AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2009年08月24日(月)

OCEANS 10月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に
救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“男の口説き方”

[今月の質問]
こんにちわ。いつも赤峰さんのお言葉に勇気をもらっている32歳の男です。今回は私の悩みを聞いていただけないかと思い投稿しました。最近、あるメーカーの営業に転職したんです。前職はゲームプログラマー。ひとりでコツコツとやる作業が好きで始めた仕事だったんですが、昨今の不況の影響もあり一年発起して現職に。営業という仕事に携わること自体が初めてでもあったんですが、正直に言って、成績がまったく振るわないんです。上司からは「お前はその場のノリはいいが、最終的に相手をその気にさせる力がない」と言われています。今後のために、ぜひ人を口説く秘訣を教えていただけないでしょうか?(32歳・メーカー勤務・東京都在住・K・Yさん)

 
 

Q.人の口説き方ねぇ.....。大事なのは熱い気持ちでしょっ!あんまり堅く考えないで、女性でも一生懸命口説きましょ!そうですよね、マエストロ!
 そうそう男なんか放っといて、女の子に血道を上げて・・・・ってこの大ばか野郎がっっ!貴様、この暑さで脳みそが蒸発しちまったようだな。思わずノッてしまったではないか。
 社会に出れば、面接や取引先や客のやり取りはもちろん、上司や部下との関係、そして結婚・・・・。投稿者も関心を持たれているように、人生を切り拓くには人を口説き、その気にさせなければならない場面がたくさんあるのだ。
 私は28歳のときにアパレル会社を立ち上げた。自分で会社を興して改めて気付いたが、仕事はまさに口説きの連続であった。服をつくる工場の職人、服を販売する販売店のバイヤーたち、彼らに動いてもらわなければ、仕事は一歩も進まない。しかも当時の私には、何の後ろ盾もない。まさに徒手空拳で、相手を口説き、その気にさせなければならなかった。

Q.うひょ〜。もしやそこで伝説とまでいわれるマエストロの営業トークが炸裂するわけですね!一体どんなサクセスストーリーが聞けちゃうんでしょうか!?
 このスカタン野郎が!!私の人生にサクセスストーリーなどない。あるのは、無数の失敗から学んだ大切な財産だけだ。あれは忘れもしない、30代の半ばころのことだ。コンサルティングの仕事に携わっていた当時、あるアパレル会社との取引の話が舞い込み、喜び勇んで打ち合わせに臨んだ。相手は名のある企業であったが、当時のビジネスは順調で、私は一歩も引くことなく交渉を重ねた。しかし、なかなか相手は首を縦に振らない。粘り強く交渉を重ねたが、最終的に相手の担当者からこんなことを言われた。「話はもうわかった。君は一体いくら欲しいんだね?」。私はその言葉を聞いたとき、「これは負けだ」と直感した。契約の話にばかり気を奪われ、相手の信頼を得るという最も大切なことをおろそかにしてしまっていたのだ。これでは、無礼なことを言われても返す言葉も見つからないはずである。私はこのことを機に、自分の営業スタイルを徹底的に見直すことにした。
 第一に欠点やデメリットも包み隠さずに伝えるように努めた。つまり「できないことはできない」ときちんと言う。例えば洋服のお店に行くとしよう。あなたが店員に「この服は○○には似合うか?××の場面で着られるか?」といくつか質問をする。そのとき「もちろん似合います!」「もちろん、どこでも使えます」とオウムのように繰り返す輩を果たして信頼できるだろうか?人の心理としては「この商品はこういうときは最適ですが、こういうときにはあまり使えないんです」と正直に言ってくれる人物を信頼するはずだ。つまり、営業する商品の長所と同じように短所も伝えることがとても重要なポイントなのである。
 第ニに現場を深く知ること。商品をひとつ売るときにも、そのものが作られている現場を知らないと、その説明はすべて表面的になってしまう。私は工場にお邪魔し、自社の服が作られている工程を一から十まで見せてもらった。そして「ここの工程は面倒だけどね、着心地がよくなるんだ」といった職人さんの言葉を頭に叩き込んだ。こうした現場の生きた言葉は、営業先で自分の商品を説明する際に最高の武器となった。そして何より、自社商品の「価格の理由」についても理解することができた。皆も同じではないだろうか。何か買い物をする際、その値段の理由を納得できることが、購入を決める大きな決断理由となるはずだ。
 よく会社に来るセールスマンでも、人の会社のことをよく調べてくる輩がいる。しかし、そういう輩に限って、自社商品のことをほとんど知らなかったりする。これこそ本末転倒である。顔を洗って出直して来い、そう言いたい。

 

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(→)今月、マエストロが挑戦したのは、なんとロデオマシーン。マエストロが纏うGジャンは、1959年にデビューした「リー」の名作ウエスターナー。登場するなりカウボーイたちのお洒落アイテムとして定着した、不朽の名作であります。ボトムスは、「リーバイス」の501XX。そして、Tシャツは「ヘインズ」のヴィンテージ。いずれもアメリカのウエスタンな気分たっぷりの出で立ち。そこに、イタリアで創業した「スペルガ」のスニーカーを合わせるあたりは、やはり只者ではありません。荒れ狂うマシーンに跨り、振り落とされそうになりながらも必死の形相で耐えるマエストロ。僕らは決してその勇姿を忘れることはないでしょう。
 

