2014年05月10日(土)
朝日新聞be on Saturday 『赤峰幸生の男の流儀』 "綿の神に会う" 2014年5月10日(土)掲載" [朝日新聞掲載記事]
素材作りの現場に入って、もっと理解を深めたい。1月、大阪府阪南市にある「大正紡績」を訪ねました。特に綿の原糸作りで名高い会社です。
応対してくださったのは、「綿の神様」と呼ばれる近藤健一さん。近藤さんは中国や南米ペルーなど、世界五大陸に綿の畑を作ってきました。特に、農薬を使わず、害虫に狙われやすいオーガニックコットンの栽培指導に定評があります。
近年、機能性を追った合繊ブームの一方で、自然素材が再評価されています。下着をはじめ、人の肌に近いところで用いられる綿は、なるべくナチュラルなものがいい。農薬は綿の自然な成長の妨げにもなり、時には組織を壊してしまいます。農薬をかけないで、人の手間をかけるのが、オーガニックコットンです。
こうして作られた綿糸で、「五大陸」ブランドのシャツを作りたいと思っています。糸を知り、そうした「知」も含めて深く織り込んでいく。デザインを追う「ファッション」ではありません。ファッションには「もっと先に走らなくては」という焦燥感がつきまといますが、そうではなく、立ち止まって考えて、不要なものには「要らない」と判断する。原子力発電と同じです。
農薬を使うより、手間がかかるのですから、お値段は高くなるかもしれません。でも、多くの人が長く大切に使える。周囲からは「よいものをお召しですね」と褒められ、着る人の品格が高まっていくようなもの作りの一翼を担いたい。
お土産に綿花の種を頂きました。アトリエの前にある畑に植え、綿花の成長過程を知り、うまく綿を紡ぐことができたら、ハンカチでも作りたいと思っています。
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Posted by インコントロ STAFF at 09時00分 コメント ( 0 )