2014年09月20日(土)
朝日新聞be on Saturday "赤峰幸生の男の流儀 『洋装を日本化する』 [朝日新聞掲載記事]
2年6カ月にわたってお送りしてきたこのコラムも、今回で最後となりました。リーマン・ショックや東日本大震災以降、ものとお金を巡る考え方が大きく変わる中で、「本物を大切にする時代だ」という思いをたくさんの方と共有できたことは、貴重な体験でした。
オンワード樫山で、デザイナー約20人を相手に「赤峰塾」を開きました。そこで日本独自の自然の美しさや、季節感の手がかりとなる旧暦の話をすると、若い人ほどぐいぐいと身を乗り出して聞いてくれました。
高度成長もバブルも知らず、経済の面では日本が下っていく段階で生まれ育った世代には、日本の精神性に素直に向き合う姿勢を感じます。
かつてサッカーの日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏は「日本サッカーを日本化する」と言いました。装いにおいても、独自の気候や美意識に合わせて洋装を進化させる「日本化」が今後のテーマになると思います。日本の紳士として「粋」を常に考えたい。
日本というものを突き詰めていくことは、英国暮らしが肌に合わなかった夏目漱石が小説の中で問い続けたことであり、小津安二郎や黒沢明が、映画の中で日本人のたたずまいを描き続けたことに通じます。内面に目を向けることからしか、深い人間のありようは生まれません。装いは表れに過ぎないのです。
連載中にたくさんのメールやお便りを頂いたことに厚く感謝申し上げます。ご愛読ありがとうございました。
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Posted by インコントロ STAFF at 09時00分 コメント ( 0 )