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メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年01月06日(土)

MEN'S EX 2月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.9 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
映画に見るマフィアの着こなし

「アンタッチャブル」や「ゴッドファーザー」シリーズを例にとるとよくわかりますが、昔のマフィアには、着こなしにしても、生き様にしても、そこには惚れぼれするようなカッコよさがありました。実際、お2人も大いに影響を受けたといいます。となれば当然、話が盛り上がらないわけがなく・・・・・。

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■(写真右)菊池武夫氏
・ボルサリーノの帽子
・グッチのサングラス
・グッチのシャツ
・レプリカのペイントタイ
・ベルヴェストのサキソニーフラノの3ピーススーツ
・ベーメルズのスエードプレーントゥ
 



■(写真左)赤峰幸生氏
・シャルベの肉厚ポプリン地のオーダーシャツ
・シンプソンの'50年代のヴィンテージタイ
・'40年代のサヴィル・ロウ仕立てのヴィンテージコート
・デッドストックのフラノ地で仕立てたリヴェラーノ&リヴェラーノのスーツ
・ベレッタ(もちろんモデルガンです)
・フローシャイムのインペリアルシリーズのウイングチップ



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今回の撮影の舞台となったのは、広尾のリストランテ「ラ・ビスボッチャ」。
イタリア政府が公認するだけあって、店内の雰囲気は本場そのものです。それにしても、エスプレッソを飲みながら会話に興じるお2人の佇まいはホンモノ感ありすぎです(笑)。

■昔からマフィアには不思議と惹きつけられた
菊池  いやぁ〜、赤峰さん、バッチリですね。付け髭に拳銃を構えた姿はもうそのまんまって感じですよ(笑)。
赤峰  いやいや。そういう菊池さんだって随分と貫禄があってカッコイイですよ。なんだか、映画版「アンタッチャブル」のアル・カポネの雰囲気に似ていますよね。
菊池  ロバート・デ・ニーロが演じたあの役ですね。
赤峰  そう、デ・ニーロの雰囲気ピッタリですよ。そのプリントのタイなんか、ずばりそのものって感じですし。だいたい昔のタイってテカテカに光ったレーヨンでできているんですよね。決してシルクばかりではない。
菊池  まぁ、僕の場合はそもそもマジメなものに惹かれない性質でして、偽悪的というのかな、一見すると悪いんだけど実はいいヤツだってところに魅力を感じるんですよ。だからなのか、ダーティーヒーローのイメージがあるマフィアには昔から不思議と惹きつけられましたね。
赤峰  わかります。日本の任侠もそうですが、マフィアにはある種の男の美学があります。僕の場合、なんといっても(注1)ロバート・スタックがエリオット・ネスを演じたTVシリーズの「アンタッチャブル」の影響が強いです。
菊池  うん、あれは面白かった。フランク・ニティやアル・カポネといったイタリア系マフィアの姿が印象的でね。映画版に比べてもはるかにリアリティがありましたよ。そういえば今日の赤峰さんの着こなしにはどことなくその時代の匂いがしますね。
赤峰  1930年代の大恐慌の頃のニューヨークのイメージが好きで、それを1回やりたかったんです(笑)。
菊池  あぁ、わかります。
赤峰  少年時代からマフィア的な生き方に憧れていて、それでこの仕事を始めるようになると、イタリアに行く機会も多いじゃないですか。実際、15年ほど前にはシチリア島の(注2)コルレオーネ村にも行きましたよ。やっぱり向こうは本場だけあってマフィアの存在は欠かせませんよね。マフィアを語らずしてイタリアを語るなって感じです。そうそう、“マフィオーゾ”っていう言葉もあるんですよ。
菊池  へぇ、どういう意味ですか?
赤峰  「マフィア的精神」と訳すみたいで、要するに日本の武士道やヨーロッパの騎士道に通じるスタイルのことを表す言葉だそうです。
菊池  なるほど。規律やルールがちゃんとあって、無粋なことはしないといった生き方はお互いに通じるものがありますね。マフィアにしても武士にしてもそうですが、常に死と隣り合わせの中で緊張感をもって生きるというのはやっぱりカッコいいですよね。
赤峰  アメリカにゲイ・タリーズという作家がいて、彼の代表作にマフィアの興亡を描いた「汝の父を敬え」という本があるんですけど、これなんかはそういったマフィア道みたいなことが書かれていて面白いですよ。たとえ悪事を働くにしてもちゃんと一本筋の通ったことをやれって。
菊池  悪の美学と、それに基づいたルールみたいなものがありましたよね。だからそれを破ったときは恐ろしかった。人の女に手を出した奴は、殺された後に口に魚を入れられるとかね。でも、これもまたひとつのルールなんですよ。どういう理由で殺されたのか、わかるわけですから。
赤峰  ただ、残念ながら現代ではそういった、いわゆるマフィア道を堅持している人たちは多くないと聞きます。なんといっても今の時代は目先の損得だけを考えて動きますからね。それこそ(注3)サルヴァトーレ・ジュリアーノのように義侠心で立ち上がることもない。
菊池  圧政から貧しい農民を救ったって話ですよね。今の時代には恐らくないでしょうね。どの世界を見渡しても、流儀とか、スタイルといったものは崩壊してしまって、目的さえ達成できればなんでもありの状態になっていますから。おかしなことですよ。
赤峰  これは服についても同じことがいえますよね。目先の流行ばかりを追ってしまって、本当のクラシックを踏まえたうえでのカッコよさというのがなくなっているように思います。
菊池  そうです。ただ流行りだからといって闇雲に服を着ていてはダメ。本来の正当なスタイルに対して仁義を切るというのか、そこを知らないで本当のカッコよさというのは身につかないですよ。

■カッコよさというのはスレスレの生き方に宿る
赤峰  マフィアといえば、カポネもニティも、みんなイタリアからの移民ですよね。やっぱり当時は貧しくて働き口がないから、手先の器用なヤツはブルックスブラザーズの工場に入って職人になったり、顔のいいヤツはハリウッドスターになったり、それでもどうしようもないワルがマフィアになっていったわけです。
菊池  ハリウッドだと、フランク・シナトラとかね。彼はスターでもありましたけど、マフィアとのつながりも密接でした。「ゴッドファーザー」に出てくるジョニー・フォンテーンという歌手は、シナトラがモデルですよ。
赤峰  あとは、(注4)ジョージ・ラフトも半分マフィアみたいな俳優でした。
菊池  今はどうか知りませんが、当時のハリウッドは闇社会と分かちがたく結びついていましたからね。
赤峰  実際にそうでなくても、ハンフリー・ボガートだったり、ジャン・ギャバンだったり、マフィア的な佇まいをもっていることがひとつのカッコよさであり、スターになる条件でした。
菊池  日本では鶴田浩二や高倉健といった人たちかな。強面なんだけど、ストイックで渋い感じがいいです。
赤峰  決して流されない生き方をしていることが魅力なんでしょうね。しかもそういったマインドというのは、おのずと服の着こなしなどにも自己主張といった形で表れていましたよね。
菊池  それこそ1920年代、'30年代というのは、社会全体がわりとドレスアップしていた時代で、普段でもきちっと帽子をかぶっていたりしていたんですけど、マフィアの場合、ニティやカポネに代表されるようにどこか堅気ではない、だけど妙にカッコいい着こなしがありましたね。
赤峰  そういった意味では現在はほとんどわからないですよね。イタリアなんかでも、マフィアがもう普通の感じですから。
菊池  僕が若い頃、確か18歳ぐらいのときかな、六本木によく行っていたジャズクラブがあったんですよ。生演奏を聞かせてくれるところでね。僕はまだ子供なんだけど、粋がってスーツなんか着て(笑)、カウンターに座っていたら、隣にあの安藤昇さん(渋谷に本拠を構えていた伝説の暴力団「安藤組」の組長)の命を狙っていたというヒットマンがいて。
赤峰  ほう、どんなかたでした?
菊池  スカーフェイスで凄く怖い顔をしてるんですよ。で、ひと言もしゃべらない。話し掛けられても一切返事しないんです。あれは怖かったですね。身にまとっている雰囲気が明らかに違いました。ほら、スレスレのところで緊張感をもって生きることって現代ではほとんどないじゃないですか。ましてや命のやり取りをするなんて考えられない。けど、僕が見たヒットマンのようなホンモノの人はいつも死に直面しているわけですよ。そうした世界で自分の意志を貫いて生きていく姿には何か強い力があるし、そこにはどうしようもなく惹きつけられるものがあるんですよね。
赤峰  そう考えると、カッコよさというのはスレスレの生き方に宿るってことなんでしょう。でも、現代のように、目先の損得をばかりを考えていてはなかなかそうした生き方ができない。我々がマフィアや任侠の世界に対して憧れるのは、男としての自分に決定的に何かが欠落していて、それに対する羨望が大きな原因なのではと、僕なんかは思うんですよ。
菊池  うん、恐らくそういうことでしょうね。
 
