれた方も多いことでしょう。今回は、私の買い物のセオリーについてお伝えしたいと思います。

私が手がけるスーツブランド「アカミネロイヤルライン」のお客様には、「50代でワードローブを完成させましょう」といつもお話ししています。「良いものを少しずつ」が基本的な姿勢です。

例えば現在のような寒い季節なら、基本となるグレーのフランネル(起毛感があるもの)、紺のシャークスキン(サメの肌のような細かい斜めの柄)といったスーツを3着。5着あれば言うことがありません。さらに少なくともシャツを5枚、ネクタイ3本、ポケットチーフ3枚といったところでしょうか。コートも1着必要ですね。

こうしたセットが、秋冬と春夏でそろうと、買い物は一巡したことになります。

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イラスト・YAB

そして新たに買い物をする時には「同じようなものをついつい買ってしまうのが正しい」ともお伝えしています。自分のスタイルが固まってくると、似合うものもよくわかり、気に入って頻繁に身に着けるものこそ、繰り返し買ってよいのです。「まだ、こんな色や柄は持っていないから」とさまざまなものに手を出しているうちは、「ファッションに迷う若者」です。

だから、「新しい店には行かない」というのもシブイ選択です。新しいヒットをどんどん作りたい売り手側のサイクルに組み込まれることなく、3年経って店が残っていたら行ってみるぐらいが、ほどよい時代の取り入れ方ではないでしょうか。

買い物が好きだと、「これ欲しい」という衝動が常に襲ってきます。常に「自分が持っているものに合うかどうか」を軸に検討を進めましょう。

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2014年01月07日(火)

だしが利いた服を [朝日新聞掲載記事]

去年のことになりますが、「いのちのスープ」で知られる料理研究家、辰巳芳子さんのドキュメンタリー映画を見ました。米寿を超えた今も、丹精込めてだしを取った汁物を作り、庭の梅を漬け込む仕事も続けています。その生き方に教えを請いたいと、料理教室には順番待ちの列が絶えないといいます。

 いま、都会で働く人たちは、たいへんなスピードを求められています。常に「早く」「効率的に」とせき立てられ、まるで五倍速の時計を身に着けているかのようです。

 傑作を数多く残したアニメ映画監督の宮崎駿さんが、商業ベースでは自分のペースで仕事ができないと、長編の制作舞台から降りることを決めたのも去年のことでした。丁寧な仕事と、現代ビジネスの速度がかけ離れてしまったことへの苦悩があったのではと推察します。こうした時代だからこそ、「カチカチ」としっかり時を刻んでいくような仕事が尊いのにと、残念に思います。

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イラスト・YAB

 「ファッション」と言えば、移り変わりが激しいものと思われているかもしれません。確かに、日本では最近まで、「これを着ないとまずいかな?」というマス消費が続いていました。結果、不要になった服をどんどん捨てていきました。

 しかし、最近は「ずっと続いていくもの」が共感を得て選ばれるようになったと感じます。

 本当に良い服とは、丁寧に染め、糸を紡いで、織り込んで、縫い上げたもの。手間ひまをかけた、いわば「だし」が利いた服です。調味料を振りかけるのではなく、素材からしっかり時間をかけてうまみを抽出したものだと言えます。

 新しい1年が始まりました。さらに「だしが利いた服」に目を向けて頂けますように。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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衣服論

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MEN'S EX 2011年8月号 赤峰幸生が行く至高のMADE IN JAPAN vol.1クレアシオン

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朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘転換点に立つ男の装い’』2012年4月14日(土)掲載

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