2014年09月06日(土)
朝日新聞 “be on Saturday” 赤峰幸生の男の流儀 『民芸につながる装いを』 2014年9月6日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]
もの作りにあたって、私が大切にしている言葉があります。
それは昭和初期に民芸運動を展開した柳宗悦のもの。彼は全国を歩いて見いだした「民芸品」の定義について、次のように書き残しています。
「鑑賞のためでなく、実用性を備えているもの」「無名の職人によってつくられたものであること。名をあげるための仕事ではないこと」「民衆が日用品として購入できる安価なものであること」
これらは日常に用いる服を考える際にも応用できます。私自身のブランド「アカミネロイヤルライン」でも、関わっているオンワード樫山の「五大陸」や「J.PRESS」といったブランドでも、常に頭の中には「民芸」につながる仕事がしたいという思いがあります。流れていく「ファッション」ではなく、質が良く、長く使える服を大切に作っていきたいのです。
さらに柳はこう言っています。「色、かたち、模様などに土地に根ざした地域性があること」「個人の力よりも、気候風土や伝統などの他力に支えられていること」……。
日本で、洋装が広く一般化して半世紀以上。いま、グローバリズムが隆盛する一方で、新しいローカリズムの動きも確かに生まれています。服についても「国柄」を考える時期が到来したように思います。
それは、着こなしのテクニックといった表層の話ではありません。日本の紳士たらんとする者が備えておくべき、心構えのことではないでしょうか。礼節をわきまえ、控えめで、つつましい。「目配り」「気配り」「心配り」といった言葉も忘れたくありません。時代は確実に本質に回帰しつつあります。ご自身の内面を深掘りして、本物を選び取ってください。
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Posted by インコントロ STAFF at 09時00分 コメント ( 0 )