AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年02月24日(日)

OCEANS 4月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のお悩みキーワード
“今どきアメリカン”

[今月のお悩み]
クラシックな着こなしが好きですが、ほどよく流行も取り入れたいと思っています。ファッション誌に目を通すと、今シーズンはトレンドとして「アメリカ」というキーワードがよく挙げられています。しかし、アメリカ的な着こなしとはどのようなものなのかイマイチわかりません。そこで、マエストロに教えてほしいのです。アメリカ的、とはどのような着こなしなのでしょうか? (36歳・大阪府北区在住・コンサルティング会社勤務Y・Kさん)

 
 

Q.今年はとにかく「アメリカ」が大ブーム!これって、アメリカ大統領選の影響もあるのでしょうか?
 馬鹿やろう!いつも思うがおまえはなんて安直なのだ。アメリカ大統領選とアメリカ的着こなしが注目されていることに因果関係などない! ファッションにはサイクルがある。端的に言えば、ここ数年イタリアがもてはやされてきた反動として、今アメリカに目が向いているということだ。ラルフ・ローレン以降、ようやく(注1)トム・ブラウンというアメリカンファッションのアイコンとなる人物が現れ、アメリカ随一の老舗ブルックス ブラザーズとのコラボレーションが功を奏していることも大きな要因に挙げられる。しかし、流行なんてものは錯覚のようなもので、アメリカ的なるものが新しいということもまやかしにすぎない。とはいえ、そういったある種のイメージに影響を受けることがファッションの魅力でもあり本質でもあることもまた事実である。これまでに幾度と語っているように流行に惑わされて自分を失うことは愚かしいが、自分なりに流行を消化して適度に取り入れるならば、それはファッションに対して積極的にアプローチしていることになる。だから、クラシック志向だからといっても、それは決して流行の移り変わりと無縁であっていいという意味ではない。ちなみに大統領候補であるオバマの着こなしはアメリカントラッドそのものだ。ジョン・F・ケネディを彷彿とさせ、誰しもが好感を得る。清潔感に溢れた、限りなくクリーンなイメージ。そこに「アメリカ」的着こなしの神髄がある。そして、その着こなしとわが国の関係は、驚くほど昔から始まっているのだ。もっと言えば、それは我々にとってとてもなじみのある存在であったと言っても過言ではない。

Q.なるほど。では「アメリカ」的な着こなしは、僕らととっても関わりが深いんですね。でも、それはいったいどういう意味でしょう?
 お前、だんだんスムーズな司会進行が板に付いてきたな。日本がファッションに関して、初めてアメリカと接したのは、終戦後にダグラス・マッカサーの姿を見た瞬間からであろう。軍服から白いTシャツを覗かせ、レイバンのサングラスを掛けている様は日本のファッション文化に大きな衝撃を与えた。その後、アメリカ統治下の日本において、ヘインズのTシャツであったり、バスのローファーなど、ヤミ市のアメ横などで流通したアメリカが持ち込んだものは、豊かさの象徴となり、憧れそのものになった。そして当時、テレビから流れるハリウッド映画が多大な影響を与えた。昭和の日本の洋装とはすなわち、アメリカのファッションのことを指し、その影響にどっぷりと浸かったわけだ。そのうちに日本ではアメリカのスクールスタイルを模した(注2)VANが生まれ、読者の皆さんもご存知であろうアイビーブームが巻き起こった。豊かさの象徴であったアメリカ文化を、日本人は何の抵抗もなく受け取ったのだ。確かに今日まで続く、豊かな生活はアメリカの恩恵によるところが少なくない。だが、それらのすべてが評価できるものではないことを知っておかねばならない。アメリカがもたらした簡単で便利=コンビニエントなものは、日本の生活をスピーディなものに変えた。しかしながらそれは、一切の無駄を省く代わりにかつてそこにあった生活の「ゆとり」をも奪っていったのだ。洋服のことについても同じことが言える。アメリカの「カジュアル」という言葉は、ルールのない自由な着こなしという愚かな解釈をもたらし、T.P.O.という概念などそっちのけにして、日本人は手軽で便利なものだけを生活に取り入れていった。しかし、アメリカ的な着こなしの本質はそんなところにはないのだ。その美しさは、先ほども言ったように、清潔感溢れるイメージにあり、「着やすさ」という名の便利さを追求したようなものなどにはない。現在もアメリカ的な着こなしが注目されているが、その実態はアイビーだの、プレッピーだの、’70年代のブームの表層を焼き直そうとしているだけ。つまり、誤訳されたままのアメリカなのだ。これはアメリカが日本同様に服飾文化の歴史が非常に浅いということ、もっと言えばその中でのアメリカの立ち位置をしっかりと知らねばならないことを意味している。つまり服飾の基礎はすべて英国にあるが、アメリカは歴史ある英国には到底、敵わないと承知している。そうした中で、独自のスタイルを確立していったのだ。スーツではナチュラルショルダーやボックスシルエットなどで、心地よい着心地を求めた。アメリカには着こなしに関するハウトゥー本が数多いが、それは歴史を持たないがゆえ。英国にはそんなものはない。王室こそがファッションリーダーであり、また人々の着こなしは父から子へと代々継承されているからである。
 

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(→)こちらはマエストロが、お忍びで訪れるというジャズ喫茶の「映画館」(TEL.03-3811-8932 東京都文京区白山5-33-19)。懐かしのジャズを聴きながらお酒やお茶を楽しめることで、ツウなジャズファンに人気のスポット。仕事の疲れを癒しながら、ビルエバンスの名曲を聴くマエストロ。

Q.そうですか。やっぱりマエストロは「アメリカ」のこと嫌いなんですね。僕も何だか嫌いになってきました!
 てめぇ、ふざけるな!オレの話を聞いてやがらなかったのか!この馬鹿やろうが!私が言いたいのは、アメリカのよきところと悪しきところを理解しろということだ。何でもかんでも影響されやすい、日本人特有の、その愚かな体質を改善しろということだ。とはいえ、私もハリウッド映画や連続ドラマから素晴らしい影響を受けた。ケーリー・グラントやハンフリー・ボガードなど、彼らの着こなしは私のよき手本である。かつて(注3)ノーマン・ロックウェルが描いたニューイングランドスタイルにはアメリカの豊かなライフスタイルが現れ、その清々しい着こなしは今の時代においてもよき手本となろう。しかし、その一方で、何でもカジュアル化してしまうアメリカとは一線を画すべきだ。合理性や効率化を求めて、開発した化学繊維を衣服に応用し、例えばシワにならない平面的な服などに価値は見いだせない。スポーツウェアやワークウェアはそれで構わないが、クラシックウェアではそうはいかないだろう。トレンドとして、アメリカが注目されている今、我々が取り入れるべきは、英国流儀をアメリカ的に解釈した折り目正しい着こなし方なのだ。

Q.なるほど!では、今シーズンは全身、アメリカブランドで揃えれば万事解決するということですね!
 馬鹿に付ける薬はないものか。この安直やろうが!そんなことまで説明しなければ、理解できないのか! ワードローブを総取っ替えして、全身をアメリカブランドにするなど愚の骨頂だ。あくまで、英国流儀をベースとしながら着やすくしたアメリカ、ドレスダウンしながらも品のよさを失わない服をキチンと着こなすアメリカ、それを自分なりに取り入ればいい。つまり、そんなアメリカの服飾文化を、だ。ボタンダウンシャツやレジメンタルのタイを身に着けたからといって、それでアメリカだ、それが今季のトレンドだ、などと思い込んでいるなら、今すぐ顔を洗って出直してこい。まさに流行に踊らされる。アメリカブランドが悪いわけではもちろんない。しかし、重要なのはブランドなどではない。

Q.ようやくわかりました! 我々に必要なのはアメリカ的な着こなしを自分なりに咀嚼することですね。
 そのとおりだこのやろう!アメリカの服飾文化は我々日本人になじみがあり、服に関して歴史が浅いことでも共通点がある。他国で育まれた文化をどのようにレシーブするかが肝要だ。私は「和魂洋装」という言葉で、それを捉える。つまり、「和の魂」で「洋を装う」のである。アメリカの真似をしたって何になろう。日本人の独自の着こなしを求めねば。流行だからといって、アメリカ的になりすぎるのもよくない。アメリカ的なビタミン、イギリス的なビタミン、イタリア的なビタミン、さまざまな国の服に通じるカルチャービタミンをバランスよく摂ることが大事だ。その上で日本化する。私が日本人としてスーツを作っているのも、まさしくそれがコンセプト。リアル・ジャパニーズ・スタンダードを模索しているのである。アメリカンスタイルの日本製のスーツに、イタリア製のボタンダウンシャツを合わせたっていい。アメリカの流儀を自分流に捉え直すことを怠ってはならない。
 