 

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(注1) 「ロバート・スタック」
1919年米国生まれ。'59年スタートのTVシリーズ「アンタッチャブル」でエリオット・ネス役を好演して大人気を博した。晩年はガンに侵され、2003年に心臓発作で死去。

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(注2) 「コルレオーネ村」
シチリア島の中心地パレルモの南にあるマフィアの聖地。アル・パチーノが主演した映画「ゴッドファーザーPARTV」の舞台としてあまりにも有名。現在は観光地に。

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(注3) 「サルヴァトーレ・ジュリアーノ」
1940年代のシチリアで、支配層からの搾取に苦しむ農民を救うために立ち上がった義賊。その生涯はマイケル・チミノ監督により「シシリアン」として映画化された。

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(注4) 「ジョージ・ラフト」
1903年米国生まれ。二枚目俳優として活躍。主な出演作は「暗黒街の顔役」、「お熱いのがお好き」、「皆殺しのバラード」、「007/カジノ・ロワイヤル」など。'80年没。

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菊池さん的マフィアの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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サングラスはフェリーニ風で

グッチのサングラスは菊池さんが敬愛する映画監督、フェデリコ・フェリーニのイメージで着用。ボルサリーノの帽子と合わせて'50年代風にコーディネートしています。

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朱色のタイでグンと艶やかに

グレイの3Pスーツに白のシャツ、そして胸元を彩る朱色のタイが全体を艶やかな印象へと導いてくれます。こういう色使いの上手さが、菊池さんの着こなしを支えているのです。

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チェーンをさらりとつけて

グレイに映える、シルバーのチェーン。通常なら懐中時計をつけるのでしょうが、菊池さんはあえて何もつけません。ちなみにメーカーは、指輪と同じ「マーズ」のものです。

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赤峰さん的マフィアの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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肩から掛けて闊歩します

1940年代にサヴィル・ロウで仕立てられたヴィンテージのウールコート。ライニングはすべてムートンで、防寒性はかなりのものです。袖を通さず肩から掛けるのが赤峰さん流。

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オールドスタイルでコーディネート

スーツは'50年代のデッドストックのフラノ地で、シャツも'50年代モデルの復刻版。でもってネクタイも'50年代のヴィンテージ。徹底したオールドスタイルが見事です。

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ヴィンテージをリペアしてご愛用

「オールド・アメリカンスタイルを意識」と赤峰さん。1950年代のフローシャイムインペリアルのウイングチップは、ユニオンワークス・中川さんの手によってリペア済みです。

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MEN'S EX 2月号記事 Q“カッコいい靴の履き方を知りたいのですが・・・・・” [MEN'S EX 掲載記事]

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解説 インコントロ代表 赤峰幸生さん
A「ヨーロッパの紳士よろしく、決して屈まず手の位置まで足をもってくるのが鉄則です」


今さらいうまでもないことですが、玄関で靴を脱ぎ履きする日本とは異なり、朝起きてからベッドに入る寸前まで靴を履いているヨーロッパの人たちとは、靴の脱ぎ履きにおいて決定的な違いがあります。実際にイタリアに住んで学び、数々の映画から学んだ赤峰さんに、お話を伺いました。
「例えば道で靴紐がほどけてしまったとき、日本人は屈んで靴紐を結び直しますが、ヨーロッパの男たちは、屈み込んだりは絶対しません。どうするかというと、自分の手が届く高さまで足を上げるわけです。これは、履くときも脱ぐときも一緒です。その際、紐を1本ずつキュッと締め上げていき、脱ぐときは紐を1本ずつきちんと緩めてから、踵を手で押さえてシュポッと外します。細かいことかもしれませんが、私は屈んで靴紐を結ぶことは絶対にしません」

[履き方] 手の届く位置まで足を上げます

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ヨーロッパの人たちは日本人とは異なり、靴を履くとき決して屈んだりはしません。足を自分の手の届く高さまでもってきます。足を置けるものであれば、椅子でも台でもなんでも構いません。その上で紐を1本ずつしっかり締め、最後にキュッと整えてから結ぶのが彼らの流儀。

[脱ぎ方] 紐をしっかり緩めてから脱ぎます

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これまた足を自分の手の届く高さまでもってきます。その際、絶対にしてはならないのは、紐をしっかり緩めずに力を入れて無理やり靴を脱ごうとすること。「これはスマートではありません」と赤峰さん。「1つずつしっかり緩めてから、踵を押さえて靴を脱ぎましょう」。

[ついでにカッコいい脚の組み方も伝授!]

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腕を組むときはつま先を下に向けるのが鉄則です

ヨーロッパの人たちは、食事中は絶対に脚を組みません。それはマナー違反とされていて、食事中は常に足をきちんと揃えるのがお約束です。食事が終わって寛ぐときは、足を組んでも構いません。が、その組み方にも、エレガントなのとそうでないのがあるそうです。
「上の脚は後ろに引きめにして、膝下から足のつま先までが直線で伸びるよう、つま先を地面に向かせるのがコツです。つま先を上に向けてしまいがちですが、それはNGです」

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2006年12月06日(水)

MEN'S EX 1月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.8 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
ダブルスーツの着こなし方

ダンディズムの極みともいえるダブルスーツ。とはいえ、ここ日本ではまだまだ真の意味で浸透しているとはいい難いようです。では、ファッション界の2人の巨匠は、このアイテムをどう着こなすのか?ダブルスーツにまつわるこだわりの話は、時に映画に、時にパリの街へと話題を変え、いつもどおり奔放に進んでいきました。

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■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのポプリン地のオーダーシャツ
・ボン・マルシェのオリジナルタイ
・リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたフランネルスーツ
・クロケット&ジョーンズのスエードシューズ
 
■(写真左)菊池武夫氏
・クールのハット
・ダーク・ビッケンバーグのシャツ
・ジェームス・ロックのタイ
・ルイ・ヴィトンのシルクストール
・ベルヴェストのフランネル地のストライプスーツ
・ジョン ロブのシューズ



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今回の撮影の舞台となったのは、広尾にある「カフェ・デ・プレ」です。
パリの左岸(リヴ・ゴーシュ)にあるようなシックで知的な雰囲気をイメージしたこのお店に、お2人の姿は実によくマッチしていました。。

