AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年09月24日(月)

OCEANS 11月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事や家庭、恋愛、育児、そしてファッション・・・・etc.。
さまざまな悩みを抱えているオーシャンズ世代の皆さまに救いの手を差し伸べるべく、オトナ相談室を開設しました!
そしてその相談役を引き受けるのは、“マエストロ”こと赤峰幸生氏。あれやこれやと悩む前に、まずはオトナ相談室までご一報を!教えてっ、マエストロ!



今月のお悩みキーワード
“ジェントルマン”

[今月の質問]
ここ最近、「品格」という言葉が流行っています。男としてより格好よくあるために、僕もかねてより「品格」ある男性、つまり「ジェントルマン」に憧れています。だから、「リアルジェントルマン」と称されるマエストロに聞きたいんです!今すぐにでも「ジェントルマン」になれる方法を教えてください。(26歳・オーシャンズ編集部員A・T)

 

Q.マエストロ、今すぐジェントルマンになる方法を教えてっ!
 馬鹿やろう!「ジェントルマン」にたやすくなれるわけがない。断っておくが、オレは自分が「ジェントルマン」だなんて思ったことなどない。そもそも、「ジェントルマン」かどうかは自分が決めることではない。他人が評価するものだ。今すぐにだと?ふざけるな、と言いたいね。「ジェントルマン」であることは、毎日の積み重ねだ。生をまっとうしたときにでも、あの人は「ジェントルマン」だったと回想してもらえたら、うれしいと思うがね。
 どうやら最近は“品格ブーム”が起こっているようだ。品格のある人間になりたいと思うことは大変結構。だが、ブームだから、なんてことでは話にならん。日本人はとかく影響されやすい。ブームに乗っからないと、不安で仕方ないのだろう。だがね、品格のある「ジェントルマン」になるなんてことは、一朝一夕にできるわけがない。そんなこと言う男は、顔洗って出直してもらいたい感じだよ、まったく。それでもいつか、「ジェントルマン」になりたいと願うのであれば、アドバイスを送ろう。それは、「朝勝負の男」になることだ。朝、決まった時間に起きて、顔を洗い、ヒゲを剃り、しっかりと朝食を摂る。そして、「おはようございます」と挨拶をする。そうして、一日をスタートさせるのだ。そして、それを毎日、繰り返す。オーシャンズ世代は、仕事が忙しいからと夜型になっている男が多いだろう。だが、夜の仕事をやめ、その分早く起きて仕事を進める。そうして、生活のリズムが自然の摂理に従ってこそ、毎日の活力が生まれる。朝、つまり午前中にポジティブ=前向きでいることがすべての始まりだ。そしてもっとも大切なのは、自分に対しても、相手に対しても「礼を忘れない」でいること。そう断言するね。何事にも「ありがとう」の気持ちを持たずして、どうして「ジェントルマン」になどなれようか。偉ぶるな、謙虚になれと言いたい。特に先人に敬意を払うことは、忘れてはならない。

Q.では、「ジェントルマン」に見られる服装を教えてもらえませんか?
 だから、馬鹿やろう!と言っているだろう。上っ面だけ「ジェントルマン」に見られようと思うことが、もう道を逸れているのだ。そんなことを言う君には、裸で人と付き合うことができるか、と問いたい。風呂屋に行ったときに、服を脱いで、知らない人と素っ裸で自然に「世間話」ができるかどうか。これは重要なポイントだね。つまり、服など二の次ということ。肩書きも収入も関係ない。それでいて、面と向かって人としっかり会話のできる男が「ジェントルマン」だ。「ジェントルマン」の服装などというハウトゥーはない。ただし、こうアドバイスは送ろう。トレンドというまやかしに踊らされないことだ。そのためには自分流の軸を持つことが大事だ。軸さえ定まれば、ブレることがない。アレコレと服を取っ替えるのではなく、長く着続けられる服を選ぶ目を持て。ハリボテのような服ばかりを着ていないかどうか、自問してほしい。どこでどう作られているかもわからない、イタリア語のようなブランド名を付けただけの服。有名なブランド名が付いていても、実が伴っていないライセンスの服。ブランド名をこれ見よがしにひけらかす服。名前に騙されてはいけない。自分で判断するための目を持たねばならない。10年後も着ていられるか。まずはそれを判断の基準として服を選べば、「ジェントルマン」への道は開き始める。

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(→)自宅の近所にある行きつけの魚屋さんにて、夕飯にする魚を選んでいるマエストロ。魚を選ぶ目も、朝ネクタイを選ぶ目と同じ。そう語るマエストロの、日常の生活の何気ない、当たり前の行為にこそ「ジェントルマン」たる立ち居振る舞いが表れるのである。
 

