2009年09月05日(土)
MEN'S EX 10月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.10 [MEN'S EX 掲載記事]
「これからの季節、よりスーツを楽しむにはどうすればいいですか?」
真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。
氏が考える、男のお洒落を伝授する連載。第10回は、「楽しんで着るスーツ」。スーツの楽しさ再発見!
どんな素材がオススメですか?
ツイード、モールスキン、フランネルなど、いろいろあります
スーツは必ずしもオンタイムに着るためにあるわけではなく、オフの日に楽しんで着るのも大いにありだということを知ってほしいですね。オフの日に楽しむなら、ツイード素材やモールスキン、フランネル、ウールギャバジンや太番手のウーステッドなど、いろいろあります。ジャケット用素材と思われているものでも、カシミアのように膝さえ抜けなければ、スーツで大いに楽しめるのです。
(→)回答1
枯れ葉色のツイードスーツで秋の色を楽しみます
「秋の枯れ葉の色すべて入っているオープン3パッチのツイードスーツです。オフ白のカシミアタートルネックニットとの合わせは、私にとって秋の代表的な出で立ちです」。スーツ19万2000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) カシミアニット5万4600円/フランコジッケ(信濃屋 馬車道店)
オススメの色はありますか?
グレイ、ネイビーに限らず、もっと季節の色を楽しみましょう
ビジネスで着るスーツはグレイとネイビーが基本の色ですけど、スーツの色はそれだけではありません。スーツはビジネスで着る服という認識を改めて、オフの日に秋の季節の色、例えば枯れ葉の色を取り入れてみると、今までとは違うスーツの楽しさを発見できると思います。茶、ベージュ、カーキなどの色は、特にオススメしたいですね。
(→)回答2
モールスキンのスーツをアスコットシャツと合わせます。
「750g/mある、英国ブリスベン モスのモールスキンスーツです。イメージはジョッパーズのスーツ。5年くらい着込まないと味が出ないし、パンツのクリースも取れていいと思います。合わせたタッターソールのアスコットシャツは今や信濃屋でしか買えないのでは?」。スーツ19万2000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) アスコットシャツ2万9400円/シナノヤ(信濃屋馬車道店)
■スーツはビズネスだけで着る服ではない
M.E. 先生を見ていると、スーツを楽しんで着てらっしゃるなっていつも思います。着こなしも、オンの感じではなくて、どこか遊びの要素があるといいますか。
赤峰 そうですね。日本ではとりあえずスーツを着てタイを締めていればビジネスになるという暗黙のルールがあって、スーツがビジネスのためのツールとして定着してしまっているんですよね。最近スーツが売れないという話をよく聞きますが、それはスーツを欲しいと思わないからです。クローゼットの中のスーツは満杯で、皆さん似て非なるものをたくさん持っている。そんな中、経済状況が悪くなって安いスーツがどんどん登場し、ますます仕事着としてスーツを捉えるようになってしまったわけです。
M.E. 完全に作業服化していると・・・・。
赤峰 そうなんです。一方でヨーロッパでは、もっとスーツを楽しんで着る文化があります。彼らは休日でもスーツを着るのですが、ダークスーツは着ずに、秋だったら専ら茶やベージュ系の色を楽しんでいたりするわけです。カントリースーツという言葉があるように、スポーツをするオフの日にスーツを着る習慣が、昔のヨーロッパにはあったんですよね。
M.E. なるほど。
赤峰 今は時代も違いますし、そういうのはなくなりましたけど、スーツが低迷して主役から外れてしまった中で、もう一度スーツの魅力を再発見してもらいたくて、今回、楽しめるスーツとはどんなものかを、事例として着てみたわけです。
M.E. ツイードやモールスキン、コーデュロイ、ウールギャバなど、新鮮なスーツのオンパレードです!