■男のダンディズムにダブルブレストは不可欠
菊池  今日はちょっと存在感を出したいなと思ったら、ダブルのスーツを選ぶことが多いですね。着ていてどこか気分が違うんですよ。自意識が強くなる感じっていうのかなぁ。
赤峰  その気持ちわかります。何かを装備した感じっていうのかな、自分が少し強くなった気分になりますよね。代議士連中がダブルをよく着ているのもそういうことなんでしょう。権威の象徴というわけではないですけど、気持ちを強くさせるものがありますよね。
菊池  エジンバラ公やチャールズ皇太子、日本の皇室もダブルを着ていることが多いですよね。特にチャールズなんかはダブルのイメージしかない。それも4つボタンの1つ掛け。
赤峰  それと、マフィアですよ。彼らも縞の裁ち目の強いダブルブレストをキチッと着ている印象です。
菊池  そうそう!ダブルといえば、やっぱりマフィアをハズすことはできませんよね。実際、今日の私のコーディネートもマフィアをイメージしていますから(笑)。男のダンディズムを語るうえで、ダブルは必要不可欠なアイテムなんです。それなのに、日本人の中にダブルはまだまだ浸透していない気がします。特に若い人はダブルというだけで敬遠していますよね。
赤峰  本当に若い人は着ませんね。ダブルといっても、年齢や体型によって着こなし方はいろいろあるんですけどね。マフィアの話でいうなら、アル・カポネは背もそれほど高くないですし、お腹も出ていて貫禄のあるダブル姿といった感じでしたけど、その部下だった(注1)フランク・ニティなんかはかなり細身で粋がった感じに着ていて、これがまたいいんですよ。
菊池  カルロ・ポンティとか、(注2)ヴィットリオ・デ・シーカが着るダブルも味があってよかったですよね。
赤峰  カッコよかったですよねぇ。あとは、フランスのモーリス・ロネやジャン・ギャバン。ダブルのスーツにタートルネックニットやポロシャツを合わせたりしているんですけど、そうやって少し崩した着こなしがとにかく雰囲気たっぷりで魅力的でした。
菊池  フランス人の俳優さんにルックスがもの凄くいい人ってほとんどいないじゃないですか。体つきにしても、例えばジャン・ギャバンなんてずんぐりしていますし。でも、ダブルを着ると妙にカッコよかった。洋服に立体感が出るんですよね。
赤峰  イギリスの(注3)レックス・ハリソンもきれいでした。サヴィル・ロウのビスポークのダブルスーツを正統にビシッと着ている感じで。
菊池  そうやって見ていくと、ダブルのスーツってヨーロッパのイメージが強いですね。間違ってもアメリカではない。
赤峰  アメリカ人はカジュアルで機能性を重視するから、シングルブレストのナチュラルショルダーのほうが性に合うんでしょうね。先程もお話ししたように、'20〜'30年代のアメリカのマフィアには見るべきダブルブレストのスタイルもありましたけど、それ以降は'60年代に4つボタン2つ掛けのブレザー、日本ではニューポートモデルと呼ばれるタイプが流行したくらいでしょうか。
菊池  ニューポートモデルかぁ。あれは日本でも人気が出ましたよね。で、今思ったんですけど、日本でカルロ・ポンティやジャン・ギャバンといったら誰になるんでしょうか。確か三國連太郎さんあたりが若い頃に着ていたくらいで、とりたてて印象に残ってる人はいないんですよね。
赤峰  日本ではダブル=重役のイメージが強すぎて、確かにカッコよく着ている感じはありませんでした。ただ、'60年代にモッズが流行した頃、カーナビーブレザーというのがあって、あれはかなり話題になりました。ダブル6つボタン3つ掛けでね。
菊池  はいはい。ラペルが狭くてね。そういえば、僕がメンズ・ビギを始めた頃、ダブルを作ったことがありますよ。ギャバジンを使ったピタピタのジャケットで、パンツはバギー。今思えば変わったデザインでした(笑)。

■ダブルブレストはビシッと皺が寄るくらいで
赤峰  普段からダブルブレストのスーツはお召しになるのですか?
菊池  わりと着るほうです。今日はベルヴェストのスーツですけど、下だけデニムにしたり、ほかのパンツに合わせて着ることも多いですね。これは生来の性格で、どこかで崩したくなってしまうんです。カチッとしすぎると落ち着かない(笑)。
赤峰  でも、それは菊池さんならではのワザですよ。誰にも真似できません。
菊池  その点、赤峰さんはビシッと決まっていて、いつも感心させられます。今日のスーツもいい色合いですね。
赤峰  グレイの中で、最近はこの色が一番好きなんです。例えるならジャスト・ミディアム・グレイとでもいうのでしょうか。明るすぎず、かといって濃すぎず、ちょうどど真ん中をいくグレイが今の気分なんです。ところで、菊池さんのスーツはフランネルですよね。僕のもそうなんですが、やっぱり冬のスーツスタイルといえばフランネルがいいですよね。
菊池  そう思います。特に僕の場合、ダブルにはフランネルというのが感覚的にあります。ダブルのスーツはもう1着あるんですけど、それもフランネルです。どことなくシックな気がするんですよね。
赤峰  確かに。ウーステッドもいいですが、それよりもフランネルのほうがよりダブルのイメージに合っていると思います。ダブルブレストのもつ重厚感と、フラノのもつガッチリした素材感がバランスよく釣り合っているんでしょうね。では、夏のダブルスーツといえばどの素材がいいかというと、これはやっぱり麻ですよね。
菊池  あぁ、いいですねぇ、麻。トロピカルウールで仕立てるとどうもペラペラしすぎてバランスが悪くなってしまいますけど、麻は体への馴染み方がいいですよね。昔、30代の頃かな、僕自身、麻のダブルスーツを着ていた記憶がありますけど、今思い返しても、あれはカッコよかったなぁ(笑)。
赤峰  僕も昔、ロンドンで購入したヴィンテージものがあって、それはダブル6つボタンのヘビーウエイトのリネンジャケットでした。で、面白いことに、そのネームにはカサブランカって書いてあったんですよ。
菊池  おっ!(注4)ボギーですか。いかにも本人が着てそうですよね。
赤峰  ピタッと身体に合わせてね。やっぱりダブルブレストというのは、ボタンを留めたときにビシッと皺が出るくらいでないといけません。そこがツルッとしているといかにもブザマですよ。僕は6つボタンの一番下だけを留めているんですが、あえてこうすることで少し引っ張り上げるような感じになるから、皺の出方がより強調されるんです。
菊池  それカッコイイですよね。赤峰さん流の崩しになっていて。
赤峰  思えば、ジャンニ・アニエッリなんかも独特の着こなしでした。座っているときもダブルのボタンは必ず留めていたし、ネクタイだってわざとジャケットの上に出したり、時計をシャツのカフの上からつけるのも、彼ならではでしたからね。
菊池  そう意味で、日本の男たちよ、もっとダブルをカッコよく粋に着こなしてくれ、という思いはありますね。例えば夕暮れどきにこういうオープンカフェに座って、コニャックやシャンパンを飲みながら話しているんですよ。ダブルのスーツでそれをやったら、いい絵になりますよ(笑)。
 

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(注1) 「フランク・ニティ」
アル・カポネの右腕として一家の、主に戦術面を取り仕切っていた名参謀。「アンタッチャブル」('87)では、ビリー・ドラゴが白いスーツ姿で好演した。1883〜1943年。

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(注2) 「ヴィットリオ・デ・シーカ」
俳優としてキャリアを積んだのち、映画監督に転じ、「自転車泥棒」('48)や「ひまわり」('70)などの映画史に残る傑作を多数手掛けた、伊を代表する巨匠。1901〜1974年。

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(注3) 「レックス・ハリソン」
オードリー・ヘップバーンの愛らしさが光る「マイ・フェア・レディ」('64)にてヒギンズ教授を演じ、見事アカデミー主演男優賞を受賞した名俳優。1908〜1990年。

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(注4) 「ボギー」
永遠のダンディ、ハンフリー・ボガートのこと。「マルタの鷹」('41)や「カサブランカ」('42)などの作品で、当代随一のハードボイルドスターに。1899〜1957年。

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菊池さん的ダブルの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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ストールはやっぱりルイ・ヴィトン

菊池さんといえば、やっぱりルイ・ヴィトンのシルクシフォンのスカーフはハズせません。今回はスーツとタイの色に合わせて同系のブルーをコーディネート。絶妙なアクセントに。

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2色ストライプのフランネルです

冬のスーツはフランネルが一番と菊池さん。このベルヴェストのダブルスーツも、フランネル素材。ブルーと白のはっきりしたオルタネイトストライプが、洒落た印象です。

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ドレスシャツは着ていません

白シャツはスウェット地のポケットがついたダーク・ビッケンバーグのもの。ドレスシャツを合わせるのでなく、遊びのあるシャツをもってくるあたりは、菊池さんならではです。

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赤峰さん的ダブルの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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2色以内でコーディネート

