AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2013年01月30日(水)

Good Morning Akamine [Weekly Akamine]

睦月第四週(4/52週)

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2013年1月22日(火) 戊子

【Vintage SPORTEX Suit】

1930年代はジェイムズ・ジョイスもコール・ポーターもゲイリー・クーパーもこの生地で仕立てたスーツを着ていたのだろうか?

Whenever I wear SPORTEX, I cannot help wondering if James Joyce, Cole Porter and Gary Cooper also love this fabric in 1930’s.

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2013年1月23日(水) 己丑

【Country Jacket】

茶のキャンディストライプシャツとベージュの丸首セーター、そして乗馬用のモールスキン。いつものように茶系統でのまとめ。

A shirt with candy stripe, a round neck sweater and trousers tailored with riding moleskin.
My favorite brown color coordination.

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2013年1月24日(木) 庚寅

【Scottish Country Suit】

カントリーといえばグリーン、様々なグリーンで色をまとめ、インナーのニットと靴は大地をイメージしてみました。

In the countryside, we can see various green colors. Expressing the earth with a brown sweater and shoes.

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2013年1月24日(木) 庚寅

【BARCOUR/Beaufort】

カントリーといえばハンティング。25年もお世話になっているジャケットは袖口もポケットもボロボロで、やっと味が出て来ました。

Cuffs and pockets are already worn out. After 25 years, this jacket has finally exudes a taste.

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2013年1月25日(金) 辛卯

【Heavy Flannel Suit】

膝の抜けないしっかりとした打込みのフラノが昔からの好み。ドレスの基本はネイビーとグレーから。

A firm flannel is my longtime favorite. Navy and grey are unchanged standard of dress.

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2013年01月21日(月)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「冬はフランネルであったかく’』2013年1月19日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 一年で最も寒い時期になりました。ぬくもりを求める方にぴったりのスーツ素材、「フランネル」について今回はお伝えしましょう。

 フランネルとは略してフラノとも言い、生地の表面を起毛させたネル仕上げ素材。弾力があって保温性に優れています。もともとはテニスの白いスラックスなど、スポーツをしたり、見たりする時のために生まれました。ですからあくまでスポーティーでドレッシー。仕事の場はOKですが、本来はパーティーなど、フォーマルな場面で身に着けるものではないことは知っておきましょう。

 フランネルの中でも基本とされるのが、着回しのよいミディアムグレー。ネイビーはブレザーによく使われます。原毛の挽き方で、生地の表情がザラッとした、言わば「粗びき」から、きめの細かい「細びき」までありますが、個性的なスーツが目立ち始めた最近の流れなら、粗びきの方が面白いかもしれません。「チョークストライプ」と呼ばれる太めの白いラインが入ったものも、フラノなら微妙なかすれ具合でカッコイイ。

 毛羽だった表面仕上げだから、スエードの靴とは抜群の相性です。そしてスポーティーなので、ネクタイを締めず、タートルネックのセーターを合わせてもしっくり決まる。あえてコートは着ず、アクティブにレザー手袋、流行のキャスケットといったコーディネートはいかがでしょう。

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イラスト・YAB

 春には白フランネルのバミューダパンツに洗いざらしのオックスフォードシャツ、スニーカーといった合わせも。まだちょっと気が早いですね。まずは日本には厳しい冬があるからフランネルを楽しむ。そんな過ごし方が粋ですね!

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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2013年01月09日(水)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘賢く暮らす時代に’2013年1月5日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 新年明けましておめでとうございます。現在の日本では、大きな経済成長は期待できず、政治も混迷が続いています。ファッション界では、雨後の竹の子のように様々な「トレンド」ができては色あせての繰り返し。ファッションの追いかけごっこもここまで来ると、何を礎に服を着るべきか、迷う方も多いのではないでしょうか。

 これまでは、なんでもあるという「百貨」を消費した時代。それが好みの多様化とともに、「五十貨」「三十貨」「十貨」を深掘りする時代に入ったと考えています。使い捨てが行き着いて、賢く、丁寧に暮らしたいという欲求が高まり、質が高い物を長く着ることが見つめ直されているように思います。

 信じられる服を、信頼できる販売員から求めたい。できれば、自ら作り消費者に直接手渡すような、作者が見える服が欲しい。買い物なら中身がよくわからない福袋には手を出さず、必要なものを一点ずつ大切に買っていくような感覚です。5年、10年と着込むほどに味が出て、一体感が感じ取れる服をぜひ選び取っていただきたいと思います。

 流行は追いかけるのではなく、一つの目安として受け止めることが大切です。欧米の丸写しではなく、日本人としての装いを考えることも求められているようにも思います。「オシャレ」と「洒落る」とは、似ているようで違うものでしょう。
 

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イラスト・YAB

年賀状は、一人ひとりに心を込めて筆を走らせた和紙の手作りと決めています。メールも便利ですが、日本人のけじめとして手書きでしたためる。そんな暮らしをすることが大事だと、改めて考えた年末年始でした。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 11時51分 Permalink  コメント ( 0 )

MEN'S EX 2013年2月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」vol.2 [MEN'S EX 掲載記事]

