2013年07月24日(水)
朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 『リネンを味わう時代』 2013年7月20日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
前回は真夏のジェントルマンスタイルのために、リネンの活用についてお伝えしました。この夏は、リネンで作られた服を手に取る人が少なくないと思います。味わいを感じさせる素材が、いま再び注目されているのです。夏の暑さがひどい昨今、高温多湿な日本の気候にあった織物として、見直されている面もあるでしょう。
リネンと言えば、しわです。カチッとしたビジネススーツと異なり、しわになるから麻はいい。緩やかな気分になり、綿とはまた違う良さがあります。生地こそが、まとう喜びをもたらす源泉だと教えてくれる素材でもありましょう。
原料としては、ベルギーや北フランスでとれるリネンがよいとされています。よい生地はどんな素材でも同じですが、繊維が細くて長いものが、上質な服地に生まれ変わるのです。
そして織るのはアイルランドや日本が得意とするところ。
中でも最高とされているのが、アイリッシュ・リネンの名門、スペンス・ブライソン社のものです。私たちが「手持ちが違う」と表現する、際立った肌触りや張りを持っています。
リネンというのはもともと生活資材。今でも上等なシーツやテーブルクロスとして用いられています。通気性に優れ、肌触りがよいのが持ち味ですから、イタリアなどでは肌着も売られています。
本来は決して夏だけの素材ではないのですが、日本ではなぜか春夏のものと誤解されています。イタリア人の友人で、一年中、リネンのジャケットで通している男がいますが、もうテロテロになるまで着込んでいて、とにかくカッコイイ。
力まず、年輪を感じさせる着こなしは、リネンがまさに大人の素材であることを教えてもくれます。
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Posted by インコントロ STAFF at 14時34分 コメント ( 0 )