2013年05月09日(木)
MEN'S EX 2013年6月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 6 [MEN'S EX 掲載記事]
季節の装いを知る そのB
海が似合う夏の装い
夏のリゾートといえば海。葉山、沖縄、バリ島も良いですが、何度も足を運んでいるのはイタリアのビーチリゾートです。シチリアのタオルミーナ、エオリエ諸島のリパリ島、フィレンツェから程近いフォルティ・ディ・マルミも想い出深く、ナポリの南はアマルフィ、ポジターノもまた趣を異にします。
サルディーニャ島のオルビア空港から、北部のポルトチェルボまではタクシーで小一時間。高級ブティックが軒を連ねるこの街は、ヨーロッパの富裕層が集う高級リゾート地です。私が訪れたときは50ccバイクが免許なしで乗れる時代でした。レンタルバイクで畦道を飛ばすと、やがて真っ白な砂浜に出ます。砂浜に寝転んでコスタズメラルダ(エメラルド海岸)を眺めていると、どこからかオペラを歌う声が聞こえてきたそのシーンは、涙が出るほどに美しい光景でした。
そんな私にとって、夏の装いとは海の装い。今回は、粋な男の海の装いについてお話したいと思います。
私が粋な海の装いに憧れるようになったのは、映画「太陽がいっぱい」を観てからです。主演のアラン・ドロンも良いですが、素肌にレザーのジャケットを羽織った不良役のモーリス・ロネもカッコ良かった。もうひとつ「太陽の下の18歳」は、イスキア島の海辺を舞台にしたイタリアの青春映画。長身のカトリーヌ・スパークの見事な肢体も見どころですが、登場人物が色とりどりのラコステのポロシャツを着ていたり、ベージュのコットンスーツを纏っていたり、これぞ夏の装いと焼き付いています。
太陽・海・波飛沫が赤峰流、夏の三原色
サルディーニャの海はエメラルド、イスキアはコバルトブルー。その砂浜に打ち寄せる波飛沫は真っ白で、波打ち際から沖までブルーグラデーションが様々に変化します。そして空を見上げれば、太陽はオレンジがかった赤。これらの光景からインスパイアされた、海の青、波の白、太陽の赤。これが私にとって、夏の装いの三大要素になっています。タイドアップした装いからリゾートスタイルまで、夏の服装には大抵この3色を盛り込んでいます。具体例として、ビーチサイドのデッキチェアで寛ぐときの装いをひとつ考えてみました。まずジャケットはコットン地のブルー。同じ青系でも、夏は冬よりトーンの明るいものを選ぶのが定石です。これに打ち込みの良いドリルクロスのグルカショーツを合わせ、インナーはラコステの赤の鹿の子ポロ。ボタンは二つとも開けて、襟は立てないのがこの場合エレガントです。そして、足元は白のエスパドリーユ。胸元にはチーフも忘れずに。海辺だからといってだらしない格好はせず、あくまでもドレスマインドで装うのが粋な男というものです。
着こなしの幅が広がる冬も良いですが、夏は太陽の光と風を思い切り楽しめる絶好の季節。じりじり焼ける太陽、そよぐ風、打ち寄せる波を肌で感じつつ、夏ならではの色と素材の装いで自然と一体になる。私にとって最高のひとときです。
Posted by インコントロ STAFF at 13時51分 コメント ( 0 )