AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2009年02月24日(火)

OCEANS 4月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“褌”

[今月の質問]
赤峰さん、はじめまして。毎月、熱のあるお言葉、心に染み入ります。実は私もぜひアドバイスをいただきたいことがあるんです。それは「転職」です。今勤めているのは、新橋にある商社で、電器部品を扱っています。社員は150人ほどです。しかし我が社も例に漏れず、この不況を煽りをまともに受け、50代の社員がどんどんリストラされています。私はまだ30代ですが、「次は私かも・・・・」と考えると不安で仕方ありません。やはり今のうちに大きな会社に転職したほうがいいのだろうかと悩んでいます。そうすればもっと収入だって上がるはずでしょうし、すぐにリストラされたりなんてこともないはず。やっぱりこんなご時勢ですし、背に腹はかえられないと思うんです。そんな生き方について赤峰さんはどう思われますか?(32歳・神奈川県在住・商社勤務・U.M.さん)

Q.この悩みは超簡単!僕でも答えられます。そりゃ“するべき”。大きい会社や組織のほうがやっぱり将来的にも安泰!ですよね、マエストロッ!
 てめぇはっ!もうつける薬のない大ばか野郎だ!おまえのようなやつが真っ先に時代のうねりに飲み込まれるんだ。この世界的な不況を見ろ!バラク・オバマ大統領も言うようにもうすぐ「新たなる責任」を求められる時代がやってくる。これは国家も企業も、個人も同じだ。誰かに“おんぶにだっこ”でなんとかなる時代はとうに終わった。今後、日本も経済などあらゆる面で自立を求められるだろうし、企業でも個々人の能力に対して報酬を払う能力主義が進んでいき、その格差はどんどん広がるだろう。こんな時代、間違いなくスポイルされるのは、個人で責任を持とうとしない輩、そしてロクに仕事もしないのに会社組織の中で踏ん反り返っている輩なのだ。だからオレは、あえてこの読者の彼に言っておきたい。他人の褌で人生を送っている奴は、いずれその精算を迫られる、ということだ。転職もいいだろう。だが、給料や会社のネームバリューだけを理由に転職しようとしている輩がいるとするなら、それは赤の他人の褌を欲しがっているのと同じことだ。本当に重要なのは、褌そのものではなく、その中に収まっている“玉”なのだ。この玉を鍛えるような仕事をしろ、とオレは言いたい。そうすれば、リストラにも不安を感じないはずだ。

Q.でも、収入は絶対大事だと思うんですよ。同じ量の仕事をしてても、自分の給料が安いなんてなんか損な気が・・・・・。
 てめえはもう家に帰って寝てろっ!この超弩級のとんちんかんめが!では今、転職して少しばかり収入が上がったとする。しかしそれで、いったい生活にどれだけの変化があるんだ?最低限、家族や親の面倒を見なければならない、夢のために貯金したい、そんな高尚な目的があるならいいだろう。でも、おまえのような輩の場合は、ちょっと収入が上がったとして、見かけ倒しのデザイナーズマンションに住んで、夜はワケのわかんねぇレストランで擬い物のイタリアワインを飲む。クルマは見栄えだけで選んだ故障ばかりの中古のポンコツ。そんな薄っぺらな生活が関の山だろう。ちっぽけな価値観のために、転職に血道を上げたり、人を嫉妬するのなら、まったくもって人生の無駄だ。そんな男は、金ぴかの褌を巻いて、肝心の“玉”はナヨナヨ、みたいなもんだからな。いずれメッキは剥げる。
 それにいいか、確かに報酬は大事なものだ。だがな、男が仕事を選ぶとき、収入のことは二の次に考えろ。あの早世した俳人、正岡子規は、どの新聞社に入ろうかと迷っていた後輩にこんな言葉を残している。「人の偉さをはかるのに、ものさしはたくさんある。でも、いちばん偉いのは、少ない給料でいっぱい働く人間だ」とな。だからこそ彼は、墓石に安月給だった自分の収入額を彫り込んだんだ。つまり、彼は給料なんかどうでもいい、いい仕事とは詰まるところ、人のためにどれだけ役立つか、だと考えていたんだ。また、ユダヤの富裕層の間にも、こんな考え方がある。「収入は社会に対する自分のサービスの対価である」というものだ。オレが言いたいのはな、いい褌が欲しい、と思う前に、まず己の玉の質を問うてみよってことだ。そうでなければ、「やっていてよかった」と魂が震えるような仕事は絶対にできないのだ。
 

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(→)日本が誇る日本男児として、“大和魂”を宿すマエストロ。この日は、なんと和太鼓を使ってするエクササイズ“太鼓ビクス”に挑戦している姿をパチリ。和太鼓教室内にほとばしるマエストロの汗は、キラキラと輝いていました。男女問わず人気のこのエクササイズ、ぜひ挑戦してみたいという方は「TAIKO-LAB」にお問い合わせください!TEL 0120-979-447 東京都渋谷区神宮前3-1-30 コンセプト青山B1

