2013年10月21日(月)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「スロー」が生む価値 2013年10月19日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
東京・碑文谷で生まれ、今日まで東京に生きてきました。少年時代に遊んだ古き良き渋谷は、恋文横丁や百貨店など、風景に風情がありました。
でもこのごろは、何だか「うっとおしい」としか形容しようがない気分に包まれています。
「カントリージェントルマン」を考える岡山県新庄村の若者に、現地に招かれるなどしているうちに、都会の閉塞感を感じるようになりました。
東京都港区に置いていた我が社のオフィスを、川崎市の郊外に移そうと思ったのには、そんな理由もありました。
7月に移った新天地は緑に囲まれ、最寄り駅まで徒歩10分ほど。何より急行が止まらないのがいい。コンビニエンスなものに慣れきった自分を鍛え直したいと思いました。
便利だからと服にも「機能」を求めるばかりでは、「作業着」になってしまいます。そもそも服は、ゆっくりと牧草をはんだ羊の毛や、豊かな土壌から育った綿花から生まれるもの。手間ひまをかけてこそ得られる一本の糸、一枚の生地は、早回しの世界ではじっくりと味わえないと思うのです。
2階建ての借家である仕事場は、オフィスではなく、アトリエと呼びたいと思っています。生地の色を確かめるのに欠かせない自然光がたっぷりと差し込むフィッテングルームで、お客様とスーツ談義に花を咲かせるひと時は至福です。長年集めた装いの歴史に関する書籍や、ビンテージの服地をかたわらに置いて、ゆっくりと服と向き合いたいと思います。
なんのおもてなしもできませんが、読者の皆さまも近くにお越しの際は、気軽にお立ち寄りくださいませ。
お問い合わせは、インコントロ ( 044-871-5330 / メール info@incontro.jp)。
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Posted by インコントロ STAFF at 09時13分 コメント ( 0 )