AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2013年04月15日(月)

朝日新聞be on Saturday "『赤峰幸生の男の流儀 『衣替えはしない主義』 2013年4月13日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

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日本人は、季節の移り変わりに対して、繊細な感覚をもっています。だからかつては、季節を少し先取りした装いが「おしゃれだ」とされていた時代もありました。でも、4月になっても寒い日は寒い。春物をがんばって着ちゃうというのは、おかしな話だとみんなが思うようになりました。
 

やはりその日の気候に合わせて、着るものを考えるのがスマートな人間というものでしょう。気温だけでなく、「今日は冷たい風が吹きそうだ」と考えたら、防風に優れたスプリングコートを羽織っていく。冬場から愛用してきた分厚いツイードのジャケットを中に着たってまったくおかしくありません。
 

海外の友人には、年間を通して麻を着ている男もいます。冬には分厚い麻があり、「冬だからこそ、肌触りのよい麻が暖かいんだ」と言います。何より自然に対する洞察力や、自分の肌感覚を大切に育てていくべきだということでしょう。

季節はいっぺんに変わるわけではないですから、私は衣替えはしません。自宅のクローゼットは、すべての服を一望できるようにつるしています。むろん、色の分け方は男の三原色です。その中から「今日は何を主役に組み合わせていくか」と重ね着を考えるのです。
 

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イラスト・YAB

 
また服が傷むのがいやなので、クリーニング店もめったに利用しません。ワイシャツも自宅で洗い、シャツはソフトに、スラックスのクリース(折り目)はピシッと、ポケットチーフにも毎朝アイロンをかけて出掛けています。

舟の形をしたアイロンを操ると、どちらに向かって進ませようかなと、とても楽しい。気持ちも改まる「儀式」で、すがすがしく一日を始めています。
 

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 10時20分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年04月01日(月)

朝日新聞be on Saturday “赤峰幸生の男の流儀” 『自然から発想する色合わせ』 2013年3月30日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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前回はメンズファッションの色合わせについて、「青、茶、グレーの『男の三原色』から2色(+白)が基本」とお伝えしました。色は装いの要点ですので、もう少し続けましょう。
 
空、海、森……。私たちは自然の中で生きているのですから、その環境に逆らわず、同化する意識をもつことが、装いをうまくまとめるコツだと思っています。例えば靴は大地の茶、ジャケットは大空の青で、シャツはご飯のように何にでも合う雲の白、といった感じです。実際に、茶に緑が入ったアイルランドやスコットランドのツイードジャケットは冬場に枯れてゆく草原や林の表現で、その場に立つと抜群になじむのです。


私はイタリアに行くと、家々の壁の色に似た薄いベージュのジャケットを着て、屋根のえんじをネクタイに取り入れるなど、目に映る色を服で楽しんでいます。場への敬意の表現でもあります。
 
一方、黒やネオンカラーなど、大自然の中で目にしない色は取り扱いが難しい。またグレーは万能色ですが、イタリア人が好きな明るすぎるものは要注意。着合わせが難しくなります。何事も控えめが肝要です。

強調しておきたいのは、日本人は明るいブルーが抜群に似合うということ。「鉄板」と言っていい。「空と雲」のようなブルーと白の組み合わせが一番のオススメで、そこに大地の茶系を取り込んでいくのが基本的な考え方です。
 

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イラスト・YAB

パソコンから顔を上げて外を見れば、明るさを増す春の大地、朽ち果てようとする神社のかすんだ茶色、桜の上品な薄ピンクなど、すてきな色がたくさんあります。
自然に目を向け、粋に楽しんでください!

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 18時21分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年03月18日(月)

朝日新聞be on Saturday "『赤峰幸生の男の流儀』 「男もカラフル」にご用心 2013年3月16日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

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この春は、「男性の装いにも色や柄を」という提案が花盛りです。ドレスでもカジュアルでも、黄や赤、緑とカラフルな商品が店頭に並んでいます。
 
明るい色を求める時代の気分は確かにあると思うのですが、「男の三原色」である青、茶、グレーのほかは難しいと心得てください。例えば赤や黄のカラーパンツが新しい流行として打ち出されていますが、靴の色が合わせにくい。スニーカーに逃げると大人のドレッシーさは損なわれます。プレーンな白である、コンバースのオールスターあたりで何とか、といったところでしょうか。
 
「変わったもの、新しいものがいい」「差異こそがファッションである」という考え方には立ちません。
目先の商戦に巻き込まれず、まずは基本を確立することが大切です。
 
それは、「色は統一してこそ楽しめる」ということ。
まずは「男の三原色」を中心に色数を2色(+白)までに抑えます。そしてあくまでアクセントとして、分量を控えめに、そのほかの色を取り入れていくのです。
 