2色以内の色使いで全体を合わせるのが赤峰さん流。今回は茶とグレイ2色。最近はグレイ、特にこのスーツのように、明るすぎず濃すぎない、ミディアムグレイがお好みとか。

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ダブルのボタンは下1つ掛け

着こなしでニュアンスをつけるのが上手な赤峰さんらしく、ダブル6つボタンのスーツは、あえて下1つ掛けで。'60年代のフレンチシックなスタイルをイメージしているとのことです。

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フランネルの足元はやっぱりスエード靴

「ヨーロッパの冬のスタイルといえばコレ。フランネルには起毛感のあるスエード靴が不可欠」と赤峰さん。ちなみにフランネルは、英国フォックスブラザーズのもの。

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MEN'S EX 1月号記事「特別講座“正しいマフラーの巻き方”」 [MEN'S EX 掲載記事]

「基本的にはひと巻きで。グルグル巻きは男らしくないですね」

単純なようで、意外と悩むマフラーの巻き方。なんとなく巻いている人も多いのでは。男の確固たる巻き方を、“正統”を知るご意見番、赤峰先生に聞いてみました。
「男のマフラーは、ひと巻きが基本。例えばレストランを出るとき、外国人はスッとひと巻きするだけ。その所作が男らしい。ゴチャゴチャ作ったり、調整しているのは、日本人くらいですね」

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一重・引き締め巻き

「首元でキュッとひと結びするだけ。これが基本中の基本です。引き締まった男っぽさを演出できます。映画監督であり、俳優のヴィットリオ・デ・シーカなどイタリア人が得意とする巻き方ですね」

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一重・前後垂らし

「オーソドックスな巻き方ですが、これもひと巻きで。前は腰あたりまで長くとって、後ろは肩甲骨くらいまでと短くします。オーソン・ウェルズなどのアメリカの俳優が好んでしていた巻き方ですね」

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ショール巻き

「フランス的な巻き方。女性もしますが、男性がしても粋な巻き方です。フェリーニの映画「8 1/2」で、マルチェロ・マストロヤンニが雪のシーンでこの巻き方をしていたことが印象深いですね」

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○ POINT! 後ろの見え方も大事
「首の後ろ部分の巻きは、しっかり高さを取るように。コートを着たときも、後ろからマフラーが見えるべきです」

× NG! 高校生の巻き方です
「2つに折って輪に通す巻き方(写真左)をよく見ますが、あれはエレガントじゃない。グルグル巻きもNGです」

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2006年11月06日(月)

MEN'S EX 12月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.7 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマをひとつ決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
大人の男のコートスタイル

本連載初のゲストは、ご存知バセット ウォーカーの三代さんと阪急百貨店の花谷さん。ファッション界の若手注目株2人をゲストに4人での対談。男の永遠のテーマである「コート」についての、菊池さん&赤峰さんの持論が炸裂!

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■(写真右)三代彰郎氏
A.グレヴィの帽子
B.バセット ウォーカーのイタリア製シャツ
C.バセット ウォーカーの銀糸入りタイ
D.バセット ウォーカーのトレンチコート
E.バセット ウォーカーのイタリア製ウォッシュトウールパンツ
F.ジャコメッティの靴
■(写真右から2番目)赤峰幸生氏
A.シャルベでオーダーしたシャツ
B.アルニスのタイ
C.英国のテーラーが仕立てたビキューナのコート
D.リヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てた'60年代モデルのスーツ
E.ストール マンテラッシのシューズ
 
■(写真左から2番目)菊池武夫氏
A.クールのハット
B.Y.アカミネのジャケット
C.ルイ・ヴィトンのシルクシフォンのストール
D.ジル・ロジェのウールカシミアコート
E.40カラッツ&525のジョッパーズ
F.オールデンのコードバンタンカーブーツ
■(写真左)花谷典男氏
A.エトロのアンゴラ・カシミア混のウールマフラー
B.ドルチェ&ガッバーナのジャケット
C.40カラッツ&525のダッフルコート
D.ヌーディージーンズのジーンズ
E.マルタン・マルジェラのスニーカー



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赤峰さんが撮影時に着用したコートを触りながら、三代さんも花谷さんも感心しきり。
なかでもエルメスのスカーフを裏地として使用しているのには驚きでした。
原稿では割愛しましたが、服好き4人が集まっての服を見ながらの話は、どんどんディープな方向へ・・・・・。

■4人が着用した今季イチオシのコートとは?
M.E.  赤峰さんのコート、(注1)ビキューナですね。
赤峰  自分ではビキューナという認識はないんです。ラムのコートを着ているような感覚っていうのかな。値段がどうとかいうのではなくて、たまたま義理の父がロンドンで仕立てたコートを譲り受けたものなんです。
菊池  裏地にエルメスのスカーフを使っているのにはびっくりしました。表から見るとごくごくフツウのコートなんですけどね。
赤峰  このコートはかれこれ4〜5年着ていますけど、自分の体温でかなりいい感じに馴染んできました。毛の密度感っていうのかな。カシミアにはない目の細かさがありますよね。
菊池  クリクリしているんですよね。
赤峰  そうなんです。ところで、菊池先生が着ているコート、素敵ですね。
菊池  ジル・ロジェというデザイナーのコートで、美しいラインが気に入ってます。
三代  ラペルとか、ローマの昔のスーツみたいなカッティングですね。
赤峰  フランスの'30年代とか'40年代あたりのコートっぽい雰囲気もあります。ボタンが小さいのも凄くいい。
花谷  後ろのラインもきれいですよね。
三代  ドレッシーにビシッと着るのもカッコいいんでしょうけど、タケ先生みたいに崩して着るのもヨーロッパで見られるスタイルですよね。
赤峰  ところで三代君のコート、とってもいい生地使ってるね。
三代  昔の(注2)ムーアブルックのやつです。こういういい生地屋さん独特の風合いを大切にしたいなって思っていて、それを今までは海外のサルトさんに作ってもらっていたんですけど、最近、成熟してきた日本のモノ作りが気になっていて、これは日本で作ってもらったものです。コートは実用品って考えがあるんですけど、僕の年齢だと、ただ着てかっこいいっていう風にはまだどうしてもならなくて、だからディテールにとことんこだわりながら、どこかで遊んで着こなしています。形体は機能に従う、みたいなのが好きなんです。
赤峰  これ、680gくらいあるよね。
三代  そのくらいあると思います。あと、コートは生地とシルエットが命じゃないですか。先生の大の仲良しである(注3)リヴェラーノさん、彼のスーツって太いですけど、ダーツであれだけ立体的に見せていますよね。サルトさんたちから習った技術を少しずつ反映させて、だからこれもダーツを入れて細身かつ立体的に仕上げてあるんです。
花谷  今日は菊池先生が手掛けられたダッフルを着させていただいたんですけど、僕は上品なスタイルを追求していきたいというのがあって、そういった意味ではダッフルコートって凄くいいなって思います。機能面でも秀でたものがありますよね。
赤峰  歳とってから着たいよね。スーツの上から着るのが気分かな。
花谷  確かに、菊池先生が最初これを着ていたとき、本当カッコよかったですから。今までのダッフルコートってもたつき感みたいのが凄くいやだったんですけど、これはすっきりしていて、そこがとても気に入ってます。
菊池  三代さんのコートじゃないですけど、シルエットの美しさにはこだわりましたからね。モノを作るときは、いつも何がカッコいいのかって考えながらやってきましたけど、その瞬間に一番求めているものをその原型の中に入れたいというのはあります。原型は歴史を辿ると既に出来上がっているものなんだけど、2006年はこのカタチで着たいっていう、そのときの気分を取り入れることが大切なんです。
赤峰  時代の気分のブレンドなんですよね。どうブレンドするかという点で、菊池先生の場合はそのへんの匙加減が絶妙なんですよね。
花谷  コートの内側に入った紫のパイピングが好きですね。僕は関西の人間ですから、昔は多色使いが基本だったんですけど、最近はなるべく抑えるようにしています(笑)。このくらいのアクセントがちょうどいいです。