(注1) 「トム・ブラウン」
1965年生まれ。2001年に自身の名を冠したブランドをスタート。2004年秋冬のニューヨークコレクションに参加。2006年にはCFDAメンズ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2007年秋冬にブルックス ブラザーズとのコラボレーション、ブラック フリースを発表。2008年2月から梅田阪急百貨店メンズ館にて初ショップを展開中。


(注2) 「VAN」
石津謙介氏が1951年にスタートしたブランド。1960年代にアイビールックとして一世を風靡。


(注3) 「ノーマン・ロックウェル」
1894年、ニューヨーク生まれ。アメリカの市民生活を描き、最もアメリカ的な画家と言われる。

 
 

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−近ごろのマエストロ−
大阪の阪急百貨店メンズ館を訪れたマエストロは、コム デ ギャルソン ジュンヤ ワタナベ マンがセントジェームスとコラボレートしているシャツジャケットを購入。「クラシックが根底にあり、クリエイティブの意図に共鳴できるブランドだ。それをモードと捉えるかどうかは、購入した人次第であろう。阪急百貨店メンズ館はモノと器は立派に揃った。課題は販売員の接客力だ。百貨店であっても、あくまで個人商店。それを忘れけなければ、おのずと結果はついてくるだろう」。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスの上、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録(「和魂洋装」)”色紙をプレゼント!

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2008年01月24日(木)

OCEANS 3月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様「の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に、救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“男のお洒落”

[今月の質問]
結婚してから5年経ち、1歳になる長男がいます。仕事、私生活ともに大きな問題はなく、平穏な暮らしに満足しています。しかし、どうも最近、自分が枯れてきているように思うのです。結婚して間もないころまではファッションが好きで、流行も気にかけていました。ところが、今ではいつも同じスーツ、家ではジャージ……。服はたくさん持っていると思うのですが、何を着てよいのかわからなくなってきました。お洒落をして妻以外の女性にモたいというわけではないのですが。男のお洒落について、アドバイスをお願いします!(33歳・品川区在住・公務員T・S)


Q.このような内容の相談がとにかくたくさん寄せられています。まず、男にとって流行との付き合い方を教えてください!?
 そのようなことで悩む大人の男がそんなにいるのか……。怒りを通り越して、呆れて果ててしまう。日本人は服に金を使うことは得意だが、買い物が下手すぎる。なぜだと思う? それは流行という言葉に踊らされているからだ。もちろん、服、そして着こなしには時代感というものが存在す。しかし、男の服は時代を超越したクラシックがあくまでも軸となる。財力や地位には関係なく、教養のある男は古今東西、皆、そうだ。流行遅れになることを恐れて何を着ていいかわからないだと? 顔を洗って出直してこい! 己が着るものくらい、己で考えろ。しかし、それでは“相談室”が成り立たないな。仕方がない。それでは、ひとつアドバイスをしよう。
 男はクラシックな装いが基本である。クラシックな装いと言っても単なるコンサバな着こなしを指すのではない。私の言うそれは、「保守的」を意味するコンサバとは似て非なるものだと心得てほしい。料理で例えるならば、男は薄口の味で勝負をするべきだ。控えめな中のアグレッシブさとでも表現できようか。洋服も同じである。クラシックな装いとは、ベーシックな服のポジティブな着こなしを示す。それを見出すためには、まず己のクローゼットの棚卸しが必要になってくる。

Q.なるほど! タンスの肥やしとなっているような多くの洋服を整理して、もっとシェイプアップをさせる。言うなれば、クローゼットの「脱メタボ」ですね!
 てめぇ、何うまいこと言ったって顔してやがる! ふざけるのもたいがいにしやがれ!まぁ、とはいえ、その言葉は以前私の言ったことだな。よく覚えていたものだ。クローゼットの脱メタボリック症候群とは自分でもよく言ったもので、そのためには、自分のワードローブの棚卸しをしろ。まず、あなたがどのような服を持っているのかを把握する必要がある。そのために、洋服をカテゴライズしていくことが大事だ。まずは色でカテゴリーを作る。グレー、ネイビー、ベージュ・茶系、これを私は男の3原色と呼んでいる。私が考えるクラシックな装いは、すべてこの3色を基本として作られるのだ。特にグレーはどんな色にも合うという理由から、もっとも基本となる。すべての道はグレーに通じるのである。そして、そんなグレーを明度で分ける。白→ライトグレー→ミディアムグレー→ダークグレー→チャコールグレー→黒という具合に、だ。そして、そのほかの色に分けて整理しておくのだ。次に、それらをさらに細分化してシーズン別にカテゴライズする。通年用、春夏用、秋冬用に分ければよい。このように、カテゴライズすることであなたのワードローブが整理される。その作業の中で、必要なものとそうでないものが把握できるであろう。すると、あなたはこれから足りないものだけを新たに購入していけばよいという算段となるのだ。ワードローブは、これで的確にシェイプアップさせることができ、ワードローブの脱メタボリック症候群はほぼ目前と言える。さて、問題はここからだ。では、どのような目線で新規のアイテムを選ぶべきか。はっきりと言おう。旬なものはできるだけ避ける、それがコツだ。近ごろはナローラペルが旬だ、浅い股上が旬だ、と雑誌が書き立てているが、鵜呑みにするのは極めて危険である。なぜならその服は果たして、10年と言わないまでも5年後も着られるアイテムなのか?そこをしっかりと吟味し、よく検討いただきたい。また、決してブランドを基準としてはいけない。高名なブランドであれば、すべてが素晴らしいとは限らない。昨年話題になった、とある有名な料亭がそうであったようにな・・・・・。1シーズン限りで着られなくなるような特殊なデザインの服を買うようなことは愚の骨頂なのだ。よいものを長く着る、そういう目線で服を選ぶことが本当に賢いやり方だ。そこには使い込んでいく美学がある。そして、限られた資源を大切にすることでもあり、地球温暖化を抑制することにもつながるのである。

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(→)こちらは、マエストロが頻繁に訪れるという甘味処の「竹むら」(TEL.03-3251-2328 東京都千代田区神田須田町1-19)。看板メニューである「粟ぜんざい」はどうしても食べたくなることがあるとか。頬張る姿にも品格が漂うあたりは、マエストロ、やはりタダモノではありません!

Q.自分では服を買わず、妻任せという男性も多いようです。確かに、今の女性はお洒落だし妻の好みで選んでもらえれば我々も楽でいいですよね!
 この野郎、破門にしてやろうか!この大馬鹿やろうが! てめぇが着る服をてめぇで買わないだと? まったく、信じられない。自分の身に着けるものは自分で選べ。確かに、平日の百貨店に足を運ぶと、タイ売場に婦人の姿が目立つ。タイはサイズの融通が効くからプレゼントに最適なのだそうだ。だが、お前みたいな考え方をしている男には、馬鹿やろう!と言ってやりたいね。タイは自分を映し出す鏡だ。人が買ったネクタイを毎日ただ喜んで巻いているだけなんて、私に言わせれば、犬っコロと同じだ。女房の選んだタイばかりをうれしそうに巻いていたら世の中の男性がペット化してしまう。女房はお前の主人なのか。己の好みはないのか。己を主張しろ。人任せな服を着ている男は、何でもそのとおりだ。上司と食事に行って、同じもの、と決まって注文する輩も同じだ。まったく、情けない・・・・・。お前の食いたいものは何だ?イタリア人はメニューを眺める時間も食事の楽しみであると心得ている。たいてい、20分は時間をかけるものだ。自分で着るものを人任せなどにするな。自分のケツは自分で拭け