Q.す、すごい、すごいっすよ!!お店にそんな店員さんがいたら納得して買い物ができるはず!もしや、コレをマスターしたら、出世街道まっしぐら?ひょえー!
 このツルセコ野郎がっっっ!お前は、そうやっていつもお手軽に答えを知ろうとする。まったく気に入らんが、今回ばかりは読者のために、私流の営業について少しだけ話そう。
 例えば、一枚のジャケットを売るとする。私の場合、まず世間話から入る。これは、「カウンセリング」にあたる。天気でもスポーツの話でもなんでもいい。そこで、その人物と生活観、価値観を探るのだ。
 次に自分の商品が体現する「文化」を語る。私の服が持っている文化とは、英国やイタリア、日本文化に通じる「本当にいい服を末永く着ること」だ。この魅力をストーリー仕立てにして話す。「あなたはいま32歳。しかし、これから30代、40代と過ごしていくにつれ、結婚もするし、子供もでき、オフィシャルな場面に遭遇する機会も多くなるはずです。そんなとき・・・・」と、この服がその人の生活の中でいかに役立ち、長く着られるものかを想像してもらう。このとき、先にも述べたとおり「このジャケットは比較的カジュアルなデザインなので、こういう場面ではおすすめできません」とはっきりとデメリットを伝えておくのも重要だ。
 そして興味を持ってもらえたら、そこで初めて商品の説明をするのだ。ここで言いたいのは、興味を持つとは、私のジャケットが体現する文化と相手のライフスタイルが重なり合うことだ。双方が重なり合って初めて、商品の説明が効果を持ってくる。ディテールや生地、フィット感、自社商品にしかない魅力を伝える。もちろん、それだけの値段が付く理由もだ。あとは買う側に判断を委ねるだけだ。
 そもそも、この営業スタイルは英国やイタリアでの老舗テーラーではごくごく当たり前のことである。だが、大量消費や合理性ばかりが重視されていくなか、こうしたやりとりがいっきに失われたのだ。
 今まで私はこのスタイルで、ひとりひとり顧客を増やしてきた。人間味を大切にしたこうした接客方法は、洋服の販売に留まらず、さまざまな仕事で必ず役に立つはずだ。

Q.な、なるほど、さすがですっ!では、お次はぜひマエストロの巧みな営業トークを聞かせてくださいよっ!ぜひパクリ・・・、いや参考にしたいんです!
 トンチキ野郎っ!!貴様にはまだわからんだろうが、人を口説くよりももっと難しく、大切なことがある。それは、自分を口説くことなのだ。
 私は40代の後半に、ある大企業からコンサルティングの依頼を受けた。プレゼンは大成功し、「ぜひ」とのことだった。だが、私は最初から、その企業のスタイルが私の信条にそぐわない気がしていた。しかし、契約金は破格とも言えるものだった。
 しかし、私は悩んだ末に辞退した。決断させてくれたのは、池波正太郎先生の著書に出てくる登場人物たちだ。鬼平にしろ真田幸村にしろ、世間の価値観や権力に縛られず、己の中の掟や美学に従って生き抜いた魅力的な人物だ。金ではない。私も彼らのように自分を貫き、爽やかに生きよう、と思ったのだ。私は彼らの生き方を自らにプレゼンし、自分を口説いたのだ。辞退したのは、その結果である。
 私は後年になって、自分を口説くことの大切さをしみじみ実感した。あのとき誘いに応じていれば、会社は一時的に大きくなったかもしれない。だが、私の中で、確実に何かが損なわれてしまったはずである。生き方の芯を失うことは、男にとって何よりも情けないことだ。
 自分を口説くことは、己が本当に納得しているかどうかを問う作業である。ある商品に自分が納得していなければ、それを売る相手を説得するには不十分であろう。つまり、人を口説きたいと思うなら、その前にまず自分を口説けということである。
 「人間の数ある才のなかで、私は説得力に一番高い値段を付けたい」。あのロックフェラーがこんな言葉を残している。人を、そして自分を口説くことを。その秘訣をひと言で言うなら、私は腹を割ることだと思う。そしてそこから生まれる本音こそが人を動かす。それで失敗したら、それまでのこと。己を疑うことさえなければ、必ずや、次の好機をものにできるはずだ。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
先日、イタリアからアントニオ・リベラーノがやって来た。彼はフィレンツェのテーラー「リベラーノ&リベラーノ」の店主で、私の30年来の親友である。日本に来ると必ずふたりで酒を飲む。話題はたわいのない話がほとんどだが、珍しく服の話になった。私は彼に問うた。「イタリアや英国のように、洋服のジャパンスタンダードはなぜ生まれないのか」。リベラーノは黙り込み、やがてひとつの回答を口にした。「スタンダードとは継続である。しかし、日本にはものや情報が溢れすぎ、スタンダードを確立する環境にないのではないか」。至言である。目の前の流行を追いかけていては、決してスタンダードは持てない。自国の文化や自身の内面に向かうオリジナリティ。これこそがスタンダードの源となるのだ。
 