■スーツはショルダーと胸、コートは腰のアタリで着る。
M.E.  花谷さんと三代さんのファッション観を聞かせてください。
花谷  自分は上品さとプリティさを大切にしたいなと思っています。売り場でもそういう点を意識しながら演出していきたいですし、今の時代、「カッコいいだろ、よりもカワイイでしょ」みたいなほうが女性にモテるんじゃないかって、前から思っていたんです。
三代  僕らの世代だと、女性には当然モテたいんですけど、男が男に惚れるっていうのもあるじゃないですか。両方にモテたいっていうか、男性の人にもこれいいよねっていわれるものを着たいですよね。
花谷  ああ、そうかもしれません(笑)。
三代  タケ先生も赤峰先生もほかに似てる人がいないカッコよさですよね。最初は誰かを参考にしながら自分の哲学を築いてこられたんでしょうけど、おふたりを前にして日本のファッション界の先輩って凄くカッコいいんだなって改めて思いました。
赤峰  タケ先生も僕も、基本は映画からなんです。当時は映画しかなかったからね。逆をいえば、映画だけがあったことの幸せ感というのがありました。そこから何を学ぼうっていう、スポンジの吸収度が違いましたよね。そういうしつこさはもってもらいたいですよね。イタリアで夜中に目が覚めてテレビをつけると、いまだに'50年代や'60年代のモノクロ映画が必ずやっているんですよね。
三代  確かによくやっていますよね。
菊池  ヨーロッパの人は黙っていてもカッコいいじゃないですか。日本人はカッコよくない原型をカッコよくしようと、一生懸命細かく勉強するでしょう。それが服にしっかり表現されているなっていうのは感じます。外国人がマンネリ化して忘れてしまっているものを、日本人は細かく攻めていますよね。三代さんの話を聞いていて、入り込み方が違うなって感心しました。
赤峰  イタリアンスタイル、フレンチスタイルだけではなくて、いつかはジャパニーズスタイルっていうのを築いてほしいですよね。若い人が頑張ってくれるのは楽しみだけど、とはいえ自分たちも負けてられないなぁ。
花谷  おふたりがコートの着こなしで影響を受けた人を教えてください。
赤峰  トレンチはリノ・ヴァンチュラかな。先生が着ていたようなダブルのコートだったら、ケーリー・グラントとか(注4)ピーター・セラーズ。ダブルのアルスターっぽいコートだったら、(注5)カルロ・ポンティっていうソフィア・ローレンの旦那さんの着方です。
菊池  僕の場合、親父かな。ダブルブレストのもっとボリュームのあるやつでね。割とマフィアっぽい格好でした(笑)。昔の写真を見ると、やっぱりカッコいいなってね。俳優もいいけど、身近だったぶん、リアルでした。
三代  コートってメンズのアイテムの中でも特別なものだという感覚が、自分の中にはあるんです。両先生にとって、コートとはなんぞやっていうのを教えてください。
菊池  生活全体が簡略化されて便利になったから、洋服がしぼんできて、四季も意識しなくなって、無駄なことが増えていますよね。コートは防寒アイテムなのに、今の人は寒いときに着るっていう意識が希薄なような気がするんです。旬の食材があるように、そういう感覚で、洋服も生活も生き方も見直すと、もっともっと楽しくなるんじゃないかと思います。
赤峰  ジャケットやスーツはショルダーと胸のドレープで着るものですけど、コートは男性も女性も腰のアタリの色気で着るものなんです。イタリア人でそういう着こなしをしている奴を見ると、やるな、チクショーって思います。
三代  素晴らしい!腰のアタリの色気で着る・・・・・・名言ですね。
花谷  これを機に、自分はもちろん、お客様にもそういうきっかけを与えていけるよう頑張っていきたいです。
 
 
(注1) 「ビキューナ」
南米アンデス山脈の標高4,000mの高地にのみ生息する野生ラマの獣毛。最高級服地として知られ、ビキューナでコート1着仕立てると、ウン百万はくだりません。


(注2) 「ムーアブルック」
今は無き英国の生地メーカー。ピーコートなどに使われるメルトン地に定評がありました。


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(注3) 「リヴェラーノさん」
フィレンツェの名門サルト、リヴェラーノ&リヴェラーノのオーナー、アントニオ・リヴェラーノ氏のこと。赤峰さんの昔からの大親友です。

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(注4) 「ピーター・セラーズ」
1925年〜80年。英国ハンプシャー生まれ。'55年の「マダムと泥棒」で喜劇俳優として高い評価を得ました。有名なのは「ピンクパンサー」シリーズのクルーゾー警部役。

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(注5) 「カルロ・ポンティ」
1913年、ミラノ生まれ。イタリア映画の黄金期を築いた名プロデューサー。「道」、「鉄道員」、「女は女である」、「ボッカチオ'70」など、数々の映画を製作。

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菊池武夫さん Takeo Kikuchi [MEN'S EX 掲載記事]

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シルエットで今の気分を表現

細身のダブルブレステッドのカシミア混チェスターフィールドコート。何よりも素晴らしいのは、そのシルエットの美しさ。小さなボタン使いも、今日的で洗練されています。

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赤峰幸生さん Yukio Akamine [MEN'S EX 掲載記事]

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ビキューナコートの裏地はエルメス!

非常にクラシックな着こなしですが、クラシックを極めたゆえの、ダンディズムがあります。ビキューナのコートのスタイリングは最もたる例。裏地はエルメスのシルクスカーフ。

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花谷典男さん Norio Hanatani [MEN'S EX 掲載記事]

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1973年奈良県生まれ。京都大学を卒業後、阪急百貨店に入社。うめだ本店、有楽町店で展開している大人のためのセレクトショップ「スティルアッシュ」と、インポートのプレステージブランドのバイイングを担当しています。

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こちらも細身に仕上がっています

ダッフルコートといえば、一般的にボテッとした印象がありますが、菊池さんが今シーズン手掛けた40カラッツ&525のダッフルコートは細身のシルエットで、今の気分を反映。

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三代彰郎さん Akio Miyo [MEN'S EX 掲載記事]

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1974年静岡県生まれ。20代前半にしてバセットウォーカーのバイヤーに。コミュニケーションを大切にしながらストーリーある服を企画・バイイングしてきました。現在は、サルトテクニコが展開する同店のディレクター。

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襟の後ろにはチンフラップを装備

トレンチコートの襟の後ろにはチンフラップが装備されていて、風が強いときはそれをはずして前につけられます。三代さんは、ディテールの着こなしを積極的に楽しんでいます。

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MEN'S EX 12月号記事 「お洒落の悩み解決」 [MEN'S EX 掲載記事]

下記MEN'S EX 12月号記事
「ファッションの達人たちが回答するお洒落の悩み解決」に回答者として登場しました。

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悩み「ネクタイを上手く結べません」 [MEN'S EX 掲載記事]

スッキリ!達人の結び方を学びましょう

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「最後の締め上げでヨーロッパ的立体感を生みます」

タイドアップ姿がとってもエレガントな、赤峰さんのタイ結びの奥義とは?
「いつも無意識のうちにやっているのですが、強いていうなら、ポイントは最後の締め上げです。アメリカっぽいノットは好きではありません。猫背の状態から背筋を伸ばして台襟に向かってキュッと締め上げると、ヨーロッパ的な立体的なノットが完成します」

【これが赤峰さん流プレーンノット】

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1.小剣はベルトの位置

背丈によって多少の差はありますが、赤峰さんの場合、小剣をベルトの位置に合わせます。

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2.中指と薬指で固定

小剣がビシッとなっているか確認して中指と薬指で大剣と小剣を挟み、大剣を心臓側へピュン。

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3.大剣を一度落とします

ここから前かがみに状態に。大剣をグルリと通しますが、その際、一度下に落としてから通します。

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4.中央から通します

大剣は剣先から通すのではなく、半分に折って中央から通すのが赤峰さん流です。

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5.ディンプルを整えます

左手の親指と人差し指で左側、右手の親指と人差し指で右側のディンプルを整えます。

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6.最後に背筋をピンと

最後に猫背の状態から背筋を伸ばしながら、シャツの台襟に向かってタイを締め上げます。

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悩み「革ジャンをカッコよく着こなせません」 [MEN'S EX 掲載記事]

