2014年06月21日(土)
朝日新聞 be on Saturday "赤峰幸生の男の流儀" 『コットン・スーツのしわ』 2014年6月21日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
気温が日ごとに上がる中でも、きちんとしたドレススタイルは崩したくない。「クールビズ」などという安易な服装に流れることなく、気持ちをピシッと引き締める装いをしたいと毎日考えています。
男の夏ごろもと言えば、コットン・スーツ。カーキやベージュのそれは、夏の日差しに映え、風景に自然に溶け込みます。そして、涼しく快適です。
中には白か薄いブルーのサラッとしたシャツを着て、ネクタイも軽い印象のフレスコ(からみ織り)がいい。胸元に白リネンのポケットチーフを挿せば、清涼感をもたらします。
靴は絶対に茶色。それもチョコレート色ではなく、明るめのタンカラーがスーツの色になじみます。
私が愛用しているコットン・スーツは、もう17年目と19年目。くったりとして、上下で色が少し違ってきてしまったのも味わいです。曲げ伸ばしをする腕の辺りや、フロントのボタン周りにできるしわもまた、ならではの粋。しわができるからこそ、コットン・スーツはいいのです。ただし、出掛ける前には、上着のお尻の部分にはアイロンをかけましょう。
ヨーロッパでは、コットン・スーツは日常に身に着けるものの中にあります。一方、日本ではまだ、日ごろ身に着けているビジネスマンは、ほとんどいないように見受けられます。別布で上着に貼り付けたパッチポケットではカジュアルな印象になりますが、私がお薦めするのは、玉縁のポケットにするなど、あくまでドレススタイルとしてのコットン・スーツです。
従来の「ビジネススーツ」にとらわれず、オンとオフの境界なしにスーツを使いこなす観点からもぜひお薦めしたいと思います。
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2014年06月07日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 " ルチアーノ・バルベラのこと 2014年6月7日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
イタリアに、ルチアーノ・バルベラという男がいます。ウェル・ドレッサー(装いの達人)として知られ、日本のメンズファッション誌にもしばしば登場する古くからの友人です。
五つほど年長の彼とは、会えばいつも「男は身に着けるものをいかに選ぶべきか」と意見を交わします。英国を源流とするクラシックなスタイルを、彼はイタリア流に、私は日本人としてかみ砕くことに腐心しているわけですが、自然から色合わせを着想していることや、服は長く着込んでこそ味わいが出ると考えていることなど、共通点がたくさんあります。
とりわけ印象的なのは、ドレスコードに関する彼の知見です。ともすれば崩れがちな現代の装いについて、彼は「自由のはき違えだ」と言います。カジュアルフライデーだなどと言って、ラフな格好で仕事をすることが「いったい男にどんな成長をもたらすのか」と批判するのです。
男にとってのドレスコードとは、「場への敬意」や「会う人への敬意」。何よりも「アグリードレッシング」(周囲から同意が得られる装い)が重要だと考えるのです。
ただしそれは没個性を意味しません。スーツにネクタイを締めるという基本スタイルの中で、どんなタッチの生地を選ぶのか、前合わせはシングルなのかダブルなのか、ネクタイとシャツはどう組み合わせるのか。そうしたあらゆる要素が個性を形作っていきます。
人はだれも固有の魂をもつ存在であり、おのれの人生の主人公。毎朝始まる新しい人生を生きるために、きょうはどんな服を身に着けるのか。決してゆるがせにせず、エレガントでありたいと考える姿勢が、彼のオーラとなってにじみ出ています。
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2014年06月02日(月)
インコントロのHPがリニューアル致しました [INCONTRO NEWS]
日頃Akamine Blogをご訪問頂き誠に有難うございます。
インコントロのホームページが、リニューアルオープン致しました。
これまでと変わらず、今後ともご愛顧頂きますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
インコントロ
スタッフ一同
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2014年05月26日(月)
Akamine Royal Lineお客様紹介 [INCONTRO NEWS]
風薫る五月、新緑をバックにポーズが決まっているのはAkamine Royal Lineのお客様でもあり、赤峰が月に2回「男の流儀」でお世話になっている朝日新聞社の中島記者です。
男の靴雑誌「ラスト」のissue 06で中島さまがAkamine Royal Lineのリネンジャケットでキリリと登場されています。(ジャケット生地はSpence Bryson社のもの)
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2014年05月24日(土)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 "素晴らしい日本の織物" 2014年5月24日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
「10年は着られる服」を求めて、地道な仕込みの旅が続いています。
遠州(静岡県西部)は伝統ある綿織物の産地。「クレアシオン」という機屋の先代社長とは45年前に知り合いました。見事なギンガムチェックのシャツ地を作り、「ミスター・ギンガム」と呼ばれた彼は、輸出にも積極的で、パリの名店「シャルベ」やロンドンの老舗にも卸していました。
「田中織物」は、英国の有名ブランドにトレンチコートの素材となる厚手の綿ギャバジンを供給していました。「72番」と呼ばれる特別な織物は、原綿の良さに確かな織りの技術が加わって生み出されます。ほかの綿素材でも、しとっとした風合いが、凡庸なものとは一線を画する質の高さを誇ります。
こうしたメーカーを訪ねて、「横糸をガンガン打ち込んで、一級の綿のスラックスは作れないか」と相談しています。私が14年間愛用しているものを見せ、ピシッとしたクリース(折り目)が今なお取れないことを話すと、「これは相当気合を入れないとできないわ」などと盛り上がります。
日本の織物は世界を見渡しても超一流のモノ作りを続けています。名だたる欧米ブランドがこぞって日本に素材を探しに来ていることを、一般の方はあまりご存じないのではないでしょうか。
さかのぼれば紡績業は日本の基幹産業として、近代化を支えてきました。トヨタやスズキといった世界に冠たる自動車メーカーの原点は、織機にあるのです。優れた織物に、消費者が目を向ける文化を育てていかなければなりません。日本人のファッションは、西洋崇拝が根強い。しかし、素晴らしい素材は足元にもあるのです。
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