カウボーイ気分で堪能するテックスメックス料理!
今回の撮影で訪れたのは、東京・恵比寿にあるテックスメックス料理の老舗。400席もある店内は、アメリカ西部やメキシコのキャンティーナ(酒場)を思わせる、活気と陽気溢れる空間だ。ハンバーガーやホームメイドタコス、グリル料理など、ボリューム満点の料理や、豊富なドリンクが楽しめる。注目は、店内に設置された本格マシーン。毎週、日曜日の夜9時ごろになると「ロデオ・ナイト」が開催される。詳しくは以下に確認してください。

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「ゼスト キャンティーナ 恵比寿」
電話/03-5475-6291
住所/東京都渋谷区恵比寿1-22-19
営業11:30〜29:00
[ http://www.zest-cantina.jp ]
 

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!本誌ホームページ[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、トップページから投稿してください。

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2009年08月06日(木)

MEN'S EX 9月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.09 [MEN'S EX 掲載記事]

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「紺ブレ&紺ジャケットの着こなし」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。
氏が考える、男のお洒落を伝授する連載。第9回は、「紺ブレ&紺ジャケット」についてです。
6つの着こなしを披露していただきながら、氏のイズムをお話しいただきます。


 
Q 赤峰先生の定番ブレザーは?
梳毛ならサージ、紡毛ならフランネルです
万能という意味で選ぶなら、よく着ているのはウーステッドのサージです。それと、特にこれからの季節は目付けのしっかりとしたフランネルのブレザーは欠かせない存在です。ともにビシッとタイドアップして着ると非常にサマになります。オンもオフも選ばない紺のブレザーとなると、平織りタイプで素材の凹凸感がしっかりしているホップサックやバスケットなどが私の定番です。
 

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(←)着こなし1
秋冬には欠かせないフランネルの紺ブレザー
信濃屋別注によるイザイアのフランネル製ブレザーに、アカミネロイヤルラインのジャカード織りの白シャツ&フランネルパンツ、英国のヴィンテージタイをコーディネイト。ブレザーが深みのあるネイビーのときは、赤を差し色で取り入れるのがお気に入りスタイルです。ブレザー/イザイア(信濃屋馬車道店)

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■フラノのブレザーには素材感のあるシャツを
フランネルのブレザーは素材感がのっぺりしているので、凹凸間がしっかりしているホップサックやバスケットなどが私の定番です。

Q 金ボタンと銀ボタンの違いは?
銀ボタンはドレッシーという認識です
メタルボタンも金ボタンと銀ボタンでは、銀ボタンのほうがドレッシーという認識です。ですので、金ボタンはパンツをさほど選ばないのに対し、シルバーボタンの場合、特に秋冬はグレイのフランネルやサキソニーのパンツを基本的に合わせています。一方、金ボタンのブレザーは、上の写真のようにもうちょっとカジュアルな格好に合わせています。

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(←)着こなし2
金ボタンのブレザーの合わせは洒落た中にもスポーティな装いで
オフの中でのドレスアップ。「葉山のリゾートのお洒落して出掛けるときに」。フランネルの3パッチポケットの紺ブレに、レジメンタイ、ホワイトフランネルのパンツという合わせ。スポーティかつエレガント。ブレザー/イザイア(信濃屋馬車道店)

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■ブルー軸の着こなしは赤をスパイスに
海を意識したブルー軸の着こなし。ジャケットは羽織る感じで、真ん中のボタンに力が入るように着ます。「ブルー系コーディネイトに赤をワンポイント入れたスタイリングは、私の定番」。

■紺ブレの基本は梳毛サージとフランネル
M.E.  ひと口に紺のブレザーといっても、シングルもあればダブルもありますし、メタルボタンにしても金と銀があって、さらに言うと、プレーンなタイプもあれば、ロゴ入りタイプもありますよね。素材もウーステッドからフランネル、カシミアまで、幅広くあります。
赤峰  そうですね。紺のブレザーは基本の基のアイテムで、一枚持っていれば安心みたいな感覚がありますけど、実は奥が深いんですよね。色も、ミッドナイトブルー、インクブルー、ロイヤルブルーと、トーンの違いでいろいろありますから。ちなみに、一般的にはブラケッシュなネイビー、つまり、黒に近い紺ほどドレッシーとされています。
M.E.  確かに色で印象はだいぶ変わってきますよね。素材については?
赤峰  ブレザーにおいてはウーステッドのサージが基本で、これはあらゆるシーンで万能です。それに並ぶ基本としてあげられるのがフランネルです。そもそもフランネルはブレザーと非常に相性がいい素材で、打ち込みがいい英国製ものなら、普通に10年は着られます。
M.E.  とは言えフランネルのブレザーってそんなに数が出るものではないので、最近は扱っている店も少ないですよね。
赤峰  そうですね。本当は信濃屋さんのように定番アイテムとして何十年も扱い続けていかないと、クラシックの土壌は育っていかないんですけどね。私の中で、フランネルのネイビーブレザーは絶対欠かせないアイテムです。
M.E.  わかりました。それ以外だと?
赤峰  ほかのところでは、バスケットとかホップサックなど、凹凸感がある平織りタイプの生地ですね。これは、オンにもオフにも着られる使い勝手のよさがあってオススメです。
 