私はよく自然から色合わせに思いを巡らせます。例えば今年の流行色であるグリーンは、葉の色。木の幹は茶系ですから、スラックスは茶やベージュ、あるいは万能のグレーになります。そこに小さな葉のように、ネクタイやポケットチーフの一部に緑を使うのです。
 

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イラスト・YAB

難しいので勧めませんが、セーターのような大きな面積で緑を取り入れるなら、ジャケットを羽織って緑が少しだけ見えるようにコーディネートした方が決まります。

新芽のような明るいグリーンは「さあ春だ」とビタミンを補給してくれます。
上手に取り入れるのが粋ですね!

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 09時43分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年03月04日(月)

朝日新聞be on Saturday "『赤峰幸生の男の流儀 『ポケットチーフの効用』 2013年3月2日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]

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クールビズの季節でもないのに、ネクタイをしない男性が増えました。しかし、ネクタイをせずにスーツスタイルを完成させられるのは相当な上級者。ビシッとネクタイをしなければカッコよくありません! と強く申し上げたい。

 
ネクタイを第1のアクセントとすれば、第2は胸に挿すポケットチーフ。最近は増えてきたものの、なお大多数の男性が気恥ずかしさからか、敬遠しているようです。毎日の装いに欠かしたことがない私からすれば、「クリープを入れないコーヒー」のようなもので、いま一つ物足りない。「作業着」としてスーツを着る感覚を捨て、オフィシャルな場に向かうドレスアップと心得たいものです。

 
チーフは何も難しいことではありません。四角にたたんで「TVホールド」、中央をつまんで丸め、ふんわりした側を見せる「パフト」や逆に角を花びらのように見せる「クラッシュト」で一丁上がりです。欧州ではチーフで鼻をかみ、ポケットに突っ込む男性も見かけます。男は「無造作」がいい。

 
素材は綿100%、色は白が基本。明るい色が入ることで全体を引き立たせ、胸にボリュームのない人は着こなしに立体感が作れます。ポケットからのぞかせる分量は控えめでいきましょう。
 

さらにシルクのプリント柄に進むもよし、夏なら麻が粋ですね。色を加えるなら、ネクタイよりも、スーツの色に合わせた濃淡で考えた方が簡単です。
 

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イラスト・YAB

高いものでなくていいので、半ダースほど買って、どんどん楽しんでみてはいかがでしょう。もともとチーフを挿すことを前提にスーツはデザインされているのですから、それなしでは何とも寂しいと思えてくるはずです。

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 16時33分 Permalink  コメント ( 1 )

2013年02月19日(火)

朝日新聞be on Saturday “赤峰幸生の男の流儀” 『クラシック・ニューを探して』 2013年2月16日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]

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年明けにイタリアを回ってきました。フィレンツェで開かれる大規模見本市「ピッティ・ウオモ」や、ミラノの店先で、メンズファッション大国の「今」を感じるためです。

近年のイタリアでは、スーツでもわざと洗いざらしに見せたり、ダメージを加えたりといったテクニックが流行しています。でも、今年はそれももう終わりかな、との印象を受けました。着込んだように見せかけるのは、本当の装いではないということなのでしょう。
 
ファッションはとかく流行と結びつけられますが、私は服というものを大きく三つに分けて考えています。

一つはクリエーターが先駆的な仕事に挑戦した「先駆的商材」、次に時代にマッチして大きなビジネスになり得る「時代的商材」、そしていつまでも変わらず愛される「普遍的商材」です。
 
ボタンホールを色糸でかがったワイシャツ、細すぎるラペルのスーツ、先のとがった靴、やたらと厚みのある大きな腕時計。これらはいつか消えていくものではないでしょうか。
トレンドというのは移り変わるもの。時代性に左右されすぎない視点が大切です。
 
ただこれは、新しいものへの興味を持たないということではありません。私も意欲的に見て回ります。ただ、新しいものを前にしたときに考えるのは、それが「将来のスタンダードになり得るコンテンポラリーかどうか」という点です。
 

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イラスト・YAB

かつてビートルズが登場したとき、彼らはミュージックシーンの異端でした。それが今や「クラシック」とも呼べる存在になっています。ファッションにおいても「クラシック・ニュー」を探すのが粋ですね!

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*朝日新聞社に無断で転載することを禁止します。

Posted by インコントロ STAFF at 11時08分 Permalink  コメント ( 0 )

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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MEN'S EX 2013年5月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」

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