2013年09月18日(水)
Akamine in Europe [Weekly Akamine]
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2013年09月17日(火)
Akamine in Europe [Weekly Akamine]
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2013年09月12日(木)
MEN'S EX 2013年10月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 10 [MEN'S EX 掲載記事]
自分の定番≠作ろう その@
『リヴェラーノ&リヴェラーノ』
消費的なファッションから真の洒落者は生まれない
仕事柄、世界各地で多くの洒落者を目にする機会がありますが、彼らには共通する点があります。それは、確固たる自分のスタイルを持っているということ。誰かの家を訪ねたとき、その人の生活が染み込んだ、その家ならではの匂いを感じるように、着こなしからその人ならではの匂いが薫る。そんな装いを見ると「こいつ、ヤリな」と思ってしまいます。
自分のスタイルを確立する方法。それは、これと決めた自分の定番アイテムを、ある程度長く着続けていくことです。すると、服が自分に一体化して着こなせる≠謔、になります。そして、自分ならでのスタイルが培われていくのです。
トレンドを追い求めるあまり、消費的なファッションの陥っていないでしょうか。それでは、自分のスタイルを築くことはできません。自分の定番を持っている人は、流行に振り回されるのではなく、自分の定番を軸として、そこに流行を調味料のように加えます。そのため、時代遅れに映ることもないのです。そんな自分の定番≠作るためのご参考に、私が愛する定番をご紹介しましょう。
初回の赤峰的定番は、フィレンツェのサルト、リヴェラーノ&リヴェラーノのスーツ。現オーナーのアントニオとは30年来の友人で、今では家族ぐるみの付き合い。もちろん他のサルトとも交流を持っていますが、リヴェラーノは行きつけとしてとりわけ懇意にしています。今まで何着もス ミズーラしましたが、それらはすべて私の定番品。10年、15年前に作った服もいまだに来ています。
私がなぜリヴェラーノにこだわるのか。……その理由を説明するのは、実は少々難しいことです。特徴的なディテールはいくつかありますが、私にとってそれらは、リヴェラーノにこだわる最大の理由にはなりません。強いて言うなれば、アントニオとの信頼関係。これが一番の理由です。注文服においては、作り手との意思疎通が最も重要。互いの好みと美意識を理解し、共感してこそ、満足のいく一着が生まれるのです。アントニオは私の最も良き理解者のひとり。生地から仕立ての好みまで、完全に把握しています。私が彼を訪ねると、彼は店の奥から、他の客には出さないような、目付けのある重厚な生地を出してきます。生地に対する私のこだわりとして、横糸の密度が高いヘビーウェイトのものを選ぶ、というものがあります。10年、20年と長く着るためには、耐久性が重要だからです。よって私のスーツはもっぱら、英国生地や自分で企画した日本生地で仕立てられたものるその重厚な生地を使いつつ、仕立ては柔らかく。これが私のこだわりなのです。アントニオはそんな私の好みを重々知っているからこそ、とっておきの生地を出してくれるのです。
「クラシックはひとつ」とアントニオはいつも語ります。数多くのサルトをとっかえひっかえするのではなく、軸足をひとつに置くべしという意味です。こんな考え方も大いに賛同するところ。私のクラシックスタイルを体現する一着が、リヴェラーノのスーツなのです。
今月の総括
長く愛用する自分の定番を持てば、流行を超えたスタイルを築ける
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2013年09月09日(月)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 『スタンダードをつくる』 2013年9月7日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
ヨーロッパでは、物心ついた頃から革靴を履き、「ディナーの時には上着を着なさい」と教育を受けます。紺、茶、グレーが男の基本的な色みであることや、適切なサイズ選びなど、装いの基本を父親が息子に教え込んでいきます。
一方、日本において洋装が一般化してからまだ60年余り。「スタンダード」が確立せず、親から子への「服育」も不十分だと感じています。
基本がないままに、「違い」を競い、おかしなファッションが生まれているのが、現在の日本ではないでしょうか
売り手にも問題があります。次々と新しいモノを買ってもらわなければならない事情から、基本となる品ぞろえを怠ってきました。普遍のスタイルを示さないまま、トレンドの追いかけごっこに駆り立てるアパレルの状況は、たいへん腹立たしい。
今こそ、「ジャパニーズ・ジェントルマン」の基準を打ち立てなければならない。そんな思いで私が関わっているのが、オンワード樫山が展開する「五大陸」というブランドです。
店頭に並びだした今年の秋冬物にも、変わったものはありません。あくまでも「スタンダード」に視点を置いた商品が並んでいます。ただし現代の「着捨て」「履き捨て」の風潮にははっきりと「否」を掲げ、尾州の毛織物、京都の絹、遠州のシャツ地など、手間がかかった上質な素材にこだわって、最低でも5年は着られるものだけをそろえています。
「このコラムで、繰り返し赤峰の主張は聞かされたけれど、実践するとしてどこで探せばよいのか」と疑問を感じた方もいらしたと聞きます。五大陸は全国にお店がありますので、何も買わずとも、ぜひ訪ねてご覧頂ければ幸いです。
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※朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。
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2013年08月29日(木)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 『生きざまを撮る男』 2013年8月24日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
もう7年ほど前になるでしょうか。年に2回訪れるイタリア・フィレンツェの男性服見本市「ピッティ・ウオモ」の会場で、眼光鋭い男から「あなたの写真を撮らせてくれないか」と声をかけられました。
男の名は、スコット・シューマン。ストリートスナップを生業とする、世界的なカメラマンです。
彼が撮るのは、「ピカピカに着飾った人々」ではありません。真骨頂は「ダシが効いた男たち」ではないでしょうか。
着込んでほつれた上着の縁や、くたびれてきたシャツのしわまで、撮影対象に迫っていきます。結果、彼が撮った写真には、服を着た人々の生活や生きざまがにじむのです。
彼が「この街ではこんな人が生きているよ」と伝えているサイト「サルトリアリスト」には、世界中から日に何千、何万とアクセスがあるといいます。かねてファッションは真新しいもの、生活感を感じさせないものが良いとされてきたと思いますが、今や人々の日常の装いこそが関心を呼び、共感を得ていることがわかります。
裏を返せば、先進的な服を着るのがかっこいいのではなく、自分が選んだ服を着て、「創造的に生きていくこと」こそが問われているのでしょう。
また、移り気で常に服装を「ファッショナブルに」変化させていかなければならないと考えていては、外見ににじみ出るような個性は育たない。私は「個性とは脈々と続けていくことだ」と思います。
スコットとは以来、会っては食事をともにし、親交を温めています。今年6月にミラノで再会した時には、「撮りためた写真で今度、『アカミネ・アルバム』を作るよ」と言ってくれました。
完成が楽しみです。
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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します
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