2013年07月08日(月)
MEN'S EX 2013年8月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 8 [MEN'S EX 掲載記事]
TPO別"粋"な装いそのA
『パーティースタイルの正しい装い方』
ハレの場の“粋”は飾り立てることにあらず
今回のテーマはパーティでの装い。男は年齢を重ねるほどに、社交の場に出る機会が増えるものです。特に夏場はレセプションやカクテルパーティが開かれる機会も多く、私も毎週のように多くの席に招かれます。フォーマルなものからカジュアルなものまで様々ありますが、華やかにドレスアップする場面こそ、各人の内面から滲み出るエレガンス、すなわち“粋”なセンスの差が如実に感じられるものです。特にさじ加減が難しいのは、いわゆる「スマートカジュアル」に属するような比較的自由度の高いドレスコードのとき。パーティシーンでは、その場に相応しく「華やかに装うことを楽しもう」というマインドが基幹になります。ですがそれを、あからさまに飾り立ててコスプレのように奇抜な服装をすることと取り違えてはいけません。“粋”な装いとは、あくまでも正統に基づいたもの。しかし、ビジネススーツとなんら変わりない堅苦しい服装でその場に臨むのは言うまでもなく野暮というものです。
夏の基本・リネンスーツを小物でドレスアップする
では、具体的にはどう装うべきか。ご参考までに、私のパーティスタイルの一例をご紹介しましょう。
私にとって、夏のドレスクロージングの大基本となるのはリネンスーツ。これは前回、『盛夏のビジネススタイル』で述べたとおり、正統的なサマースーツのひとつです。そのリネンスーツを、パーティシーンに相応しくドレスアップするのに用いるのが、バタフライ(蝶ネクタイ)です。私はシャルベによるシルク生地のものを好んで締めていますが、きっちりとドレスアップをしつつ、華やかで楽しげな雰囲気を出すにはもってこいのアイテムなのです。ベージュのリネンスーツに合わせるなら、色は同系色の茶。派手すぎるのはいけません。また、シャツもフォーマルで用いるようなピケ地の白無地を選ぶと、いっそう格調高く装えるでしょう。さらに、袖はダブルカフを選んで、カフリンクスを効かせます。私のお気に入りは茶色いメノウがあしらわれたもので、タイと色みを揃えて用いています。靴は少し明るめの茶を。堅苦しくならず砕けすぎないことを意識すると、内羽根のセミブローグあたりがちょうどいいところでしょう。このように、季節に応じたベーシックな装いを基調にしつつ、それをいかにドレスアップして、華やかな場と一体になるかが重要なのです。
派手さはなくとも華麗な着こなし。場の空気を楽しくさせる、そんなマインドが現れた装いこそ、真の“粋”を感じさせるもの。私がかつてお手本としていたのは、『太陽の下の18歳』『8 1/2』といった名作映画。これらの作品の中にも、ドレスアップした登場人物たちが集うシーンを見ることができ、正統でエレガントなパーティスタイルとはどのようなものかを大いに学ぶことができます。未見の方は是非ご参考に。
Posted by インコントロ STAFF at 18時19分 コメント ( 0 )