AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2013年12月02日(月)

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「着回しでパーティーへー」 2013年11月30日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

先日、大阪にお住まいの読者の方から、「近く東京・銀座でパーティーがあるのだが、以前赤峰コラムで読んだトニック生地のスーツを検討している」とお便りがありました。

ヤギの毛を使ったトニックにはハリと光沢があり、ハレの場にふさわしい。披露宴でも、親族なら黒の礼服になりますが、ゲストなら明るいグレーのトニックでいいと思います。

祝意を表現するために、着こなしには一工夫加えましょう。シャツはもちろん白ですが、袖口の仕上げをダブルにして、カフスボタンで留めるといいでしょう。ネクタイは、例えば赤と黒のレジメンタル柄で、ベルトと靴は黒。フォーマルな黒を取り入れながら、華やかさも演出します。ポケットチーフは白。私なら小さな赤いバラをラペルの穴に挿しますが、上級と思われるでしょうか。

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イラスト・YAB

このパーティースタイルのポイントは、普段も使えるスーツだというところでしょう。パーティーのためだけに着るタキシードやモーニングにも良さがありますが、着る回数を考えるとそれほどお金をかける気にならない人も多いでしょう。

その点、「普段も着られて、コーディネート次第でパーティーにも出掛けられるスーツ」の方がずっと価値があると思います。そのためには、いつもお薦めしているように「少し明るい色調のスーツを選ぶ」ことが大切になります。私はブルーの発色が鮮やかなリネンのジャケットなどもパーティーで活用しています。ベージュ系のスーツも春夏の会食などにはバッチリ適しています。

「とりあえず黒でしょ」と安物の礼服を手に取るのはもう終わり。普段もしっかり愛せる上質なスーツで、祝意を表現してはいかがでしょうか。

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朝日新聞社に無断で転載することを禁止します
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Posted by インコントロ STAFF at 09時55分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年11月18日(月)

インコントロの住居表示変更のお知らせ [INCONTRO NEWS]

いつも当ブログをご訪問いただき有難うございます。

本日2013年11月18日より、弊社住所の住居表示が変わりました。

旧表示: 〒213-0013 神奈川県川崎市高津区末長675-2
新表示: 〒213-0013 神奈川県川崎市高津区末長2-36-16

旧表示のままでも郵便物等は配達されますが、ご登録頂いている方は、恐れ入りますが、新住居表示へのご変更をお願い致します。

尚、電話番号、ファックス番号、メールアドレスにつきましては一切変更ございません。

株式会社インコントロ


Posted by インコントロ STAFF at 12時34分 Permalink  コメント ( 0 )

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「ビンテージになる服を」 2013年11月16日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

かねて「装いに用いる色は、身の回りの自然を参考にしましょう」とお伝えしています。秋が深まり、熟した柿の色をネクタイや服地のチェック柄にさりげなくあしらう紳士を見ると、「おぬし、やるな」と感じ入ります。枯れた草原を思わせるツイードも季節感があっていい。
 

さて今回は、私が英国を訪ねた時の楽しみの一つ、「ビンテージ」と呼ばれる古着を巡る散策についてご紹介しましょう。
 

ロンドンには、骨董市で有名な「ポートベロ−」のほかにも、味わい深いビンテージが見つかるお店が点在しています。9月にも、ケンジントンの「ホーネッツ」など、なじみの店を訪れて、掘り出し物がないか見て回りました。
 

日本には残暑があったのですが、かの地は初秋の冷え込みで、思わずコートを買いました。状態にもよりますが、バーバリーやアクアスキュータムといったブランドのものが1万円前後でもあり、たいへんお買い得だったのです。

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イラスト・YAB

履き込んだ靴も大好きです。私は着込んだ服を好むので、新品の靴ではしっくりきません。古い靴なら今の自分の装いにそのままぴったり合うものが見つかるのです。

英国には古い服を直して着る文化があります。特に礼服などでは多く利用されているようです。ビンテージになった良品には、ローテクで速度を落として作られたものの良さがあり、そこには「クラシックの継承」という精神が確かに息づいています。そして日本を振り返り、「トレンド消費の果てには、ビンテージは生まれない」と考えさせられるのです。
 

「孫にも受け継いでいける素材が使われているか」。新しいスーツを買う時には、そんなことも考えてみてください。

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2013年11月06日(水)

MEN'S EX 2013年12月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 12 [MEN'S EX 掲載記事]

