AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2009年07月24日(金)

OCEANS 9月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に
救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ
“個性の高め方”

[今月の質問]
赤峰さん、はじめまして。今回、ぜひ聞いていただきたい悩みがありまして投稿させていただきました。私は今、食品を扱う商社に勤めています。最近、上司から「お前には個性がない。そんなことではうちの会社ではやっていけない」と言われてしまいひどく悩んでいます。確かに私は見た目も地味で目立つほうではありませんが、それと仕事は別問題。ですが、そうは言っても何をどうしたらいいかわからないんです。どうしても上司に「個性のある男」と認めさせたいと思っています。そもそも「個性」とはなんでしょう?はたして私は、今から自分の個性を高めることができるんでしょうか。赤峰さん、どうか教えてください。(32歳・商社勤務・埼玉県在住・I・Hさん)

Q.なるほど〜。この質問は簡単です!やっぱり恋でも仕事でも、世の中目立ってナンボ。とにかく目立つことが大事です。ねぇ、マエストロ?
 いきなり飛ばしてきやがったな!この大ばか野郎めがっ!!真の個性はお前が言うような単純なものでは決してない。個性とは「個人を個人たらしめる特徴」である。ただ、奇抜な格好や言動をするだけの個性は、単なるメッキに過ぎない。真の個性とは、内から滲み出るものだ。
 近年、急に世の中は口を揃えて「個性が大事だ」と言い始めた。その大きな原因は、まず、国際社会においても「横にならえ」で済む時代が終焉を迎えた点にある。日本も国際関係において、個の意見と立場を鮮明にすることが、強く求められている。
 そして百年に一度の大不況。企業は生き残りをかけ、リストラを行っている。これは今までに何度も述べたが、必要な人材だけを残す、という会社のダイエットともいえるものだ。その惨状はご存知のとおりである。また、“婚活”というムーブメントからも推し量ることができるように、恋愛においてもそれと同じような動きが起こっている。三十歳を前にしても結婚はおろか、彼女が一度もできたことがない、という成人男子が急増しているのだ。
 このように、あらゆる面で競争が激化し、格差が生まれている。どんどん過酷さを増していく現代社会で、生き残っていくためには、真の個性がものを言うことになる。

Q.競争社会で生き残るための個性・・・・。こりゃ、想像より深刻ですねぇ!こうなると、今すぐ個性が必要です!でも、日本は没個性の国ですよね。そう一筋縄にはいかないんじゃ……。だから、てっとり早い方法を教えてっ!
 オレはドラえもんじゃねぇんだっ!!てめぇの個性がポケットから出てくるわけねぇだろうが!個性を高めることは一朝一夕にはかなわない。ご存知のとおり、日本は古くより協調性や礼儀作法を重んじてきた。その積み重ねが日本文化を発展させたのは確かな事実だ。しかし、一方で「出る杭は打たれる」という言葉が示すように、競争社会にうまく適応できない環境を作り上げてしまったのも事実だ。ここ日本では、極めて個性が育ちにくいのである。とはいうものの、社会は日々変化している。現代は昨日の常識は今日の非常識となりうる時代である。この旧態依然とした社会システムのなかで、国や企業そして個人が、崩壊しつつある価値観の中に、未だどっぷりと浸かっているのが現状なのだ。日本の社会はこれまで同一化、同質化を求めてきた。個性を高めるためには、まずそこから脱却しなければならない。それが、変革の一歩となるはずだ。必要なのは常識にとらわれずに行動すること。そして、そのためにリスクを冒すことだ。個性、個性と嘆く前に、あなたがリスクテイクに対して臆病になってはいないだろうか、それを己に問うてみよ。

 

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(→)「食わず嫌いをしない」ことを信条とするマエストロ、今月はなんとDJに初挑戦!!フランク・シナトラを思わせる、涼しげなサンドベージュのコットンスーツに身を包みながらプレイする様子は、とっても絵になっていました。場所はブラックミュージックの聖地とも呼ばれる、マンハッタンレコード。「ヒップホップにはあまり詳しくないが、クラシックやジャズと同じように味わい深いものがある。心の奥を刺激してくれるような、この熱い感じがいいね」と、現場でもノリノリ♪ 常に好奇心が旺盛で、何事にもチャレンジしていくマエストロのコメントには、言葉の力を超えた説得力を感じました。また、いつかどこかでDJ AKAMINEのプレイを目にする日が来ることを祈っています! 
 
 

Q.なるほど、リスク・・・・ですか。そこまで考えが及びませんでしたっ!今や他人と同じでは、ダメなんですね。マエストロ、それってもしかして幼少期からそんな風だったんですか?
 その質問に答えるなら、イエスだ。私の今があるのは、幼少期からある種のはみ出し者だったことが幸いしたと思っている。小学生のころから、「僕も仲間に入れて」のひと言が言えなかったし、皆に合わせることが苦痛だった。だから、いつもひとり。私の友達相手はもっぱら虫や草木、自然だった。幼年期を過ごしたころの東京は、まだまだ自然が残っていた。私は皆が見たこともない虫を捕まえ、巨大なザリガニが捕れる秘密の場所を見つけるのに没頭した。そしてそのことで、クラスの連中から一目置かれるようになった。そして、幼心に知ったのだ。「誰も知らないことを知っていること、皆と違うことが、集団の中でいかに力を持ち得るか」ということを。
 そして家に出入りしていた叔父の影響もある。叔父の名は、清水幾多郎という。戦後の講和問題や基地反対運動、’60年代の安保反対運動に至るまで、論壇の中心にあった社会学者である。平和主義・民主主義の立場から積極的に発言し、行動したことで知られている。普段はいかにも学究の徒といった控えめな大人しい人物だった。そして人と交わることを好まず、いつも孤独だった。しかし、社会問題に関しては、鬼気迫る反骨精神をもっていた。群れることもなく、徒手空拳で世の中と渡りあう姿を目の当たりにし、子供ながらに格好いいと思ったものだ。
 その後、高校生になり、私はヤンチャもしたものだ。その頃、私はある愚連隊の頭になっていた。もちろん腕っ節には自信があったが、私より強い奴はグループの中にわんさかいた。なぜ、私がリーダーになったのか。それは簡単だった。私の考え方が、独自だったからだ。あるとき、数に勝る巨大な連合が、「傘下に入れ」と圧力をかけてきたことがある。不良といえども、結局、「みんな同じ」に安心を覚えるのだ。周囲のグループは、こぞって連合に入った。しかし私は絶対になびかなかった。『みんなと同じで安心できるなら、ツッパる意味はない』と思ったからだ。おかげで危険な目にも遭ったが、吸収されたグループを見限った不良たちが私を慕ってきたとき、心底うれしかった。「何事も人を違うことをする」。この考え方が私の基盤となった。