Q.クローゼットの棚卸し、女房への好みの主張、必要なことは分かりました!あとは、着こなしのマニュアルをマエストロから聞くだけですね!
 このやろう、以前も同じような質問をしやがったな。何がマニュアルだ! 着こなしのマニュアルなど存在するわけがなかろうが。教わるものなどではない。そんなものは自分で学ぶものなのだ。だが、ヒントは教えてやろう。簡潔に言うと、映画を見なさい。?50年代、?60年代の映画にはよき手本が多い。ここで、私のおすすめの映画を手本とすべき主演俳優とともに7本挙げよう。『太陽がいっぱい』のアラン・ドロン、『俺たちに明日はない』のウォーレン・ベイティ、『第三の男』のオーソン・ウェルズ、『北北西に進路を取れ』のケイリー・グラント、『カサブランカ』のハンフリー・ボガード、『甘い生活』のマルチェロ・マストロヤンニ、『華麗なるギャッツビー』のロバート・レッド・フォード。ほかにも枚挙にいとまがないが、まずこの7本を見なさい。そして、何を感じ取れるか。そこからは、あなた次第である。私は服に関心が持てないのはつまらない人生だと考える。実にもったいない。人生を楽しむためのワンピースをあなたは失っているのであるから。

Q.ではマエストロ、最後にズバリ、男にとってのお洒落の極意を語っていただき今回を締めくくってください!
 このやろう、やけに仕切りがいいじゃねぇか。わかった、では簡潔に言おう。お洒落の極意は我慢である。男の我慢とは己の道を歩くことであり、それこそが男の流儀である。以前にも述べたが、暑いから上着を脱ぐ、タイを巻かない、そんなふざけたことを言うな。しかるべき場所であれば、暑くたって上着とタイぐらい身に着けろ。それこそが男の嗜みであり楽しみだ。夏でもタイを緩めずにスーツをきちんと着ている。それでいて涼しい顔をしている。そこに格好よさ、そして品格が漂うのである。ときに女には、そんなことを我慢してやっている男が「子供みたいで、バカね」なんて映るらしい。しかし、それは女にはまったく無縁の境地だと言いたい。男のお洒落には、我慢する力子供のような素直さが不可欠なのだ。
 私は長年、洋服に携わった仕事をしている。だが、上っ面だけで日本人の男性をお洒落にしたい、などとは思ってはいない。好きなものを好きなように着ればよいと思う。しかし、服飾の歴史が浅いがゆえに、ヨーロッパ諸国の、特にイギリス、イタリア、フランスの男達から学ぶべきことはまだまだ多い。私はそうした現状を鑑みて、日本も彼らと同様、いやそれ以上に素晴らしいものを持っていることを知らしめたい。日本人に似合う、日本のスタンダードな装いを創っていきたい。そして、服を着ることの愉しみを一人でも多くの人に伝えていきたいと願うのである。いまだ道程ではあるが、そのための礎になることこそ私の本望なのだから。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
「モノを見抜く“目”を持て」

仕事でも私生活でも熱い人と冷めている人の差が広がっているように感じる。そして熱い人は熱い人と出会い、相乗効果でさらに熱くなる。人は人との出会いで刺激を受け、成長するのである。先日、奈良にある靴下工場にうかがった。メイド・イン・ジャパンの実にいい靴下を作っており、働く人の熱が私に伝導した。新年はフィレンツェに赴き、幾つかの工房に立ち寄る。そこには価値観を共有する人がいる。そこでも熱を感じるのが楽しみだ。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスの上、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合は官製ハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B年齢 C職業 D電話番号 Eメールアドレス F赤峰連載への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」までお送りください。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録(「男とは我慢力と子供力」)”色紙をプレゼント!

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2007年12月24日(月)

OCEANS 2月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
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今月のテーマ
“常識のズレ?!”

[今月の質問]
私は昨年、国際結婚をしました。相手のことを十分理解しているつもりでも、異文化で育った妻と生活を共にするに連れて、さまざまな価値観のズレが明らかになり困惑することも。最近よく言い争いになるのは、仕事についてです。家族のために働き、稼ぐことは男の使命でもあると思っています。それに対し、妻は不満を言う。いま一度ワークライフ・バランスについて再考していますが、妻のことが理解しづらくなってきています。国際感覚に長けたマエストロにざひ、何かよいアドバイスをいただきたいと思います。(36歳・目黒区在住・広告代理店勤務M・Tさん)


Q.この方、私生活を大事にしたいそうです。仕事とのバランスなんかよりも、男は仕事!それが世界共通の常識ですよね?
 お前っ・・・・・・・・まったく呆れて返す言葉も見つからない。そんなことを言うお前のような輩ばかりでは、日本はもうだめかもしれない。「(注1)ワークライフ・バランスという言葉を知らないのか。「仕事」と「私生活」のバランスは今、極めて重要な社会問題であり、政府や一部の企業は既に動き出している。それに、海外に目を向けてみろ。家族と過ごす時間を仕事以上に重んじるヨーロッパ諸国で「仕事がすべて」だなんて言ってみろ。それこそ日本の恥さらしというものだ。そんな輩に限って大して働きもせず十分な収入と休暇を第一に要求してくるものだ。そんなことを考える前に、もっと見聞を深める努力をしろ。日本で常識だと思っていることは、世界に出てみればそうではないことが実に多い。そして、お前がこれから招こうとしている悲劇を事前に防ぐためには、奇しくもお前の言った「仕事(=稼ぎ)がすべて」という馬鹿げた妄想をまず叩き壊す必要がある。この常識のズレが生じるのは、日本という国が“一億総売上げ主義”であることに起因する。つまり個人では年収、会社では利益だけが物差しとなる。計算できるものでしか価値を計ることができない。だから売上げばかりを求め、その結果常に時間に追われてしまう。
 世間にはラーメン屋が溢れているだろう。なぜだかわかるか?それは手っ取り早く腹を満たせるからだ。自動販売機も異常なほど多い。それは手っ取り早くノドを潤せるからだ。いったい何をそんなに急ぐ?日本人は身体も心も疲弊しきっている。仕事の対価が賃金であることに異議はないが、それがすべてだなんて実にむなしいではないか!私生活を楽しむことに重きを置き、身体も心も満たされること。それを最優先することで、日本人が、ひいては日本が救われるのだ。
 例えば、それはイタリア人の例を見れば明らかだろう。彼らは、仕事のアポイントの時間には大抵、遅れる。仕事の段取りがうまいとは決して言えない。電車や飛行機だってそうだ、必ずとは言わないが大抵時間どおりに来ない。だが、時にルーズに映るその習慣こそが、彼らのよさであり美徳なのだ。自分の生活を楽しむことを第一優先とし、“生きることを楽しむ”ことを国民全員が実践している。彼らは実に幸せそうにいきいきと生きているのだ。そしてそこから生まれる余裕こそが、彼らの常識を形成する大きな要素なのである。イタリア人の真似をしろとは言わない。しかし、こんな場面に出くわすと、自ずと答えは出るだろう。働き盛りのイタリア人は、電車やバスで椅子に座ろうとはしない。なぜならば、彼らの常識では椅子は年配の方や障害のある方などのため、だからだ。翻って日本人はどうだ。目の前に老人が立っていても、寝たフリや、気づかないフリをしたりする始末・・・・・。仕事や収入についてあれこれ不満を言うよりも、そのズレきった常識を正すことだ。当たり前の行為として椅子を譲れるか?まずはそこから考えてほしい。正解基準の常識を身に付けるためには、人に優しくなれる、心の余裕が必要不可欠なのだ。

Q.では、忙しい日々の中で効率的にゆとりのある生活を送るための極意を教えてください!
 何が極意だ、大馬鹿やろうが!それくらい自分で考えねぇか。金が欲しいなら、とにかく働き蟻のようにせこせこと働きやがれ。まぁしかし、あえてアドバイスを送るとするならこうだ。まず、生きることにローギアを入れろ。トップギアで走ろうとするな。そして、どんどんサボるのだ!仕事を疎かにしろということではない。効率だけで考えず、ムダなことをしろ。足し算ばかりの生活ではなく、引き算の生活をしろということだ。そこに精神的に豊かな生活のヒントがある。例えば休日に、自然と頬擦りしてみろ・女ばかりを抱きしめるのではなく、木を抱きしめてみろ。家でテレビばかり見ているよりも、川原の石っころでも拾いに行け。外に出て自然に触れろ、そして感じろ。休日に洗車や服の洗濯などばかりしていないか。今、お前に必要なのは、心の洗濯だ。そうやって生活範囲を広げれば、自ずと視野は広くなる。そして、最大の目的は教養を深めることにある。常識のズレを解消するには、教養を身に付けるほかないのだ。日本を訪れる多くの外国人は、東京ではなく京都や奈良、鎌倉を訪れる。それが意味することは、彼らが日本の美しさをその自然や歴史、つまり文化と呼ぶべきものに求めるからだ。物質的な部分ではなく、精神的な部分に価値を見出すのだ。文化への深い理解が人生を豊かにする。教養を身に付けるよう努め、金には換えられないものに、贅沢を感じられるようになれば本物だ。

