2012年10月20日(土)
朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘お薦めの生地選び’』2012年10月20日(土)掲載 [朝日新聞掲載記事]
これまで2回に渡って「クラシック」への回帰についてお伝えしてきました。正統的でエレガンスを感じさせるスタイルにぜひともトライしたいという方に意識して頂きたいのが、スーツの生地の選び方です。
大量生産時代の生地は、「紙」のような質感で、ペタッとしていて立体感がありません。軽く、薄く、柔らかいのでヒラヒラした印象です。
それに対して丁寧に時間をかけて作られた布には「膨らみ感」があります。生地自体に重みがあって沈むので、「落ち感」もあって美しく見え、パンツのクリース(折り目)もピシッと決まってひざが出ない。こうした服を着込んで生まれる味わいには代え難いものがあります。
日本では新しい服を身につければ、おしゃれだという誤解が根強いように思います。その結果、次々と新しいものを買い、古くなったものを捨てるという「消費」の考え方が支配的になってしまいました。でもそれは「着せ替え人形のシャレ感」ではないでしょうか。
私は家具や食器のように、使い込んでこそ味が出るものこそを「いい服」と呼びたい。スーツなら3年は当然、できれば10年着るという文化を育てていきたいという思いで仕事をしています。
ずっと着ている間に自分の「皮膚の一部」として、宝のように思える服がいい。ですからスーツを選ぶ時も、お薦めするのは、繊維が細く柔らかい素材ではなくて、「バリッ」とした印象のしっかりした素材です。「これを体温でなじませながら、自分のものにしていきましょう」とアドバイスしています。
クラシックを意識するなら、重みのある素材を選ぶのが粋です。
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Posted by インコントロ STAFF at 00時00分 コメント ( 0 )