スッキリ!ジーンズではなくウールパンツを合わせましょう

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「ウールパンツを合わせてドレスのマインドで着ています」

イタリア男の定番アイテムであり、Y.アカミネのコレクションでも定番として長らくラインナップされていたヴァルスタータイプのスエードブルゾン。これにウールパンツを合わせるのが赤峰さん流。
「今日着ているのは英国のコノリーのブルゾンです。この手のカジュアルなブルゾンには、ついついジーンズを合わせてしまいがちですけど、そうすると締まりのないスタイリングになってしまいます。だからウールパンツを合わせ、あくまでドレスのマインドで着こなすのが私のスタイルです。ブルゾンは小さめを選び、中にはドレスシャツを合わせることが多いですね。それだけで、グンとこなれたスタイルに仕上がるはずです」

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これはNG!
残念ながら品がありません


お洒落、お洒落といわれているイタリア男ですが、これはあまりいただけません。サイズバランスも美しくないですし。上品に仕上げたいのであれば、革ジャン+ジーンズというお決まりのパターンではなく、ウールパンツを合わせるのが近道といえるでしょう。

【スタイルを格上げする赤峰さん的着こなしテク】

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グローブを効果的に使います

厚手のグローブで手の存在感を出すと、コーディネートに奥行きが生まれます。「していないときは、ポケットに無造作に放り込んでも絵になります。ショート丈ブルゾンはタイトで袖丈長めが絶対です」

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ヴェストを着る感覚でXラインが絶対の基本

下から3つめを留めたときに美しいXラインを描く、ピタッとフィットするものを。「ヴェストを着る感覚です。これは凄く重要なことです。着たとき後ろ上がりになるよう、いつも意識しています」

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シャツの襟は無造作に立てます

中にはドレスシャツを合わせ、さりげなく襟を立たせます。無造作のようで、実は計算されている、イタリアでいうところの“フィント・ネグリジェンテ”というやつです。赤峰さんの十八番テク。

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2006年10月06日(金)

MEN'S EX 11月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.6 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマをひとつ決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
タイドアップのジャケットスタイル
 
今回のテーマはタイドアップしたエレガントなジャケットスタイル。今回は、いつにも増してエレガントな着こなしを披露してくれました。菊池さんがプロデュースするショップ、40カラッツ&525にて撮影。ひょんなことからお2人でタッグを組み、夢のコラボジャケットを作ることになりました。

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■(写真右)菊池武夫氏
・ボサリーノのキャスケット
・ドルチェ&ガッバーナの白シャツ
・アルテアに別注した40カラッツ&525のタイ
・ルイ・ヴィトンのシルクシフォンストール
・スクーデリのヴェスト
・40カラッツ&525のカシミア製1枚仕立てジャケット
・プラダの7〜8年前のジョッパーズ
・カチンのハラコ風シューズ

 
 
 
 
■(写真左)赤峰幸生氏
・シャルベのロイヤルオックスフォードオーダーシャツ
・ニッキーのカシミアニットタイ
・Y.アカミネのラムズウールのジャケット
・イ プロンティの赤メガネ
・マビテックスのウールパンツ
・ジョージクレバリーのストレートチップ

 

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連載ネームの「Be Buffalo Forever!」をブランド名にしたジャケットを作りませんか、というM.E.の提案に興味を示してくださったお2人。
お2人の力を結集して1着のジャケットを作ることに決定。いつの間にか連載の話しは終わり、そっちの話で盛り上がりっ放しに。
一週間後に再びミーティングの約束。春夏の商品化に向け始動です。
 

■ジャケパンはエレガントに着てこそカッコいい
M.E.  今回のテーマはジャケット&パンツです。ヨーロッパだとジャケット&パンツでビジネスに臨むのは以前から当たり前のことになっていますけど、日本ではジャケパンっていうと、カジュアルなイメージが先行しています。それを覆す提案をしたかったわけですが、お2人の今日のスタイルはいつになくドレッシーですね。
菊池  きちんとした格好をしたいっていうのがここ最近の気分なんです。そういうのが前提にあって、夏頃から細いパンツを穿きたくて、でもただ細いだけだと、ヒネリがなさすぎますよね。その点、(注1)ジョッパーズだと上が緩くなっていてシルエットに表情があるでしょう。そんなわけで、今日はジョッパーズを合わせてみたんです。あとはベストを着たくて仕方がなかったっていうのもあって、その2つで上手く自分らしさを表現してみました。
赤峰  今日のスタイリングは先生でないと着こなせないですよね。何げない感じですけど、難易度は凄く高い。'30年代のドレスアップしたリッチな紳士の雰囲気を見事に醸し出していますよね。レベル5って感じです(笑)。
菊池  震度5って感じですかね(笑)。
(撮影中に震度3の地震があったばかりだったので)
赤峰  ハッハッハッ(笑)。震度5ですね。で、そのカシミアのジャケットもいい味出していますよね。
菊池  最近は肩がキチッとしたタイプのジャケットが人気ですけど、私がそういうのを着ると、急に借り物の猫みたいになってしまうんです。今日着ているジャケットは去年40カラッツ&525で作ったもので、新品の感じがイヤだったので、洗濯機で洗ってしまったんです。着慣れた感じを出したかったんですよね。で、乾燥機に入れて全体的に縮めようと思ったら、丈しか縮まなくて失敗してしまったんです(笑)。とはいえ、前回着たのが新作で落ち着かなかったので、今日は着慣れているものを選びました。
赤峰  洋服を自分のイメージの顔つきにしたいっていう気持ちがあるんでしょうね。それ、よくわかります。そのときの菊池さんの顔ってもの凄く真剣なんでしょうね(笑)。
菊池  きっとそうだと思います(笑)。
赤峰  あと、今日の菊池さんのスタイリングを見て感じた点は、リアルなクラシックであるということ。近年いわれているイタリアのクラシックとは趣を全く異にする、クラシック違いなんですよね。往年のヨーロッパの紳士の本物のスタイルですよね。その中にフレンチっぽい着こなしを取り入れているあたりは菊池さんならではです。
菊池  そのとおり。イタリアでもないし、英国でもないんです。フランスなんですよね。英国は時として真面目すぎな感じがしますよね。
赤峰  確かに。本当、パリって感じなんです。昔のロンシャン競馬場とかで双眼鏡を持っている紳士って感じ(笑)。この上にカシミアのグレイのオーバーコートとか着たらカッコイイですよね。
菊池  ああ〜、いいですよね。確かにそういう気分です。ところで赤峰さんが着てらっしゃるジャケット、実は今日、僕もそれを着ようかなって思っていたんです。
M.E.  持っていらっしゃるんですか?
菊池  実は赤峰さんの展示会で見て気に入ってしまって、お店の商品としてジャケットを何種類か買い付けたんです。でも、赤峰さんが着てこられたので、諦めました(笑)。
赤峰  '60年代くらいのハリウッドの連中が着ていたような感じをイメージしたんです。今日着ているジャケットのイメージがあるのは、(注2)ジョージ・ハミルトンです。白黒の千鳥格子に白シャツって感じで。これは英国のアーカイブの生地を復刻して作ったものなんですけど、ピュア・ラムズウールを使っていて、風合いが凄くいいんです。
菊池  コシがあるけど、ソフトなんですよね。着込むほどに味わいも増していきそうですし。で、そのジャケットを凄くエレガントに着ていらっしゃる。'60年代風の着こなしというだけあって、ネクタイも細くて、パンツもダブルで太くあげていて、細かいところも抜かりないですよね。
赤峰  ちゃんとアメリカンポケットになっているんですけど、これはかれこれ17年くらい穿いているマビテックスのパンツです。フレンチ・アメリカンって感じですね。本当は昔のケーリー・グラントのやつみたいに、こういう格好にダボダボのシャツを、巻き込んで入れるようにして合わせるのがスタイルなんです。でも、まんま昔のままにしてもしょうがないので、そこまでは再現しませんでしたけど(笑)。近年出回っているノーパッドでアンコンタイプのとは方向性を全く異にするジャケットっていうのかな。ドレスのマインドがベースにあるんです。