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(→)成熟した大人、つまりジェントルマンの条件として、「裸で会話ができること」を挙げる赤峰氏。その言葉が意味するのは、つまり銭湯で出会った人たちと、仕事や立場を超えて、普通に世間話ができるかということ。この日赤峰氏は、どんな人と出会い、そしてどんな会話をしたのでしょうか。

Q.日本では常識とされていることで世界に出れば逆に非常識とされる。そんな具体例を教えてください!
 よし、いい心掛けだ。お前と初めてまともに話せている気がするのは気のせいか。正直この手の話を今さらするのはうんざりだが、お前の率直さに免じて答えるとしよう。
 わかりやすい例を挙げるなら、あのクールビズやウォームビズというおよそ習慣にはなりえない取り決めを、その目的を履き違え、自身の行動の指針としている輩がいることだ。かくいう今年も暖房の設定温度が下げられ、ウォームビズを実施する会社が多い。会社員は規定だからと何の疑問も持たずに、ただ従うだけ。だからその目的も知らずに、誤った理解を生んでしまうのだ。日本人は規則を守るのが得意だからな。日本の男よ、自ら考えろ!会社の常識がお前たちの常識なのか?地球温暖化防止は早急に取り組まねばならない、人類全体の極めて重要な課題だ。ムダや資源を使わないように、室内の暖房温度を下げることには賛成だ。しかし、それをウォームビズだのなんだのという、お上の声によって主導され、ただ従うだけの日本人の心意気が気に入らない。地球温暖化の改善を意識して、室温を下げる。すると少し寒いからシャツの上にカーディガンを羽織る。ただそれだけでいい。なぜなら、それだけのことなのだから。自分で考えて、自分で判断して、自分で行動しろ。これは今年の夏のことだ。クールビズだからタイをして来なかった。そうのたまう輩が私の前に現れたときのことだ。それが常識ですからという顔つきで、だ。私はノータイの着こなしが悪いというのではない。問題はT.P.O.が違う、ということだ。クールビズ云々の前に、根本的なことが何もわかっていない。本来の目的を忘れた、もしくは単に知らないだけなのか。何でもカジュアルに済まそうというその傾向は、アメリカの悪い影響だろう。クールビズだろうが、然るべきシーンでは必ずタイを締める。それが紳士として世界基準であり常識なのだ。目上の人の前でタイを締めるということができない、もしくはしない、そんな事態は最悪なのである。そんな輩にはひと言、俺の前から消えてくれ!と言ってやりたい。つまり、己が常識であると確信しているようなことも、時には疑ってみることが大事なのだ
 日本人は世界一トレンドに流されやすく、影響されやすい国民だ。とにかく新しいものが大好きだ。クールビズやウォームビズが最たる例だろう。流行ものとして言葉だけが独り歩きする。情けないことこのうえない。日本の常識はスクラップ&ビルドなのだ。壊しては建て、また壊しては建てる。日本の街並みについても同じことが言える。変化することを進化という言葉にすり変えて、ごまかしている。東京では日に日に高層ビルが増えている。イタリア人は、古いビルでもすべてを新しくせず、まず改築を重ねる。彼らは古きもの、つまり文化を尊ぶのだ。例えば20階建てのビルが建設されると「ブルッタ パラッツォ(=イタリア語で醜い建物の意)」と言って、そのビルを歓迎しない。今、日本も新しさだけを求める時代ではないのではないか。海外へ出る機会があるならば、ぜひその国で庶民の文化を経験し、同じ目線で味わい楽しむことをおすすめする。それは文化のスタンダードを知ることを意味する。そうすると、日本人としての自分の立ち位置がわかる。つまり常識の勘違いが見えてくるということだ。今月質問をしてくれた読者が、異文化で育った妻との価値観の違いで悩んでいるならば、まずはやはり妻である女性の背景にある文化に対する理解が不十分だということだろう。まずはそこの努力から始められたい。

 
(注1) 「ワークライフ・バランス」
最近注目されている大きな社会問題のひとつで、仕事と家庭が両立しやすい雇用環境作りのこと。少子化対策の一環として、国や企業は子育て支援などへの積極的な取り組みを進めている。



 
 

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−近ごろのマエストロ−
食品における偽装が世の中を騒がせている。それは服にもある。最後の出荷場所がイタリアであれば別の場所で製造してもイタリア製になったり。カシミアと謳っても品質は千差万別。それにブランドの名前にすがっていては、モノの価値を見抜くことはできない。ブランドで素晴らしいものもある。ただし、名前だけで信じていると裏切られるのだ。人も同じ。会社の名前、肩書き、学歴で判断しては見誤る。自分の目で判断することが大事だ。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録(今月は「常識の勘違い」)”色紙をプレゼント!

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スーツは3万〜10万円台でオーダー [OCEANS掲載記事]

自分に似合うスーツを突き詰めていくとオーダーに辿り着く。しかし、オーダースーツなら、なんでもいいわけではない。価格も上を見ればきりがない。ただ、きっと適正価格があるはずだ。そこで今回は、オーダーの達人である赤峰幸生さんとフィレンツェの名サルトであるアントニオ・リベラーノさんをお招きして、正しいオーダースーツ選びの極意について伺った。

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 まず、スーツをあつらえるにあたり、オーダーの意味について赤峰、リベラーノ両氏に伺った。
「オーダースーツの利点とは、既製品よりも身体にアジャストできること。選ぶ素材で目的や好みを反映できることだ。どんな材料で、どんな作り方で。誰がどれくらい時間をかけて作ったのか。そういうことが明確にわかる。つまり品質保証でもあるのだ」(赤峰)
「オーダースーツは、その人にしか似合わないが、着せのスーツはおおよそ似合う。そこに決定的な違いがある。しかし完璧なフィットは、ハンドメイドでしか得られない。それは誰にでもできるものではありません。技術が低いところでオーダーするなら、既製のほうが優れている場合がありますから」(リベラーノ)
 ではオーダーする際に、どのようなことが一番大切ですか?
「オーダーで、一番大切なことはコミュニケーション。ですから私の場合は職業、趣味、どのようなシーンで着るのかを必ず尋ねます。そして、その人の顔や体型を観察する。それから素材を決めるんです。本人が選んでも似合わなければ、その素材で作ることをお断りすることもあります。理想的なスーツを作るには、信頼関係がとても大事なのです」(リベラーノ)
「まったくそのとおり。オーダーだからといって、何でも融通が利くわけではない。会話の中で、出来上がりのイメージを共有することが大事なのだ。客はデザイナーではない。こだわるべきは、まず素材。そして、どんな着こなしにするのか。そこまでお互いにイメージを膨らませるべきなのだ。スーツだけを作って終わり、では決してない」(赤峰)
 オーダーならワガママを叶えてもらえる。ボタン位置を高くしたり、ステッチの色を変えたり・・・・・。確かに、そういったテーラーもある。しかし、オーダーの本質とは、フィット感の向上と素材選びに集約される。だからこそ、信頼に足る優れたテーラーを選ぶことこそが、最も重要になってくるのだ。
 


本誌でおなじみのマエストロ赤峰幸生さんが指南する
スーツを上手にオーダーするための7つの心得


どんな名うてのテーラーであっても、オーダーするこちら側の心得次第で、スーツの出来映えはよくもなれば悪くもなる。そこでマエストロ赤峰さんを指南役に迎え、7つの心得を伺った。
 

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1.まず話せ!
オーダーはコミュニケーションが大切。
まず話せ、とにかく話せ。どんな職業か、どんな趣味を持っているのか。
そして、どのようなシーンで着るスーツなのか。自分を知ってもらうことで、テーラーは最適なスーツのイメージを固めていく。