■膝さえ抜けなければどんな肉厚素材だっていい。
赤峰 素材を変えてスーツはいろいろと楽しめるんです。日本人はオン・オフという言葉を使いますけど、オフの日にスーツは着ない、ましてネクタイなんて絶対しない、ラクな格好がいい、という考えが定着してしまっている。オフの日はシルクのタイは締めず、ウールやカシミアのタイを合わせて楽しんでいます。今回、ブロードのシャツも着ましたけど、オックスフォードのような表面感のある素材や、鹿の子のボタンダウンもいいですね。足元は茶系のスエード靴あたりがオススメです。もっと王道をいくエレガントスポーツスーツを楽しんでもらいたいですね。
M.E. なるほど。ただ、先生が着ているようなスーツを仕立てるにあたって読者の皆さんが悩むのは、これはジャケット用の素材なのか、そこの見極めだと思うんです。どこが境界線なんでしょうか。
赤峰 膝が抜けないかどうか、これに尽きます。カシミアでパンツを作っても、ふかついちゃってダメですけど、厚手のハリスツイードなら大いにありです。コートを着ずに厚手のツイードスーツをグローブやウールタイでアクセントをつけて着ていたら、とても洒落ていると思います。実際、アウター代わりに厚手のスーツを着るのは、今の日本の気候だったらありですよね。ジャケット素材と決めつけず、思い切って作ってみてください。
M.E. アウターを必要としない厚手のスーツかぁ。素敵ですね!
赤峰 太番手のウーステッドもいいですし、最近はあまり見ないですけど、ベージュのウールギャバなんかも最高です。パターンオーダーになりますけど、読者のかたも私のオフィスに連絡をいただければ、お話ししながら私が見立てますよ。
M.E. 本当ですか?それはとても喜んでいただけると思います。
(←)回答3
ウールギャバジンを甘い色のハーモニーで
「甘い色のハーモニーで楽しむベージュスーツの着こなしです。薄いブルーシャツとの相性が非常によく、それにカシミアのレジメンタルタイを合わせました。オンでも着られますが、これだけ明るいベージュは、やっぱりオフ向きかな」。スーツ18万8000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) タイ1万6800円/フランコバッシ(アイネックス)
(→)回答4
茶のウインターモヘアを鹿の子ポロシャツと合わせます。
「赤峰的大定番、ブラウンのウインターモヘアスーツです。茶のトーン・オン・トーンで楽しむのが好きで、鹿の子のポロシャツと合わせてみました。白の貝ボタンと白のチーフでアクセントをつけているのがポイントです」。スーツ19万2000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) ポロシャツ2万5200円/ギ ローバー(信濃屋 馬車道店)
(←)回答5
ビジネスで着るグレンチェックをニット使いで
「ビジネスで着ているスーツをオフで着るときの色合わせの技がポイントです。オンでは白シャツで着る明るいブルーが入ったプリンス オブ ウェールズを、ブルーの鹿の子のラコステのポロシャツとスメドレーの黒のVネックカシミアニットで合わせました」。スーツ18万8000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ)
(→)回答6
カーキ色の太番手ウーステッドをタイドアップ
「カーキ系ブラウンのヘリンボーン地にブルーウインドウペーンが入った太番手ウーステッドのスーツです。スーツに入ったブルーのアクセント色に対し、ブルーのウール小紋タイを合わせました。タイの柄をスーツのベース色と合わせたのがポイントです」。スーツ19万2000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ)
(←)回答7
ヴィンテージのスポーテックスをスーツで楽しみます
「スーツの生地は約60年前のドーメルのスポーテックスのヴィンテージで、ガリガリのタッチです。青×赤×黒のタッターソールのオックスフォードシャツにヘリンボーンのカシミアタイを合わせました」。スーツ19万2000円(参考価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) タイ(参考商品)/ロバーt フレイザー(アイネックス)
今月のおさらい
壱 スーツはビジネス着ではない。休日も秋の季節の色で積極的に楽しむべし
弐 ジャケット用と思われている素材でも膝さえ抜けなければスーツで楽しめる
参 今の日本の気候ならコートを着ずに肉厚のスーツを楽しむのもひとつの方法
Posted by インコントロ STAFF at 00時00分 コメント ( 0 )