■ボタンの色ひとつで合わせる服も変わります
M.E.  なるほど。ではメタルボタンですけど、シルバーとゴールドの使い分けはどうされているのですか?
赤峰  僕にとってシルバーのメタルボタンはドレッシーという位置づけです。カジュアルなボトムスには、ゴールドボタンのものを合わせます。シルバーボタンのブレザーには、ミディアムグレイ〜ミディアムライトグレイのサキソニーかフランネルのトラウザーズ、それに茶のスエードか黒のカーフの靴を合わせます。
M.E.  メタルボタンひとつで合わせる服がだいぶ変わってくるわけですね。紋章入りのボタンはいかがです?
赤峰  紋章入りはときにボタンに存在感が出すぎてスタイルが重くなってしまうんです。プレーンなほうが、紋章入りよりもコーディネイトしやすいですよね。
M.E.  なるほど。好みの着こなしは?
赤峰  紺のブレザー&ジャケットの着こなしは、何よりも色合わせがキモだと思うんです。今回も実践しましたけど、色の引き締まったネイビーに、白シャツ、タイで赤を取り入れたスタイルが好きですね。一方で、明るめのネイビーには茶系が相性いいので、ブルーを軸に茶&ベージュ系でまとめたスタイルも好みです。後者はよりオフの感覚が強くなりますね。
M.E.  もうひとつ知りたいのは、ジーンズを合わせるときのコツです。
赤峰  そうですね。ジャストサイズのジーンズだと、ジャケットに対してパンツのラインが細すぎてしまい、上着がボクシーに見えてしまうんですよね。上着からヒップラインまで自然に繋げて見せるには、ワタリ幅があってモモに適度なゆとりがあるほうがいいんです。ブレザーもちょっとしたことに気を配るだけで、着こなしに深みが生まれるんです。
M.E.  なるほど。教えていただいたもろもろ、早速実践あるのみですね!
 
 

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(←)着こなし3
紺のジャケットに合わせるデニムにはゆとりあるシルエットを
リヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てたバスケット織りのジャケットに、赤のカシミアニット&ストライプシャツ、それにヴィンテージのリーバイス501.ピタピタのジーンズはNG。ジャケットとの繋がりを考えて、ワタリにゆとりのあるものを合わせるのがポイントです。

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紺のJKには赤の差し色が効果的です
着こなし2同様、これもブルー+赤のワンポイントの合わせ。クルーネックは首周りがやや下がっているもののほうが相性◎。シャツ襟は左右非対称の表情をつけるのが赤峰流定番。

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(←)着こなし4
明るめのブルーのJKには茶&ベージュの合わせが好相性
リヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てたラムズウールのジャケット&キャバルリーツイルのパンツに茶系のシャツ&タイをコーディネイト。「濃紺に茶はあまり合わせませんが、ブルーに近い明るい紺と茶は非常に相性がよく、好きな合わせのひとつです。ホーンボタンの色とパンツの色が合っているのもポイントです」。

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ブルーと茶の合わせは赤峰的大定番
茶のギンガムチェックシャツとタータンチェックのポプリンウールのタイをコーディネイト。「伊の田舎のオヤジの合わせです。温かみのある色合わせがポイントかな」。

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(←)着こなし5
ミリタリー調紺ジャケットにはリラックス感あふれるオフホワイトを
超普段着のスタイルで、遊びのジャケットという位置づけ。ミリタリー調紺ジャケットの中に、ウーステッドのVネックニットを合わせ、下はリーバイスのコーデュロイとスペルガのスニーカー。「ネイビーと白の2色でまとめてみましたが、純白ではなくオフ白を選んでいるのがポイントです」。

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ノータイ時はボールドなストライプを
ノータイでリラックス感を出したいとき、ピッチの細かなストライプのほうがしっくりまとまります。襟の表情に変化をつけるのを忘れずに。

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(←)着こなし6
カーディガン感覚で羽織るブルーのブレザースタイル
細番手のサージのブレザーはリヴェラーノで15年前にス・ミズーラ。チルデンタイプのニット、ポプリンのシャツ、ハウンズトゥースチェックのパンツはアカミネロイヤルライン。ローファーはジャン バディ。「上1つ掛けで無造作感を出してみました。ブルーのグラデーションで、これに無地のタイを合わせてもいいですね」。

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ブルーのグラデにスパイスの赤
ブルーのグラデーションで合わせながら、赤を利かせています。ブレザーは上1つ掛けで合わせていますが、JKを着るというよりはカーディガンを羽織るような感覚で。

今月のおさらい

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 紺ブレの基本は梳毛サージとフランネル、オン・オフ両用ならざっくり平織りタイプを
 シルバーメタルのブレザーはドレッシーに、ゴールドメタルはややくだけた合わせを
 ネイビー×白のスタイリングには差し色使いの赤が効果的