■お2人ともフレンチの着こなしが最近の気分
菊池  ところで、赤峰さんがほかに気になっているジャケットってありますか?
赤峰  グレンチェックのジャケットは相当気になっています。千鳥格子かグレンチェックのジャケットのスタイルかな。あとは首が長めのフルタートルネックニットです。今日みたいなジャケットに、シェットランドのタートルの襟口が伸びてきてしまった感じのを合わせてもカッコいいと思うんです。若いときの(注3)クラーク・ゲーブルみたいなイメージです。フレンチでいうとジャン・ギャバンあたりかな。
菊池  そうですね、よくわかります。
赤峰  菊池さんが気になっているアイテムはなんですか?
菊池  第1回のブレザーのときに話しましたけど、ミディアムグレイよりちょっとライトなフランネルのダブルのジャケットを着たいんです。
赤峰  ダブルで下1つ掛けとかで着るとカッコイイですよね。Vゾーンも深めでね。ジャン・ギャバンとか(注4)リノ・ヴァンチュラみたいな感じです。ただ、最近、文化的にジャケットをエレガントに着こなしてる人って少ないなって思うんです。「このオヤジ、お洒落だな」って思える人って、イタリアとか見ていてもほとんどいない。どこか田舎っぽく感じてしまうんですよね。カッコいい人ってもっとシックですよ。さっき話したように、お洒落なフランス人って絶対的な人数は少ないですけど、お洒落な人のレベルは本当に高いですから。
菊池  確かにフランス人のお洒落な人って、本当にシックだと思います。コーディネーションのスキルが高くないと、ジャケット&パンツって上手くこなせないじゃないですか。
赤峰  モーリス・ロネとかもヤバいくらいにカッコいいですしね。
菊池  「死刑台のエレベーター」で彼が見せた着こなしって最高ですよね。
M.E.  実は前から思っていたんですけど、お2人のアイデアを合わせて、「Be Buffalo Forever!」ってブランド名で一着のジャケットを作ってみませんか?今でこそお2人の着こなしは全く異なりますけど、通過してきた原点が一緒なので面白いように話が通じ合っているなって思っていたんです。完成したら、それを着て連載ページにご登場いただいて(笑)。洋服が大好きな読者の琴線に触れるような1着を作って、40カラッツ&525で展開しましょうよ。
菊池  おっ、それは面白いですね(笑)。
赤峰  では、早速打ち合わせしましょうか(笑)。
菊池  今からだと、秋冬は間に合わないから春夏の商品化を目指して練っていきましょう。春夏に向けてだったら、時間はたっぷりありますし、きっと面白いものができますよ。

※そんなわけで、本連載でお2人のコラボレーションによるジャケットを作ることになりました。お二人ともかなりやる気になっていただいており、現在打ち合わせを重ねているところです。お二人が手掛けた夢のコラボジャケット、上手くいけば3月号あたりでお披露目できるかと思います。


(注1) 「ジョッパーズ」
乗馬用の長ズボン。動きやすさを重視しているため、上方部はゆったりしていて、膝から裾にかけてはスリムでぴったりフィットしたシルエットが特徴。

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(注2) 「ジョージ・ハミルトン」
1939年、テネシー州メンフィス生まれ。役者としては有名ではないが、赤峰さんは彼の着こなしを絶賛。作品としての代表作は'79年の「ドラキュラ都へ行く」など。

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(注3) 「クラーク・ゲーブル」
1901年、オハイオ州生まれ。'24年に「禁断の楽園」でデビュー。'34年の「或る夜の出来事」でアカデミー主演男優賞を受賞。'39年の「風と共に去りぬ」で大スターに。

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(注4) 「リノ・ヴァンチュラ」
1919年、伊パルマ生まれ。幼少時にフランスへ移住。'54年に「現金に手を出すな」でデビュー。ギャングや刑事の役を多く演じた。代表作は「情報は俺が貰った」など。

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菊池さん的JKの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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ヴェストを取り入れてフォーマル感を演出

ヴェストでフォーマル感を演出しているのが肝。で、気がつけば3号連続の紹介となる、ルイ・ヴィトンのシルクシフォンのモノグラム柄スカーフ。菊池さんの定番アイテムです。

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ジョッパーズでシルエットが◎です

気分的に穿きたかったというジョッパーズ。フツウのスリムパンツではなく、太もものあたりにふっくらボリュームがあるので、菊池さんならではのスタイリングが完成します。

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圧倒的な素材感で個性を演出します

かなりインパクト大なハラコ風シューズ。シックな黒でまとめながらも、ハラコ風のモコモコが圧倒的な存在感を放ちます。フォルムが美しいので、違和感なくまとまっています。

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赤峰さん的JKの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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差し色として色メガネを使います。

赤峰さんの最近のお気に入りである色メガネ。色を抑えた着こなしの中で、差し色として使うのが赤峰流。普段は胸ポケットに挿した白チーフの後ろからチラリと覗かせています。

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'60年代のアメリカを意識しています

ネクタイはやや長めのものを選び、ノットを小さく結んでいます。'60年代のアメリカを意識しているということで、パンツもLポケットのタイプを合わせるこだわりようです。

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シャツのカフで赤峰流ニュアンスを

赤峰さんはベーシックなアイテムを好みますが、その中で自分なりの着こなしをどう表現するかにこだわります。シャツのカフで写真のようにニュアンスをつけるのも、氏の定番。

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2006年09月06日(水)

MEN'S EX 10月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.5 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマをひとつ決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
レザーのブルゾンを自分流に着る

今回のテーマはレザーのブルゾン。お二人ともご自身のブランドの1着を纏ってご登場いただきました。撮影の舞台は、白金台にあるシニョール赤峰のオフィス「インコントロ」。そこにある膨大な資料に目を通しながら、話は大いに盛り上がりました。

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■(写真右)赤峰幸生氏
・リヴェラーノ&リヴェラーノのバスケット織りシャツ
・元町ボビーの'50年代後半製バスケット織りウールタイ
・'60年代のアルパカ製Vネックニット
・8年前に手掛けたY.アカミネのスエードブルゾン
・リヴェラーノ&リヴェラーノのグレイフランネルパンツ
・ジョージ クレバリーの外羽根スエードのセミブローグ

■(写真左)菊池武夫氏
・クールのホンブルグハット
・ルイ・ヴィトンのシルクストール
・40カラッツ&525のハラコジャケット
・タケオ キクチのウールパンツ
・グリップファーストの英国製ブーツ


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今回の撮影の舞台となったのは、赤峰さんのオフィス「インコントロ」。
さすがというか、ここは図書館さながらの資料の山。写真集とか昔の貴重な洋書に目を通しながら、「これはカッコいい」、「ああ、懐かしい」といった感じでいつものごとく脱線していきました(笑)。