Q.「ジェントルマン」としての女性との付き合い方を教えてください。
 相手を尊重して、精神的にサポートすることに尽きるのではないか。女性のバッグを持って歩かされている男をよく見かける。重い荷物は男が持つべきだ。だが、自分のバッグを持たせるような女には、「自分の荷物は自分で持て」と言うべきだ。言うべきことは、はっきり言う。それが、男が男らしくいることにもつながる。それが「ジェントルマン」としての女との付き合い方だ。元来、男と女は違いがあればこそ、惹かれ合うものだろう。腰が引けた付き合いはするな、と言いたいね。オーシャンズ世代なら、結婚している男も多いだろう。一緒に生活をしていれば、いいところだけを見せるわけにもいかない。素で付き合うこととなる。それであっても、いつまでも男と女であらねばならないのだ。もっと言えば、「不倫や浮気」なんてのはありえない。なぜなら、全力でぶつかり合うのが重要なのだから。その意味で言うなら、結婚だって何回したっていい。「ジェントルマン」に結婚の回数は関係ない、何回でもしろ!

Q.「ジェントルマン」に近づくためのよき映画や本を3つずつ教えて!
 その手の質問には、もううんざりだ。だが、映画や活字を読むことは知らないモノ・コトを謙虚に受け止められるいい機会だ。たしかに、素晴らしい作品には「ジェントルマン」になる方法が隠されているかもしれない。たくさんありすぎるが、あえて絞るとすれば次のようになるだろう。映画は『(注1)第三の男』『(注2)暗殺の森』『(注3)東京物語』。今の映画ではなく、クラシックな映画はよき人生の手本ともなるものだ。本は『(注4)男たちへ』『(注5)武士道』『(注6)人生心得帖』。時間を作って、ぜひ一読されることをすすめる。そしてこれから何を感じ取れるか。教訓を得たならば、翌日からすぐに実行してほしい。そんなふうに、もっと独りの時間を持って、独りの時間を楽しむのだ。今の世の中は、何事も急いている。早く、早く、という具合にだ。生活に「間」というものがまったくない。本を読んだっていい、散歩をしたっていい、ジムに行ってもいい、靴を磨いたっていい。連れションじゃなくって、独りションだ。「ジェントルマン」になるためには、そうやって自分を振り返る時間くらいの余裕がなければいけないのだ。そのためには、五感が錆びつかないように常に心がけること。そして、「礼を忘れない」で謙虚な気持ちでいることが大切だ。そうすれば、日々、何か得るものがあるはず。「ジェントルマン」になる。それは長い道のりかもしれないが、いつかきっとたどり着けるだろう。少なくとも私はそう信じて毎日を生きている。

 
(注1) 「第三の男」
1940年のイギリス映画。監督はキャロル・リード、主演はオーソン・ウェルズ、ジョセフ・コットン。1950年のアカデミー賞では白黒映画部門にて撮影賞を獲得。


(注2) 「暗殺の森」
1970年製作、イタリア、フランス、西ドイツの合作映画。監督・脚本はベルナルド・ベルトルッチ。原作はイタリア人の作家、アルベルト・モラヴィアの「孤独な青年」。


(注3) 「東京物語」
小津安二郎監督、笠智衆主演。1953年公開。日本映画の最高傑作とも評される。


(注4) 「男たちへ」
塩野七生著、文芸春秋発行。副題は「フツウの男をフツウでない男にするための54章」。辛辣にしてユーモアに満ちた「男性改造講座」。


(注5) 「武士道」
新渡戸稲造が1899年に英文で「武士道」を発表。世界的な反響を呼ぶ。日本人とは何かを問い、倫理観、道徳観を見直すことのできる格好の書。


(注6) 「人生心得帖」
経営の神様と謳われた松下幸之助著。心得帖シリーズの4作目。生き方の知恵、人生の指針が示されている。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「日本人はもっと休め」

フレッシュな自分を保つためには、休みが必要不可欠というマエストロ。「ツーリストとして数日、休むだけではダメ。1年に1回は20日くらい連続して休暇を過ごすべきだ。生活の場を移動させることが大切」。そう語るマエストロは、イタリアの街中の人が水をかけ合うことで知られる、8月の祝日「海の日」にフィレンツェ近郊のシーサイドリゾートにて夏休みを過ごしたそう。働きずくめの日本人に喝!!

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!官製ハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G赤峰連載への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」までお送りください。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録”色紙をプレゼント!

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘夏に見る「ニッポンの誤解」’』2012年7月21日(土)掲載

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