Q.なるほどっ!相変わらず熱いですねっ!でも、肝心の“玉”を磨くにはどうすりゃいいんですかっ?早く教えてくださいよ〜!
 ばか野郎っ、てめぇはいつも手短に答えを知ろうとする。本当に大ばか野郎だ。とはいえ、読者の方も知りたがっているだろう。それでは、望みどおり教えてやろう。
 まずは、生活面だが、自分が世界中でたったひとりの自分自身であることを貫くこと。オレは昔から何事をするにも、人がやっていることをまねしたり、参考にしたりしなかった。自分が着たい服を着て、食いたいものを食い、読みたい本を読んできた。トレンドを追いかけるなんてもってのほかだ。例えば、レストランで注文をする際、「オレもそれと同じでいいや」なんて言ったことは生涯一度だってない。行住坐臥(人の起居動作の根本である、行くこと・とどまること・座ること・寝ることの四つを意味する)、当たり前の営みであるが、それを積極的で主体的にすることができれば、自分の個性が次第に高まっていくはずだ。ただ、ここ日本では、そんな当たり前のことをすることさえままならない。自分本位な行動には「空気を読まない」などと陰口が叩かれるようだ。しかし、だからなんだ?よく考えてみろ。どうしてもそう言われたくないなら、そいつらと同じことをすればいい。だがな、そんなことで陰口を叩く輩は仕事ができると思うか?女にモテるか?オレに言わせれば、答えは間違えなく「ノー」だろう。オレは違うぞ。何が何でも這い上がってやるというなら、どんな小さなことでも自分を貫いてみろ。間違いなくそいつは伸びる。目的を達成するためなら、人目を気にせず突き進む。だから、仕事もできるだろうし、女にだってモテるはずだ。だがな、あえてこう言いたい。男なら空気を読むな!波風を立てて生きてみろ!それが、男ってもんだ。
 そして次は仕事面だ。オレは昔、イタリアで出会った老テーラーに教えてもらった言葉をことあるごとに反すうしている。「いい仕事をする秘訣だって?“ア・ファット・ア・マーノ”(自分自身の手で作ること)さ」。オレはいまだに年賀状を直筆で書く。手紙だってそうだ。もちろんパソコンが不得手ということもあるが、やはり手の仕事ほど、相手に愛情=誠意を伝えられるものはない。企業コンサルタントをしていて、レポートを提出してもらうこともあるが、必ず手書きのものを提出してもらう。なぜなら、そのほうが相手の仕事に対する考え方もわかるからだ。
 だが、それだけじゃない。ずっと後のことだが、“ア・ファット・ア・マーノ”は、単に手作業の素晴らしさだけを語っているものではないとわかった。自分の手で、誰よりもいいと思える仕事をすれば、自分がここにいる意義がわかってくるということだ。「自分以外には誰にもできない仕事の質」を追求するのだ。テーラーだろうが、政治家だろうが、コンビニのアルバイトだろうが、職種なんて関係ない。これが男として何よりも大きな自信になる。
 生活面と仕事面において、このように努めれば、人の褌なんてものは必要ないはずだ。自分自身の褌に、しっかりと箔がついているはずだからである。

Q.な、なるほどっ!眼が覚めました!ところでマエストロの下着は、どんななの?やっぱり褌・・・・ですよね?
 また話を茶化しおって!ばかという言葉に失礼なほどばか野郎だな、おまえは!ただ、男にとって下着は大切なものだ。褌ではないが、オレは白い布帛のトランクスをはいている。お前らがはいているような軟弱なブリーフではない。ハリのいい純白のコットンだ。フィレンツェにあるなじみの下着店で買ってくるんだが、真っ白いこのトランクスに脚を通すたび、実に清々しい気持ちになる。戦国時代、武士たちは戦の前には必ず真っ白い褌を締めたという。これは討たれて具足を剥がされたとき、醜態をさらさないためだった。そう、男は真っ白い自分の褌で生きることができれば、どんな時代であっても、恐るに足らない。他人の褌で相撲をとるようなまねをせず、己がぶら下げている“玉”の質で勝負するのだ。
 ただ、それを心がけさえすれば、己の道に敵はない。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
最近、とみに人との出会いが貴重に思えてくるようになった。とはいっても仕事ではない。屋台のオヤジやタクシーの運転手、風呂屋で出くわした知らないオヤジ。こんな方々とよく話をする。人はこういった方々とは生活の中で触れ合ってはいるのに、なかなか話をしていないのではないだろうか。しかし、いざ、自分の心を開いて話をしてみると、ハッとする意見や役に立つ話に突き当たることがしばしばある。ときに思わぬ人の観察眼が新鮮に思えることがあるものだ。宮元武蔵の言葉に「我より外に師なし」という言葉がある。この言葉も含蓄があるが、やはりオレにとっては、中国の「我以外、皆我師なり」という言葉が身に染みるというものだ。

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス Gオトナ相談室への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室」係まで。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘適切なサイズを知る’』2012年6月9日(土)掲載

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