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2009年07月24日(金)

OCEANS 9月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に
救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ
“個性の高め方”

[今月の質問]
赤峰さん、はじめまして。今回、ぜひ聞いていただきたい悩みがありまして投稿させていただきました。私は今、食品を扱う商社に勤めています。最近、上司から「お前には個性がない。そんなことではうちの会社ではやっていけない」と言われてしまいひどく悩んでいます。確かに私は見た目も地味で目立つほうではありませんが、それと仕事は別問題。ですが、そうは言っても何をどうしたらいいかわからないんです。どうしても上司に「個性のある男」と認めさせたいと思っています。そもそも「個性」とはなんでしょう?はたして私は、今から自分の個性を高めることができるんでしょうか。赤峰さん、どうか教えてください。(32歳・商社勤務・埼玉県在住・I・Hさん)

Q.なるほど〜。この質問は簡単です!やっぱり恋でも仕事でも、世の中目立ってナンボ。とにかく目立つことが大事です。ねぇ、マエストロ?
 いきなり飛ばしてきやがったな!この大ばか野郎めがっ!!真の個性はお前が言うような単純なものでは決してない。個性とは「個人を個人たらしめる特徴」である。ただ、奇抜な格好や言動をするだけの個性は、単なるメッキに過ぎない。真の個性とは、内から滲み出るものだ。
 近年、急に世の中は口を揃えて「個性が大事だ」と言い始めた。その大きな原因は、まず、国際社会においても「横にならえ」で済む時代が終焉を迎えた点にある。日本も国際関係において、個の意見と立場を鮮明にすることが、強く求められている。
 そして百年に一度の大不況。企業は生き残りをかけ、リストラを行っている。これは今までに何度も述べたが、必要な人材だけを残す、という会社のダイエットともいえるものだ。その惨状はご存知のとおりである。また、“婚活”というムーブメントからも推し量ることができるように、恋愛においてもそれと同じような動きが起こっている。三十歳を前にしても結婚はおろか、彼女が一度もできたことがない、という成人男子が急増しているのだ。
 このように、あらゆる面で競争が激化し、格差が生まれている。どんどん過酷さを増していく現代社会で、生き残っていくためには、真の個性がものを言うことになる。

Q.競争社会で生き残るための個性・・・・。こりゃ、想像より深刻ですねぇ!こうなると、今すぐ個性が必要です!でも、日本は没個性の国ですよね。そう一筋縄にはいかないんじゃ……。だから、てっとり早い方法を教えてっ!
 オレはドラえもんじゃねぇんだっ!!てめぇの個性がポケットから出てくるわけねぇだろうが!個性を高めることは一朝一夕にはかなわない。ご存知のとおり、日本は古くより協調性や礼儀作法を重んじてきた。その積み重ねが日本文化を発展させたのは確かな事実だ。しかし、一方で「出る杭は打たれる」という言葉が示すように、競争社会にうまく適応できない環境を作り上げてしまったのも事実だ。ここ日本では、極めて個性が育ちにくいのである。とはいうものの、社会は日々変化している。現代は昨日の常識は今日の非常識となりうる時代である。この旧態依然とした社会システムのなかで、国や企業そして個人が、崩壊しつつある価値観の中に、未だどっぷりと浸かっているのが現状なのだ。日本の社会はこれまで同一化、同質化を求めてきた。個性を高めるためには、まずそこから脱却しなければならない。それが、変革の一歩となるはずだ。必要なのは常識にとらわれずに行動すること。そして、そのためにリスクを冒すことだ。個性、個性と嘆く前に、あなたがリスクテイクに対して臆病になってはいないだろうか、それを己に問うてみよ。

 

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(→)「食わず嫌いをしない」ことを信条とするマエストロ、今月はなんとDJに初挑戦!!フランク・シナトラを思わせる、涼しげなサンドベージュのコットンスーツに身を包みながらプレイする様子は、とっても絵になっていました。場所はブラックミュージックの聖地とも呼ばれる、マンハッタンレコード。「ヒップホップにはあまり詳しくないが、クラシックやジャズと同じように味わい深いものがある。心の奥を刺激してくれるような、この熱い感じがいいね」と、現場でもノリノリ♪ 常に好奇心が旺盛で、何事にもチャレンジしていくマエストロのコメントには、言葉の力を超えた説得力を感じました。また、いつかどこかでDJ AKAMINEのプレイを目にする日が来ることを祈っています! 
 