2.生地は、目で見極めず3本の指で感じとれ!
マエストロ曰く、オーダーは生地に始まり生地に終わる。生地選びこそがオーダーの楽しみ。ブランド名だけに頼るな!
スーパー○○'sの数字に惑わされるな!まずは触れ。
そして感じろ!長く着るためにはヘビーウェイトの生地がおすすめだ。

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赤峰さんが選んだのは、この5つ
指で触ればどんな生地かあらかた判るというマエストロ。「印象は生地で決まる。フォーマルなら薄手のしなやかな生地だが、おすすめしたいのは目が詰まったヘビーウェイトの生地。着るほどに風合いが増し、長く着続けられるからだ。よい生地は英国に多い」
1_アカミネロイヤルライン
2_レアブラウン&ダンスフォード
3_ハリソンズ・オブ・エジンバラ
4_エドウィン・ウッドハウス
5_ドーメル

3.体型の欠点を知れ
採寸では身を委ねよう。数字だけでは計り知れない身体の特徴、なで肩だったり、猫背だったり、そういった部分へのアジャストはテーラーの経験値がものを言う。ただし、自分の体型の特徴を知り、普段のスーツで困っていることを伝えることも大事である。

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1_首のつきジワ
2_なで肩
3_左右の腕の長さ
4_脚のカタチ
5_ゴージの高さ
6_前肩

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4.教条主義的雑誌の数値を鵜呑みにするな
袖丈は親指から何センチ、着丈は総丈の2分の1、裾幅は何センチでなければならない、などと雑誌で書いているが、それはあくまで目安。最適なバランスは十人十色。だから、まずはテーラーにまかせてベストの数値を出してもらう。
希望は希望として後から伝える。

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5.パンツをはいたら座れ!
パターンオーダーの場合はサンプルのパンツを試着して、フィッティングをアジャストする場合が多い。
その際に、必ず椅子に座ったときの、はき心地もチェック。
ウエストや太腿の回りの感じ方は立っているときとは随分と違うのである。

6.仕上がり後の着こなしをイメージしろ!
スーツだけを着る、ということは無論ないわけで。だから、どんなシャツ、どんなタイを合わせるのかもオーダー時にイメージしておくべき。
経験値の高いテーラーであれば、生地からでも似合うVゾーンを提案してくれる。

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マエストロは映画から着こなしイメージを喚起することが多い。「北北西に進路を取れ」のケーリー・グラントは、よき参考例のひとつ。

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7.納得いくまで、お直しを!
オーダーであっても完璧なフィットに1回目でなるとは限らない。
だから、仕上がりに満足できなければ、とことんアジャストするための修正を。
修正を嫌がるようなテーラーは信頼できない。
長く着続けたいスーツだからこそ、妥協は禁物である。

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初級、中級、上級の3ステップで上達する マエストロ流おすすめオーダースーツ [OCEANS掲載記事]

オーダーの本質、心得を伺った赤峰さんが主宰するインコントロにて、アカミネロイヤルラインのオーダーを実体験することにした。
編集担当の3名が理想に掲げたスーツが出来上がったのか?
そのリポートをご覧いただきたい。

 

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 これまで既製のスーツしか着たことがなければ、オーダーは敷居が高く感じられることだろう。そこでオーダーの初心者に向けて、クラシックな服の伝道師である赤峰さんにアドバイスをいただいた。

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「真の意味での醍醐味は、フルハンドメイドのビスポークで味わえる。しかし、価格は高く、時間もかかる。経験値も必要だ。初心者であればパターンオーダーをおすすめする。生地を選び、採寸をして、身体にジャストフィットしたスーツを作ることが可能だ。個性を反映することができるので、既製のスーツのワンランク上と捉えればよいだろう。

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 10万円台でよい生地、よい仕立てのスーツが十二分に作れる。最もこだわっていただきたいのは生地選び。おすすめは380〜430gのヘビーウェイトで締まった生地。着込んでいくうちになじみがよくなり、風合いが魅力的に増す。デザインは流行ではなくあくまで正統派で。10年は着続けられる1着をあつらえていただきたい。今回は参考例として3者3様のスーツを披露する」

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今回オーダーしたのはココ!
【アカミネロイヤルライン】


マエストロこと、赤峰幸生さんがディレクターとして手腕をふるうブランドが「アカミネロイヤルライン」。問い合わせはインコントロ(tel.03-3447-1891)まで。HPはwww.incontro.jp
※なお、店舗での「アカミネロイヤルライン」パターンオーダーのお取り扱いは、日本橋三越本店2Fにて。問い合わせは、2Fセレクト&インポート(tel.03-3274-8805)まで。

Step.1 初級編 [ グレー生地 ]

既製のスーツばかりだったAさんの場合
ジャストフィットのベーシックスーツを!

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 クラシコ・イタリアからモードまで、さまざまなスーツを着てきたが、どれも既製品。フィット感に満足できなかったAさんは、シーンを限定しないオールマイティなスーツを希望。赤峰さんが選んだ生地は、ウール×モヘアのシャリ感の強いミディアムグレーだった。
「この生地は、真冬以外ならシーズンレスで着られる生地だ。そしてビジネスでもフォーマルでも応用が効く。'60年代のアメリカっぽい雰囲気で、モノトーンのVゾーンで着こなしていただきたい」
 サッカーをしていることもあり、既製ではジャケットとパンツのサイズが異なるのがAさんの悩み。
「そういう悩みを解消できるのもオーダーの利点。既製ではジャケットが44、パンツが46となる体型だ。今回は後ろの股上を1cm深くして、わたりは0.4cm幅広にした」
 かくして、ジャストフィットのベーシックスーツが完成した。

マエストロ流のオーダー注意点!
つきジワが出ないように!
「背中の上部につきジワが入りやすい体型。既製品からの修正ではなかなか難しい。そこに留意した」
 

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マエストロ流のVゾーンバリエ
「ミディアムグレーは、かなり色幅のタイが似合う。とはいえグリーンだけは避けたい。気分としては赤のドットタイ。それも深みのある赤。その場合、サックスブルーのシャツより、プレーンな白がいい」

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マエストロ流の着こなしテク1
「革小物の色は原則として黒。茶が合わないわけではないが、都会的に装うには黒がいい。小ぶりのシルバーバックルで、スムースレザーのベルトが適している。素材感の強いスエードはあまり似合わない」

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マエストロ流の着こなしテク2
「革小物は色を揃えるのがスマートで、ルールとも言える。ベルトが黒ならば、靴はもちろん黒。イタリアンな靴ではなく、重厚感のある英国のストレートチップが最適。パンツの裾はハーフクッションで」
 
 
 
 
 

Step.2 中級編 [ グレーストライプ ]

きちんとしたスーツを持っていなかったBさんの場合
スポーティにも着られるストライプを!

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 普段はカジュアルオンリー。スーツを着る機会は多くないが、30代前半の年齢にふさわしいクラシックスーツを希望したBさん。着回しのできる生地を、とリクエスト。
「初めてのスーツという視点から、着こなししやすいミディアムグレーのストライプをすすめることにした。がっちりとした体型を縦長に見せる視覚効果も期待できる。またジャケットとパンツをセパレートして着回してもいいだろう。生地は目が詰まっているので型崩れしにくく、シワになりにくい。手入れが楽なことも付け加えておく」
 既製品ではイタリアのサイズ表記で52。日本では展開が限られており、好みの色柄の生地を探しにくいことがBさんにとってこれまでネックとなっていた。
「そういう体型の人ほど、オーダーにするべきなのである。既製のスーツではまず不可能な、自由な生地選びが楽しめるのだから」

マエストロ流のオーダー注意点!
パンツのシルエットはシャープに
ウエストやヒップはゲージサンプルよりも2cm出し。しかし、わたり幅は逆に1cm細くしている。
 

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マエストロ流のVゾーンバリエ
「スーツのインナーはシャツとタイだけではない。普段カジュアルな服装が多いのであれば、タートルネックニットを活用するといいだろう。色は茶がおすすめだ」。タートルニット11万8650円/クルチアーニ(ストラスブルゴ)

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マエストロ流の着こなしテク1
「グレーの生地には小物は黒が基本だが、この場合ベージュのストライプが入っているので茶の方がまとまる。全体の印象も優しげに。だから、ベルトは茶」。ベルト3万7800円/テス(ストラスブルゴ)

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マエストロ流の着こなしテク2
「茶のベルトだから、靴も茶。体型ががっしりしているので、裾口幅は19.5cmでシャープに見せ、折り返し幅は5cmでバランスをとった」。靴11万9700円/エドワード グリーン(ストラスブルゴ)
 
 
 
 
 

 

Step.3 上級編 [ ブルー生地 ]

一通りスーツを持っているCさんの場合
ネイビーでも明るめで新しい印象を!