Q.ななな、なんですって〜!?マエストロがボスとは、これはもうほとんどマフィア映画の世界・・・・。つまり、男一匹で生き抜くためには個性が必要ってこと?(ブルブル)
 てめぇっ!!たまには的を射たことを言うじゃねぇか!調子が狂うだろうが。まあ聞け。私は大学を出て、アパレルの会社に就職した。それは、「純粋に好きなことでメシを食いたい」と思ったからだ。
 当初、技術的にはもちろん何もできず、青臭い不良のプライドは叩き潰されたが、心根で突っ張ることは忘れなかった。だから企画は常に人とは違うものを提案した。笑われようが生意気だと思われようが、それは覚悟の上だった。やがて孤立していった私だが、大川さんという上司が、私の心意気を買ってくれた。彼がこんなことを言ったことがある。「赤峰君、人と違うことをするには勇気が必要だ。それはひとつの偉大な才能だと思う」と。
 私は28歳でアパレルの会社を立ち上げた。同時期に同じような会社は数え切れないほどたくさんあったが、現在、ほとんどが残っていない。その理由をよくたずねられるが、私はただ、人と違うことを続けてきただけだ。空前のアメトラブームのときは、脇目もふらず、ひたすらイタリアの服をつくり、スーパー150’sの極薄のしなやかな生地が流行すれば、スーパー30’sの極厚の生地を提案する、といった風に。だからこそ、生き残れたのではないかと思う。
 振り返ってみれば、学校や組織で教わったいわゆる常識など、個性を伸ばすには何の役にも立たなかった。私は学校や組織以外の個人的な付き合いのなかで、個性の力を学び、育んできた。そして人生やビジネスで迷った時は、いつも前人未到の道を選んできた。同じ目的を達成するにしても、効率を度外視し、あえて遠回りの道を行く。時間はかかるし、苦労もする。しかし、その道に転がっている無数の石ころこそ、後々の人生で役に立つ個性の素になるのだ。
 「個性とは何か?」と問うこの読者に言いたい。個性をひと言でいうなら、「ツッパってきた結果」である。あなたの中に今までツッパり通してきたものがあるか?あるなら、それこそが個性だ。まだそれがないようなら、これからツッパり通してみればいい。小さなことからでいいのだ。そして、勇気を持ってリスクを冒すこと。この勇気こそあなたを歩ませ、個性を高めてくれる。そして、必ずや社会と対峙するための武器となるはずだ。つまらない常識が、いつなんどき、あなたの道を阻むかもしれない。だが、己を守り、この社会で生き残るために、何としても守り通さなければならない。そう、個性とは“武士の刀”のようなものなのだ。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
最近、リクルートのファッションについても、意見を求められることが多い。その際、私はいつも「着る人八分 洋服二分」と答える。私も自分の会社で新入社員の面接をすることがあるが、別にきちんとしたものを着ていれば、ありきたりなスタイルでも構わない。
ニ十数年ほど昔、ハリスツイードのスリーピースを着て面接に現れた青年がいた。驚いたのは、その服装が斬新だからではない。服が彼に似合っていたからだ。いざ話を聞けば、彼の服に対する情熱に、再び度肝を抜かれた。だからこそ、似合うのだ。彼らは私の会社で個性を伸ばし、独立していった。ただ目立つだけでは意味がない。ひと言話せば、それがうわべか、哲学に基づいたものかどうかはすぐにわかるからだ。
ただ、面接に臨むときは、「自分らしい服」ということを主眼に置くべきだ。それが正解であると思うし、第一、失敗しても後悔はしないはずである。それが男の、潔い身なりといえるものだ。
 
 

あの老舗で最先端ミュージックシーンを体感!
渋谷のランドマークとしても有名な、老舗レコードショップ、マンハッタンレコード。2009年で創業29年目を迎える同店は、去る1月にリニューアル。店内にはアナログレコードはもちろんのこと、CDや最先端の音楽機器、アーティスト関連グッズなどが揃う。王道のヒップホップやR&Bを中心に、ロックやハウス、レゲエなど、独自の目線でセレクトされた幅広いジャンルの音楽を体感しよう。

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「マンハッタンレコード渋谷店」
電話/03-3447-7166
住所/渋谷区宇田川町10-1 木船ビル
[ http://manhattanrecords.jp ]
 

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!小誌ホームページ[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、トップページから投稿してください。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 『雨に唄えば』 2013年6月8日(土)掲載"

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