 

Q.なるほど、リスク・・・・ですか。そこまで考えが及びませんでしたっ!今や他人と同じでは、ダメなんですね。マエストロ、それってもしかして幼少期からそんな風だったんですか?
 その質問に答えるなら、イエスだ。私の今があるのは、幼少期からある種のはみ出し者だったことが幸いしたと思っている。小学生のころから、「僕も仲間に入れて」のひと言が言えなかったし、皆に合わせることが苦痛だった。だから、いつもひとり。私の友達相手はもっぱら虫や草木、自然だった。幼年期を過ごしたころの東京は、まだまだ自然が残っていた。私は皆が見たこともない虫を捕まえ、巨大なザリガニが捕れる秘密の場所を見つけるのに没頭した。そしてそのことで、クラスの連中から一目置かれるようになった。そして、幼心に知ったのだ。「誰も知らないことを知っていること、皆と違うことが、集団の中でいかに力を持ち得るか」ということを。
 そして家に出入りしていた叔父の影響もある。叔父の名は、清水幾多郎という。戦後の講和問題や基地反対運動、’60年代の安保反対運動に至るまで、論壇の中心にあった社会学者である。平和主義・民主主義の立場から積極的に発言し、行動したことで知られている。普段はいかにも学究の徒といった控えめな大人しい人物だった。そして人と交わることを好まず、いつも孤独だった。しかし、社会問題に関しては、鬼気迫る反骨精神をもっていた。群れることもなく、徒手空拳で世の中と渡りあう姿を目の当たりにし、子供ながらに格好いいと思ったものだ。
 その後、高校生になり、私はヤンチャもしたものだ。その頃、私はある愚連隊の頭になっていた。もちろん腕っ節には自信があったが、私より強い奴はグループの中にわんさかいた。なぜ、私がリーダーになったのか。それは簡単だった。私の考え方が、独自だったからだ。あるとき、数に勝る巨大な連合が、「傘下に入れ」と圧力をかけてきたことがある。不良といえども、結局、「みんな同じ」に安心を覚えるのだ。周囲のグループは、こぞって連合に入った。しかし私は絶対になびかなかった。『みんなと同じで安心できるなら、ツッパる意味はない』と思ったからだ。おかげで危険な目にも遭ったが、吸収されたグループを見限った不良たちが私を慕ってきたとき、心底うれしかった。「何事も人を違うことをする」。この考え方が私の基盤となった。

Q.ななな、なんですって〜!?マエストロがボスとは、これはもうほとんどマフィア映画の世界・・・・。つまり、男一匹で生き抜くためには個性が必要ってこと?(ブルブル)
 てめぇっ!!たまには的を射たことを言うじゃねぇか!調子が狂うだろうが。まあ聞け。私は大学を出て、アパレルの会社に就職した。それは、「純粋に好きなことでメシを食いたい」と思ったからだ。
 当初、技術的にはもちろん何もできず、青臭い不良のプライドは叩き潰されたが、心根で突っ張ることは忘れなかった。だから企画は常に人とは違うものを提案した。笑われようが生意気だと思われようが、それは覚悟の上だった。やがて孤立していった私だが、大川さんという上司が、私の心意気を買ってくれた。彼がこんなことを言ったことがある。「赤峰君、人と違うことをするには勇気が必要だ。それはひとつの偉大な才能だと思う」と。
 私は28歳でアパレルの会社を立ち上げた。同時期に同じような会社は数え切れないほどたくさんあったが、現在、ほとんどが残っていない。その理由をよくたずねられるが、私はただ、人と違うことを続けてきただけだ。空前のアメトラブームのときは、脇目もふらず、ひたすらイタリアの服をつくり、スーパー150’sの極薄のしなやかな生地が流行すれば、スーパー30’sの極厚の生地を提案する、といった風に。だからこそ、生き残れたのではないかと思う。
 振り返ってみれば、学校や組織で教わったいわゆる常識など、個性を伸ばすには何の役にも立たなかった。私は学校や組織以外の個人的な付き合いのなかで、個性の力を学び、育んできた。そして人生やビジネスで迷った時は、いつも前人未到の道を選んできた。同じ目的を達成するにしても、効率を度外視し、あえて遠回りの道を行く。時間はかかるし、苦労もする。しかし、その道に転がっている無数の石ころこそ、後々の人生で役に立つ個性の素になるのだ。
 「個性とは何か?」と問うこの読者に言いたい。個性をひと言でいうなら、「ツッパってきた結果」である。あなたの中に今までツッパり通してきたものがあるか?あるなら、それこそが個性だ。まだそれがないようなら、これからツッパり通してみればいい。小さなことからでいいのだ。そして、勇気を持ってリスクを冒すこと。この勇気こそあなたを歩ませ、個性を高めてくれる。そして、必ずや社会と対峙するための武器となるはずだ。つまらない常識が、いつなんどき、あなたの道を阻むかもしれない。だが、己を守り、この社会で生き残るために、何としても守り通さなければならない。そう、個性とは“武士の刀”のようなものなのだ。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
最近、リクルートのファッションについても、意見を求められることが多い。その際、私はいつも「着る人八分 洋服二分」と答える。私も自分の会社で新入社員の面接をすることがあるが、別にきちんとしたものを着ていれば、ありきたりなスタイルでも構わない。
ニ十数年ほど昔、ハリスツイードのスリーピースを着て面接に現れた青年がいた。驚いたのは、その服装が斬新だからではない。服が彼に似合っていたからだ。いざ話を聞けば、彼の服に対する情熱に、再び度肝を抜かれた。だからこそ、似合うのだ。彼らは私の会社で個性を伸ばし、独立していった。ただ目立つだけでは意味がない。ひと言話せば、それがうわべか、哲学に基づいたものかどうかはすぐにわかるからだ。
ただ、面接に臨むときは、「自分らしい服」ということを主眼に置くべきだ。それが正解であると思うし、第一、失敗しても後悔はしないはずである。それが男の、潔い身なりといえるものだ。
 