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 ベーシックな色柄のスーツは一通り持っているCさんは、赤峰さんに似合うスーツを委ねた。
「選んだ生地は、ブルーのシャークスキン。ネイビーよりもやや明るく、フォーマルに着こなすこともできる。イメージは「北北西に進路を取れ」のケーリー・グラント。サックスブルーの無地のシャツにネイビー無地のタイを合わせると、都会的シックに決まる。中肉中背、細身で手足の長い体型だから、あまりタイトすぎるフィッティングではないほうがエレガント。ウエストはシャイプしすぎないで、ストンと落ちたアメリカンなシルエットにした」
 
 

マエストロ流のオーダー注意点!
パンツはタイトすぎないこと。
わたりはゲージサンプルよりも1cm細くしたが、裾口は20cmのまま。折り返し幅は5cmとした。


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マエストロ流のVゾーンバリエ
「イメージは現代解釈のアメリカンスタイル。白のB.D.シャツに、ネイビーのタイ。差し色は使わないほうがいい」。シャツ4万2000円/ボナマッサ、タイ1万5750円/マタビシ(ともにストラスブルゴ)

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マエストロ流の着こなしテク1
「明るいブルーの生地に似合うのはチョコレートカラー。黒を合わせるとストイックになりすぎる。クロコダイルのベルトでは派手すぎ。あくまでも控えめに」。ベルト3万7800円/テス(ストラスブルゴ)

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マエストロ流の着こなしテク2
「着こなしの方向性はアメリカ。しかし、アメリカ靴では野暮ったい。英国の靴を合わせているほうが趣味のよさが感じられる。色は断然、茶だ」。靴11万9700円/エドワード グリーン(ストラスブルゴ)

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オーシャンズがおすすめする3万〜10万円台のオーダースーツはこの13軒で! [OCEANS掲載記事]

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4.西武池袋本店
ドッツ&ループス

トータルディレクター・赤峰幸生氏、モデリスト・井地八郎氏によるブランド、ドッツ&ループス。
ロンドンのサヴィル・ロウを源とした伝統的ディテールと、ナポリを源とした柔らかな着心地という2つの表情を持ち合わせているのが、同ブランドの魅力といえる。特筆すべきは国内で生産されるオリジナルの生地。低速織機で織り上げた生地は膨らみがありしなやかで、少量のみの生産となるため稀少性の高さもうれしい。

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[おすすめ生地]
カラフルなストライプやミッドナイトブルーなど、若々しいオリジナル生地を、約90種類用意。今春はシルク混やモヘア混の程よい光沢のある素材に注目。

[オーダーシステム]
価格/11万4450円〜。納期/約4週間。デザインは「ナポリテイスト」「イングリッシュドレープ」「フレンチミュージカル(モーダ)」など、5種類の豊富なバリエーションを揃える。

 

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永井大地さん(オーダー担当)
「サイズ補正を徹底的に行い、着心地を左右する部分はハンドのテクニックを取り入れています。軽快な羽織り心地を楽しめますよ」

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tel.03-3981-0111
東京都豊島区南池袋1-28-1
営業/10:00〜21:00(日曜、祝日は〜20:00)
無休

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2007年11月24日(土)

OCEANS 1月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さんの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も迷えるオーシャンズ読者に、痛快なご意見で救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“仕事観”

[今月の質問]
私は来年、会社勤めを始めて14年目を迎えます。年齢的にも、いわゆる中間管理職といわれるようなポストで仕事をしています。よき上司や部下に囲まれ、職場環境には比較的恵まれている気はします。しかし、役職にふさわしい給料であるかどうかがわからず、転職を考え始めています。マエストロ、転職を決意するときの大切な判断基準とは何でしょう?(36歳・文京区在住・商社勤務Y・Sさん)

Q.この方、転職したいそうです。収入アップのほかに大切なのは、ズバリ何なのでしょうか?
 何だと、もう一度言ってみろ!私の耳が遠いのか、それは収入がもっとも大切だということか?どうか聞き違いだと言ってくれ。どうして、お前はそうなんだ。世の中、何でも金、金、金。私だけでなく、多くの読者がそんな話にはうんざりしていると信じたい。収入アップのための転職だと?ふざけるな。お前は根本的に間違っていることがわからないのか。そういう輩に限って、どこそこの大学出身だの、世間に知られている会社かどうかだの、上っ面の名前に翻弄されている。そして、自分の価値を年収で測っている。金に替わる価値観を持て!そもそもお前は今の仕事に誇りを持っているのか?転職などを考える前にまず、それを自分自身に問うてみよ。どんな職業だっていい。いかほどの収入だっていい。自分の仕事を誇れるか、それが仕事に対しての唯一の判断基準なのである。最近はあらゆる業種で偽装、偽装と騒ぎ立てている。人はどうして偽装するのか?答えは簡単、金のためだ。そして、そんなまがいものの仕事には、誇りなど持てようはずもなかろう。
 私は転職を繰り返してきた。しかし、それは金のためなどではない。無論、志のためである。どの会社にいるときでも、私は自分の仕事に誇りを持ってやってきた。(注1)桑沢デザイン研究所を出て、オートクチュールのデザイナーを志したが、家の事情でフランス留学を断念。その後はアパレルメーカーでのアルバイトからのスタートだ。それからは自分の志のための、険しい修業の道程だ。だが、よき先輩に恵まれた。今でも恩師と慕う先輩から、当時こんな言葉をいただいた。「行くは小道に寄らず」。どんな道程だろうとも、男なら常に自分にとっての大道を歩めばよいということだ。それと「水を飲む人は最初に井戸を掘った人を忘れるな」。つまり、常に感謝の気持ちを持てということだ。今ある自分は、先達がいてこそ。自分独りで成し得ることなどない。先人への敬意の念を忘れてはいけないのだ。転職をやめろとは言わない。だが、金に翻弄されるな。金以外の価値を見出せるかが分かれ道である。己の志に従い、次のステージに進まんとしているか。その道の職人になれ。人からそう呼ばれれば本物だ。私も職人を目指し、毎日その修業を重ねている。それは人生の限り、続くのだ。そして、そのためにもっとも大切なのは質の高い人との出会いを求めること。職人への道はよき出会いが開いてくれる。金に翻弄された転職に光明などない。

Q.では、早く職人になれるためのマエストロ流の必殺マニュアルをぜひ伝授してくださいっ!
 このやろう、目を覚まさねぇか!伝授だと?ふざけるな。職人への道にマニュアルなどあろうはずがない。ましてや、近道など言語道断だ。だが、あえて伝えておくとすればこうだ。仕事はコミュニケーションであることを理解せよ。仕事とは、取引先、上司、部下、人と人がつながって初めて成立する。便利だからといって近ごろはメールに頼りすぎている。メールだけで済ませ、相手の言葉を聞こうとしない、顔を見ようとしない、ただこなす、だけ。それで終わっている。なかでもこなしたように見せているだけの輩は手に負えない。世の中が便利になりスピード化したことで、コミュニケーションそのものも簡略化している。それでは、職人への道は果てしなく遠い。もちろん便利なコミュニケーションツールとしてメールは活用しろ。今の時代、当然だ。だが、メールだけで事を済ませるな。相手に会って、顔を見て、目を見て、言葉を聞け。10の仕事を10合理的に済ませることばかりを考えるな。少しくらいの時間や手間をかけるだけで、それは15にも20にもなるかもしれない。いい加減、時間という制約意識から自分を解放してやれ。一見、ムダに思えて、ムダでないことがいかに多いか。どれだけムダなことをやったかが大事となるのだ。成功のためのムダであるなら大いに結構なことではないか。売り上げの数字だけを追うな。仕事をマニュアル化するな。数字を伸ばすことだけに注力した仕事は味が薄い。チャップリンの「(注2)モダン・タイムス」。あれはただネジを回すだけでその仕事の目的を知らない、または考えていない男を描いている。つまり、自分の仕事の本質を見ようともしない、愚かな男の姿である。まさに反面教師だ。