第四章 自分の定番≠作ろう そのB
『フォックスブラザーズのフラノ』


ロンドン北西のウェリントンという街に、フォックス ブラザーズというミルがあります。スーツ好きの方にはお馴染みの名前でしょう。グレーフランネルにおいては右に出るものなしという名門。年間通してグレーのスーツを愛用する私にとって、同社のフラノは大定番です。

1772年、第一次産業革命の真っ只中、フォックスは誕生しました。トップ糸から紡がれるグレー杢のミックス感は、白と黒の繊維の調合が絶妙なうえ、極秘のフィニッシングが施されていて誰にも真似ができません。イタリアのミルが何度も挑戦しては諦めたという、伝説のフランネルを今も頑なに作り続けています。

フレッド・アステアやケーリー・グラント、チャーチルも愛したそのグレーフランネル。ヒッチコック映画にも必ずといっていいほど、フォックスの特徴あるグレーフランネルが登場します。ロンドンやパリのテーラー、イタリアのサルトも一目置く格。伝説のサルト、カラチェニも、私が絶大の信頼を置くアントニオ・リヴェラーノもフォックスのフランネルをとても大切に扱っています。

ダービー観戦時、貴族たちが着用したグレーフランネル。そんなクラススポーツにルーツを持つだけに上品な風格が備わっており、しっとりと落ち着いた微起毛地に温かい空気が纏いつくので、暖かく着ることができます。

一般には紡毛ですが、じつはフォックスのフランネルは梳毛糸を織り込んで毛羽を立たせています。クリアでドライなタッチなので、パンツにも使うことが可能です。100%ウールにこだわっているので、上質なウール糸を4プライにして毛羽を掻きます。お値段は張りますが、他社では絶対に真似できないしっかりとした生地が仕上がります。

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伊生地にはない英国生地の魅力、フォックス フランネルと私

私のフォックスは目付け600g/u。15年着ていますが、いまだに生地がへたりません。しっかりと腰が強く、芯があります。イタリア製のフラノなら朝着て、夕方にはもう膝が抜けてしまいます。

じつは日本で最初にフォックスに先鞭をつけたのは私なのです。歴史の本で知ったフォックスフランネルを、日本の商社に依頼して取り寄せたのは私が自由が丘でウェイアウトというブランドを立ち上げた28歳の頃でした、以来35年以上の間に、ほかの海外ミル同様、社長は何人も変わりました。現社長ダグラス氏は元ラルフ ローレンのテキスタイルディレクター。気が合う親しい友人の一人です。

以前にもお伝えしていますが、私は服をブランドやディテールで選ぶことはしません。その代わり、素材には徹底的にこだわります。素材は服の柱、白飯と同じだからです。自分の定番の素材をしっかり定めて、それを長く愛用し続けることによって、自分ならではのスタイル≠ェ築かれるのです。それさえ確立すれば、流行に踊らされて消費的な買い物をし続ける必要はありません。確固たるスタイルこそ、時代を超越する真のお洒落≠ノ必要なものなのです。

Posted by インコントロ STAFF at 10時33分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年11月05日(火)

朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「トレンチ風呂漬け事件 2013年11月2日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

中学生のころから洋画に傾倒していた私は、スクリーンの中にいる渋い男たちのコート姿に憧れていました。

ハンフリー・ボガート、ジャン・ギャバン、クルト・ユルゲンス……。
彼らが着慣れた様子でトレンチコートやステンカラーコートをはおる姿は、とにかく格好良かった。長い裾を翻す姿の男らしさといったら……私のお手本だったのです。
 

社会学者の叔父、清水幾太郎がトレンチコートを着ていた姿も身近な手本でした。それは英国のバーバリーのもので、舶来品をいち早く日本に紹介した東京・日本橋の丸善で手にいれたもののようでした。
 

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イラスト・YAB

いつか自分もという気持ちを募らせてアルバイトに励み、お金を蓄えました。母のへそくりから援助を得て、ようやく手にいれたのは、高校3年生のことでした。大事に抱えて帰った箱からトレンチを出し、何度も鏡の前でポーズを取ったことを覚えています。

でも、いま一つ、銀幕の中でいた男たちのように「味わい」がない。そこで私は新品のバーバリーを風呂の残り湯にドボドボと沈めてみたのです。いち早く着込んでこなれた味を手に入れるには、やってみずにはいられませんでした。
 