■着こなしのベースはアメリカでなくてヨーロッパ
ME  今回のテーマはレザーです。なんとなくのイメージで、菊池さんは黒の表革で、赤峰さんは茶のスエードかなって想像しいてたのですが・・・・・・。
赤峰  スエードのブルゾンは、Y.アカミネのコレクションを始めた12年前からブランドの顔としてやっていますからね。昔から1年を通して着ているアイテムで、(注1)ジャン・コクトーが好んで着ていたように、中にドレスシャツを合わせてサラリと羽織るのが、僕の定番の着こなしです。レザーに限っていえば、イタリアのイメージはあまりなくて、思い浮かぶのはフレンチのシックな着こなしなんです。例えば、「太陽がいっぱい」で(注2)モーリス・ロネが素肌に着ていたレザーがカッコいいなって。夏にレザーを着るってことが、当時凄く新鮮に思えたんです。菊池さんがレザーと聞いて最初に思い浮かぶのは何ですか?
菊池  僕の場合、ライダースジャケットですね。バイクに乗っているわけではないんですけど、あのカタチが昔から大好きで、コレクションをやると、いつも発表していたんです。黒の表革の厚いやつ。脱いでもカタチが崩れないようなガチっとしているタイプのね。本当はそっちを着ようかなと思ったんですけど、サイズが小さくなってしまってちょうどいいのがなくて(笑)。
赤峰  ライダースってどっちかっていうと不良系のイメージですよね。当然みんなバイクが好きでしょうから、イギリスだったらトライアンフで、イタリアだったらモトグッチだったりドゥカティになるわけですけど、確かに彼らのスタイルって、もの凄くカッコいいですよね。
菊池  個人的にはブリティッシュの雰囲気が好きなんです。細身の人が猫背で着ているってイメージがある(笑)。とかいいつつも、実はレザーはそんなに着ないんです。ライダースは好きで作ってはいるんだけど、自分ではそんなに着ませんし。
赤峰  それは意外ですね。
菊池  ただ、最近変わった素材を見るとついつい欲しくなってしまうんです。不思議なテクスチャーの感覚に惹かれてしまうっていうか、素材を先に好きになって、デザインは後から考えることが多々あります。最近では、40カラッツ&525でトナカイのスエードを使ってテーラードのジャケットを作ったんですけど、それは気に入って結構着ていました。
赤峰  今日着てらっしゃるのはハラコですよね。それもまた、独特の雰囲気がありますよね。
菊池  インパクトあるでしょう。40カラッツ&525の(注3)秋冬の新作で、今季レザーは2つ手掛けていて、これはそのうちの1つです。今は歳とったからいいんですけど、こういうイカれた感じのを自分で着るようになったのって最近になってからなんです。これは素材が気に入ってるんですけど、モード系になりすぎてしまうと落ち着かないっていうか。着るとなると別の話だったんですよね。やっぱり自分で着るのは、しなやかなほうが好きでして(笑)。

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赤峰さんが着用しているのは、ダンヒルの'40年代製レザーコート。
菊池さんが手にしているのは、ハーレーのレザーのショートパンツ。
お互いの品を見ながら盛り上がっていました。

■着てカラダに馴染んでこそ自分のものになっていく
赤峰  菊池さん、これ見てください。ダンヒルの昔のレーシングカー用のレザーコートです。
菊池  ダンヒルですか、今は(注4)ニック・アシュレイが手掛けていますよね。それにしてもこの服は凄いなぁ。いつ頃のやつですか?
赤峰  1940年代くらいのものです。当時の紳士はこれを着てゴーグルをして、レースに出てたりしていたわけです。風に負けないヘビーな革を使っていて、肩の狭さといいウエストの絞りの感じといい、この時代の洋服って感じです。袖が前に振ってあるから腕を前に出しているとラクなんですけどね。こういうマインドのコート、個人的には大好きです。
菊池  ヴィンテージの使い込んだ味がいいですね。
赤峰  革製品って着込まないと、自分に馴染んでこないですよね。馴染んでるのがカッコよくて、新しいうちはしっくりこないんです。ずっと着ていると、これは着ている本人だけの感覚なんですけど、このへんで自分の感じになってきたなっていうのが感覚的に分かるんですよね。
菊池  本当、そのとおりです。革に関しては、日常的に着ているものでないと落ち着きません。今日僕が着ているのは秋冬の新作ですから、自分の中ではまだ正直違和感があります。そう考えると、赤峰さんのは着込んであるし、板についていますね。
赤峰  このへんのバリエーションは作り尽くしましたから(笑)。1年中しまわずに、夏でも半袖の上にも着ています。クルマの中に置きっぱなしにして着られるし、レザージャケットということで、ある程度オフィシャルなところでも通せてしまう利便性もありますし、もうずっと愛用しています。
菊池  僕は逆に冬しか着ないんです。赤峰さんが着てらっしゃるようなのは持っていなくて、覚えているところでは黒の表革のテーラードジャケットを、'80年代になりますけどずっと着ていました。あと愛用していたのは、今日持ってきたんですけど、ハーレー・ダヴィッドソンの革のショートパンツです。
赤峰  ほーっ、これは珍しいですね。夏ものですか?
菊池  だと思いますよ。夏にハーレー乗るときに穿くんでしょうね。危ないですけどね(笑)。一時期凄く気に入っていて、冬にヘビーローテーションで穿いていました。
赤峰  そのへんのひねった着こなしは菊池さんらしいですね。僕も、革ものに綿素材っていう正攻法すぎる合わせはあまり好きではないですね。上がレザーのときはウールパンツとかのほうが気分です。
菊池  いいたいこと、よく分かります。アメリカの(注5)ボンバーとか着てチノパンとか穿いている人、いるじゃないですか。色は合ってるんだけど、いくらなんでもあれはないですよね。
赤峰  絵に描いたようにはまりすぎていて、はずしの美学がないんです。
菊池  そういうことです。あと、話は変わりますけど、僕は革ものに関してはクリーニングしないって決めているんです。どんなに周囲にクリーニングに出せっていわれても、それだけは昔から絶対にしないんです(笑)。
赤峰  僕も革に関しては絶対ケアしません。ケアしないのがケアっていうのかな(笑)。さすがに度が過ぎてはいけませんけど、革の場合、適度なヨゴレもアジになるんですよね。
菊池  まさにそのとおりです。そのほうが自分らしく着こなせますしね。ヨゴレというか、レザーの場合、クタッとした風合いを自分のものとして楽しむべきものなんですよね。


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(注1) 「ジャン・コクトー」
1889年〜1963年。詩、小説、映画、デッサンなど、さまざまなジャンルで活躍したフランスの前衛芸術家。シャツ&タイにレザーブルゾンの着こなしが、彼の定番。

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(注2) 「モーリス・ロネ」
1927年〜1983年。仏生まれの映画俳優。'60年には「太陽がいっぱい」でアラン・ドロンと共演。金持ちの放蕩息子を演じつつ、華麗なレザーの着こなしを披露。

(注3) 「秋冬の新作」
菊池さんが着用している40カラッツ&525のラグジュアリーなハラコジャケットは、9月中旬からの展開予定。63万円(40カラッツ&525 電話03-3408-8562)

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(注4) 「ニック・アシュレイ」
ダンヒルのカジュアル部門のクリエイティブ・ディレクター。かなりのバイク好きとしても有名で、ダンヒルのモートリティーズ・コレクションにしっかり反映しています。

(注5) 「ボンバー」
ボマー・ジャケットのこと。第2次世界大戦時などにアメリカ空軍が着ていた表革のフライトジャケットで、ボアのついた襟が特徴。有名なところでは、G-1など。

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赤峰さん的レザーの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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レザーブルゾンでもタイドアップ

赤峰さんにとって、スエードのレザーブルゾンはテーラードジャケットのようなもの。だから、ラフに着るのではなく、あくまでタイドアップして着るのが定番スタイルです。

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クタッとした感じで着こなします

タバコスエードのブルゾンは、着込んでいってクタッとした感じが生まれてこそ、エレガントさを発揮します。ちなみに赤峰さんが着ているのは「ルネ・クレマン」モデルです。

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ドレスのマインドでコーディネート

「ドレスのマインドで着こなすのがカッコいい」と話す赤峰さんは、グレイフランネルのパンツにスエードの外羽根セミグローブを合わせてエレガントに演出しています。

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菊池さん的レザーの着こなしテク [MEN'S EX 掲載記事]

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ルイ・ヴィトンのストールです

前号でも紹介したルイ・ヴィトンのシルクシフォンのスカーフ。これはその色違い版。実は菊池先生、これを色違いで4枚持っているんです。着こなしの程よいアクセントに。

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フロントは留めて着るのが菊池さん流

フロントを留めて上をタイトに見せると、これまた印象がガラリと変わります。この場合、菊池さんのお気に入りのルイ・ヴィトンのシルクストールが一段と素晴らしいアクセントに。

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ウールパンツ&お気に入りのブーツ

赤峰さん同様、菊池さんもウールパンツをセレクトしています。で、足元にはボリュームある英国製ブーツを選択。ブルゾンのインパクトに靴の個性も決して負けていません。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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