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(→)古本屋のメッカ、神保町にもよく足を運ぶというマエストロ。お店で気になる本を物色するその鋭い眼光からは、他を寄せ付けない気迫すら感じられました。場所は行きつけの古本屋「一誠堂書店」。

Q.酒好きの上司に生意気な部下、そして毎日、そんな両者の折衝役・・・・・。そんなの誰だって嫌になりますよね?
 いい加減にしやがれ、てめぇは鵜飼の鵜か!何が折衝役だ、ふざけるな!だから、ダメなんだ。お前の仕事は上から下へのただの伝達役か。しっかり仕事の本質をとらえろ。
 お酒を飲みに上司から誘われたときのうまい断り方を教えてくれだと!てめぇはただの馬鹿やろうか!そんなつまらないことで悩むのはやめてくれ。とはいえ、私も強引な誘いには困ることもある。あえてアドバイスを送るとすれば、時間は有効に使うということだ。時には、その場で適当に酔ったフリをして、周りを楽しませればいい。それよりもお前は、その場にいる人から何かを学ぶことを考えろ。何だっていい。常に学ぶ姿勢を持て。嫌々、酒に付き合うくらいなら、次は行ってみたい店を見つけて提案するくらいの図太さを持て。人と出会う貴重な機会を、逃してはいけない。決して食わず嫌いをするな!
 部下に対してもそうだ。仕事へのモチベーションを上げさせる方法を教えろだ?いい加減にしてくれ。お前は部下に成果を求めてばかりではないか自分に問うてみよ。求めるばかりではなく、部下と成果をともに分かち合え。それはお前に、「一個の饅頭を半分にして、それを部下に与える気持ち」があるかどうかだ。部下には仕事に感動があることを教えろ。例えば、アパレルメーカーであるとしよう。ならば、部下に服が作られている現場を見せろ。どこで誰が仕立てているのか、そしてその生地、さらにその糸はどこで誰が作っているのかをつきつめろ。そして、どこで誰が売り、誰が買っているのかをつきつめろ。そこに笑顔があれば、仕事に感動があることがわかる。誇りが持てることを知る。自分の仕事の意義、目的が見えてくる。仕事の根っこ、本質を求めよ。仕事の一気通貫を教えろ。木を見て森を見ないのではいただけない。その逆も然りだ。それでは部下の高いモチベーションなど夢物語だ。「仕事は人のためならず」。仕事は自分以外の誰かの喜びでもあるが、自分の喜びでもあるのだ。それは、世界中のどんな仕事にも当てはまるのである。

Q.日本から海外へ飛び出してバリバリ働くのも格好いいな。どこの国がおすすめですか?
 てめぇ、話がまったく違わねぇか!転職の話はどうした?いったい誰と話してやがったんだ!まぁ、海外で働くことがお前のひとつの志ならば、それも仕方ない。とはいえ、この質問に答えるのは難しい。だが、あえて答えるとするなら、どこもおすすめと言っておく。なぜなら、言うまでもなくそれはお前次第だからだ。選んだ道の職人として海外へ飛び出すならば、心して聞いてほしいことがある。それは、まず自分がどの程度この日本という国について知っているか。当然だが、国が変われば歴史や文化が異なる。となれば、まずは日本のことをどれくらい話せるか?海外へ飛び立つ前にそこを自問すべきだ。あとは、揺るぎない職人魂があればよい。
 先日、これまで面識のなかったポール・スチュアートの社長である(注3)クリフォード・グロッド氏が私のオフィスを訪れた。そして、私の作る服を「リアル・ジャパニーズ・スタンダード」と評したのだ。それは、私にとっては望外の褒め言葉であった。私が自分の仕事に誇りを持ち、その道で職人であらんとすることを実践してきた成果でもあるだろう。志を持って歩き続けること。それは決して容易なことではない。だが、大きな意味がある。自分の大道を進み続ける。男として、これ以上の格好いい生き方があるだろうか。くれぐれも読者がその道程で小道に寄らないことを祈っている。

 
(注1) 「桑沢デザイン研究所」
バウハウスの影響を強く受けた桑澤洋子が1925年に設立。日本で最初に「デザイン」を校名に冠した教育機関であり、さまざまな分野で活躍するクリエイターを輩出してきた。マエストロにとって原点となる専門学校である。


(注2) 「モダン・タイムス」
1936年のアメリカ映画。チャールズ・チャップリンが監督、製作、脚本、作曲を担当し、主演したモノクロの喜劇映画である。


(注3) 「クリフォード・グロッド氏」
アメリカン・トラディショナルブランドの代表である、ポール・スチュアートの社長。稀代のウェルドレッサーとしても名高い人物。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「生涯の友を持て」

現在は中国に住んでいるかつての部下と、久方ぶりに酒を呑んだというマエストロ。「元は上司と部下の関係であるが、利害関係はなく、お互いにリスペクトしている。もう三十数年の付き合いとなる。いいところも悪いところも、知り尽くしている。そういう間柄の友は私にとってかけがえのない存在だ。学生時代の友人とはまた違う。仕事を通して、そうした友人を持てるか。それも仕事に誇りを持っているかどうかが、大事ではないかと思う」。

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仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G赤峰連載への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」までお送りください。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録”色紙をプレゼント!

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格好いいと言われる男たちは、「引き算の意識」が常識!学ぶべきは、スタイルのある達人たち [OCEANS掲載記事]

「目立つ色使いは避けて、控えめの美学で着こなす」

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人に出会って、相手に服装の印象が残るようではいけない。つまり、控えめであることこそがエレガント。そのための鍵は、まず色使い。グレースーツを軸に、モノトーンでまとめればブレない。色を使うなら、小さい面積で1色だけにとどめる。次はサイズ感。ジャストフィットでなければ、着こなしが自然に見えるはずもない。そのためにはオーダーで仕立てるのも有効だ。着ているスーツの素材はドーメルのスポーテックス ヴィンテージ。ヘビーウェイトで、保型性が高く、シルエットがきれいに出る素材だ。

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2007年10月24日(水)

OCEANS 12月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち!VOL.2 [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
先月号での新連載第1回目は“マエストロ”こと赤峰幸生氏の痛快な回答に大反響をいただきました!
悩み相談のお便りも編集部に届き始め、悩めるオーシャンズ世代のみなさまが光明を見出せるようにお手伝いを続けていく所存です。
それでは今月も始めます。
教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ
“女”

[今月の質問]
2児の父である僕は、結婚5年目。妻と子供に囲まれ幸せな毎日を送っている、そう思っていました。ですが最近、気になる女性ができてしまったんです。夫婦関係はもちろん悪くありません。妻も子供ももちろん愛しています。ですが、頭の中は彼女のことでいっぱいなんです。そんなヨコシマな思いを抱く自分が許せない気持ちと同時に、でもどうしていいかわかりません・・・・・。マエストロ、こんな僕はいったいどうしたらいいのでしょうか?(35歳・港区在住・飲食店経営Y・Mさん)

Q.やはり結婚したら、ほかの女性と付き合うことは難しいのでしょうか?
 馬鹿やろう!この「オトナ相談室」はまだ2回目だが、近ごろの男からはその手の質問しか出てこないのかとまず言いたい。いい年にもなって、まだそんなことに悩んでいるのか。浮気、ましてや不倫なんてありえないだろう。そんなことをしている男は、この「オトナ相談室」から即刻退場してほしいね。しかし、結婚しているからとはいえ、ほかの女性に気が移らないとも限らない。男と女、性の違う者同士が互いに興味を抱き惹かれ合うのは、止めようがない。それは事実だ。だがもし、結婚していながら、ほかの女に恋をしたなら、男らしく筋を通せ。妻と別れてから、正面から本気で新しい女と付き合え。二股など愚の骨頂だ。往年の名女優イングリッド・バーグマンと再婚した(注1)ロベルト・ロッセリーニもそうだ。私もそうしてきた。覚悟を決めろ。覚悟がないなら、新しい女との付き合いなど望むべくもなし。
 結婚するときには別れを想定するはずもない。その女と生涯をともに過ごしたいと思って、結婚するのだ。しかし、自分の気持ちにはいつだって正直でありたいとも思う。自分を偽らない。結婚していても新しい女に恋をしたならば、その道を進む。ただし、覚悟しろ。生半可な覚悟での安易な行動派は慎むべきだと言いたい。ひとりの女と生涯をともにするということは素晴らしいことである。もしそれでも、新しい女性の元へ走るというなら、それ相応の代償には腹をくくることだ。

