2017年01月26日(木)
余暇とファッション [INCONTRO NEWS]
赤峰は1月25日、都内で行われた三越伊勢丹の社員教育セミナーで、余暇がファッションに影響を与えた背景と、現代への応用について解説しました。
20世紀初頭、英国の王侯貴族の間で余暇の時間をスポーツや旅行などで楽しく過ごすライフスタイルが始まり、ヨーロッパの上流階級に広まりました。
余暇の広がりとともに、貴族は服飾メーカーに機能的な服を要望。メーカーはそれぞれの場面に役立つ服を開発して新しいデザインやディティールが生まれました。その参考例がいくつかのサンプルとともに解説されました。
カバートコート。1930年代に英国で作られた競馬観戦用コートの古着です。広い競馬場内を歩きやすいようにと着丈は短め。袖口と裾には補強のためのステッチが4本入っています。
シューティング・ジャケット。英国の狩猟用上着の古着です。獲物を入れるためにマチを広く取った大容量のポケットが付いています。
シューティング・ジャケットのディティール。胸に当てたライフル銃の衝撃を緩和する補強布やスペアの銃弾を入れるポケットが付いています。
シューティング・ジャケットを手がけたのは1883年にロンドンで創業した老舗狩猟用品店。ディティールは無骨ながら、狩の現場で鍛えられた本格仕様です。
ダスターコート。自動車に屋根が付いていなかった頃、埃除けに着用していたコートです。
ダスターコートのディティール。防風性能を高めるため、合わせはダブルの仕様、首回りは密閉度の高い仕様を採用しています。衿の小さなボタンはフードなどのアタッチメントを装着するためのものです。
このダスターコートは、1824年にパリで創業した今は無き老舗百貨店ベル・ジャルディ二エールが100年ほど前の1920年代に手がけたものです。当時はこのようなウエアは既製品ではなく、貴族のオーダーメイドでした。生産は手仕事が随所に使われ、赤峰によると「現在は再現不可能」だそうです。
赤峰は「服の商品開発やセールストークは、カシミヤが入っていますから、インポートですから、トレンドですから、と単なる素性の説明のみでなく、その服がお客様の暮らしの中で、どのように役立つのかを語るべきであろう」と語り、セミナーをまとめました。
受講した社員は「お客様は服を着用する時に、物の背景にあるストーリーを思い浮かべて楽しむので、販売する時のストーリーの伝え方を大切にしたい」と語りました。(完)
Posted by インコントロ STAFF at 12時41分 コメント ( 0 )