 

あの老舗で最先端ミュージックシーンを体感!
渋谷のランドマークとしても有名な、老舗レコードショップ、マンハッタンレコード。2009年で創業29年目を迎える同店は、去る1月にリニューアル。店内にはアナログレコードはもちろんのこと、CDや最先端の音楽機器、アーティスト関連グッズなどが揃う。王道のヒップホップやR&Bを中心に、ロックやハウス、レゲエなど、独自の目線でセレクトされた幅広いジャンルの音楽を体感しよう。

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「マンハッタンレコード渋谷店」
電話/03-3447-7166
住所/渋谷区宇田川町10-1 木船ビル
[ http://manhattanrecords.jp ]
 

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!小誌ホームページ[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、トップページから投稿してください。

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2009年07月16日(木)

服の立ち位置【10年春夏ピッティを読み解く】 [朝日新聞掲載記事]

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朝日新聞(東京本社版夕刊)に2009年7月16日付けでファッションコラム連載『服の立ち位置(10年春夏ピッティを読み解く)』が掲載されました。

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2009年07月06日(月)

MEN'S EX 8月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.08 [MEN'S EX 掲載記事]

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「白シャツのこなし」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授する連載。第8回は、「白シャツ」についてのお話です。洒落た白シャツのこなしとは?サイズ選びからそのこなしまで、赤峰イズムをお話いただきます。

Q シャツ選びのコツを教えてください
まず大切なのはサイズ選びです
サイズ選びは、何よりも大切ですが、間違えたサイズを自分のサイズと勘違いしてしまっている人が意外と多いように思われます。着丈はお尻が隠れるくらい、袖丈は指の第2関節くらいまであるのが正しい長さです。それとボディにも適度なゆとりが欲しいところです。以下に代表的なものをまとめましたので、ご参考に。

サイズ選びはココが大切!

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(写真左)人差し指1本がすっぽり入るゆとりが◎
ネックサイズは人差し指一本が首にスポッと入るくらいがジャストサイズとされています。前を留めたときに生地に肉が食い込むようだと、それは当然きつい証拠。余って前が浮いているのも、エレガントとはいえません。

(写真中)鎌は高め、身頃には適度なゆとりを
アームホールはなるべく高い位置にあり、身頃も適度なゆとりのあるものがベスト。鎌深は浅いほうが動きやすく、見ためのエレガントさも違います。最近見られる明らかなタイトフィッティングは、窮屈な印象なのでNG。

(写真右)スリーブは実寸よりもゆとりをもたせて
シャツの袖丈は、カフのボタンを留めずに伸ばしたときに、指の付け根から第2関節の間に収まるくらいがベスト。長さにゆとりがなく手首までだと、動かしたとき突っ張られてストレスを感じてしまいます。
 

■まず何よりも、シャツの基本は上質なポプリン
M.E.  今回は白シャツです。赤峰先生の白シャツといえば、まずポプリンを思い浮かべます。特にシャルベでオーダーされたシャツをよく着られていますよね。
赤峰  そうですね。かつてウィリアム・イェッツとアシュトン・ブラザーズという2つの名シャツ生地メーカーが英国マンチェスターにありまして。この2ブランドのポプリンは本当に素晴らしかったですね。シャルベでもこれらのブリティッシュポプリンを使って何枚かシャツを作っています。私の中では、シャツ生地の定番といえば、ブロードではなくポプリンなんです。ポプリンはフォーマルにも普段着るのにも、オールマイティに使えますから。それと、本当にいいポプリンというのは、洗えば洗うほど風合いのよさが増していくんですよね。なんていうのかな、肌触りがコリコリッとしているんです。
M.E.  なるほど。でも、その2ブランドは今では存在しません。赤峰先生が今オススメするポプリンを教えてください。
赤峰  そうですね。デヴィッド ジョンアンダーソンなんかもいいですけど、個人的に好きなのは、スイスのアルモのポプリンですね。アルモのポプリンはアカミネロイヤルラインでも展開していますが、ここのは100番手でも、他社の120番手、140番手を凌ぐクオリティの高さがあるんです。
M.E.  ポプリンのシャツを着用するシーンは決まっているのですか?
赤峰  いえいえ。ポプリンというとドレスの印象があるかもしれませんが、私はそれこそフォーマルからカジュアルまで、あらゆるシーンで着ています。万能性は断トツです。それよりも、それをどうこなすか、のほうが大切ですね。
M.E.  と言いますと?
 