Q.では、生涯の伴侶とすべく「イイ女」を見分ける簡単な方法を教えてください!
 ふざけるな!そんな方法があると思っているのか。もしあるというなら、ぜひ教えを乞いたいね。「(注2)人は見た目が9割」という本がベストセラーとなり、話題となった。無論、見た目とは外見のことだ。世の中には、この言葉に翻弄されている男女が多い。しかし、私に言わせれば、大事なのは服でも、顔の造形でもない。つまり、見た目とは容姿ではない。「イイ女」を簡単に見分けたい、そう思っている日本の男に、あえてアドバイスを送るならこうだ。それは“目”だ。相手の“目”を見るのである。なぜなら“目”は化粧ができない。決して「飾ること」ができないのだ。自分を偽ることができない。“目”は、ありのままの自分を相手に見せてしまう。“目”は口以上に心を語るのである。だから、私はまず“目”を見る。「イイ女」かどうかは、相手の“目”を見て判断ができる。逆も同じで、女も私の“目”を見ている。それゆえ相手が自分に興味を抱いているか、それも瞬時に察知できる。「イイ女」を簡単に見分けたいのならば“目”で会話するのだ。
 (注3)フェデリコ・フェリーニの映画には、胸と尻がデカい女がよく登場する。しかし、ヒロインは必ず、胸の小さい痩せ型の、そうでない女なのである。この配役が意味するのは、胸と尻がデカい女が「イイ女」であるということを否定したごくごく単純なこと。よく考えてみてほしい。果たしてそれがいい女の条件か?いや、瑣末なことである。肌を露出する服の女が魅力的か?いや、そんなことはどうでもいい。
 ところで、私はナンパは嫌いではない。新しい女と出会うことは、自分への刺激となる。そして私が女に声をかける判断基準は、もちろん、その女の“目”だ。それに尽きるのである。
 私にとっていい“目”をした「イイ女」の代表は、(注4)宮本信子だ。とても知性的である。年の取り方もいい。小津安二郎の映画に登場する(注5)東山千栄子も「イイ女」である。味覚、聴覚、視覚など、人間にある5つの感覚。生涯の伴侶とできるような、素晴らしい女と巡り会いたければ「イイ女」を見抜く“女覚”を磨くことだ。そのためには“目”を見て相手を理解できるようになれ。外見に惑わされるようであれば、男としてはまだまだだ。
 

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(→)今月はマエストロが20代半ばから通い続けているという人形町の江戸前寿司屋「喜寿司」(tel.03-3666-1682 東京都中央区日本橋人形町2-7-13)の赤峰氏を撮影。寿司屋に行ってまず味わうべきなのは、ずばり“お茶”だと語る。カウンターで新鮮な寿司のネタを吟味しているの氏の“目”は、やはりスーツの生地を選ぶときの“目”と同じなのでした。

Q.逆に、簡単に「イイ男」に見られる、マエストロ流の着こなしを教えてください!
 てめぇ、今の今まで何を聞いてやがった、この大馬鹿やろうが!この「オトナ相談室」は、まだ2回目だが、いったいその手の質問は何回目だ。もううんざりだ。何がマエストロ流だ。そもそも「イイ男」に、つまりモテる方法を人に聞くような男が、女にモテようはずがない。昨今は大人の男に向けたファッションを扱う雑誌が「この服を着ると女にモテる」という類のコンセプトで誌面を作っている。それを見るたびに、私は目を疑う。そんな雑誌を見て、そこに載っている服を着て、それでモテるだと?そんなことは万に一つもなかろうが。もし、仮にそれでモテたとしても、女は服を見て上っ面だけで「イイ男」かどうかを判断しているだけ。高い服を着ているから、金を持っている、だから付き合う。そんな女と相場は決まっている。男が男なら、寄ってくる女も女。私なら、そんな考えの女は願い下げだ。上っ面で自分を語ろうとするな。何の車に乗っているか、何の時計をしているか、この靴は・・・・・。そんなことはどうだっていいと、先月も言った。裸で己を語れ。モテる男は何を着ていたってモテる。ただ、それだけだ。

Q.では、マエストロ十八番の妻の喜ばせ方を教えてください!
 やっと改心したのか。近ごろは世話をかけさせる男が多い。だがひと言、馬鹿やろう!とだけ言っておこう。そんな質問をするな。自分で考えろ。だが、アドバイスは送ろう。どんなときも、金だけで解決しようとするな。例えば愛する女の誕生日、どのようにして女を喜ばせるか?大半が「あるブランドの高価なジュエリーを贈ればいい」と答える。だが、私に言わせればそれは間違いだ。「贈ればそれでよし」とする、その心がもはや救いがたい。このように「金をかけること」をある種のセレモニーとするのは下品で、いただけない。愛する女に失礼ではなかろうか。例えば妻の誕生日であれば、「祝うという気持ち」が何より大事なのである。だから私は、バースデーレターを贈る。女への愛情を己の文字で伝えるのである。それは言い換えるなら、ともに積み重ねた日々への感謝の気持ちを伝えるのである。もはやそれは、女を喜ばせようとする目的ではない。ましてや世辞などでもない。自分が感じた本心を、そのまま女に伝えるのだ。そして、本当にそう感じていれば、あとは“目”が語ってくれる。問題は、君が愛する女に本当に感謝の気持ちを抱けるかどうかだ。妻を本当に喜ばせたいと願うなら、もはや悩みの答えは出ているだろうが。
 当然であるが、ここでの話はなにも記念日に限ったことではなく、日常にも当てはまる。例えば、女を「褒める」ということも大事なことだ。私はあまり言わないが、女の着飾った姿を「美しい」と思うなら、それを「褒める」ことは大事なことである。ちなみに、私は「イイ女」であると思った相手には、率直にこう言う。「気持ちのいい目をしていますね」と。そして、「素晴らしい生き方をなさっていらっしゃるのですね」と。目はその人の心、すなわち生き方を映し出すのだ。
 女との付き合い方は、百人いれば百通り。ハウトゥや正解などない。必要なのは、とにかく己を磨くこと。それは、自分に誇れる生き方をするということだ。自信を持って、真っ直ぐに歩んでいけ。そうすれば、道は開かれる。そして“目”はその輝きを増していく。“目”は心、すなわち生き方を雄弁に語るのである。

 
(注1) 「ロベルト・ロッセリーニ」
イタリア人の映画監督。代表作は「無防備都市」。この映画を観たハリウッドスター、イングリッド・バーグマンがロッセリーニに手紙を書き、それを機にふたりは映画史にも残るロマンスを繰り広げることになった。


(注2) 「人は見た目が9割」
竹内一郎著、新潮新書。非言語コミュニケーションの入門書。85万部を超えたベストセラー。

(注3) 「フェデリコ・フェリーニ」
20世紀を代表するイタリア人の映画監督、脚本家。映像の魔術師との異名を持つ。退廃的なローマ社会を描いた代表作の「甘い生活」では、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。


(注4) 「宮本信子」
夫である故伊丹十三が監督した作品「お葬式」に出演し、女優としてブレイク。最新出演作は「眉山(びざん)」


(注5) 「東山千栄子」
大正、昭和期に活躍した女優。小津安二郎監督作品「東京物語」に出演し、映画出演の代表作とした。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「新しければよしとするな」

ミラノとパリへの出張から東京に戻ったばかりのマエストロ。「海外へ出かけると日本のいいところ、悪いところがより理解できる。今回の出張で改めて感心したのは街並みについて。ミラノは40年くらい前に初めて訪れてから、今もほとんど変わらない。それは、歴史や文化を重んじる姿勢があればこそ。日本はスクラップ&ビルドの繰り返し。古き良きものが継承されないことは、実に嘆かわしい。新しいものばかりを好む日本人に渇!」。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合はwww.oceans-ilm.comへアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G赤峰連載への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」までお送りください。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録”色紙をプレゼント!

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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