そこを母に見つかりました。「何をしているの!いい加減にしなさい!」と怒られたのは言うまでもありません。風呂漬けの結果、たいして変化がないこともわかり、やはり着込んでこその味わいだと確信した次第です。

 
このバーバリーを着ては当時の遊び場である渋谷に友人と出かけ、シャンソンやジャズを流す喫茶店をたずね歩きました。路上の電柱に隠れては、映画の主人公になり切って、刑事ごっこをよくしたものでした。

Posted by インコントロ STAFF at 18時52分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年10月29日(火)

サザエさんをさがして 2013年10月26日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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朝日新聞土曜版「be」には、サザエさんの題材まつわる記事が毎号掲載されています。
今回のお題は1969年3月7日の掲載作「タートルネック」。
赤峰がタートルネックのルーツなどについて語っております。

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街角や電車内で、外国人に話しかけられたら、どうしますか。外国語が達者ならともかく、多くの日本人は困惑するのでは。今回の掲載作でマスオは、とっさにセーターで顔をかくしてしまう。こんな芸当ができるのは、タートルネックだからだ。

そこで、青b「男の流儀 粋を極める」でおなじみのファッションディレクター赤峰幸生さんに、タートルネックのイロハを教わりに行った。

赤峰さんによると、タートルネックは19世紀後半、英仏海峡にあるガーンジー島の漁師の仕事着がルーツらしい。寒い海で働く父や夫の防寒、防風のために、島の女たちはセーターの首の部分を長く編み上げた。それぞれの家ごとに編む模様が違ったという。「遭難したときの身元確認のため、という悲しい歴史があります」と赤峰さん。

実用品だったタートルネックはおしゃれの面でも注目され、日本でも1950年代後半あたりから、愛用者が増えてきた。「三島由紀夫、黒澤明、伊丹十三……。アート系やフリーランスの人が多かった。組織と一定の距離を持つ証しでしょうか」。在野の歴史家で「都市の論理」で一世を風靡した羽仁五郎も、タートルネックが似合う男だった。

偶然だが、掲載作と同じ日付のアサヒグラフに「怒れる老人 羽仁五郎」という特集があった。当時は大学紛争が真っ盛り、キャンパスはヘルメット学生であふれていた。そこに、ソフト帽、丈の長いコート、白いタートルネックの羽仁五郎が現れ、マイクを握ると、座り込んだ学生から「異議なし!」の声がとぶ。

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記事は「東に大学の紛争があれば、最後の勝利は君たちのものだとはげまし、西に教室の封鎖があれば、がんばり給えと訴えにかけつける。(略)歴史学者・羽仁五郎氏は、白いタートルネックもさっそうと、バリケードの大学を今日も行く」という文で始まる。

「たしかに大学紛争の頃から、父はよくタートルネックを着ていました。学生に呼ばれて講演に行くときは、いつも白いタートルネックでした」と長男で映画監督の羽仁進さん(85)は回想する。ネクタイに象徴される体制への反抗の意味もあった。白が多かったのは「白のタートルネックは、自分を励ます、胸を張って生きる、という気持ちの表れだったように思います。父は自分に自信を持っていましたから」。

作家・吉岡忍さん(65)もタートルネックを愛用した。その頃はやったサファリジャケットにタートルネックはよく合った。「おしゃれというより、ずぼらだったからかな。でも、タートルネックは素肌の上に着るから、フィット感、肌感覚が、人にも世の中に対しても素の自分を見せたい、という当時の自分の気持ちにつながっていたように思う」

ところで、赤峰さんは掲載作を見て「もしかしたら長谷川町子さんは、『大人は判ってくれない』に影響されたのかな」と言う。ヌーベルバーグの映画監督フランソワ・トリュフォーの長編デビュー作「大人は判ってくれない」(59年)は、反抗期の少年を描いた映画で、当時、日本でも評判になった。さっそくビデオを借りてきた。

いつも黒っぽいタートルネックのセーターを着ている少年が、盗みで警察に捕まって署の留置場に入れられる。そこでタートルネックを鼻のあたりまで引き上げ、外界とのコミュニケーションを拒絶する印象的なシーンがあった。マスオも、いささか子供っぽいが、コミュニケーション拒否の意思表示だ。赤峰さんの想像通りだとしたら、長谷川町子さんは、かなりの洋画通だったことになる。

(牧村健一郎)

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Posted by インコントロ STAFF at 10時51分 Permalink  コメント ( 0 )

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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