名作映画に学ぶ服装術 その2
『アーティスト』


 ゴテゴテした装飾性ばかりを強調した靴や腕時計、演出過剰のこれ見よがしな着こなし。ファッション業界は疲弊し、短期間で一大勢力を築き上げたファストファッションは、早くも生き残れるのかを議論されています。表面的な流行を造っては捨て、捨てては拾いを繰り返すばかりで確固たる思想が見つからないのです。いつか限界を迎える日がやって来るのでは?拭えない不安が募ります。

 今、メンズファッションは進むべき道標を失い、行先には靄が掛かっています。しかしここにきて、一部の服好きたちの間で服飾の原点に立ち返る動きが出始めています。行き過ぎた装飾を排し“引き算の美学”を突き詰めて、正当のクラシックに戻ろうという動きです。
 歴史が生み出してきたものの中で、時代を経ても変わらないもの。それこそがクラシックの真髄です。紳士の装いの原点は1920〜30年代に遡ります。今こそ、原点を見直す時期ではないでしょうか。紳士の在るべきスタイルとは如何に。その答えがズバリ、スクリーンに表れた映画がありました。

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クラシック服好きも納得するジェントルマンの正しい服装

 映画にも原点を見直そうという動きがありました。第84回アカデミー賞受賞作品『アーティスト』です。行き着くところまで行ってしまった現代映画に対する試みであり挑戦でもあるのでしょう。装飾過多な現代映画と真逆をいく、色も台詞も音もない白黒サイレント映画にはマイナスの美学を見ることができます。そして20年代のハリウッド映画をたっぷり見ていないと語れないほど、衣装に対する時代考証がなされていました。

 時は1927年、サイレントからトーキーへと移り変わる時代。主人公であるサイレント映画のスター俳優、ジョージ・ヴァレンティンの装いは、シングルブレスト、ピークドラペルの3つ揃い。ノーベントで、生地は目付け400〜430g/uと思われるツイードまたはフランネルです。ナローカラーの襟元は、きゅっと絞ったタイドアップスタイルで、クラシックな裏無しのシンプルなタイを。ノットを小さく結んで持ち上げています。前回も『オリエント急行殺人事件』を題材にして解説しましたが、これこそスーツスタイルの原点です。
 一方、撮影所に赴く際にはダブルブレストのジャケットにチェックタイ、キャスケットという着こなし。ここで注目していただきたいのは、現在のカジュアルにあたるシーンでも、オンを少々砕けさせた程度で、あくまでもドレッシーに装っていることです。本来、紳士の装いに“オフ”はありません。男の服の原点はドレスクローズなのです。

 『アーティスト』は、歴史を改めて見直したことで、アカデミー5部門に輝く非常に挑戦的かつ正当な作品に仕上がりました。ファッションも然りではないでしょうか。原点を見つめることで、次代を築く足がかりとなるはず。それは単なる懐古趣味ではなく、温故知新というべき大切な服育なのです。

今月の総括

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『アーティスト』
2011年ミシェル・アザナヴィシウス監督作品。2012年度アカデミー賞5部門受賞。ハリウッド黄金期、サイレントからトーキーへ、映画の世代交代が行われようとしている。サイレント映画にこだわるあまり、スター俳優ジョージは時代に取り残され、彼が発掘した新人女優ペピーがトーキー映画の花形スターへと登っていく姿に焦燥する。

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2013年01月01日(火)

人心一新 [年賀]

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時代の流れは早いもの、多くの情報に翻弄されない為には、人の心の奥にある価値観をまったく新しく改めないと真のクラシックは育まないと思います。その為には五感の五段階フル活用をお薦めします。
樹海にすっぽりと入り込んだ時代だからこそ、まずは自分と正面から向き合って今年を頑張ってまいります。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

赤峰幸生

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2012年12月15日(土)

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「トニック」という服地について’』2012年12月15日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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 年末ともなれば会食や会合が多くなります。私が公の席でいつも身に着けるスーツと言えば「トニック」。1957年に仏・ドーメル社の4代目、グザビエ・ドーメルが羊と子ヤギの毛(モヘア)を混紡させて作り上げた素材です。完成を祝して「ジン・トニック」で乾杯したことから、この名が付いたと言います。

 そもそもの「トニック」を辞書で引くと、「強壮剤、肉体的精神的に元気づけるもの」とあります。スーツ素材のトニックにはピシッと張りがあり、スチームローラーで表面の粒子を焼くことから渋い光沢を放ちます。日本では夏の素材と誤解されていることもありますが、仕事やハレの席で年中活躍します。パーティーでトニックのグレースーツを身にまとい、白いシャツにブラックタイを締めれば、身も心もバチッと決まります。

 トニックは60年代には紳士の正装として欠かせないものとなり、世界で1千万メートル以上が売れたといいます。各メーカーがモヘア混の開発を後追いし、現在でも混紡の比率を変えながら、世界中で愛され続けています。

 私は生地を探求する中でグザビエと出会い、英・ヨークシャーの生産現場を訪問するなど、親交を温めてきました。今春、彼が亡くなって日本で開かれたしのぶ会には、ビンテージとなった私のスーツを3着、会場に飾ってもらいました。もう10年以上着ているものですが、重みがあって丈夫な生地の魅力は今なお色あせていません。
 

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イラスト・YAB

 「革新なくして未来なし」。その精神は5代目のドミニクにも受け継がれています。スーツを見るとき、そのデザインに目を奪われがちですが、技術の粋を集めた服地にもご注目頂きたいと思います。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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