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(←)赤峰的定番1 =ポプリン=
素材説明=細い横畝を特徴とする風合いの柔らかな平織り生地で、一般的に横密度に比べて縦密度があります。同じ平織りでも、ブロードは縦糸・横糸ともに同じ番手を用います。
洗い込むと風合いが増す100番双糸のロイヤルプリン
糸が細く打ち込みがいいスイスはアルモ社の100双ロイヤルポプリンは、視覚的にもブロードとの区別はつかず、畝もわかりません。が、洗い込むとコリコリッとした肌触りを楽しめ、風合いのよさが増します。フォーマルな場にも対応する1枚。シャツ3万450円、スーツ19万4250円(以上オーダー価格)、タイ1万3650円、/以上アカミネロイヤルライン(インコントロ)
 

■白シャツを1枚で着てサマになってこそ一人前
赤峰  白シャツは白い御飯と同じ。たかが白、されど白なんです。ストライプのシャツを着ていればお洒落に見えるかもしれませんが、白シャツをちゃんと着こなせてこそ、初めて一人前なんだと思います。イタリアに行って、上着を脱いで上は白シャツ1枚でもサマになっている人を見ると、おっ、コイツやるなって思います。パッと見はカッコよくても、シャツ1枚になると、その人の素性がさらけ出されるんですよね。単にサイズが合っているかどうかの問題ではなく、ちゃんとシャツをこなせているかどうかもまた大切になってくるからです。
M.E.  なるほど。では、まず基本調のサイズですが、特にどこをチェックすべきか、大切なところを教えてください。
赤峰  そうですね。最近はタイトフィットのシャツがもてはやされていますけど、赤峰的にはあれはちょっと・・・・。本来、身頃には適度なゆとりがあるべきなんです。それと意外と大切なのが、シャツの袖丈。カフのボタンを外して腕を伸ばしたときに、指の付け根から第2関節くらいまでの長さがあるのがベストです。既製のシャツを着ている人は、これよりもだいぶ短い場合が多々あります。
M.E.  確かに腕を動かしたとき、そのくらいの余裕があったほうが、生地が引っ張られることなくストレスを感じずにいられます。
赤峰  そういうこと。それと、大切なのは、シャツそのものの着方です。
M.E.  と言いますと?
赤峰  ウエストまわりとカフまわりに、ゆとりを出すための生地をたるませながら、整えて着ることです(↑「赤峰的定番1」の写真を参照)
M.E.  確かにそうすると、非常にきれいに見えますね。勉強になります。
赤峰  それともうひとつ、これは基本ですけど、時計をする側のカフ回りは、もう片方のカフ回りよりも8mm〜1cm太くしています。私の場合は薄い時計しかしないのでこのサイズですが、場合によってはもっと差をつけてもいいと思います。
M.E.  なるほど。あっ、話は戻ってしまうのですが、赤峰先生はポプリン以外だと、白シャツではどんな素材を好んで着られるのですか?
赤峰  ピケとジャカードです。ピケは夏の素材と思われがちですけど、今は1年を通して着ています。ジャカードはいろいろな種類がありますけど、織り感を楽しめるのが魅力ですよね。個人的には織り感はあってもシンプルなものが好みです。あえて上着との素材感の違いを楽しんでみるのもオススメです。とまあ、この3素材を自分なりの解釈で着られるようになると、コーディネイトの幅が格段に広がるはずです。
M.E.  なるほど、ポプリン、ピケ、ジャカードですね。頭に叩き込んでおきます。ありがとうございました!
 
 

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(→)赤峰的定番2 =ピケ=
素材説明=縦方向に立体的な畝が入った二重織組織の織物で、シャツ地の定番。コシが強く、それでいて肌離れがいいサラッとした肌触りが特徴。一年を通して着られます。
オン・オフともに対応する縦畝が特徴の120双ピケ
スイス・アルモ社の120双のピケを使用。120双なので上品な光沢があり、非常に細く立体的な畝感が雰囲気◎。タイドアップしたスーツスタイルにはもちろん、ノータイで着ても絵になります。シャツ3万450円(パターンオーダー価格)/アカミネロイヤルライン(インコントロ) リヴェラーノ&リヴェラーノでス・ミズーラしたパンツ(私物)

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(←)赤峰的定番3 =ジャカード=
素材説明=織り模様のある組織で、ひと口にジャカードといっても、そのバリエーションはさまざま。赤峰先生が好んでいるのは、織り模様が均一で、とてもシンプルなそれ。
120双のシンプルジャカードは着こなしアクセントの格好材料
こちらもアルモ社のジャカードで、120双のコットン100%。織り感を楽しめる一枚です。見てのとおりこれみよがしなものではなく、ピンヘッドやモヘアなど、素材感のあるスーツとの相性のよさが抜群です。シャツ3万450円、トニックスーツ18万9000円(以上パターンオーダー価格)/以上アカミネロイヤルライン(インコントロ)

 
今月のおさらい

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 白シャツの基本は上質なポプリン、ピケ、ジャカードの3つにあり。
 昨今主流のタイトフィッティングには意義あり。適度なゆとりこそが大切。
 着丈、袖丈のゆとりを整えてきれいに見せるこなしのテクニックこそが大切!

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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赤峰幸生さん Yukio Akamine

赤峰幸生さん Yukio Akamine

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「トニック」という服地について’』2012年12月15日(土)掲載

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「トニック」という服地について’』2012年12月15日(土)掲載

OCEANS 2月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち!

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